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財政健全化目標―政府に具体的義務を課す基礎的財政収支黒字化は重要

2020年度の基礎的財政収支黒字化という、現在の財政健全化目標を取り下げる動きが加速化している可能性があります。代わりに、公債(借金)の債務残高の対GDP比を減少させることを新たな目標とする、というものです。

債務残高のGDP比を引き下げることは必要であり、中長期目標として掲げることは有用です。しかし、分母であるGDPの成長率は、景気変動の影響を受けるため、そのときの政府の努力では達成に限界があります。分子である債務残高も金利変動の影響は大きく、日銀が完全にコントロールできるものではありません。政府が努力しても限界があるという目標では、目標達成の責任を政府が負わないことになりかねません。

やはり、財政健全化目標として、基礎的財政収支黒字化は重要です。歳出削減努力という、政府にとって具体的な義務が発生するからです。

安倍政権を見ていると、歳出削減努力どころか、公共事業、防衛費、教育予算など、増やすことには熱心ですが、基礎的財政収支2020年度黒字化は事実上不可能になりつつあります。

この目標そのものをやめるようなことがあれば、財政健全化はさらに遠のくことになり、大きな方針転換、公的違反です。次世代に大きなツケを残すことになることを強く懸念します。



コメント
  1. binboblues より:

     右から左まで、日本には政府の経済を心配する政党はあっても、国民の経済(家計)を心配する政党がありません。倒産することのない経済主体(政府)が赤字を心配する? 政府がそんな妄想みたいな恐怖症にかかっているから、家計も企業も政府が信用できずに、やむを得ず貯蓄を増やさざるを得なくなるのはあたりまえではありませんか?
     国民が受け皿政党に期待するのは、欺瞞的なアベノミクスではない、国民経済を再生させるための経済政策です。政府の財政などいくら健全化したって、国民が疲弊してしまったら、元も子もありません(元とは家計、子とは政府の財政です。)。
    いい加減、新自由主義の妄想から覚醒してほしいと思います。

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