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10/17 予算委員会質疑(国会と内閣の関係、安全保障の論点、台湾問題)

【委員会】衆議院 予算委員会

【日 時】10月17日(月)13:30~14:15

 ネット動画はこちら ⇒ You tube 【岡田かつや国会論戦】2022.10.17
【質問要旨】
 

  1. 国会と内閣の関係
  2.  
  3. 安全保障の論点
    • 邦人等の保護
    • ミサイル攻撃と原発
     
  4. 台湾問題
    • 台湾有事を防ぐための外交
    • 台湾有事の際の対応
                など


    議事録

    岡田委員 立憲民主党の岡田克也です。
     今日は、神奈川十三区選出の太栄志さんにお手伝いをいただきたいというふうに思っております。
     さて、総理と同じく、私も国会、もう長くなりました。この十年間の国会を見ていまして、かなり問題があるなというふうに認識しているんです。特に内閣と国会の関係が相当ゆがんでしまっている、これはやはり民主主義の基盤を壊しかねないという危機感を持っております。内閣と国会の関係ですから、私、与党の国会議員の皆さんも同じような危機感を持っておられる方は実はいらっしゃるんだろうというふうに思っております。その観点でまずお話をさせていただきたいと思います。
     ここに六つ書きましたが、例えばこの一、二、三ですね。公文書、国会の議論のベースになるもの、それが時に隠されたり、あるいは廃棄されたり、あるいは真っ黒に黒塗りされて出てくる、そういうことが増えたと私は思います。
     そして、二番目。国会で事実に反する答弁がなされる。率直に言うと、安倍総理の、元総理の桜を見る会の前夜祭における答弁は、これは事実ではなかったということはもうはっきりしています。
     そして、国会で確認された法律解釈、例えば検察官の定年の問題、これは国家公務員法の適用はないという国会で確認されたその解釈が、いとも簡単に変えられようとした。
     こういうことについて、総理はどういうふうにお考えですか。やはり問題があるというふうに思われませんか。
    岸田内閣総理大臣 内閣と国会との関係について様々な御指摘がありました。
     一つ一つについては様々な議論が行われてきたものだと承知しておりますが、一般論として、例えばここに御指摘いただいております公文書の管理、これは、現在及び将来の国民に対して説明責任を全うする、あるいは民主主義の根幹であるということから、極めて重要な政策だと思います。
     そして、それ以外の、国会における議論についても御指摘がありましたが、国会の議論について真摯にかつ丁寧に行われること、これが重要であるということは言うまでもないと認識をいたします。
    岡田委員 総理の言われたことはごもっともなんですが、ただそれが、この十年ぐらい、かなりおかしくなっているということを私は指摘をしたいんですね。
     総理もなかなかお答えにくい部分はあるんだろうと思います。前任者あるいは前々任者の話になってしまうかもしれない。だけれども、やはりこういうことは繰り返さないという、そこは固い決意を持って、これから国会での議論というものが実り多きものになるようにお願いしたいというふうに思っています。
     この四のところはいかがでしょうか。
     憲法五十三条は、「いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」と書いてある。しかし、例えば、これは安倍元総理のときなんですが、九十八日間開かれなかった。おまけに、その後、議論することなく解散をされたわけですけれども、召集を決定しなければならないというふうに憲法に書いてありながら、九十八日間開かないというのは、やはり私はおかしい、異常だというふうに思うんですね。
     今回、私たち野党五党一会派は、四分の一以上の要求があった場合には、二十日以内に国会召集を内閣に義務づけるという法案を提出をいたしました。二十日という数字は、実は、自民党の憲法改正草案の中にも入っている話なんですね。
     是非、この法案について、私は、内閣総理大臣として、議論すべきだということをこの場でおっしゃっていただきたいと思いますが、いかがですか。
    岸田内閣総理大臣 野党の国会開会要求に対して、内閣としてどのように応じるかということについては、憲法の要請は、要は、合理的な期間内に内閣としてそれに対応しなければいけない、こうした要請であると認識をしております。
