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2015.05.25|記者会見

岡田克也代表定例記者会見(5月22日)⇒https://www.youtube.com/watch?v=7m08KRWlyPo

岡田克也代表記者会見
2015年5月22日(金)15時03分~15時44分
編集・発行/民主党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。

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■冒頭発言
〇邦人人質事件の政府検証報告書について
〇NPT再検討会議について
〇新安保法制のもとでの自衛隊員のリスクについて

■質疑
〇邦人人質事件における官邸の対応について
〇《安保法制》安全保障関連法案の名称について
〇《安保法制》安全保障法制をめぐる議論のあり方について
〇《安保法制》他国領域内での武力行使の可能性について
〇《安保法制》自衛隊による米軍等への後方支援について
〇《安保法制》安全保障法制に関する民主党の考え方について
〇《安保法制》安全保障関連法案の国会審議について
〇野党連携について
〇国会議員による刑事告訴について
〇ポツダム宣言について
〇参議院の選挙制度改革について
〇議員の個性を活かした党内運営について
〇青森県知事選挙・群馬県知事選挙について
〇橋下大阪市長の政治家引退宣言について

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■冒頭発言

〇邦人人質事件の政府検証報告書について

【代表】
私から、何点か。
一つは、邦人拘束事件の検証報告書(邦人殺害テロ事件の対応に関す
る検証委員会検証報告書)が明らかになりました。ざっと見た程度ですが、
この問題で最も重要だったのが12月3日、後藤さんのご夫人宛に犯行グ
ループからメールが来ていることが判明して、そこから1月20日の動画の
公開まで。その間、政府の説明によると12月19日に後藤さんが現実に今
囚われていることの確証を持ったということですが、いずれにしても12月
3日から1月20日までの活動が、政府としては最も重要だったということで
す。その間の検証結果を見ましたが、目新しい話はそこにはない。
2月19日の予算委員会で私、この問題を取り上げたが、一番重要な時
期の官邸の体制・対応は適切であったのか。「ちゃんと連絡とれていました
」という検証結果になっているが、しかし、機関のトップである官房長官が官
邸を空けていた、あるいは総理も年末年始にかけて非常に緊張感を欠い
ていたのではないかということについての検証はありません。
それから、この間、(犯行主体が)誰かということは特定できなかったとい
うことですが、特定ができなかったということは、いろいろなルートを通じて
の働きかけを必死にやっていたとは書かれているが、相手が誰かわから
ずに一体どこまでできたのかという疑問に対しても明らかではありません。
そもそも多くの場合、これはどう考えても過激派テロ組織ISILが犯人であ
ることは予想できていたわけですから、それがわからなかったということで、
はたして済むのかという問題もあると思います。
いずれにしましても、この検証報告書、私、以前にも申し上げたが、第三
者の意見を3回聞いているが、基本的には役所で作った検証報告書で、
しかも、役所の中でも当事者、事務の官房副長官あるいは危機管理監等々、
この当事者、実際に事に当たった人たちが検証している。これは検証の名
に値しない。そもそものこの検証の体制そのものが論外だと私は思います。
検証したことにはしたけれども、実質的な検証はなされていないと、そう言
わざるを得ないのではないかと思います。

〇NPT再検討会議について

【代表】
NPT(核拡散防止条約)再検討会議が大詰めに来ておりますが、「被爆地
訪問」という言葉が書かれなかったのは非常に残念だと思います。同時に、
一番大事なことは最終的な結果がまとまることであり、意味のある結果、成
果文書がまとまるように、最後の努力をしてもらいたいと思います。
私が外務大臣の時にちょうどNPT再検討会議があり、他国の外務大臣と
連携をとりながら、取りまとめに努めました。そういう話が今回あまり聞こえ
てこないので、状況は非常に難しいということはわかりますが、はたして日本
国政府としてどこまで汗をかいているのかというのは、若干疑問に思います。

