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2012.08.29|TALK-ABOUT [ブログ]

UR改革―低所得・高齢者の方々の状況を守りつつ、経営を健全化

今日は、都市再生機構(UR)の改革についてお話ししたいと思います。

URは独立行政法人(独法)の1つです。今年の1月に、私が行政改革担当大臣に就任した直後、独法全体の見直しの方針というものを決めた際に、もう少し深い議論が必要だということで、内閣府の中に「都市再生機構の在り方に関する調査会」を作り、2月以降、16回議論を重ね、ようやく火曜日(28日)に結論に至ったものです。

このURは、基本的に大きく3つの仕事をしています。1つは賃貸住宅。高度経済成長期に、都市部を中心に全国に賃貸住宅を作って、多くの国民の皆さんに利用されてきました。この賃貸事業が1つ。
もう1つは、都市開発です。都市の大規模な開発を民間だけで賄うことができない場合に、このURが活躍してきたわけです。いまは、東日本大震災の被災地の立て直しという分野でも、URには活躍してもらっています。

そして、3番目がニュータウンの造成。全国で郊外に新しい住宅の町づくりをするというニュータウン事業をやってきました。

いまや高度経済成長期が過ぎ、人口も減っていくなかで、このURは大きな課題に直面しています。

1つは、このニュータウン事業が歴史的な使命を終えたということで、いままだ造成しているものが一部ありますが、この造成を終えて、売却をしなければなりません。そのことに伴って、かなり大きな損失が確定するということが見通されているわけです。

そして、都市開発については、民間との競合もある。民間でできることは民間に、しかし、大きなリスクで民間では背負いきれないものについては、URがしっかりこれからもやっていかなければいけないということです。

最後に、事業としては最も大きい、賃貸住宅を建設し、管理・運営していくというものです。所得の少ない方や高齢者の方もたくさんいらっしゃいますので、そこはしっかりと守りながら、しかし、かなり高い家賃を取って、いい場所でやっている住宅、つまり民間でもできるものもあると。そういうものについて、これからどう考えていくかということが問題です。

そして何よりも、3つの事業全体で13兆円の借金がある。これをいかに返していくかという課題に直面しているわけです。

いままでもいろいろな改革が議論されてきましたが、結局は根本的な解決にはならなかった。そして、中期的に見れば、地価は下がる、住宅も次第に古くなって下がっていく。そういうなかで、膨大な土地と住宅を抱えたURが、きちんと事業を継続するためにどうしたらいいかということについて、議論してきたわけです。

答えの1つはスリム化。資産を売却し、借入金を減らしていくということを、いかにいままでと比べて早いテンポで進めていくか。そのために我々が考えたのが、高額物件については別会社にし、民間的手法で株式会社として運営し、付加価値を高め、より利益を上げる。

そして、その上がった利益をUR本体に還元して借金を減らしていく、というものです。いままでのURの運営ではできなかったことが、株式会社にすることによってできると。

例えば、従来の道路公団時代のサービスエリアと、いまの株式会社となった後のサービスエリアの違いというのを考えていただければ、民間の活力を利用するということが、どれだけ効果があるかということがご理解いただけると思います。

そして、そういう形で高額の住宅について、収益が十分上がるようになれば、その会社を、例えば売却する、あるいは上場する。そして、いままでのJRやNTTと同じように、株式売却益を国に入れて、URの借入金を減らすことにつなげていくと。こういった道筋が描けるのではないかということで議論をし、今回結論に至ったものです。

具体的に、株式会社化する部分をどのぐらいの規模にするのかということなど、若干の議論を残しています。

そして何よりも、所得が少ない、あるいは高齢者の方々で、いま現に住んでおられる方の状況というのはしっかり守らなければならない。

そもそも、我々のスタートは、13兆円の借金のなかで、URはこのままでは結局先々立ち行かなくなってしまう。税金を入れるか、あるいは、いま住んでおられる方々に大変なご迷惑をかけることになりかねない。それが議論のスタートだったわけですから、所得の少ない方や高齢者の方の状況というものをしっかりと守りながら、URの経営が健全化するように、しっかりと進めていきたいと思っています。

途中かなり議論が白熱するなど、いろいろなことがありましたが、私も16回の中で、おそらく10回は出席したのではないかと思います。いろいろ一緒に議論させていただきまして、今回の改革案を自信を持ってまとめさせていただいたということです。

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