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2015.06.01|記者会見

岡田克也代表定例記者会見(5月29日)

岡田克也代表記者会見
2015年5月29日(金)16時19分~16時49分
編集・発行/民主党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。

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■冒頭発言
〇安全保障特別委員会での論戦について
〇参議院の選挙制度改革について
〇労働者派遣法改正案について
〇トゥスク欧州理事会議長と会談
■質疑
〇米軍横田基地へのオスプレイ配備計画について
〇《安保法制》経済的理由による武力行使の可能性をめぐる政府答弁
について
〇《安保法制》ホルムズ海峡での機雷掃海をめぐる政府答弁について
〇安倍総理のヤジ問題について
〇野党連携について
〇次期総選挙の第一次公認候補発表について
〇刑事訴訟法改正案について
〇参議院の選挙制度改革について
〇米軍横田基地へのオスプレイ配備計画について
〇改正国民健康保険法について
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■冒頭発言

〇安全保障特別委員会での論戦について

【代表】
 まず国会審議、安保特(我が国及び国際社会の平和安全法制に関す
る特別委員会)、まだ始まったばかりの中でいろいろな混乱が見られると
思います。(政府の)説明が変わってしまう、やればやるほど疑問が増え
てくるというのが現状ではないかと思います。さらにしっかりとした審議を
続けていかなければいけない。まず、政府が何をやりたいのかということ
を明確にさせることが必要だと思います。
 そういう中で、谷垣自民党幹事長が「論点が出尽くした」と、信じられな
いようなお話をされている。何をもって「出尽くした」とされているのか、冷
静な谷垣さんらしからぬ発言が出てくるのも、そういう意味では焦りの表
れかという気がします。
 いずれにしましても、しっかりとした議論をしたいと思いますし、私も前
回80分質疑する中でいろいろな疑問が答弁の中に出てきております。
そういうものをもう一度集約をして再度、総理と続きを議論したいと思い
ます。

◯参議院の選挙制度改革について

【代表】
 参議院の選挙制度改革について、議長が検討会の打ち切りを判断し
たと聞いております。
 これは非常に深刻な問題で、わが党は既に(「一票の格差」)2倍以内
に抑える案を提出しております。それから公明党も「従来の考え方にと
らわれずに」ということも言っておられると聞いています。
 肝心の自民党が極めて中途半端な案しかまとまらない。是非そこは総
理が主導権を発揮して、本会議でも施政方針演説の中で「(与党が)リー
ダーシップを発揮して」と言われたわけですから、その結果が「6増6減」
ではお話にならない。是非総裁として、しっかりリーダーシップを発揮して
いただきたいと思います。

◯労働者派遣法改正案について

【代表】
 派遣法の問題ですが、これはこれで今審議が進んでおりますが、非常
に重要なテーマで、議論は全く尽くされておりません。
 総理は「正社員化につながる」「キャリアアップにつながる」と言っておら
れるが、それは全く現実に反するわけで、ここもしっかり民主党として力を
入れて進めていきたいと思います。

◯トゥスク欧州理事会議長と会談

【代表】
先刻、欧州理事会のドナルド・トゥスク議長を30分近く、表敬訪問をしてま
いりました。
 特に申し上げたのは、EUとの経済連携協定・EPAについて、私が外務大
臣になった時に、もう一回これをちゃんとやろうとEU側に働きかけをして議
論が始まり、副総理の時に最後、交渉を再開することが事実上合意され、
私としても非常に思い入れのある問題であります。一部に、少し議論が停滞
しているという話も聞かれましたので、議長には、是非、今年中に(合意でき
るように)ということを改めて申し上げた。
 その他、東アジアの情勢の中で中国の問題なども私から、中国は非常に
重要な存在であると提起をいたしました。経済的にも政治的にも、安全保障
の面でも急激に大きくなり、それにどう世界が対応していくかというのは重要
な問題だと。私の持論ですが、そのことを申し上げました。
 EUから見ているとどうしても経済中心になってしまうが、のAIIB(アジアイン

フラ投資銀行)の問題も、やはりここはEU・日本・アメリカがお互い中国とど
う向き合っていくかという問題について、しっかりと意思疎通をよくしていく必
要があるのではないかということを申し上げた。

■質疑

米軍横田基地へのオスプレイ配備計画について

【フリーランス・横田記者】
 普天間基地のオスプレイは夜間飛行禁止のルールが守られていなくて、そ
ういう状態で東京都・横田基地に配備されると都民の命が脅かされるのでは
ないかということで、日米地位協定を改定して航空法の縛りを米軍機にもか
ける必要がある、という声については、どうお考えか。