     そうしたことから、今回の国会開会に当たりましても、国会のことですので与党とも相談をしながら、この臨時国会において、感染症法等の改正案等重要法案、あるいは補正予算、こうした臨時国会で審議すべき事項等も勘案した結果として、十月三日に臨時国会を召集する、こうした決定を行ったものであります。
     御指摘のように、過去の内閣において、今回より長かったケースもあり、また短かったケースもあります。それは、その時々の政治課題、政治情勢の中で、国会を開会するに至るまでの準備等も勘案した上で合理的な期間を判断していったものであると認識をしております。
     そして、今回、議員立法を提出されたということに対してどのように対応するのかという御質問でありますが、こうした合理的な期間に上限を設けるかという議論、これは従来からありました。こうした議論について問題提起をされたものであると認識をしております。
     ただ、これは議員立法でありますので、今政府としてそれに対して直接申し上げることは控えなければならないと思います。
     是非、議員立法として国会においてしっかりと取り扱い、そして議論をしていただければと思っております。
    岡田委員 総理、そういう答弁をしているから支持率が下がっちゃうんですよ。これは単なる議員立法じゃなくて、内閣と国会の関係について一定の規制を入れる、そういう法案ですから。与党と野党で話し合ってくださいじゃないんですよ、だから私がここであなたに質問しているわけです。やはり必要だと思いませんか。
     先ほど合理的な期間とおっしゃいました。御自身の今回の解散について言われたんだと思いますが、例えば、九十八日間開かなかったことは合理的な期間なんですか。やはり適正な一定の期間というのがあってしかるべきじゃないですか。誰が考えてもそうだと思いますよ。御賛同いただけませんか。
    岸田内閣総理大臣 合理的な期間につきましては、先ほど申し上げたように、そのときの政治状況ですとか国会における議論される課題であるとか、そういったものを総合的に考えて判断すべきものであると思います。そのときの内閣が責任を持って合理的な期間を判断をし、そして提案させていただく、こうしたことであると認識をしています。
     そして、一方で、御指摘のように、内閣とそして国会との関係において、その合理的期間に上限を設けるべきであるかという議論がある、これはそのとおりであります。これについては与野党しっかり議論を行うこと、これは重要なことであると認識をしています。
     ただ、内閣においては、先ほど申し上げました、合理的な期間を内閣の責任でもってしっかり判断をし提案をさせていただく、こうした方針を維持しているということであります。
    岡田委員 合理的な期間という、それを内閣が判断していることが問題なんですね。
     先ほどの九十八日間のときには、森友やあるいは加計学園の問題で答弁ができないような状況。だから、それをずっと引っ張って、いきなり解散したわけですよ。これは合理的ですか。内閣から見たら生き残りのために合理的かもしれないけれども、この国の民主主義から見て、それは合理的ですか。
     今回の、岸田総理も、私たちは八月十八日に臨時国会の召集要求をして、十月三日に召集されたわけですね。この間何があったかというと、やはり国葬問題をめぐる混乱であったり統一教会の問題があって、だから、しばらく熱を冷ましたんじゃないんですか。
     だから、内閣の都合によって決められるような合理的期間であっては駄目なんですよ。そういう意味で、きちっと一定の期間を、上限を入れるべきだというこの合理的な主張について、総理の御答弁をいただきたいと思います。
    岸田内閣総理大臣 合理的な期間に対する内閣の判断というのは、その時々の政治課題をしっかり念頭に置いて判断していかなければならないと思います。
     今、国葬の問題あるいは統一教会の問題、御指摘がありました。しかし、今、日本の置かれている状況、このウクライナ情勢を受けて、世界的な物価高騰の中で国民の命や暮らしを守るために何をしなければならないのか、そうした経済対策のためと、補正予算、これを用意しなければいけないなど……(発言する者あり)
    根本委員長 御静粛にお願いします。
    岸田内閣総理大臣 国会開会に向けて、様々な内閣としての取組が求められていると認識をしています。そうしたことも踏まえて合理的な期間を判断するということであります。
     今回につきましても、そうした観点から政府として総合的に判断し、この期間を判断した、こうした次第であります。
    岡田委員 全く合理的じゃないと思うんですね。
