トピックス

2010.03.09|記者会見

外務大臣会見記録(平成22年3月9日)

外務大臣会見記録(平成22年3月9日(火曜日)15時30分~ 於:本省講堂)

○冒頭発言
(1)いわゆる「密約」問題に関する調査結果について
○いわゆる「密約」問題に関する調査
○米軍再編問題
○東シナ海の油ガス田(白樺)

冒頭発言
(1)いわゆる「密約」問題に関する調査結果について

【岡田大臣】本日は定例の記者会見に加えて、いわゆる「密約」問題に関する会見ということで、最初に密約の問題について私(大臣)から冒頭発言をいたします。
 本日、いわゆる密約問題に関する有識者委員会から報告書の提出を受け、外務省調査チームによる調査報告書と併せてここに公表することといたしました。この問題は、私(大臣)が大臣就任時に、この問題によって日本の外交に対する国民の理解と信頼が失われている、しっかりと事実関係を明らかにしなければならないという観点で、薮中事務次官に対して徹底調査を命じたものでございます。調査の結果については、是非報告書を読んでいただきたいと思いますが、不公表文書が存在したこと、あるいは核持ち込みに関する日米両国政府の認識に不一致があったことなどを示す文書の存在が判明いたしました。当時の状況については簡単に判断できるものではなく、有識者委員会の報告書においても、外交に、ある期間、ある程度の秘密性はつきものであるとした上で、外交に対する評価、当時の国際環境、あるいは日本国民全体の利益、国益に照らして判断すべきものであると述べられております。しかし一方で、この問題がこれほどの長期間に亘り、また、冷戦後の時期に至っても、国会及び国民に対して明らかにされてこなかったことは、自分(大臣)としては極めて遺憾であります。1990年の冷戦終了、あるいは米国の核政策の変更というタイミングが、こういった様々な密約について明らかにする一つの大きなチャンスだったと思いますが、結局、従来の答弁を繰り返し、約20年が経ってしまったということであります。このことは極めて遺憾だと思っております。
 今回の調査の結果、2つの報告書が作成され、また、前例のない規模で関連の非公開文書を公開することといたしました。その結果、本件に関し、事実関係の解明が進展したと考えております。同時に文書管理及び外交記録公開に関する問題については、有識者委員会の報告でも指摘されているとおり、なお一層の改善が必要だと考えております。そこで今般、私(大臣)を本部長とする「外交記録公開・文書管理対策本部」を設置することを、先程の臨時省議で決定いたしました。今後、外交記録公開及び文書管理に関する改善措置を検討の上、速やかに実施に移していきたいと考えております。
 今回の調査は、日米安保体制の運用についての長年の日米のやり取りを巡るものでありますが、本件調査開始当初から私(大臣)も明らかにしてまいりましたように、我が国の行う本件調査によって、日米安保体制の運用に影響を及ぼす考えはありません。
 最後に、今回の調査結果の検証作業に当たっていただいた北岡座長を始めとする有識者委員会の委員の先生方に、この場を借りて厚く御礼を申し上げたいと思います。同時に、外務省のこの問題を担当した職員の皆さんに対しても、懸命に事実関係を明らかにしようという思いの中で最善の努力をしていただいたことを、私(大臣)からも皆様にご紹介を申し上げておきたいと思います。私(大臣)としては、今回の作業が、外交に対する国民の信頼回復に繋がることを期待しております。今後とも、国民とともに歩む外交を実践し、国民の負託に応える外交の実現に全力を傾注していきたいと考えております。

いわゆる「密約」問題に関する調査
【時事通信 水島記者】報告を受けて、いろいろあると思いますが、これまでの核の持ち込みはなかったと政府は説明してきた訳ですが、この見解を見直すのでしょうか。大臣の見解をお願いします。

【大臣】今回の調査結果によれば、日米間でこの問題について、(核搭載艦船の)領海の通過及び寄港について日米間、両国政府間で解釈が異なることが明確になりました。我々はそういう結果をあまり想像したくはありませんが、従来通り核の持ち込みがなかったと言い切ることはできない状況であり、その疑いを完全に払拭することはできないということだと思います。

【朝日新聞 東岡記者】従来政府は、今回調査対象となった4つの密約について、いずれも存在しないという立場を貫いてきました。今回の調査によって、先程大臣は、事実の解明が進展したと仰いましたけれども、従来の見解についても修正する必要があるかと思います。外務省として、あるいは政府として、この4つの密約について、あったのか、なかったのか、あるとするならば有効性はどうなのか。現在の公式見解をお尋ねします。

【大臣】今回は事実関係を明らかにするということで作業を行ってまいりました。密約があったのか、なかったのかということに関しては、「密約とは何か」ということにもよります。狭義の密約ということを、有識者委員会の中で定義づけをしていただいておりますが、そういう観点から見たときに、例えば朝鮮有事の際の事前協議なしでの出撃ということに関する密約はあったということは、これは外務省の調査結果でも、そして、有識者の委員会の結果でも一致しているところであります。

【神奈川新聞社 佐本記者】私共の地元の横須賀市の方では30年以上に亘って、「核の持ち込みがないのか」ということを外務省側に照会しては、「事前協議がないので、ないものと思っている」という通告だけが繰り返されてきた訳ですが、今後、そうした地域、地元、地方の自治体からの問い合わせなどの際に、例えば今回、これまで行ってきたような事態を繰り返さないということを担保できるような対応を取られるお考えなどはありますでしょうか。