【代表】
 まず、オスプレイの横田への配備についてよく説明をする必要があると思
います。私はオスプレイそのものを否定的に見る立場ではありませんが、た
だ、やや説明が不足しているのではないかと思います。よく理解を得て物事
を進めていったほうがいいと思います。
 地位協定改定というのは簡単なことではありません。相当な労力を要する
ことで、そういう議論よりは、オスプレイを配備することが具体的に騒音の問
題、夜間飛行の問題、そういうことがあるということであれば、どうやったら負
担を軽減できるのかということを双方前向きに話し合っていったほうがいい
と思います。

【フリーランス・横田記者】
 ドイツはNATOの協定を改定して低空飛行を規制するという対応をとっている。
大変だというのはよくわかるが、日本でも何らかの地位協定の改定、戦後レジ
ュームの遺物みたいなものだと思うが、その必要性についてはどうお考えか。

【代表】
 地位協定を変えると言うのは簡単ですが、現実の交渉は簡単ではありません。
 私が外務大臣の時に、普天間を辺野古に移すという日米合意を2010年5月
にしたわけですが、その時に、環境について特段の規定を検討するという、そ
の1行を入れるだけでも大変でした。私、「総理の首をかけてやっている話だ」と、
交渉相手はルース大使でしたが、その1行が入り、それが数年経て今ようや
く政府間で大筋合意された。その一言を入れるだけでも大変な交渉で、あまり
安請け合いして「協定を変えるべきだ」とか、そういうことを言うつもりはありませ
ん。日米間の信頼感を持ってしっかりと話し合っていくということだと思います。
協定を変えれば物事が変わるというよりは、どういうふうに運用をすべきなのか、
どこに妥協点があるのかということを、お互いに信頼感を持って話し合ってい
くことが大事だと思います。

【フリーランス・横田記者】
 であれば、安倍政権に対して、日米地位協定の改定をするべきだと論戦を挑
まれる考えはないか。「戦後レジュームからの脱却」ということで今、安保法制も
進めているが、であればこそ日米地位協定改定も俎上に上げるべきではない
か。特に五輪開催地の東京にオスプレイが配備されるのは似つかわしくないと
思うが、それと関連してどうお考えか。

【代表】
 そこはいろいろな議論があると思います。日米間、さまざまな課題がありますの
で、きちんと優先順位をつけて議論していくべきだと思います。

◯《安保法制》経済的理由による武力行使の可能性をめぐる政府答弁について

【フリーランス・宮崎記者】
 今日、安保特で何が混乱して審議が止まったかというと、後藤祐一議員の質問
で、平成10年2月26日の予算委で、岡田さんの「中東の産油国で危機が発生し
てわが国に石油が来ない場合は、周辺事態に含まれるのか」という質問に対して、
当時の外務省北米局長から「湾岸・中東などで起きている事態について言えば、
基本的に生じることは想定し得ない。今のご質問に対しては、そういう事態は周
辺事態には該当しない」と答弁があった。これに関して後藤さんが、この答弁と
現政権の見解がなぜ違うのか岸田外務大臣に質問したところ、大臣の答えが
十分でなかったということで中断して、そのまま散会したものと理解している。こ
の件に関してどう思われるか。

【代表】
 高野局長が私に答弁した時は、そういう経済的なものだけであれば、それは含ま
れないと明確に言われたと思います。当時はまだ周辺事態法はなく、ガイドライン
について私は質問した。
 その後、周辺事態法を作っていく中でいろいろな議論がまたありました。そのこと
についてどう理解するかは、今、手元に資料もないので、なかなか簡単には言いが
たいのですが、昨日、外務大臣はたしか、その答弁を維持されていることもはっきり
言われたと私は記憶していますので、やはりそこは整合性ある説明をちゃんとしても
らわないといけないと思います。

【フリーランス・宮崎記者】
 整合性のある説明がないと審議再開には応じられないという意味か。

【代表】
 国会の運営は国対、それから現場に任せています。私は代表ですから、一々
そういうことにコメントするつもりはございません。

◯《安保法制》ホルムズ海峡での機雷掃海をめぐる政府答弁について

【フリーランス・横田記者】
 ホルムズ海峡の機雷掃海(の件)で、石油が半年間の備蓄があるにもかかわら
ず、「寒冷地で凍死者が出る」と。およそあり得ないことを言いながら、なにかゴリ
押ししようとしているが、そういう姿勢、非現実的な答弁についてはどうお考えか。

【代表】
 この問題も国会の中でさらに議論したいとは思います。去年から議論しているこ
とですが、総理と中谷防衛大臣との間で言っていることが違っていたりしますし、し
っかり国会の中で議論していきたいと思います。