〇新安保法制のもとでの自衛隊員のリスクについて

【代表】
最後に、私が党首討論で提起した自衛隊員のリスクの問題です。後方支
援活動の定義も変わり、より戦闘地域に近いところまで行く、それから武器・
弾薬あるいは武装した兵士も含めて輸送が可能という中でリスクが高まる
のではないかという質問に対して、「いや、リスクの問題ではない」というのが
総理の答えだった。
これはなお委員会などでも取り上げていきたいと思いますが、今日、防衛大
臣から「リスクは高まらない」という趣旨のご発言がありました。本心で言って
おられるのかどうかわかりませんが、しかし自衛隊員の命に最終的に責任を
持つ防衛省のトップである中谷防衛大臣の言葉として非常に残念に思います。
先ほど申し上げたように、枠組みが大きく変わりますから、当然リスクは高
まる。そのことはしっかり認めた上で、しかし、それを超える必要性があると
いうことをきちんと説明されるべきだ。そういう中で議論が深まっていくのだと
思います。
今日、谷垣自民党幹事長は、「リスクの問題よりも、必要性のほうが先だ」
という趣旨のご発言もなさっているようですが、これはどちらが先ということで
はなくて、ともにきちっと説明すべきだということを私は申し上げている。必要
性、そしてそれに伴うリスク、それをきちんと説明する責任はいずれにしても
政府の側にある。説明した上で、「やはり必要性が高いから、リスクがあって
もやらなければいけないんだ」と説明するのが、やろうとしている政府の責任
ではないかと思います。
我々としては当然、必要性を我々は強調する立場にありませんので、リスク
のほうを強調するが、それを超える必要性の説明をする責任は政府にある。
しかし、リスクが高まるというその単純なことすら認めないということだと、これ
では議論が成り立たない。ぜひ委員会ではもう少し実のある、国民に対して
しっかりと理解されるような議論をお願いしたいと思います。

■質疑

〇邦人人質事件における官邸の対応について

【フリーランス・宮崎記者】
12月3日に後藤夫人にメールが入り、12月19日に政府が拘束の確信を
持ったと。これは衆議院選挙の最中だ。総理と官房長官が同時に首都圏か
ら離れる、これは本来、選挙中でもない。このことに関して改めて伺いたい。
関連して、総理は「抑止力が高まる」とよくおっしゃる一方で、日本人がテ
ロに巻き込まれるリスクに関しては特段言及がなかった。今年になってから、
1月にISILの人質殺害事件、そして3月にはチュニジアでもテロに遭ってい
る。テロのリスクということと官邸の危機態勢、総理はどう説明すべきかを伺
いたい。

【代表】
選挙中であったことは私も予算委員会で取り上げた。あまり繰り返すことは
しませんが、基本的に選挙であろうと何であろうと、総理と官房長官がともに
総理官邸周りを外れるということは、普通無いことです。少なくとも今までの
内閣ではそういう不文律のもとで対応してきた。それを長期間にわたって、
両者が選挙期間中で地方を回っていたということは、私には全く理解できな
いことです。
委員会の審議の中で私が、「これからもそういうふうに両者が官邸を空ける
ことはあるのですか」と聞いたら、「いや、それは選挙だったからだ」と。選挙
だけ特別なのですか。選挙よりもっと大事な用事も総理・官房長官にはある
はずで、全く理解に苦しむところですが、官邸はその程度の認識だと思うし
かないと思います。
チュニジアの件は、中東はかなりいろいろな意味でのリスクが高まっていて、
日本人がテロに遭う可能性があり、現にそうなっているわけですが、そのこと
とこの法案をダイレクトに結びつけるべきかどうかというのは議論のあるとこ
ろで、チュニジアの件まで含めたコメントは差し控えたいと思います。

〇《安保法制》他国領域内における武力行使の可能性について

【朝日新聞・渡辺記者】
今朝、中谷防衛大臣が閣議後の会見で、「他国の領域での武力活動は、
新3要件に該当するならば、憲法上許されないわけではない」と発言した。
先日の党首討論でも、岡田さんと総理との間で議論になったが、(他国の領
域内で武力を)行使する例外が出てくる可能性がある。この発言について見
解を伺いたい。

