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2011.08.25|記者会見

民主党幹事長としての記者会見(8月25日)

岡田克也幹事長/記者会見要旨
2011年8月25日(木)16時00分~16時51分
編集・発行/民主党幹事長室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
http://asx.pod.tv/dpj/free/2011/20110825okada.asx
http://www.ustream.tv/channel/dpj-channel
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■冒頭発言
○円高対策について
○最後の定例会見にあたって

■質疑
○円高対策について
○党運営を振り返って
○国会運営を振り返って
○次期執行部について
○菅政権の評価
○原子力政策について
○幹事長職について
○中国の漁業監視船の領海内侵入について
○菅政権の退陣について
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■冒頭発言

○円高対策について

【幹事長】まず円高対策についてです。昨日、与謝野大臣に電話をいたしまして、政
府としてこういう時期ではあるけれども、急激な円高が進んでいる中で、国民に安心
感を与えられるような、政府全体としての円高対策の取りまとめをお願いしたところ
であります。
 既に財務省から具体案が発表されておりますが、それに限らず、先日もテレビで申
し上げたのですが、円高に苦しむ中小企業への対策でありますとか、円高のメリット
が国民に実感できる対策、そういったことについて、政府全体としてしっかりと議論
をしてまとめてもらいたいということをお願いいたしました。与謝野大臣のところで
各省庁と議論していただいていると理解しております。
 月曜日には代表選挙が行われる予定ではありますが、次の内閣がスタートするまで
は菅政権が続くわけで、こういった合間の時期に投機的な資金が流れ込んで円高がさ
らに進行することが起こらないよう、隙をつくらないようにしっかり対応してもらい
たいと考えております。

○最後の定例会見にあたって

【幹事長】さて、次の月曜日には新代表が決まることになるわけでありますので、幹
事長としての会見はありません。私にとりまして、定例会見という意味では今日が最
後になるということです。そういう意味で、この1年弱を少し振り返ってみたいと
思っております。
 私、外務大臣をやっておりまして、幹事長になることは全く想定しておりませんで
したが、総理や当時の仙谷官房長官から話がありまして、固辞いたしましたが、最終
的には「これは天命である」と申し上げて、幹事長を受けさせていただきました。
 そのときに、どうしてもやらなければいけないことが2つだと。これは別に菅さん
から言われたわけではなくて、私自身考えたわけであります。その問題の困難さを
もって固辞したわけでありますが、最終的には自分がやるしかないということでお引
き受けしたわけであります。
 1つは、やはり小沢元代表の問題について、国民にきちんと納得される、そして党
としての筋を通した解決をどうやっていくのかという問題であります。処分の問題で
あったり、国会での説明ということであったわけですが、これはかなりの時間とエネ
ルギーを必要とする作業でありました。長過ぎた、時間をかけ過ぎたと言う方もい
らっしゃいます。しかし、急げば党の中はさらに混乱したことは間違いない。役員会
のメンバーの皆さんを一人ひとり説得しながら、一定の結論に至ったわけでありま
す。もっと早くできればよかったかもしれませんが、相手のある話でありますので、
最後まで「処分に納得できない」というお話でありましたので、そういう中でようや
く、判決が出るまでの間は党員としての資格を停止するという、私は非常に説明がつ
く合理的な結論だったと思いますが、そこに着地したということであります。
 残念なことは、その過程でかなり党内が混乱いたしました。これは、じゃあ混乱す
るから妥協して処分を軽くするとか、やらないという選択肢があったかというと、私
は、それはなかったと思っております。もちろん、これは特定の人を排除するとか、
特定のグループを排除することが目的であったわけではなくて、公党としてのしっか
りとした責任を果たすということで行ったもので、その結果として、私は民主党とし
て一定の信頼は保たれたと考えております。
 もちろん、私自身は特定のグループを排除するという気持ちはありませんので、今
の内閣の組閣にあたりましても、大臣をどうするかというのは総理がお決めになる話
でありますから、私が口出しをしたわけではありません。ただ、なかなか適任者がい
なかったということではありますが、しかし、大畠章宏さんや海江田万里さんなど、
政権の中枢のところに鳩山前総理に近い方に入っていただいたわけであります。
 そして副大臣・政務官の人事は、これは私がかなり主導して任せていただいて、一
人ひとりお声をかけて決めさせていただいたわけですが、そのとき念頭に置いたの
は、大臣に小沢元代表のグループに属する人が入っていないことも考えあわせて、最
優先で小沢グループと言われる人たち、まあ、私はグループというのは嫌いですが、
そういう方々に副大臣・政務官になってもらおうということで、一人ひとりお声かけ
をさせていただきました。お一人だけ断られた方がいらっしゃるのですが、あとの方
は、その場で即決した方はいらっしゃいませんが、いろいろご相談されて、そして受
けられた。ポストについても希望を聞きながら、今の配置になりました。中には当選
回数からいうと、バランスからいうと、副大臣はどうかという方に副大臣になってい
ただいたケースもあります。
 そういう意味で、公正・公平な党運営を私は心がけてきたつもりであります。誰か
を排除するとか、どのグループを違う扱いをするということは全くしておりません
し、幹事長として3月11日までは全国を回りましたが、そこもどのグループに属し
ているかは全く考えずに当選1回生の選挙区を、3分の2ぐらい回ったと思います
が、順次週末を利用して回っていたということであります。

