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米核態勢の見直し─核なき世界に逆行、高く評価するとは一体何事か

先般、米国の「核態勢の見直し(NPR)」が発表されました。河野外務大臣談話では、これを「高く評価する」としていますが、私には全く理解できません。

いくつか重大な問題があると言われています。まず、オバマ政権の2010年NPRは、核兵器の数と役割を低減させるというものでしたが、今回は逆にそれを拡大させようとしています。180度、核軍縮に関する考え方が変わったにもかかわらず、それを「高く評価する」というのは、一体何事かと言わざるを得ません。

戦略核について、米露間で新START(新戦略兵器削減条約)が実施され、本来であれば、その次のステージとして、戦略核の更なる軍縮について、米露、場合よっては中国も巻き込んで、しっかり話し合わなければなりません。しかし、核軍拡という流れができたことで、そういった戦略核の軍縮、次の一歩という機運が全く失われてしまった。それが、なぜ「高く評価する」となるのか、全く理解できません。

今回のNPRは、核搭載海上発射型巡航ミサイルの可能性を追求するとしていますが、そういう技術ができると、これは新STARTが軍縮の対象とする「戦略核」ではありませんので、INF(中距離核戦力)全廃条約との関係がどうなるのか。あるいは、INFにも入らない、より射程の短い「戦術核」ということであれば、核の数の規制がありませんので、米露の間で戦術核をめぐって軍拡競争が始まりかねません。そういったことについて、なぜ「高く評価する」となるのか。

核兵器の発射のボタンを、多くの人が持つというのは、偶発的な事故にもなりかねないということで、水上艦に搭載した核は撤去し、潜水艦と爆撃機に限定するというのが、従来の米国の核政策だったと理解しています。再び水上艦に核を搭載するとなると、それだけ誤って使用されるなどのリスクが高まるわけで、 私は、なぜ、それが「高く評価する」となるのか、全く理解できません。

「北朝鮮の情勢があるから」ということも強調されています。今回、場合によっては核を先に使うこともあり得るということをより明確にしたわけですが、ということは、私は、核の使用の敷居を下げてしまったと思います。北朝鮮からすれば、先に核を使われるということであれば、自分がより先に使わなければならないということになってしまうのではないでしょうか。それを、なぜ「高く評価する」となるのか、全く意味不明です。

本会議の代表質問でも強調しましたが、広島でオバマ大統領と並んで、「日本と米国が、力を合わせて、世界の人々に『希望を生み出す灯』となる」と謳った安倍さんと、核の役割を増強するとしているトランプ大統領を支持する安倍さんと、一体どちらが本当の安倍さんかと聞いてみたいと思います。結局、安倍政権には、核について確固たる政策がないということでしょうか。



コメント
  1. 黒住真 より:

    まったく同感です。よい方向をヨリ見せて下さい。期待しています。

  2. 骸骨親父 より:

    エスカレートしてオーバーヒートしなければ良いと願うことしかできません。

  3. vskfny より:

    河野大臣は権力志向だけの議員だったことがわかりました。情けない人間ですね。

  4. 黛一衛 より:

    呆れました。河野外相の政治生命は終わりと考えるほどの事態ですね。

  5. 辻 信雄(愛知の暴走老人) より:

    日本は原爆の甚大な被爆国、且つ原発の暴走による被曝国でもあり、その悲惨さ、残虐性を世界に訴え続けるのが重要な役割であり、責務なのに米国の核の傘に守られているという神話に寄りかかり、まさかの河野外相発言にはびっくりとがっかりです。(安倍総理に物申す期待値があった) 当然安倍総理の意向と外務省に巣喰っている対米一辺倒のガンに腹立たしい思いです。欧州諸国の首脳も疑問符をつけているトランプ大統領にべったりは極めて危険です。被爆国で且つ被曝国のトップが語らければ、今の時代はますます軍拡の流れが加速するでしょう。元外相をつとめられた岡田さんに期待しますが、波状的に多くの人が訴えないと世論を変える流れにならないのも事実、上手く纏めて下さい。
    北朝鮮の挑発を利用し軍拡に走る日本、制裁強化は拉致被害者の帰国への道も閉ざす事になっている。この点も突いて欲しいし、拉致被害者の家族との連携も深めて安倍総理に迫って欲しい。更に野党外交の道も探りだして欲しい。
    ノーベル平和賞受賞の団体トップに会おうともしない姿勢は大問題!せめて外相が会うべきでした。後ろには菅官房長官が陰でコントロールしているのにも暗さがある。核の軍縮に向けてのリーダーにならないのは残念で大問題です。

  6. 憤懣太郎 より:

    全く日本の外務大臣としては考えられない発言です。これも安倍政権に、確たる核政策がないからでしょう。外務大臣もどういっていいのか迷って安倍ートランプラインに忖度したのではないかとも考えます。しかし、それでは日本の外務大臣は務まりません。
    安倍氏は、はっきりした考えがないから、その場、その場で、都合のよい方のことばを発します。そんなことは、彼のいつものことではないですか。彼は、発言したことに責任を感じないようですね。全く厚顔で無責任です。道徳教育が必要です。

  7. M.Y. より:

    岡田さんのおっしゃる通りだと,私も思います。
    これからも正論をビシッと言い続けてください。
    民進党には期待を裏切られることが多かったのですが,岡田さんには今後も期待しております。

  8. 井上三朗 より:

    ほんとに、河野大臣の発言には脅かされるばかりです。腹が立って腹が立って仕方ありません。北朝鮮は口実でしかありません。トランプ大統領の言いなりになってるだけです。100%支持すると明言したのですから。日本国民の事なんかこれっぽっちも考えてないような気がします。それにトランプ大統領は、北朝鮮と同じく軍事パレードをしてアメリカを誇示すると…このままいけば日本も北朝鮮と同じです。日本が戦場の舞台になるでしょう。アメリカ本土は無傷。それが狙いでしょう。それに拉致家族ことなんかこれぽっちも考えてないような気がします。利用されたのです。アメリカの前元大統領を巻き込み、徹底的に追及してください。よろしくお願い致します。

  9. 井上三朗 より:

    安倍首相は、オリンピックセレモニーで金氏の前に座り5分程度話したとのこと。なぜ話が出来たのか?それは
    ムン大統領と北朝鮮との対話があったからではありませんか。少しでも前に進もうと思えば、安倍首相が嫌がってる対話は必要条件です。何かが前に進もうとしてます。圧力よりも対話を重視するようお願い致します。

  10. xtcメイラー より:

    自民党のなかで、「脱原発」をいっていた人が、外務大臣になったら、途端に超右的志向に走ってしまった。核=原発=原爆という連関を考えるべきだと思います。

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