【代表】
中谷防衛大臣がどういうおつもりで言ったのかよくわかりません。従来は、
個別的自衛権に関してわが国の領土・領空・領海あるいはそれに連なる公海
上に限られると。したがって、海外派兵というのは一般に認められていないの
だと。じゃあどういう例外があるかといったら、ミサイルが日本に向かって飛ん
できそうな時に、そのミサイル基地を攻撃するようなこと、それはあるかもしれ
ませんと。これが従来の国会の議論の結果だと思う。一般的には禁止されて
いるが、例外が絶対にないわけではないという、そこを捉えて中谷防衛大臣は
ご発言になったのだと思います。
ただ、総理の答弁は、「(他国の)領土・領空・領海はありません」と、はっき
り言っておられる。例外的にありますとか、そういうことは言っておられません。
あるとしたら、ペルシャ湾のホルムズ海峡のことは少し言われたが、それ以外
言ってません。
「一般に」という話は、「海外派兵は一般に禁止される」と、そういうところで
「一般」を使っておられるが、「他国の領土・領海・領空で武力行使することは、
一般に認められていません」などという答弁はありません。したがって、「例外
なく、ない」とおっしゃっているわけですから、中谷防衛大臣がどう答えようと、
総理の答弁は重いと思います。
一言で言うと、総理は「例外を認めずに(他国の)領土・領海・領空での武力
行使はない」とおっしゃいましたので、いまさら急に「例外がある」とか、そうい
った話ではないということです。

〇《安保法制》安全保障関連法案の名称について

【朝日新聞・渡辺記者】
閣議後、会見で中谷防衛大臣は、関連法案の総称について「平和安全法
制」としたことについて、「誰が名づけたか確認していない」と。そして「内容に
ふさわしい名前だ」と発言している。岡田代表は昨年来、自衛隊のリスクを指
摘しているが、この大臣の発言についてどう思われるか。

【代表】
それは大臣としては、閣僚として署名していますから、「この名前はいい名
前ではない」なんて今さら言えないでしょう。
「誰がつけたかわからない」。でも、普通なら変な名前だなと。だからどうだ
ったのかというのは、たぶん中谷防衛大臣はご存じなのではないかと想像
します。

〇《安保法制》安全保障法制をめぐる議論のあり方について

【NHK・花岡記者】
少し広い意味での質問だが、この間のQT(党首討論)は集団的自衛権・安
保関連法案のキックオフの議論だったと思う。特別委員会が19日に設置され、
ようやくこれから議論が始まるに当たって、民主党として政府のどういった姿
勢を質していきたいか。

【代表】
質すことは多過ぎます。たくさんありますので、しっかりと議論していかないと
いけないと思います。
先般の党首討論で私は、わかりやすくと、比較的基本的なことについて聞い
たが、それについてまともな答えは一つもなかった。あの様な姿勢では、委員
会を通じて国民に理解をしていただくということにはなりません。いずれにして
も誠実に、正直に、そしてわかりやすく答弁していただきたいと思います。私は
難しいことを聞いているわけではない。

〇《安保法制》他国領域内での武力行使の可能性について

【読売新聞・前田記者】
党首討論での総理の「例外なく(他国の)領土・領海・領空での武力行使は
ない」という発言について、当日の党首討論後のぶら下がりでは、発言の訂正
もしくは法文の修正を求めていくとおっしゃっていたが、現在もこの方針は変わ
らないということでよろしいか。

【代表】
例外がないのならば、法律にちゃんと書いてもらいたい。

【読売新聞・前田記者】
変わらないと。

【代表】
はい。ちなみに、他の重要事態法案や恒久法には、他国における活動につ
いては他国の了解がなければできませんと書いてある。この集団的自衛権の
ところも、まあ、他国が了解するはずはないわけです、武力攻撃を受けるわけ
ですから。ですから、とにかく相手の領土・領海・領空ではやりませんと、ちゃ
んと書かれたらどうかと思います。
その結果として、実際にできる余地というのは極めて限定される。今までの
例を見ても、集団的自衛権の行使というのは、公海上で行なわれていること
はまずなくて、ある国の領土・領海・領空で行なわれているということですから、
ほとんど集団的自衛権の行使はやらないということになって、それはそれで、
政府がそういうお立場であれば、ちゃんと書いていただければいいと思います。

〇《安保法制》自衛隊による米軍等への後方支援について

【フリーランス・宮崎記者】
QTで岡田さんは後方支援に関して、「武器・弾薬も運ぶのですよ」とおっしゃ
り、それに対して総理の答弁は特段なかった。ガイドラインや法案を改めて読
むと、「存立危機事態」で武器も運べるのではないか。政府に聞くべきことかも
しれないが、弾薬だけでなく武器も補給できるという認識か。

