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2006.06.21|TALK-ABOUT [ブログ]

格差社会(コメント)


格差拡大は大きな流れの中で生じている避けがたい現象だが、政治が果たすべき役割について真剣に議論し、実行していくべき

皆さんからご意見をいただきありがとうございます。

いただいたご意見は、お子さんを抱え、あるいはお仕事を失い、本当に苦しい生活の中で「格差社会」まさに実感しているという方、中国など安い賃金で労働者を雇える国々との競争を何とかすべきだという方、教育の機会均等が損なわれることが問題だという方など、様々でした。


一方で、いま言われている「格差」は所得に着目した偏った見方である、横並びの悪平等を目指すべきではないといった、違った視点からのご意見もありました。

まず、議論の前提として確認しておきたいことは、第1に、経済的な格差だけに着目して、人の幸せや不幸せをはかるべきではもちろんありません。所得は人生の一要素であり、所得と直結しない生き甲斐や人の評価があることは当然です。そういう意味で、一方的な基準を前提とした「勝ち組、負け組」という言葉は、私は好きではありません。

第2に、中国など途上国との競争が日本国内の所得格差に影響を与えていることは間違いのない事実ですが、これはグローバル化という世界的な流れの中で起きていることであり、その中で日本が競争していく以上、逃れることはできないというのが現実だと思います。

第3に、格差社会を是正することは、「結果の平等」という名の悪平等を目指すことではもちろんありません。努力や能力に見合った結果を得られることは大原則であり、頑張っても頑張らなくても同じ結果ということでは活力ある社会になりませんし、公正な社会でもありません。

その上で、「格差の拡大」という現実を目の前にして、政治としてできること、なすべきことは何なのか、そのことを、私をはじめとする政治の立場にいる者自身が改めて考える必要があると考え、問題提起をしました。小泉総理のように「格差拡大は確認されない」、「格差は悪いことではない」と開き直ることは、政治がその責任を果たしているとは到底言えません。

例えば、所得が人生のすべてではないとしても、日本社会の特長である「中間層の厚み」を維持し、「下流」とまで言われるような厳しい所得層を生み出さないようにすることは重要です。

このため、所得税や相続税の最高税率の見直しなどによって所得の再分配機能を強化する、公立小中学校の立て直しや奨学金制度の充実によって子どもたちに対する教育の機会の平等を保障する、あるいは、倒産・破産制度や失業者に対する雇用制度の見直しによって商売や仕事で失敗してももう一度やり直せる仕組みをつくる、といった取り組みが必要です。

また、グローバル化や働き方の多様化によって、パート、アルバイトや派遣社員が増えることは大きな流れであるとしても、社会保険の事業主負担のある正社員とそれがないパート、アルバイトや派遣社員という不均衡が、企業の雇用態度に偏った影響を与えているという実態は是正すべき課題です。

さらに、努力に見合った結果が基本であるとしても、努力をしても結果が出なかった人、あるいはチャンスを活かせなかった人たちにきちんと光が当たる政策や制度をつくっていくことも政治の仕事です。

いずれにせよ、「格差社会」が当面、大きな社会的な問題となり、かつその流れを変えることはそう簡単ではないという認識の下、引き続き、政治の果たすべき役割について皆さんとご一緒に考え、そして実行していきたいと思っています。



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