もう1点の大きなテーマは、やはり国会が動くようにするということで、もちろん3
分の2条項を使うことも考えられるわけですが、でき得れば、やはり野党の中で大き
な存在である自民党や公明党の協力を得て国会を動かしていくことを考えました。
 率直に申し上げて、皆さんにはなかなかつかみにくかったとは思いますが、まずは
公明党との協議に重点を置いて、9月以降いろいろと試みてきたところであります。
しかし、やっていく中で、やはり自公の絆というのは10年間築かれたものがあっ
て、なかなか強いものがあると。しかも統一地方選挙を前にして自公の絆が崩れるこ
とは考えにくいということで、自公両党と民主党との間でいろいろ協議をしていくと
いう路線に切りかえて、石原自民党幹事長、井上公明党幹事長をはじめ各党のそれぞ
れの関係者の皆さんと、いろいろな形で信頼関係を築きながら進めさせていただきま
した。
 できれば、5月ごろやっていた、震災については復興対策本部に各党から入ってい
ただくという、これは亀井さんも主張しておられましたが、そういったことについて
の努力もいろいろさせていただきましたが、そこまではいかなかった。しかし、実質
的にかなりいろいろご協力いただいてご提案いただいたり、一緒になって政策をつ
くっていくことの基礎は築けたのではないかと思っております。先般の3党合意、あ
るいはその前の会期(延長)50日を決めた「幻の3党合意」などは、そういった1
つの結果だったのではないかと思っております。
 これからも次の執行部の皆さんには、最初に申し上げた公正・公平な党運営、そし
てもう1つは自民党・公明党と協力しながらこの難しい国会を動かしていく、そう
いったことについて、さらにご努力いただきたいと思っております。

3月11日の大震災がありまして、これへの対応も、特にその直後の2~3カ月、か
なり精力を注がざるを得ないといいますか、幹事長室が中心になっていろいろな陳情
を受け付け、政府と協議したり、藤村幹事長代理を中心に幹事長補佐の皆さんを含め
て、非常にいい仕事をしていただいたと思います。私としても、「各党・政府震災対
策合同会議」をつくって、毎日のようにこれを開催し、各党の様々な意見を政府に反
映させることはできたのではないかと思っております。
心残りはやはり、党改革や政治改革について、あまり取り組む時間がなかった。政治
改革については、答えはすべて準備され、法案の形もできておりますが、なかなかこ
れを国会に出して各党と協議するところまでいかなかった。それは非常に微妙な各党
の力関係がある中で、郵政改革と並んで、残念ながら後回しになってしまったという
ことであります。党改革も、資金の透明性を高めるための「組織対策費」の全廃と
か、いろいろな取り組みをしてまいりましたが、いわばこれは、本来民主党がやって
きた、もとに戻すという作業であったわけですが、さらに踏み込んでもっと取り組み
たいことはございました。しかし、1年弱では私の能力ではここまでが精いっぱいと
いうことであります。
 以上、1年間を振り返った私なりの総括で、私のほうからは終わりたいと思いま
す。