     我々が求めた八月十八日に、経済対策をつくっておけば、これからでしょう、政府から出てくるのは。予備費はやりましたけれどもね。やはり遅過ぎたんですよ、物価が上がることは分かっていたわけですから。だから、決して合理的だとは思わないし、私たちはもっと早くすることが合理的だと思うから、国会の召集を求めたわけですから。
     ここは、総理も一定の限定を入れることについては必ずしも否定しないと思われますけれども、しっかり与党に対して、これは野党がほぼそろって共同提案している法案ですから、しかも、国会と内閣の関係という非常に基本的なところの法案ですから、これが棚上げされて議論すらされないという、そういうことには絶対しないと、その決意だけお聞かせいただけますか。
    岸田内閣総理大臣 国会での議論、国民の代表である国会での議論、これが重要であるということは言うまでもありません。
     先ほど経済対策等についても御指摘がありましたが、四月、七月、九月と切れ目なく対策を講じてきた、その次のタイミングはいつなのか、それに伴う補正予算をどう用意するのか、このタイミングという点においても、経済対策においていろいろ考えなければいけない点があった、それらも含めてその合理的な期間を判断したということであります。
     その判断につきましては、こうした御指摘を受けながら、丁寧に説明をしていきたいと考えております。
    岡田委員 その予備費がまた問題なんですね。
     国会の審議を経ないで内閣が勝手にできる、この六番のところなんですが、確かに、新型コロナウイルスの感染が拡大した、どういう事態になるか分からない、最初の年に巨額の予備費を積みました、九・六兆円ですね、それはそれなりに私は合理性があったかもしれないと思っている。だけれども、令和三年度に五兆円積み、そして今年度は六・一兆円ですね、補正も含めて。
     これだけの、一回やっちゃうとやはりこれは楽だから、もうそれが当たり前になっちゃうんですよ。だけれども、国会の重要な役割というのは、法律を作ることと予算を審議することでしょう。それが、今回も総理は三・五兆円の予備費を使って経済対策をやられたんですけれども、国会を開いて補正予算の形で本来やるべきことだったと思うんですよ。国会開会の直前ですよ、予備費を手当てしたのは。国会で議論されないまま、勝手に政府が使い放題やっている。これはやはり健全じゃないと思いますね。
     だから、総理、お約束いただけませんか、来年度の予算においてはもうこういう巨額の予備費は置かないという。そうでなくては、これは麻薬みたいなものなんですよ、楽ですから。だんだん使途も、新型コロナウイルス対策から物価対策まで広がって、将来、十兆、二十兆の予備費が当たり前になったら、国会で予算を審議したって意味がなくなりますよ。そうならないための歯止めを来年度予算でしっかりかける、お約束いただけませんか。
    岸田内閣総理大臣 予備費については、事前承認、事前議決の例外として憲法八十七条で定められているものであります。例外でありますから、これは基本は事前議決を経る、国会の承認を得る、これが基本であるとは思いますが、やはりこれは、対する政治課題の性格に応じて機動的に対応するという観点もしっかり念頭に置いておかなければならないと考えております。
     新型コロナへの対応についての予見可能性については、今委員の方から御指摘がありました。しかし、一方で、経済の問題、物価高騰についても、ウクライナ情勢を背景とする世界的な物価高騰を背景とした我が国の物価高騰のありよう等を考えますと、ウクライナ情勢の長期化等も言われる中にあって、見通しは大変難しい、こういった課題であるということも強く感じています。そのときの政治課題の性格に応じて、政治が機動的にその責任を果たすためにどのように予算を使っていくのか、これを真剣に考えていかなければならないと思います。
     おっしゃるように、例外的な対応ではありますが、今我々が直面している歴史的な課題の性格や予見可能性、これもしっかり考えた上で、予算について、財政について、政治としての責任を果たすためにどうあるべきなのか、予備費の使い方についてもそういった観点からしっかり説明をしていかなければならないと思います。
     そして、予備費については、事後で決算委員会で質疑の上、御承諾の判断をいただいていることに加えて、コロナ、物価予備費の使用については、国会の御判断も踏まえて、予算委員会理事懇談会で報告や説明を行っている、こうしたことであります。
     こうした様々な工夫を組み合わせる中で、予備費についてもどうあるべきなのか、考えていくことは重要であると認識をしております。
