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核の持ち込み問題-あきれた政府の対応

 核兵器を搭載した米艦船及び航空機の日本への寄港や立ち寄りが事前協議の対象となるか否かの問題について、林外相と議論しました。
 
 この問題は密約調査によって、日米両政府間に認識の不一致があったことが明らかにされています。即ち米国政府は事前協議の対象ではないと1960年当初から考えていたのに対し、日本政府は事前協議の対象であり、かつ非核三原則によって寄港・立ち寄りは認められないとしてきました。この認識の不一致が判明した後も日本政府は、米国政府が事前協議の対象外として協議していないことを知りながら、「事前協議してこない以上核兵器の持ち込みはない」、と国会で説明を続けてきたわけです。

 認識の不一致があることが判明した後も、米国が言ってこない以上、核搭載艦の寄港・立ち寄りはないと国会で答弁し続けてきたことは国民に嘘を言ってきたことに等しい、との私の指摘に対して林大臣は、「外交には秘密性がつきものである」と全く答弁にならない答弁を繰り返すだけでした。
 
 また現時点でも矛盾は解決されないままだとの指摘に対して、「米国は我が国の非核三原則にかかる立場をよく理解しており、現状においては想定されない」、その根拠を示せとの問いに対し、「外交上のやり取りであり、控えさせていただきたい」と答弁したことは驚きです。これでは密約調査によって認識の不一致が明らかになった後も、そしてこれからも同じ論理で国民に対して不誠実な答弁を繰り返すことになってしまいます。

 私は1974年11月の日米首脳会議に向けて、当時の木村外務大臣、大平外務大臣臨時代理のもとで外務省内で様々な検討が行われたこと、大平さんは総理大臣になった後も国民に分かってもらえる方法はないかとの問題意識を持っていたことを指摘し、大平さんの系譜を継ぐ岸田内閣として何とかすべきではないかと指摘しました。これに対し「ご指摘は多といたしたい」「今委員からご指摘のあったことを含めて、しっかりと対応してまいりたい」と述べるだけで、具体的な答弁はありませんでした。
 
 政治的に解決困難な問題であること、戦術核を撤去するとの米国政府の政策によって、現状では直ちに問題になる可能性は低いことは事実です。また、私の外相としての発言により、緊急時において、例外的な扱いをする余地も残されています。しかし林大臣の米国が日本の非核三原則を理解しているから核搭載艦などの寄港・立ち寄りはない、というのは奇弁です。仮に寄港・立ち寄りが判明したときに、協議してこなかった米国政府が悪いという論理になり得るもので、日米両国の信頼関係を損ない、日米同盟を弱めるものです。同時に国民の政治に対する信頼を損ねるものです。
 
 密約解明から10年、非核三原則の核の持ち込みをどう考えるべきなのか、岸田内閣が骨太な対応を検討することを期待します。国民に対して正直でなければと思い続けた大平さんの思いについて、誠実に向き合うべきです。



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