■質疑

○円高対策について

【日経ビジネス・森記者】円高と同時に、日本の国債が格下げになった。これに対す
る受け止めをお願いしたい。

【幹事長】これは、懸念していたことが起きたということであります。この大震災の
中で、これから様々な財政需要が出てまいります。それに対して、どういうふうに資
金を手当てしていくのかということ。そしてもう少し大きく言えば、大震災も含めた
全体としての財政の立て直しをどう考えていくのか。単なる立て直しというよりは、
これから増える社会保障費をどう賄っていくのかということについて注視していた
マーケットが、1つ警告を発したということだと思います。
 必要なことは、社会保障と税の一体改革、2010年代半ばに消費税10%という
ことは政府・与党で合意しているわけで、これをしっかりと貫いていくこと。これ
は、おそらく今回の代表選の候補者の皆さんも、それに正面から異論を唱えている方
はいらっしゃらないのではないかと思います。ただこれは、2010年代半ばという
ことで少し時間がありますから、そういう意味では誰でも言いやすいわけでありま
す。
 より問題は、やはり復興のための経費13兆円、それに年金基金から借り入れた
2.5兆円、これも復興債で賄うことにしておりますので、15.5兆円について、も
ちろん一時的には増税以外のやり方でどこまでできるか、党の中でずいぶん議論して
いただきました。しかし、JT株の売却とか人件費の削減とか、その他やり得ること
をやったうえで、それでも足らざる部分をどうするのかということは、代表選挙でも
本来議論されるべきことだと思います。(償還期間)60年でいいじゃないかという
議論もありますが、そういう先送りは許されない状況、それが5年なのか10年なの
か、あるいは多少それより時間をかけるのか。経済の状況を見ながら意思決定しなけ
ればならない問題ですが、増税なしで済ませるような議論というのは成り立たない議
論だと私自身は思っております。

○党運営を振り返って

【朝日新聞・南記者】小沢さんの処分の関係でグループに人事面でも配慮されたとい
うお話だったが、それでも今回の代表選挙でも「今の執行部は自分たちを排除しよう
としてきた」という発言が出るような状況が続いている。なかなか理解が得られな
かった理由をどのように分析されているか。

【幹事長】「理解が得られなかった」と断定するその根拠を、ぜひ教えていただきた
いと思いますが。私は先ほど申し上げたように、公平・公正にやってきたし、処分を
撤回しなければ、あるいは処分をなしにしなければだめだということでは、それは違
うと私は思います。
 それから処分の話は、党の機関で議論してきたことですが、そのことが内閣不信任
案への賛成などにつながっているとすれば、それは本来全く違う話で、そういう話と
いうのは挙党一致とはほど遠いと思います。

【フジテレビ・橋本記者】小沢さんの問題を解決するのに非常に苦労されたと思う
が、小沢さんに近いグループの方はいまだに処分について納得していない。そういっ
た党内の波を越えていく過程でご自身にとって失うものは多かったか。

【幹事長】大事なことは、民主党が国民の信頼を失わないことであって、そのために
やるべきことはきちんとやる、どんなに困難があってもやり遂げるということだと
思っております。いろいろな困難はありましたが、それを乗り越えて筋を通すことが
できたと思います。
 個人的には、もちろんそういった様々なご意見がありましたから、ずいぶんご批判
もいただいたりしたこともありますが、しかし、そういったことを冷静に見ていただ
いている国民の皆さん、あるいは党所属の議員もたくさんいらっしゃいますので、幹
事長である以上、こういうことをやっていくのが仕事だし、「天命だ」と言って受け
たときから当然想定していたことですので、自分なりにきちんとできたと思っていま
す。
 あとは、この決まった処分について、もちろん「裁判の結果が出るまで」と書いて
あるわけですから、裁判の結果が出て、それが無罪であったということなら堂々とご
復権なさるということですし、それまでは、別に党員資格停止がかかっていても政治
家としての活動は制約されているわけではありませんので、ご活躍いただいたらいい
のではないかと思っております。