【代表】
まず総理は「食糧」と言われた、私が「武器・弾薬」と言ったら。だから、それは
違いますよと、武器・弾薬も輸送できますよと。もちろん武装した兵士も含め
て、輸送は可能です。
今おっしゃったのは輸送の話ではなくて補給、それは限定されています。補給
については、武器は書いていない。弾薬はできるが、武器については書いて
いないのが政府案だと私は理解しています。

〇《安保法制》安全保障法制に関する民主党の考え方について

【「FACTA」・宮嶋記者】
自衛官の命という大事な提案、非常にいい問題の投げかけがあると思うが、
その一方で中国の膨張政策に対する抑止力ということで、この間オーストラリ
アに対する潜水艦の話などいろいろ出ているが、抑止力を高めるということに
おいて、民主党は基本的に安倍さん的な対中包囲網ではないと思うが、どう
いうことで抑止力を高められるとお考えか。

【代表】
我々も、党首討論で申し上げましたが、やはり日米同盟というのは戦後70
年、平和を維持するために非常に重要な役割を果たしてきたし、これからも
さらに日米同盟を深化させる必要があると考えている。しかし、それが今回の
安倍総理の提案した一連の法案ではないと考えている。
周辺事態法などは、それを世界に広げてしまうということで、かえって希薄
になってしまう。だから周辺事態法の基本的なフレームは残したまま、必要が
あれば、より踏み込んだ中身にすることは考えられるということは、民主党と
しての見解として出している。
もう一つは、やはりグレーゾーン。離島防衛というか、例えば軍ではない武
装漁民などがわが国の領土、離島などに上陸した場合に、きちんと対応でき
る仕組みを作り上げる。政府のほうは、電話で閣議ができるようにするとか、
そういう話ですが、我々は既に一度、領域警備法案を出していますし、考え方
はしっかりまとめている。
だから日本自身の安全に関わる、国民の生命、あるいは平和な暮らしに関
わることについては、我々は武力行使まではいきませんが、しかし、しっかり
と対応していくという考え方です。
限られた予算・人員の中で、世界中で自衛隊が活動できるようにするという
ことになれば、それは必然的に国の守りがその分薄くなる可能性もあるわけ
です。本当に安全保障環境が変わって、日本自身の安全をより強固にしなけ
ればいけないというのであれば、安倍総理の考えているように世界中で自衛
隊が活動できるようにしやすくするというのは方向が違うのではないかと私は
思います。

〇《安保法制》安全保障関連法案の国会審議について

【時事通信・大町記者】
先ほど高木義明国会対策委員長が、来週に維新の党との2幹2国(2党間
の幹事長・国会対策委員長会談)を開くとおっしゃったが、安全保障関連法案
に関して維新との共闘関係をどのように描いているか伺いたい。

【代表】
維新に限らず、各党とはなるべく協力して、まず我々が目指すものはしっか
りと政府に説明させるということ。その限りにおいて、各党協力して十分な、内
容のある審議を求めるということでは共同歩調をとらなければいけないと思い
ます。

〇野党連携について

【読売新聞・前田記者】
野党同士の連携ということは常々代表もおっしゃっているかと思うが、将来的
に野党の再編、野党がくっついて党を作る、再編すべきだという主張が野党の
中にもあると思うが、この野党再編についてはいかがお考えか。

【代表】
それは今、軽々に言うような話ではないと思います。いろいろな実績を積み重
ねていく中で、理念や政策や目指す方向が一致する仲間がいれば、それは一
緒にやっていくこともあるかもしれません。しかし選挙区の状況とかいろいろなこ
ともありますから、一般論で軽々に言う話ではないと思います。

〇国会議員による刑事告訴について

【産経新聞・山本記者】
小西洋之参議院議員が、弊社の編集委員のフェイスブック上の記述について
民事訴訟を起こされた。訴状には、麹町警察署に名誉毀損で刑事告訴したとも
書いてある。この件について代表の見解を伺いたい。
また、小西議員が5月17日のツイッターで、他の報道機関の記事内容に関し
ても、中傷しているということでしかるべき対処をすると書き込んでいるが、これ
についても代表の見解を伺いたい。