◯安倍総理のヤジ問題について

【NHK・花岡記者】
 昨日、総理が「早く質問しろよ」というヤジを飛ばし、非常に問題になった。総理の

ヤジをめぐっては、前回も日教組についてのヤジが問題になったが、こうした総理が
ヤジを飛ばすことについて、代表はどうお考えか。

【代表】
 どうされたのかな、とは思います。ちょっといら立ちが言葉になったということです

が、やはり一国の総理ですから、耐えるべきは耐え、そして国会というのは国民
に説明する場でもあるので、国民に対してしっかり説明することに専念されたらど
うかと。
 私は副総理として野田佳彦総理を横で見ておりましたが、耐えに耐えていたと
思います。あの時の野党自民党は(ヤジが)すごかった。一部、民主党もすごい
人がいましたけれども。そういう中で、野田総理は耐えに耐えて、消費税を通す
ために答弁していたことを思い出します。
 ちょっと首をかしげてしまいます。国民から見て、一国の総理大臣がどう映って
いるのか、心配にはなります。

【フリーランス・横田記者】
 気に食わないことがあるとすぐキレるというのが安倍総理の特徴ではないかと
思うが、これは総理大臣の資質として若干問題だとお考えになるか。

【代表】
 私も野党第一党の代表なので、言葉は気をつけて申し上げております。是非、
忍耐をもってやっていただきたいと思います。

【日本テレビ・川上記者】
 昨日の総理のヤジ問題、安保特の2日目で総理がこういう発言をされている
わけだが、これからしばらく安保法制の委員会が続く中で、2日目で出たことに
ついてはどのようにお考えか。

【代表】
 出だしからかなりつまずいてしまっていることに対する焦りの気持ちがそうさ
せたのかと思います。
 谷垣さんの発言も、そういう中で飛び出したもので、普通そういうことを言う人
ではないですよね。
 ここ数日の審議が、本会議から始まっているわけですが、思うようには進んで
いない。いろいろな問題が出てきてしまって、それにうまく対応できていない。そ
ういう中で出てきたことかなと思います。

◯野党連携について

【時事通信・越後記者】
 代表は先ほど社民党の吉田党首と会談されたが、差し支えない範囲で内容
をご紹介いただきたいのと、この時期に党首会談を開いた目的について伺いたい。

【代表】
 会談を開いたわけではありません、正式なものではありません。私が(議員)会
館の部屋をお訪ねして、少し意見交換をさせていただいた。ですから、党対党で
正式に何かやったということではありません。
 私もゆっくりお話しする機会はあまりなかったので、少しそういう機会を持たせ
ていただきました。もちろん国会について、労働法制、安全保障法制についても、
協力できるところはしっかりやっていきましょうということは、お互い確認をいた
しました。

【NHK・渡辺記者】
 維新の松野代表は、年内に100人単位のかたまりを作りたいと提言している。
民主党の代表経験者や役職経験者の方々と懇談を重ねていて、幅の広い活動
をしているようだが、こうした松野さんの動きや党内議員の動きについては代表
としてどう捉えているか。

【代表】
 いろいろな方と会って意見交換するのは、いいことではないでしょうか。

【共同通信・高尾記者】
 維新の党の松野代表はそもそも年内に100人以上の規模で野党再編を目指
すとおっしゃっているが、代表はその考え方についてどのように思われるか。

【代表】
 それは松野さんの持論ではないですか、前からそういうことをおっしゃっていた
のではないかと思います。私、直接お聞きしていませんので、あまり伝聞をもとに
コメントしないほうがいいと思います。

【共同通信・高尾記者】
 特に安保法制・労働法制、野党で共闘しなければいけない場面だと思うが、
今後、代表から党首会談とかそういうことはお考えか。

【代表】
 それは状況次第です。現時点で具体的に考えているわけではありません。

【共同通信・高尾記者】
 他の野党から代表のほうに、党首会談を開きたいとかいった申し入れは今の
ところあるか。

【代表】
 特にありません。

【共同通信・高尾記者】
 昨日、代表と執行部の皆さんで、連合の古賀会長らと会談されたが、その際
に野党再編の話題は出たのか。

【代表】
 私の記憶にはないです。定例の会議ですから、ああいう場で、話が出たとしても、フ

ラットに話をしている感じはないと思います。

◯次期総選挙の第一次公認候補発表について

【NHK・渡辺記者】
 来週の月曜日に衆院選の第一次公認が発表されるかと思うが、それを公認さ
れた基準と、それから公認に当たって維新との選挙区調整は加味された上で発
表されるのか伺いたい。

【代表】
 まだ発表されていませんので基準を云々という段階ではないのですが、それは
総合的な判断です。前回選挙における得票状況、前回の選挙の前、それからそ
の後、統一地方自治体選挙も含めて、どういう活動をしてきたかということや、そ
れからそれぞれ都道府県連の意見も聞いていますから、総合的に判断して、来
週、公認予定者・第一次を発表しようと考えています。
 前回、そういった作業が非常に遅れたという反省があり、今回はかなり迅速に。
本当は今月中と申し上げていたが、それが1日ずれて6月の最初に一次公認を
出すということです。