【テレビ朝日・平元記者】幹事長は小沢さんに対して国会での説明を求めてきたが、
結局かなわなかった。今、どのような思いをお持ちか。

【幹事長】これは、野党のほうも最近国会で言わないのですね。ですから、このまま
になっているということです。わが党としては、党員資格停止処分になっていますの
で、その方について、わが党がいろいろ言うということにはならないのではないか。
あとは本人のご判断に尽きるのではないかと思います。党員資格停止を解いて普通の
党員ということになれば、それは党としても、また野党がいろいろ言ってくれば、そ
れについてどうするかということを議論しなければならなくなりますが、党員資格停
止になっている以上、それを言う必要は党としてはないと思っています。

【日経新聞・恩地記者】この処分の結果、党内に一定の不満を抱く方がいて、今回の
代表選でポスト菅という意味では、幹事長に期待される声がそう多くは上がらなかっ
た。このことにご自身はじくじたる思いはないか。

【幹事長】この処分問題は、すんなりご本人が決断をしていただければこんなに党内
でもめることはなかったのですが、しかし、これはやむを得ないことだし、「天命
だ」と言って受けたときからある程度予想できたことで、幹事長を受けるというの
は、それだけの責任を伴うことだと思っております。

【読売新聞・石川記者】菅内閣は「412人内閣だ。一致団結していこう」と発足し
たが、内閣不信任案に賛同する議員も出てしまった。人事面でも配慮してきたのにこ
ういう事態になったのは、どこに理由があるとお考えか。次期執行部で本当に党内が
一枚岩になるためには、どのような対策が必要と考えられるか。

【幹事長】この処分問題を除くと、何かひっかかる話はないのだろうと思うんです。
党内でいろいろな政局にして、本来政策として議論されるべきことを政局的に語った
りすることが今まであったかもしれませんが、処分は処分としてもう決まったことで
すから、そのうえで気持ちよくみんなが協力していくというのが、菅総理が望んでい
たことでもあるし、私もそれを期待しております。これからもそう期待をしていると
ころです。

○国会運営を振り返って

【共同通信・中久木記者】ねじれ国会の運営で、まず公明党との協力を模索した理由
を教えていただきたい。

【幹事長】自民党ということになると、これは大連立のような話になってくるわけで
すから、やはり基本的には、そうではない道をまずは模索するという、当然のことで
す。もちろん公明党の皆さんも、新進党のときから一緒にやってきた仲間がたくさん
おりますし、私は身近な存在でありましたので、もう一度新進党のときのように、あ
のときは1つの党になったわけですが、政党同士、協力できるような態勢ができない
ものかということで、いろいろ議論させていただきました。

【朝日新聞・南記者】公明党との交渉が進まない中で、たちあがれ日本、小党に連立
を打診されたが、その理由をあらためて教えていただけるか。

【幹事長】まず、今申し上げた自民党・公明党以外の各党とも、それぞれきちんとし
た信頼関係をつくるのは、これは幹事長として当然のことであって、方針がはっきり
しないとか、そういうご批判も一部いただきましたが、政治努力というのはそういう
ものではないので、いろいろな局面で手を握れるところは握っていくと。例えば子ど
も手当(つなぎ法案)などは、最終的に参議院において可否同数になったわけです
が、与党である国民新党だけではなくて、社民党や、あるいは共産党のご理解もいた
だいて、参議院で最終的に可決されたわけであります。ですから、いろいろな協力の
組み合わせはポケットに常に入れておいて、テーマごとに一番可能性の高いものを追
求するのは、私は当然のことだと思います。何か大方針を決めてこっちの路線で行く
ということでは必ずしもないと思っております。
 たちあがれ日本は、たまたま与謝野馨先生と懇意にさせていただいておりましたの
で、与謝野先生との対話の中でそういう話が出てきたということであります。私が、
たちあがれ日本の代表と与謝野さんと3人でお会いしたことは事実ですが、そこでの
やりとりとかそういうものについては、一般に報じられていることについては、かな
り事実とは違うと思います。中身をそれぞれ言うつもりはありませんが、やはり、た
ちあがれ日本の党内がまとまると思ったら、まとまらなかったというのが現実だと考
えております。

【日刊スポーツ・中山記者】幹事長を引き受けたことを「天命」とおっしゃり、それ
は憎まれ役を引き受けたという意味かと受けとめたが、いずれ“岡田ジャパン”を率
いたい思いは持っていらっしゃるのか。