    岡田委員 物価の高騰と言われますが、同じような局面は過去にもありましたよね。例えば、第一次オイルショックのときの狂乱物価。だけれども、やはり補正予算で対応したんじゃないですか。今まで、予備費といえばやはり災害とか、パターンは決まっていて、しかし、どこで災害が起こるか分からない、いつ起こるか分からないということで予備費を計上しておいて使った。今は、もう白紙委任みたいな予備費になっているじゃないですか。しかも、額が巨額になっている。これはやはり異常だし、不健全だと思いますよ。
     憲法八十五条で、国費の支出は国会の決議に基づくと規定しています。これは民主主義の一番根幹の部分ですよ。元々イギリスなどで、税金の使い道をきちっと議会で議論すべきだ、国王、勝手に使うなというところから民主主義が始まったんじゃないですか。それが、この日本において、五兆も十兆も勝手に政府が使っていい、そういう予算があって本当にいいんですか。
     ここはやはりきちんと考えないと。それは楽ですから、役人の皆さんも政府も。ですから、どんどんこれはたがが外れたようになってしまうんじゃないかということを私は心配しているわけです。いかがでしょうか。
    岸田内閣総理大臣 予備費については、先ほど、そもそも憲法においても、事前議決の例外として位置づけられていると承知をしております。そして、例外でありますから、基本は委員のおっしゃるとおりだと思いますが、ただ、我々が直面している課題の実情や性格、これはしっかりと考えた上で予備費についても考えないと、機動的な責任ある対応はできないということを申し上げているわけであります。
     新型コロナとの対応についても、次々と変異株が指摘をされる、そして、第七波、次は第八波と言われている波が起こるかもしれない、そのリスクに機動的に対応しなければならない。これは、年単位で予算を考えていくということでは対応できないのではないか、こういった問題意識を持っています。
     また、ウクライナ情勢についても、今年の二月まで、こうした情勢が起こる、こうした物価高騰が起こる、こういったことを誰がどこまで予想したかということであります。
     こうした状況の中で、予備費についても、こうした物価高騰についてもしっかりと予備費を活用することの意味は大きいのではないかと思っております。
     是非、こうした、対する課題の中身、性格等もしっかり考えた上で、予備費について責任のある対応を考えていきたいと思っております。
    岡田委員 総理、同じ提案をするなら、国会は年間開けという提案をしてくださいよ。そして、補正予算を機動的にやっていけばいいじゃないですか、そんなに今国難で大変な時期だと言うなら。それが本筋でしょう。それを、国会は開かないわ、好き放題予備費でやるわ、これはやはり異常です。そのことを申し上げておきたいと思います。
     さて、安全保障について。
     今、年末の国家安全保障戦略の策定に向けて、いろいろな議論が行われています。特に今焦点とされているのは、反撃力の問題、それから防衛予算の規模の問題、そういう問題は我が党もしっかり議論を始めていますし、責任ある対応をしていきたいというふうに思います。
     ただ、私はそれだけではないと思うので、ここで二つ、是非政府の中で議論してもらいたいという点を申し上げたいと思うんですが、一つは邦人等の保護の問題ですね。
     Jアラートがうまく機能しなかった、最近記憶に新しい。問題は、シェルターの確保です。これは、十分じゃないと私は思うわけですね。基本的には自治体にお願いする、そういう仕組みですね。これじゃやはり進まない、やはり国がもっと主導権を持って、そして、もちろん具体的には自治体にお願いするしかないと思いますが、もっと自治体にしっかりやってもらえるような仕組みを再構築すべきじゃないかというふうに思うんです。
     核シェルター、これをどうするのか。もちろん限界はあると思いますけれども、やはり中枢の機能はきちっと維持されるようにしなければならないと思うんです。
     そういうことについて、これから有識者会議とか政府の中で、年末に向けてしっかりと議論していただけませんか。
    岸田内閣総理大臣 まず冒頭、Jアラートの不都合についても御指摘がありました。
     これについては重く受け止めなければならないと思っていますし、修正、早急に行い、作業は終了しておりますが、再発防止に万全を期していきたいと思います。
     その上で、避難施設について御指摘がありました。
     まず、武力攻撃を想定した避難施設の確保に関しては、弾道ミサイル攻撃による爆風等から直接被害を軽減するために、都道府県知事等が緊急一時避難施設を指定する、このことになっております。自治体任せではないかという御指摘でありますが、政府においては、令和三年度からの五年間を集中的な取組期間として指定に向けた働きかけ、これを行っており、これによって、地下駅舎、地下道、地下駐車場、学校の校舎等、堅牢な建物、これらが新たに指定されるなど、指定は進んでいるところであると認識をしております。
