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第二次補正予算―必要だが懸念も大きい(その2)

 今回の二回にわたる補正予算、私自身も「非常事態だから、できることは何でもやる」という思いで議論してきました。経済の落ち込みや雇用危機はこれからが正念場で、経済全体を底上げする本格的な需要喚起策はまだ不十分と思っています。

 しかし、当初と2回の補正予算で160兆円の歳出、これを賄うため国債発行という借金が90兆円となると、財政の持続可能性に対する大きな懸念があります。東日本大震災の時には、私は与党幹事長として、必要な大型歳出を措置しつつ、急がない歳出の削減や復興増税も実現しました。次世代にツケを残さないために、財政健全化を強く意識していました。

 もちろん今回は日本全体で需要そのものが失われており、いま負担増を直ちに議論すべきタイミングではありません。しかし、現在の永田町では与野党問わず、借金は問題ない、どんどん歳出を増やすべきとの意見があまりにも強いのです。その中で、予備費10兆円の計上や不透明な巨額委託費の問題が発生しています。総選挙が近いということも原因となっているものの、次世代の負担を真剣に考えようとしない議論が横行していることに対して、違和感を禁じ得ません。
 
 安倍政権における財政健全化はかけ声倒れに終わりました。この間世界経済の成長に支えられ、国内景気も比較的順調であったにもかかわらず、消費税増税のタイミングは遅れ、また歳出改革は先送りされ続けました。低金利の中低く抑えられてきた国債費、2025年に75歳以上の高齢者が急増することなど問題の所在は何ら変わっていません。コロナ危機を乗り越えた後、財政健全化や持続可能な社会保障制度をしっかり議論できるよう準備しておく必要があります。



コメント
  1. むろけん より:

    安倍政権は補正予算の金額が大きいことを誇示していますが、私はそれを筋違いなアピールだと感じます。将来世代に付けを回していることを自慢されても、はあって感じです。

    国民の健康健全な暮らしを守り、子供・若者の教育機会を守ることは、政治が最も果たさねばいけない領域だと信じます。たとえ新型コロナの流行が原因ではあっても、不況には倒産が付き物です。体力のない企業は淘汰されても良いのではないですか? その代わり、職や生業を失った方々には確実に生活保護を適用して生存権を守る。財政負担を減らすために、そういう発想が必要だったと感じます。

    赤字国債を前提にした予算の大盤振る舞いは、究極の次世代苛めだと思います。また、日本小児科学会が発表した通り、学校の一斉休校は感染拡大防止にほぼ効果はなく、安倍首相の政治的パーフォーマンスのために貴重な教育機会が奪われました。

    今の自民党議員たちは地元有権者、とりわけ投票率が高い中高年世代だけを見ています。自らの地位を守る事が最優先なのです。財政の不健全化や教育の停滞は、将来に付けを回している象徴的な事象ではないでしょうか? 子供手当の創設など、少子高齢化対策に本気で取り組んでくれた民主党の精神はもはや消滅してしまったのでしょうか? 

  2. 松浦正 より:

     第二次補正に共産党以外は与野党揃って賛成しましたが、国民一人として極めて残念です。
     
     私は野党支持ですが、立民党、国民民主党、社民党、野党系無所属議員が揃って賛成とは納得できません。
    反対すると与党及び与党系マスコミから大々的に叩かれるのが怖い(国民から支持が得られない)と推定しています。 
     第二次補正には予算額や執行手法に問題が多いと思います。
    またトータル財政の視点が全く欠如しています。その付けは孫子の代に残します。
     
     与党や与党系マスコミ、与党支持者に叩かれても野党として筋を通すべきとだった思います。

     反対理由を説明すれば心ある国民は納得するとおもいます。

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