米国の拡大抑止―議論すべき重要な課題(その1)
5月22日の外務委員会で、米国の抑止力について、茂木外相と議論しました。あらかじめ質問内容を詳細に通知した上での質疑です。政府内で十分調整されたと思われる答弁がなされました。重要なやりとりがあったにもかかわらず報道されたことはなかったので、二回に分けて紹介します。詳細は議事録を見てください。
第一に米国が現在開発中の地上発射型通常ミサイルについて、日本に配備する検討を行っているのか問いました。外相は「今後米国の拡大抑止の実効性をどう確保するかの日米のやり取りが大切」「今の段階で一つの結論を持って臨むつもりはない」と答弁。決めてはいないが、日本配備は重要な検討課題だとの含意です。中国・北朝鮮がミサイル能力を増強する一方で、東アジアに米軍の地上発射型ミサイルは存在しません。INF(中距離ミサイル禁止)条約が米露間で締結されていたためです。同条約が無効となり、米国はミサイルの開発を急ぎ、近い将来在日米軍を含めた東アジアへの配備が問題となることは確実です。
東アジアや日本の安全保障環境の大きな変化の中でこの問題をどう考えるべきか。委員会質疑の中でも述べたように、私自身いま明確な答えがある訳ではありません。日本の安全保障にとって極めて重要で多様な視点から議論すべき課題であることの認識が広く共有されることがまず必要です。
第二に東アジアの核抑止を考えるときに、従来の戦略核(大陸間弾道ミサイル、戦略原潜、戦略爆撃機)だけでなく、より小型の戦術核等の非戦略核による抑止も日本政府として考えているのかとの問いに対し、「我が国周辺にも戦術核を保有・増強する国が現存する以上、抑止力の議論の中で戦術核を排除することはできない」と外相は答弁。日本政府が非戦略核の東アジア配備を継続的に求めていることはないと考えてよいかとの問いに対しては「それで結構だ」「しかし抑止力確保のために必要な運用・装備体系はすぐれて米国が判断すべき問題だ」と答弁しました。
トランプ大統領は核兵器をめぐる政策を大きく変え、核兵器の役割を拡大し、非戦略核による「柔軟な核オプション」を強調しています。このことが核兵器の使用や事故の可能性を高めるのではないか、非戦略核の軍拡競争を招くのではないかなどの疑問を私は持っています。
外相の「戦術核を議論から排除できない」という答弁は、いままでにない一歩踏み込んだものです。「すぐれて米国が判断すべき」というのは逃げの答弁ですが、私は、日本政府は非戦略核の東アジアでの配備を米国政府に対して求めているのではないかと思っています。具体的には地上発射型又は艦船搭載型核ミサイルという形になりそうです。
日本の安全に深く関わる問題であるとともに、被爆国として核兵器の非人道性を訴え、また非核三原則を国是としてきたこととの整合性が問われる問題でもあります。私は日本の安全保障として従来と同様、戦略核に通常兵器やミサイル防衛などの組み合わせによる抑止を考えています。今後非戦略核をめぐる日米の協議が国民に説明のないままなされるようなことはあってはならず、これからも国会審議を通じてしっかりと議論していきたいと考えています。