     一方、核攻撃に対する施設でありますが、これは、北朝鮮の情勢等を鑑みれば、現実的に対策を講じていく必要があるという問題意識、これは持っております。諸外国の調査を行うなどして、必要な機能や課題について検討を進めているところであります。
     そして、御質問は、国家安全保障戦略等の議論の中でこれらを議論するべきではないか、こういった御指摘だったと思いますが、新たな国家安全保障戦略等の策定に当たっても、避難施設の確保を含む国民保護の在り方、これは議論しなければいけない重要な課題であると認識をしております。
    岡田委員 今年になって大阪や東京の地下鉄駅がシェルターに指定をされました。それは非常に結構なことだと思うんですね。
     ただ、国民保護法ができたのは二○○四年です。もう二十年近く前なんですね。今頃そういうことになっているというのは、やはりかなり問題があったと私は思うんですよ。国の指示が、お願いが十分ではなかったのか、自治体の受け止め方が十分ではなかったのか、あるいはその両方か。やはり仕組みとして、もう少し国のリーダーシップが発揮できるような、そういう仕組みに変えた方がいいんじゃないかということを私は提案しておきたいと思います。
     そこで、この国民保護の関係で、一つは、朝鮮半島有事とか台湾有事とかいうことがよく言われますが、そのときに、日本人を無事に、無事なところにきちっと移動させるというのは、これは国の責任ですよね。日本人だけじゃなくて、いろいろな国の外国人の方がいて、そしてそういう人を、朝鮮半島有事とか台湾有事だと、やはり日本にということが一番現実的だと思うんです。そういうオペレーションができるのも、やはり日本とそしてアメリカぐらいに限られるだろうと。
     そういうことの準備はちゃんとできていますかということと、私は、朝鮮半島危機というのは、細川政権のときですから、もうあれから三十年たつのできちんと準備できているはずだと思いますが、念のために、そういう準備はできていますかということ。
     それから、もう一つは避難民ですね。今回のウクライナを見ていても、百万、二百万、あるいはそれ以上の避難民が国外に逃れる。そうすると、朝鮮半島有事とか台湾有事のときに、やはり一番そういう避難民の方が来るとしたら日本。例えば、台湾の人口は二千三百万人ですから、一割でも二百三十万人、二割なら四百六十万人ですね。それだけの人をこの日本国内できちっと受け止めるだけの準備と覚悟はできているのか。
     この二点をちょっとお聞きしたいと思います。
    岸田内閣総理大臣 まず、海外に渡航そして滞在されておられる邦人の保護、これは政府にとって最も重要な責務の一つであり、これは平素から在外邦人の保護や避難が必要となる様々な状況を想定し、必要な準備、検討、これは行っております。
     そして、その上で、在外邦人の保護や退避、さらには、御指摘の外国人避難民の受入れ、こうしたものも含めて、有事における我が国の個々の対応や計画について個別具体的にお答えすることは控えなければなりませんが、日本を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、政府としていかなる事態にも対応できるよう万全を期していくこと、これは当然のことであると思っています。
     ただ、安全保障環境は刻々と変化をしています。国際情勢は変化をしています。その変化の中にあっても、御指摘の在外邦人保護等が十分できるかどうか、こうしたことについては不断に検討を続けていかなければいけない課題だと思います。
     よって、年末に向けて新しい国家安全保障戦略等の議論を行う中で、この在外邦人保護の在り方についても議論を行っていくべきであると認識をしております。
    岡田委員 ありがとうございます。
     在外邦人そして当該国からの避難民、そういったことについてもしっかりと議論をしていただきたいというふうに思います。
     次に、ミサイル攻撃と原発の関係について触れさせていただきます。
     先週の浜田防衛大臣の答弁で、参議院の外交防衛委員会ですが、極超音速滑空兵器や変則軌道で飛ぶミサイルなどは現在のミサイル防衛技術では対応できないという答弁がありました。従来から白書などでもそういったことは触れられてきました。
     現在の技術で対応できないとすると、どうするんですか、総理。そういったミサイルが飛んできて、そして原発が標的になったときに、私たちは福島第一原発の生々しい経験をよく覚えておりますが、場合によっては戦術核を使うよりも更に大きな、広範囲の放射能汚染ということが可能性として予想できるわけですが、これはどうやって対応されるんですか。
