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牛マルキン(肉用牛肥育経営安定交付金)――実態にあった交付を

 牛マルキンのことばを耳にされた方も多いと思います。肉用牛の肥育農家の経営を安定させるための重要な制度で、販売価格が生産費用を下回り赤字となった場合にその差の9割を補てんするものです。例えば標準的生産費が120万円であるにもかかわらず、標準販売価格が105万円であった場合に、その差額15万円の9割が農家に支給されることになります。近年、TPP対策として8割から9割支給に助成率が引き上げられました。
 
 標準販売価格の算定は、これまで多くの県で、県単位でなされてきましたが、国は「不公平感」をなくすことを理由にブロック単位とすることに5月支払い分から変更しました。ところが三重県の肥育農家にとっては、この変更の結果、大きな不利益が生じることになりました。  
 例えば、6月支払い分の取引価格はブロック(東海三県)で107万円、生産費は東海ブロック三県で大きな差はなく、120万円程度ですから、その差の9割 12万円程度が交付金額となります。しかし、三重県の実際の取引価格は85万円で、県単位で計算すると、生産費との差は35万円、その9割というと、31万円を超えることになります。12万円の交付金では十分な赤字補てんにならないのです。東海ブロックで計算した場合と比べ大きな差が出るのは岐阜県における飛騨牛の取引価格が高いことが東海ブロック三県の平均取引価格を押し上げていることなどが原因とされていますが、それにしても差が大きすぎる気がします。
 
 新型コロナウィルスの影響もあり、牛肉需要が減退し価格が下落する中で、三重県内の生産農家はマルキンによる支援を十分に受けることができていません。ブロック単位での算定は、不公平感をなくすためとして導入されましたが、三重県にとってはかえって不公平感が増す結果を招いていることから、その早急な見直しが必要です。
ただし、制度として5月にスタートしたばかりで、直ちに抜本的に変えるのは容易ではありません。三重県としても国と交渉しつつも、緊急対策として、県独自でできることを考える必要があります。総額3兆円の、国からの新型コロナウィルス感染症対応地方創生臨時交付金が三重県にも交付されます。これを活用することで、緊急に支援を求める生産者を救済することを、県としても是非考えてもらいたいと思います。



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