【幹事長】私はそういうことはあまり申し上げないことにしております。政治家とし
てやるべきことは、今の日本を考えればたくさんありますので、しっかり私の立場で
頑張っていきたいと思います。あとはまさしく天命だと思いますので、先のことは。

○次期執行部について

【フリーランス・島田記者】民主党がこの先も政権与党としてやっていく中で、ここ
だけは引き継いでもらいたいという要件はあるか。特に被災地の方々は、これからど
うするのかと思っていると思うので、安心させる意味でもお答えいただければと思
う。

【幹事長】最初に申し上げたのですが、私が中心になってやってきたことは、1つは
公正・公平な党運営。これは国民の皆さんにきちんと理解される、そういう意味での
公正・公平な党運営ということです。ここは貫いてもらいたい。「臨機応変」という
言葉もありますが、筋の通らないことは、ある意味で民主党のブランドを傷つけると
思っております。もちろん、感情とかそういったようなことでいろいろなことを決め
るのは、厳に慎まなければならない。客観的に、公平に、進めていくことが大事だと
思います。
 もう1つは、国会でスムーズに物事を決めていくためには、やはり野党各党との協
力、とりわけ自民党や公明党と協調していくことが大事だと思っています。ご指摘の
被災地の問題は、やはり早く3次補正を議論して、3次補正の歳出も歳入もいずれも
民主党だけで決められる話ではなくて、民主党の中の議論も必要ですが、同時に、国
民新党は当然ですが、自民党・公明党とも議論をして、そして早くつくり上げて、例
えば、党内及び野党との議論に3週間かかるとしますと、それから印刷して予算書が
でき上がるまでに、大体今まで3週間ぐらいかかっていますから、それだけで6週間
かかってしまうということですので、これ以上時間をあけることなく、スピーディー
にやっていってもらいたいと思っております。

【朝日新聞・南記者】新しく選ばれる代表は、民主党政権になってから3人目の総理
大臣になる。自民党政権時代には総理のたらい回しを批判してきた。新代表を選んだ
ら、解散で信を問うことをなるべく速やかにしたほうがいいとお考えか。

【幹事長】解散するかどうかは総理が決めることですから、勝手なことを言うつもり
は全くありません。それはそのときの総理が、最善の時期を判断するということだと
思います。
 ただ、やはり4人目というのはないと私は思います。やはり次の総理が、いつかは
別にして、解散を行うということだと思っています。3人も総理をかえて、4人目に
なることはあり得ないことだと思っています。

【日経新聞・恩地記者】復興財源に関して、増税なしの議論は成り立たないと幹事長
はおっしゃったが、この考え方は野田さんと非常に近い。この代表選において野田さ
んに共感を覚えられるということはあるか。

【幹事長】野田さんというより、これは政府・与党で決めたことなので、私もそこに
深くかかわりましたし、そういう意味で申し上げました。私は、誰に共感を持つと
か、あるいは応援するということは、やはり両院議員総会が終わるまでは、幹事長と
してその舞台装置を決めて回していかなければいけません。順調にいけば、金曜日に
両院議員総会が行われ、あとは中央選挙管理委員会に具体的なことはゆだねることに
なっていますので、そういう自由な身になれば、私の考え方で候補者を応援すると。
誰かということは別にして、そういうことはあるかもしれません。現時点では、私は
そういうことはしないほうがいいと思っています。

【フジテレビ・橋本記者】今回の候補予定者の中には現役閣僚もいる。そういった方
が政府・与党で決めた増税に前向きでない考えを示しているが、それに対してはどう
お考えか。

【幹事長】よくお聞きしてみないとわかりません。つまり、どのぐらいの期間でやる
かということもあるわけですから。全く増税なしだ、例えば60年国債で償還してい
けばいいと言われると、それは政府・与党の決定は何だったのかということになると
思います。あるいは増税なしで、それ以外のやり方でやるということであれば、そう
いったことについて具体的に語ってもらわないといけません。歳出削減でやるならど
ういう歳出削減でやるのか、資産売却でやるなら何を売却するのかということを語っ
てもらわないといけない。
 しかし、何年でやるのか、5年でやるのか10年でやるのか、あるいは20年ぐら
いかけるのかという議論はあっていいのだと思います。それはしっかりと各候補者の
間で議論してもらえればいい。私も杓子定規に5年で全部返すことを絶対視している
わけではありません。経済状況などもあるということです。ただあまり時間をかける
と、消費税の10%アップとダブってきて、かなり難しくなるのではないかと心配し
ているということです。その辺を国民に対してきちんと説明して理解を得る、それは
政治が今なさなければいけないことではないかと思っています。