    岸田内閣総理大臣 まず、我が国として、こうしたミサイルの攻撃等に対して、これに全く対応できないということを申し上げているものではないと思っています。
     ただ、ミサイルに関する技術、これは急速なスピードで変化、進化しており、迎撃がより難しくなっているということは事実であるという認識をしております。
     ですから、こうした脅威に対応するため、まずは現状のPAC3等の能力向上、こうしたものに取り組んでいく、これを継続し、そして進化させていかなければならないと思っています。そして、それとともに、新たな手段として、衛星のコンステレーションなど様々な技術の活用、これも考えていかなければならないと思っています。
     そして、この年末までに国家安全保障戦略等の文書の見直し等を行うということでありますが、その中で、いわゆる反撃能力を含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的な検討、これを加速していきたいと考えております。
    岡田委員 イージス艦やPAC3では対応できない、そういう変則軌道のミサイル、それが存在する、それにどう対応するのかということを私はお聞きしているわけですね。これは年末にかけてしっかりと議論していただきたいと思います。
     それから、私も総理の立場なら、なかなか答弁は苦しいと思います。電力確保というのも一定の必要性は当然あるという中で、じゃ、そういう原発を全部やめてしまうかというと、それは現実的ではないというふうに思うわけですね。だから、電力確保のために、そういうリスクはあるけれども、だけれども現時点では一定の再稼働は認めざるを得ないというのなら、きちっとそれを国民に説明していただけませんか。何か今の答弁を聞いていると、イージス艦やPAC3で対応できるような、でも、それはそうじゃないわけですからね。ここ、どう国民を説得するかというのは非常に大事なところだと思うんですが、いかがですか。
    岸田内閣総理大臣 まず、原発に対する攻撃等が起こり得るということについては、これは規制の問題ではなくして防衛の問題であると認識をしています。
     我が国に対する武力攻撃に対して、イージス艦やPAC3により対応するほか、事態対処法、国民保護法等の枠組みの下で、原子力施設の使用停止命令、あるいは住民避難等の措置、これを準備しているということであります。これをどう機能させるかという問題であると認識をしています。
     あわせて、こうした我が国に対する武力攻撃に対応するに当たって、我が国の取組ももちろん重要ですが、日米で共同して対処する、日米同盟の抑止力、対処力を強化していく、そもそも武力攻撃が発生しないように取り組んでいく、こうした面も重要であると考えています。
     こうした安全保障面から原子力発電所の安全を確保していく、こうした考え方に基づいて取組を進めてまいりたいと思っています。
     そして、それについて委員の方から、そういったリスクについてもしっかり説明をするべきではないか、そういった御指摘でありますが、原子力発電は、エネルギー安定供給の確保のために正面から取り組んでいかなければならない課題だと認識をしています。
     そういったことから、GX実行会議において、年末に向けて専門家による議論の加速を指示させていただきました。
     そして、それと並行して、資源エネルギー庁の審議会において、幅広い分野の有識者によって、エネルギー政策、原子力事業、こうしたことについて議論を行っていただいていると承知をしています。
     是非、こうした様々な議論をしっかり国民の皆さんにも紹介させていただいた上で、理解を得ながら、年末に向けて、政府としての方針を判断していきたいと考えております。
    岡田委員 ですから、エネルギーの専門家で議論しても駄目なんですよ。やはり、安全保障の専門家がこの脅威についてどう対応するかと。現実にはそれはできないわけですから、対応が。
     だから、私は、年内、安全保障の議論の中でこの問題もしっかり取り上げるべきだということを申し上げているわけです。
    岸田内閣総理大臣 先ほど、GX会議あるいは資源エネルギー庁の審議会の議論を紹介させていただきましたが、冒頭申し上げたように、こうした原子力の安全ということについては、安全保障の観点からしっかり対応を考えていくべきであると思います。
     そして、安全保障については、御案内のとおり、政府において有識者会議を立ち上げて、そして、国家安全保障戦略等の文書の改定に向けて議論を、今様々な場面で並行して議論を続けています。是非、その議論の中でも、国民の命や暮らしを守るために何が必要なのか、こういった観点から議論を深めていきたいと考えております。