【代表】
私、小西さんの事案を具体的には承知しておりませんので、それについての
コメントは控えさせていただきたいと思います。
一般論として言えば、個々の政治家・議員がいろいろな報道について、それが
事実に反するようなことがあると考えれば、法的手段に訴えることは当然あって
しかるべきだ、政治家の判断によって、そういうことはあってしかるべきだと思い
ます。あとは裁判の中で争われるべき話ということだと思います。

〇ポツダム宣言について

【「FACTA」・宮嶋記者】
安倍総理は(共産党・志位委員長との)QTの時に、ポツダム宣言を読んだこと
がないような答弁だった。岡田さんはポツダム宣言を読んだ、学生時代に原文
に当たって記憶が残っているか。それから、この文書は要職にある人は基本的
にしっかり読んでおくような文書とお考えになるか。志位委員長は、これが戦後民
主主義のある種の原点になったともおっしゃっていたが、外務大臣経験者である
岡田さんとしてはどうごらんになっているか。

【代表】
今まで何度か読んだことがありますが、中身をあまり鮮明に覚えているわけで
はない。党首討論の後もまた読みましたが、非常にわかりにくい文書だというの
が私の印象です。
個々のことはいろいろあると思います、本当に日本が世界全体をナチス・ドイツ
と一緒になって侵略しようとしていたのかとか、そういうところは議論があると思
いますが、しかしわが国として基本的にこれを受け入れた。無条件降伏をしてい
るわけなので、そういう意味では個々のことについて、ここがおかしいとか、違っ
ているとか、そういう筋の話ではないだろうと思います。

【朝日新聞・渡辺記者】
無条件で受け入れたのでおかしいという筋の話ではない、とおっしゃった。岡田
さんの歴史認識を伺いたいが、戦端を開いた当時の指導者たちは、本気で世
界征服を意図していたかどうか、それについてどういう認識を持っているか伺い
たい。

【代表】
いつ戦端が開かれたのかという話にもなると思う。例えばわが国と中国大陸と
の関係で言えば、いつがその時期なのかというのははっきりしていない。満州事
変なのか、日華事変もあれば、ということになる。なかなかお答えするのは簡単
ではないと思いますが、まさかこんなに大規模な戦争にまで発展するとは、最初
のころ日本の軍部あるいは指導者が思っていたとは私は考えていない。しかし、
歯止めがかからなかったということだと思う。
それがなぜなのかというのは、藤井裕久先生の「近現代史研究会」、一昨日は
戸部良一さんですが、私も質問しましたが、例えば最初に朝鮮軍が国境を越える、
これはもちろん勝手にはできないわけですが、満州事変の時にそういうことが平
気でなされる。私が質問したのは、そういった重要な決めごとに反した軍人達が
なぜ罰せられることなく引き続き重要なポジションで仕事をしたのかと。戸部さん
が言われたのは、いや、後のほうはもっとひどくて、失敗した人が偉くなると。そ
れは、やはり信賞必罰というか、ルール違反をした人はきちっと罰を受けるとい
うことが、なぜか軍の中で徹底していなかった、それが最大の問題だったのでは
ないのかなとは私は思います。なぜそうなったのかはよくわかりません。

〇参議院の選挙制度改革について

【NHK・花岡記者】
「6増6減」という自民党案がようやく出てきた。これについての代表の見解が一
つと、この案については与党の公明党からも批判があると思う。この点について、
他の政党との協力について、どうお考えか。

【代表】
まずあきれました。本当にこんな案を出してくるのか、という感じです。
あきれた理由は二つ。一つは、自民党の当時の脇参議院幹事長がご苦労され
て案をお作りになった。民主党の案は、その脇案をベースに多少手を加えたもの
です。脇参議院幹事長があそこまで、(一票の格差を)2倍以内に抑えようとかな
りご努力された。それがこういう、「違憲状態」と言われた倍率とほとんど変わらな
いような案で、「これでやります」と本気で言っているのですかと思います。
もう一つは、安倍総理が施政方針演説の中で、なにか野党・我々に対して「ちゃ
んと取り組めよ」というようなことを非常に挑発的に言われました。あれだけ言われ
るからには、総裁として自民党の中をしっかりグリップしてまとめることは前提でお
っしゃったと思うのですが、それがこの結果かということで、私は非常に驚いてしま
いました。

【NHK・花岡記者】
他の政党との協力とか、もう一つ、自民党としては都道府県ごとの選挙区は維持
されるべきだという立場でまとめていると思うが、この点についてどうお考えか。