【フリーランス・安積記者】幹事長就任を「天命だ」と受け止めたという話だが、こ
れから新しい総理・内閣・執行部がつくられて、もし要請があれば、これも「天命」
として受けるおつもりなのか、それともしばらく自由でいたいとお考えか。

【幹事長】まず、「天命」という言葉は、そう何度も使う話ではありません(笑)。
別に天命とは受け取らないと思います。
 あとは、新しい代表が決めることですから、お話がなければ、それはそれで私はや
りたいことはたくさんありますし、(お話が)あれば、それは私がやるべきかどうか
をしっかりと考えて、お受けするかどうかをご返事すればいいと思っています。

○菅政権の評価

【朝日新聞・南記者】間もなく退陣されるということで菅政権の評価をお伺いした
い。この1年間を振り返ってみて、歴史的に評価される部分はどのような点だと幹事
長はお考えか。

【幹事長】最大なものは、やはり歴史上かつてなかった大震災に対する対応だと思い
ます。いろいろなご批判もあります。しかし、こういう大震災のときには当然、批判
が先行するものだと思います。阪神大震災のときの村山さんもそうでした。今も被災
地に行けば、やはり日々の先々が見えない中で、多くの被災者の皆さんから厳しいご
意見が出ます。それは当然だと思います。そのことを一義的には市町村長が受け止め
ておられるわけですが、最終的には、それは総理に来ると。ただ、すべて総理が悪い
というような報道もありましたが、私は、それはあまりフェアではないと思っており
ます。
 原子力への対応なども菅さんは一番力を入れられたと思いますが、今検証が行われ
ておりますので、その検証結果を待つべきだと思います。菅さんが大震災発生直後に
間違いばかりやってこうなった、などという話は何も根拠がありませんし、いいこと
もあれば失敗もあったと思いますが、すべて客観的に検証されるべきことで、それを
待たないで批判だけするのは、私はいかがなものかと思います。
 そしてこの非常に厳しい中で、幾つか申し上げましたが、真っ暗闇の中で、手探り
でいろいろな大事な決断を迫られたのが現実だったと思いますが、そういう中でよく
タフにそれを乗り越えられたと思います。そこはやはり、歴代総理と比べても、抜き
ん出た方だと思っています。各閣僚の中にもいろいろなストレスとかを抱えて、人知
れず非常に苦しんだ方もたくさんいらっしゃると思いますが、そういう中で菅さん
は、もちろん影響はなかったとは言いませんが、それを乗り越えて、今日までやって
こられたということだと思います。

○原子力政策について

【世界日報・山本記者】幹事長は会見で、原子力政策について原発の推進、あるいは
削減等については、もう少し冷静なときに考えを言うテーマだと言ってこられたが、
そろそろその時期だとお考えではないか。

【幹事長】きちんと議論を行うべきだと思います。それが今であってはいけないとは
思いませんが、例えば原発をすべて止めることがどういう影響をもたらすのか、じゃ
あ何によってかえるのか、短期的にも中長期的にもそうなのですが、そういうことに
ついて、きちんと議論をして、そのうえでどの道を選ぶかを選択しないと、単に止め
るべきか止めるべきでないかという議論をしても、それだけで議論するのは非常に危
険だと思います。例えば、20年後には原発に依存しないという選択をとることは、
私は可能性がないわけではないと思います。しかし、そのときには全体でどういうエ
ネルギー源でやっていくのか、そこでコスト、電気料金がどのぐらい上がるのか、あ
るいは地球温暖化ガスの排出量はどうなるのか、そういうことをきちんと示したうえ
で議論していかなければいけないと思います。

○幹事長職について

【伊勢新聞・中森記者】明日、両院議員総会が終わって自由の身になればとおっ
しゃったが、明日、菅首相が辞任表明した後に、岡田さんも幹事長職を辞任されると
いうことか。