    岡田委員 私は、この問題を議論するときに、何か、十年前のことを思い出すわけですね。つまり、福島第一原発が起こる前。大きな津波は来ない、専門家が、いや、来るんだと言っても、それを来ないことにして、対応を怠った。これは東京電力にも責任はありますし、私は、当時の経済産業省、保安院にも責任はあると思いますよ。
     同じようなことが今起こっているんじゃないかという気がして私はならないんですね。すごく、私、後悔しました、あのときに。私たちも政権を担っていました。まだ政権を担って僅か二年でこの福島第一原発に遭遇しましたけれども、やはり、ミサイルについて技術的に対応できない状態で、いや、それは来ないだろうという前提で議論してしまうんじゃないかと。
     でも、場合によっては、これは甚大な影響が出る話です。だから、そこをしっかり踏まえて、総理、この問題に取り組んでいただきたいというふうに思うんです。いかがでしょうか。
    岸田内閣総理大臣 御指摘、まずごもっともだと思います。この問題について、可能性のあるリスクに目をつぶるなどということはあってはならないと考えています。
     そして、この原子力発電の問題については、GXの観点からももちろん重要な議論でありますが、一方で、我が国の今後のエネルギー安定供給という観点からも重要な問題であり、加えて、安全保障面からも重要な課題ということなのだと思います。
     そうした様々な観点からの様々な有識者の意見、これをしっかり寄せ合って議論を深めていくことは重要であると思いますし、その議論を経た上で判断するということが国民の理解にもつながると考えております。是非、こうした丁寧な作業を進めていきたいと考えております。
    岡田委員 この問題の最後に、使用済み燃料の問題。
     今、原発の建屋の中に、プールの中に使用済み燃料というのは、いっぱい、満タンと言うと言い過ぎかもしれませんが、置かれている。これは、稼働している原発だけではなくて、止まっている原発もそうなっているという状況ですね。
     私、四年ぐらい前に予算委員会の分科会で議論したんですが、前の原子力規制委員長の更田さんもこういうふうに言っておられるんですよ。使用済み燃料プールに置いておくよりも、乾式キャスクに入れた方が防護力は高まります、だから、冷却の進んでいる燃料は、早く乾式キャスクに移しておくというのは、テロ対策を考えても安全性を高める手段だというふうにはっきり言っておられます。
     だから、今それだけたくさんある使用済み燃料について、やはり早く乾式キャスクに移すべきじゃないですか。これへミサイルが当たったらどうなるんですか。まだ原子炉はそれなりに強度があるかもしれませんが、建屋だったら、ミサイルが当たったらあっという間にこっぱみじんになりかねない。そこに、プールにある使用済み燃料、本当に厄介だと思いますよ。
     今、政府は、電力会社に対して乾式に移すような奨励策はやっておられるけれども、私は法律できちっと規制すべきだと思うんですよ、そういうやり方は駄目だと。もちろん、それで全てのプールの使用済み燃料がなくなるわけではありませんが、定修中とかそういうのはありますから。だけれども、漫然と使用済み燃料をプールに入れておくということは、早くこれはやめないと、このことによってかなりリスクは減らせるわけですから。それは是非、総理、やるべきじゃないですか。
    西村(康)国務大臣 お答え申し上げます。
     原子力発電所の安全の確保については、先ほど来総理が御答弁されたように、様々な枠組みの中で、自衛隊を含め関係省庁、関係機関が連携して対応する、さらに、それは不断の検討をしていくということでありますが、御指摘の使用済み燃料の貯蔵に関することにつきましては、これはまさに原子力安全規制に関わることでありまして、高い独立性を有する原子力規制委員会が一元的に所掌しております。
     プール貯蔵、乾式貯蔵、いずれの場合でも、原子力規制委員会は、安全基準に適合しているという確認を受けた上で適切に実施されているものというふうに認識をしております。
     これ以上は経産省としては差し控えたいと思います。
    岡田委員 何を言っているんですか。規制委員長はちゃんと言っているじゃないですか、乾式の方がリスクは少ないと。それを、同じだ、経産省は関係ないと逃げている。
     やはり、こんなことぐらいはちゃんとしないと、本当に国民を守れませんよ。これはきちっと法律に入れて、必要があったら、それは電力会社に助成したっていいじゃないですか。危険な状態を少しでも減らすということが、私は国の責任だということを申し上げておきたいと思います。