【NHK・花岡記者】
 維新については。

【代表】
 今回いろいろな総合判断の中で候補者の選定をしておりますが、維新と重なって
いる部分もあります。

◯刑事訴訟法改正案について

【NHK・花岡記者】
 刑事訴訟法改正案の審議が進んでいる。(取り調べの)録画・録音の全面的な
ものも含まれてはいるが、その一方で盗聴・通信傍受の拡大や司法取引といっ
た刑訴法のかなり大きな改定になると思うが、この点についてどうごらんになって
いるか。

【代表】
 これは部門会議で今、議論しているところですので、私が代表の立場で「こうだ」
と言わないほうがいいと思います。慎重に、しっかりとした議論をしていただきた
いと思います。

◯参議院の選挙制度改革について

【読売新聞・前田記者】
 選挙制度改革検討会が本日打ち切りとなり、今度は各党がそれぞれの法案を
委員会に提出することになるかと思うが、民主党の今後の対応について伺いた
いのと、法案について期限が迫っているが、どのあたりまでがお尻だとお考えか。

【代表】
 もう期限は来ている。非常に遅れているという認識です。早くしなければいけない。

 委員会に各党が出すと決まったというのは、私まだ聞いていません。議長のとこ
ろで調整しないと、後どういうふうに物事が決まるのかということは、現時点で私は
承知しておりません。
 ただ、民主党としては民主党の案があります。(「一票の格差」を)2倍以内に抑
える案を提出しています。それはもともと(選挙制度協議会の)座長を務めておら
れた自民党の脇さんが作られた案をベースにしていますので、我々は自信を持っ
てこの案をしっかりと示していきたいと思います。

【フリーランス・宮崎記者】
 だいぶ前だが、民主党の羽田雄一郎参議院幹事長がテレビで、例えば三つく
らいの法案を本会議にかけて、党議拘束を外してそれぞれの議員の判断で採決
してもいいのではないかとおっしゃっていた。そういった案についてはどう思われ
るか。

【代表】
 これは羽田幹事長も言われたかもしれませんが、郡司彰参議院会長が記者会
見で発言をされています。私も事前に了解した上での発言です。


◯改正国民健康保険法について

【フリーランス・宮崎記者】
 27日に参議院で国民健康保険法改正案(持続可能な医療保険制度を構築する
ための国民健康保険法等の一部を改正する法律案)が成立したが、これはサラリ
ーマンにとっては今年度から3年にわたって後期高齢者の支援金がどんどん上が
っていく、大企業サラリーマンの中でも比較的給料のいい方は非常に取られるとい
う法律だと思うが、この審議の過程で、そういった大企業サラリーマンの声が寄せ
られているという話はあまり聞かなかった。昨年末の突然の解散も含めて、大企業
正社員が長時間労働・短時間インターバルの中で民主政治から置き去りになって
いるのではないかと感じるが、代表はいかが思われるか。

【代表】
 大企業のサラリーマンの方が特に置き去りになっているのか。例えば母子家庭
・父子家庭、あるいは貧困の中で苦しんでいる子どもたち、置き去りになっている
人はたくさんおります。
 今回の国保の改正の中で出てきた話は総報酬制で、総報酬制は我々与党の時
に合意している話だと記憶しているのですが、もう少し大きな視点で考える問題だ
と私は思います。
 これは代表選挙の時などに申し上げていたのですが、やはり高齢者の医療に
ついて、現役世代が保険料の中から負担するということは基本的におかしなこと
だと私は思います。これは党の中でそういう考え方で合意しているわけではない
のですが、やはり保険というのは自分たちの保険の範囲にある人たちがお互い
に助け合うというのが保険であって、その保険制度の外にある高齢者の皆さん
の医療費を賄うのは、本来、税が中心であるべきと私は思います。ただ、それ
は非常に大きな議論なので、あまり簡単に解決する問題ではない。少し長い視
点で問題意識を持って取り組んでいきたいと思います。
 これは、今の正規・非正規の話とも関係します。正規雇用で働いている人たち
に保険料の負担が、自分たちだけではなくて高齢者の部分も含めてかかる。企
業側の負担もそれで増える。ということになると、正社員の事業主負担というの
は、それは非正規雇用の場合と比べて重くなりますので、同じ給料であっても企
業からの負担感で見ると正社員のほうが多くなる。そういうこともやはり企業が
正社員ではなくて非正規雇用を選ぶ一つの原因にもなっているので、そういう大
きな視点の中で取り上げていかなければいけない問題だと思います。




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