【幹事長】次の幹事長が決まるまでは幹事長なんだろうと思っています。ですから、
全体が順調にいったとすれば月曜日には新しい代表が決まり、おそらく幹事長はその
日のうちに決まるのではないか、というか、決めたほうがいい。つまり野党とのいろ
いろな話し合いは、すぐにでも始めたほうがいいと考えるからです。その辺は新しく
選ばれた代表が決めることです。
 ただ、この選挙に関して言えば、中央選挙管理委員会が動き出すことになると、も
う幹事長の権限というのは選挙に関しては基本的にゆだるわけですから、選挙に関し
ては、私は自由になると思います。今はまだ選挙全体を取り仕切る立場にありますの
で、具体的な旗色を鮮明にするとか、そういうことは控えたほうがいいと。私はいつ
もそういうふうにして、自分なりに整理をして進めてきておりますので、現時点でそ
う考えているわけです。

○中国の漁業監視船の領海内侵入について

【産経新聞・千葉記者】中国の漁業監視船が、日本の領海内に一時入ってくるという
事案があった。代表選が行われている政権移行期の空白を狙ったものだという分析も
なされているが、どのように受け止めておいでか。また、次の政権はどのように中国
の問題と向き合っていくべきか。

【幹事長】この空白を狙ったものかどうかというのは、想像でものを言っているだけ
で、客観的な裏付けがあるわけではありません。それを積極的に裏付けるだけの材料
はないと思います。
 ただ、いずれにしてもわが国の領海内に他国の船が入ることについては、やはりそ
のことは放置できませんので、しっかりと中国に対して指摘して、そういった状況が
繰り返されないようにすることが国としての責任だと思っております。

○菅政権の退陣について

【朝日新聞・南記者】仙台市長などは「なんでこの時期に代表選をやっているのか」
と。あらためて、総理が辞めてしまうことの心残りは、幹事長としておありか。

【幹事長】個人的な感傷は挟むべきではないと思います。総理自らが「一定のめどが
つけば身を引く」と公の場で言われ、その一定のめどは3つのことであるということ
も言われたわけで、その約束を果たされた。メディアの中には「粘るんじゃないか」
とか、いろいろ書かれた方もいらっしゃいますが、私は一貫して、総理は言われたこ
とはきちんと守られると確信して、コミュニケーションをよくして今日まで進めてま
いりました。
 「今、なぜ(代表選を)やっているんだ」と言われても、「早く辞めろ」と多くの
メディアは言われたのではないでしょうか。私は前から申し上げておりますように、
しかし、こういう中であまり時間をかけるわけにはいかないと。国民の皆さんに各候
補者の政策を理解していただくことと、先々の復興のための第3次補正予算などを考
えたときに、この月曜日には決めるということだと考えております。
 ですから、質問するならば、どっちの立場に立つのか明らかにしていただいたほう
がいいのではないかと思っております。
 いずれにしても、菅総理とも、私も週に最低1回はお邪魔して、いろいろざっくば
らんに意思疎通を図ってきたつもりです。この間、うまく意思疎通できないと思った
ことはほとんどありません。ゼロとは言いませんが、ほとんどありません。お互い信
頼関係に基づいて、代表と幹事長として、二人三脚で、しっかり今日まで進めてこら
れたのは大変幸せなことだと思っております。

【フリーランス・安積記者】「もし自由の身になったら、やりたいことがある」と
おっしゃったが、具体的にどういうことをやりたいとお考えか。

【幹事長】それはそのときにまたお答えします(笑)。

【中国新聞・荒木記者】今回、菅政権が退陣せざるを得なくなった理由をどう分析し
ておられるか。

【幹事長】それはやはり、ご本人がそのことを明言されたということだと思います。
ただ、「一定のめど」と言われたときに、おそらくご本人としては、もう少し先まで
考えておられたかもしれません。あのときの「一定のめど」というのは震災対応とあ
と2つぐらい挙げられたと思うんですが、夏というよりは、秋とか、あるいは年明け
ぐらいまでを視野に置いておられたかもしれません。しかし、その後のいろいろなこ
との中で、ご自身の発言も含めて、どんどん時期が狭くなってしまって、最終的には
3つの条件が満たされれば速やかに身を引くことになったと思います。あの発言がな
ければ、もちろん辞めることにはならなかったのだと思っています。









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