     最後に、台湾海峡の問題について、もうあと三分しかありませんので、岸田総理の基本的考え方を聞いておきたいと思います。
     今までの政府答弁、特に町村外相の答弁で、武力行使については反対する、同時に、台湾独立についても支持しない、そういう原則に基づいているわけでございますと。橋本総理も、台湾独立を支持する考えはございませんというふうに言われています。
     では、総理に基本的な考え方をお聞きしたいと思います。
     まず、武力でもって台湾の問題を解決しようと中国がしたときに、それに対して、今までは反対だというふうに言っておられますが、総理はどういうふうに考えておられますかということと、それから、台湾が独立するということになれば、これは中国の武力行使の可能性は高まるわけですね。だから、台湾はもちろん大切な友人ですけれども、しかし、独立については支持しないと。アメリカは最近でも、国務長官とか、確認していますよね。そのことについて、総理の声を、考え方を聞きたいと思います。
    岸田内閣総理大臣 まず、台湾は、日本にとって、基本的な価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーであり、大切な友人であると認識をしております。
     その上で、我が国は、台湾との関係は、一九七二年の日中共同声明を踏まえ、非政府間の実務関係として維持していくこと、また、台湾海峡の平和と安定は重要であり、台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待する旨、これまで一貫して表明をしています。これが基本的な立場です。
     そして、その基本的な立場は今日まで一貫しており、その時々の政治状況の中で、御指摘のように、政治家が様々な表現をしていることは事実ですが、今日まで基本的な考え方は変わっていないと思っておりますし、私も、今言った基本的な考え方に基づいて日本の立場を説明していく、こうした方針をしっかり維持しております。
     今後とも、この問題について様々な議論を求められた場合には、今申し上げました基本的な方針をしっかり維持しながら発言をしていきたいと考えております。
     加えて、このことについては、中国側に直接しっかり伝えること、これが重要であると思いますし、また、この共通の立場を米国を始めとする同盟国、同志国と緊密に連携しながら明確に発信していく、こういった姿勢も、すなわち外交努力も重要であると認識をしております。
    岡田委員 総理は今、政治家は表現していると言われました。政治家じゃないんですよ。外務大臣であり、総理大臣が発言しているわけですね。同じことをどうして言えないんですか。武力行使に反対である、当然のことだと思いますよ。そして独立は支持しない。もし、独立を支持してもらえると思えば、そういう人たちが台湾の中で増えれば、その動きが止められなくなるかもしれない。それは我々日本にとっても耐え難い状況が生まれる。
     だから、台湾は友人だけれども、独立支持は、それは独立は支持できない。アメリカの国務長官も最近でも、独立は支持しないと言っていますよね。その表現、総理、口にできないんですか。
    岸田内閣総理大臣 その時々において、政府関係者が基本的な考え方をどう表現するかということはあるのかもしれませんが、先ほど申し上げたように、政府の基本的な方針は、一九七二年以降、これは一貫しているということは、もう再三強調させていただいているところです。
     台湾海峡の平和と安定、これが重要であり、対話により平和的に解決されることを期待する。こうしたことについてこれからも一貫してしっかり表明していかなければならない、これを国際社会と共有していかなければならない、このように思っています。そういった観点から、適切に発信をしていきたいと考えています。
    岡田委員 やはり、台湾有事という事態を防ぐために日本としてどういう外交を展開していくかということが非常に大事だと思います。
     総理のおっしゃったことももっともなんです。だけれども、今まで認めてきたことについて総理が口にされないのは、私は非常に不可思議ですね。
     日本は相当、この台湾有事に対して、そういう事態が発生しないように、日本の外交の力を全力を挙げてやっていかなければいけないときに、今まで認めてきた方針について総理が直接言及されないというのは、ちょっと私には理解できないことだということを申し上げておきたいと思います。
     終わります。




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