【代表】
都道府県ごとの選挙区を維持できないというのが最高裁の考え方。それに固執
する限りは2倍に抑えられないと。そんなことは前からわかっていて、2倍以内に
するということであればその時点で、公明党の言うような、またかつて西岡武夫さ
んの言われたような比例ブロック制にするか、あるいは幾つかのところで県を越
えて選挙区を作るか。どちらかしかないということは議論の前提で、誰もがわか
っていることです。今さら何を言っているんだということです。

【フリーランス・宮崎記者】
全国11ブロックというのが西岡私案で、今公明党が出している案もそうだと思う
が、代表としてはそれは考慮に値するものだと思われるか。

【代表】
わが党が出している案は違います。合区をして2倍以内に抑えると。先ほど言い
ました、当時の脇参議院幹事長が出したものをベースにしながら、よりいいものを、
つまり定数も削減していいものを作り上げたと考えています。これがわが党として
ベストの案だということです。
自民党ももう少しちゃんとした案を出してもらえれば歩み寄りということはあるのだ

と思いますが、今のままではどうしようもない。つまり「6増6減」ですか、これではあ
まりにも間があき過ぎてしまっていると思います。
先ほどお話しのように公明党は、やはりこの自民党の案ではいかんともしがたい
と思っておられると思います。しかもブロック制に必ずしもこだわっていないとも聞
いていますので、いろいろと共通点が出てくるのではないかと思います。

〇議員の個性を活かした党内運営について

【フリーランス・宮崎記者】
今日の本会議で女性の活躍推進法案が入り、山尾志桜里さんが登壇された。
咋年秋の臨時国会では、山尾さんの小選挙区のライバルの自民党議員が登壇し
ていた。民主党は、よしあしは別として派閥がないので、そういうパーソナルなデ
ータがなかなか国会の中で活かされてこないと言われてきた。今73名の会派と
いうことで、お互いのことをよく知っているアットホームな形で岡田民主党はでき
ているとお考えか。

【代表】
数がもっとたくさんいても、アットホームな感じで運営できるようにしたいと思い
ます。

〇青森県知事選挙・群馬県知事選挙について

【フリーランス・堀田記者】
青森知事選が始まったが、現職の三村知事が勝つだろう。原発が絡んでいる
から民主党がやりたくないのはわかるが、次に群馬県知事選挙がもうすぐ行な
われる。群馬はとりあえず原発は関係ないが、候補を立てる予定はあるか。

【代表】
まず、勝つか負けるかは、選挙が始まっていますし、私今のお話に対して軽々
にコメントしないほうがいいと思います。
候補者を立てる、立てないという話は、基本的には県連の判断の上で、公認
申請あるいは推薦申請などが上がってくれば判断することになります。上がって
こない時に、無理にでも立てろということも場合によってはありますが、青森や
群馬がそういうことに該当するのかというと、必ずしもそういうことではないだろ
うと。やはり現場の、つまり県連の考え方が尊重されるということだと思います。

【フリーランス・堀田記者】
青森の場合は、原発プラントに関して鉄鋼労連と電力総連と電機連合がある
から、岡田さんとしてもタッチしたくない気持ちはわかるが、群馬はそうではない。
はっきり言って群馬は今、悪の巣窟だ。大澤知事は不倫している、前の議院運
営委員長は不倫している、5区の小渕議員は浮上している。小渕議員に関して
は、2名の秘書が在宅起訴された時に、枝野幸男幹事長が「追及する」と言っ
ていたが、そういう追及もまだない。要するに政治がまともに行なわれていない
県知事に対して、チャレンジャーの民主党として候補を出す予定はないのか。

【代表】
基本的にはそれは地元県連の判断、それが尊重されると思います。

〇橋下大阪市長の政治家引退宣言について

【「FACTA」・宮嶋記者】
橋下大阪市長が政治家引退とおっしゃっているが、岡田さんの中でこの政治家
はどういう評価か。彼のコミュニケーション能力はすごいが、彼が引退したら話を
聞いてみようという考えはあるか。

【代表】
この前、ブログで書きましたが、考え方の違いはありますが、都構想についてあ
れだけ接戦に持ち込んだというのは、やはり普通ではない、並々ならぬ能力と努
力の結果だと思います。そこは政治家として私は敬意を表したいと思います。




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