【大臣】今回の調査の結果、日米両国間で持ち込みに対する考え方が違うということが明確になった。我々は従来から非核三原則に基づき、一時的な寄港も持ち込みに当たるという考え方を取ってきております。その考え方を変えるつもりはありません。「米側とは考え方が違うじゃないか」というご指摘は当然あると思います。考え方が違う状態は今もあるわけでありますが、そのことを我々は明らかにした訳です。今の米国の政策は先程言及しましたように、1991年以降、(米国は)艦船あるいは航空機への核の搭載は行わないということを明らかにしております。したがって、1991年以降、我々の考える一時的寄港の形で核が持ち込まれたことはないと考えております。

【産経新聞 高橋記者】今の非核三原則についてお伺いしたいと思います。私の考えを申し上げますと、非核三原則、特に「持ち込ませず」という点については問題があると私は思っています。というのは、核の問題を巡って、国際社会の現実と日本国民の理解の間には大きなギャップがあると私は見ています。それを埋める苦肉の策が今回検証された密約であって、私は、政府、外務省がそうした国際社会の冷徹な現実をきちんと日本国民に説明し、理解を求める努力が足りなかったということを示しているのではないかと思います。例えば、万が一日本周辺で有事が発生した場合、緊急事態が発生した場合、特に日本に核攻撃の可能性がある場合、米国が日本に核を持ち込むということは、核攻撃を抑止する効果を持ち得ると考えます。にもかかわらず、「非核三原則があるから、日本に核を持ち込むことは絶対に駄目だ」ということにすると、抑止力を自ら放棄することになるのではないかと思います。したがって、私は万が一の緊急事態を考えた場合、この「持ち込ませず」というのをどの程度、柔軟に考えていくべきなのかということは、政府としてきちんと検討して、日本国民にきちんと国際社会に合った現実の中で説明して理解を求めていくべきだと思うのですが、この非核三原則の検討、見直しについてどうお考えですか。

【大臣】我々は非核三原則を見直す考えはありません。今のご意見は、今ご質問の方のご意見なのか、あるいは産経新聞社としてのご意見なのか、そこははっきり分かりませんが、一つのご意見として承っておきたいと思います。それから、国民に率直に語っていなかったというのは、そういうところは確かにあると思います。今の国際安全保障環境について、なるべく国民の理解を得られるように率直に語っていかなければいけない、そのように考えております。

【毎日新聞 野口記者】非核三原則に関係して、今回明らかになった文書の中で、佐藤栄作元首相が沖縄返還の交渉の中で、外務省の事務方との打ち合わせで「非核三原則は誤りだった。反省したい」という感想を述べていますが、非常に難しい国際関係の中で、佐藤首相自ら非核三原則を提唱しながら悩まれておりました。こうした佐藤首相の「非核三原則は誤りだった」という発言について、大臣のお考えをお聞かせください。

【大臣】それは、それぞれの政治家が自分の責任で仰っている訳であります。しかし、今言われたものは、今回の情報公開で明らかになりましたが、対外的にそのように佐藤栄作氏が語っているわけではないと思います。したがって、もちろん情報公開制度で、やがては明らかになるということは想定されていたと思いますけれども、その時には対外的に出ないことを前提に語っておられることに対して、私(大臣)がコメントすべきでないと思います。

【NHK 禰津記者】今回の密約の1.の部分(「いわゆる「密約」問題に関する有識者委員会報告書」序論:密約とは何か、1.外交の公開)ですけれども、この中で、「暗黙の合意」というものが指摘されています。この「暗黙の合意」というのは、日米同盟の運営に障害を与えることを避けようとするということの「暗黙の合意」というものがあるということですが、大臣のご認識として、「暗黙の合意」は今も続いているというご認識でしょうか。そして「暗黙の合意」というものが今も続いているというご認識でしたら、それに対して、米側と今後どのようにきちんと話し合っていくお考えですか。

【大臣】先程お話ししたと思いますけれども、今回のこの調査によって、日米の違いがあるということが対外的にも明らかになったということであります。しかし、幸いにして1991年以降の米国の核政策の変更によって、今、具体的に何かそれが問題になるということではないということです。

【フリーランス 岩上氏】先程、大臣は、機密について、「外交にはつきものであって、一定期間経過後にそれは公開されるべきものである」と仰いました。「機密」、「広義の密約」、それから「狭義の密約」という言葉が使われておりますけれども、それぞれの定義と、それから、その差異が、このペーパーを読む限りでは判然としないように思います。機密と密約はどう違うのか、また、密約の中にも「広義の密約」と「狭義の密約」はどのように違うものなのか。そして、例えば、機密は一定程度是認されるなら、条件付きで是認されるならば、密約というものはどのような形で是認されるのか、あるいは、今後二度と認められない類のものなのか。そうした評価と言いますか、定義についてお聞かせいただきたいと思います。

【大臣】これは必ずしも外交に限らないかもしれませんけれども、政府間で様々な議論をする時に、それが全部オープンの場でできる訳ではなくて、表に出せないことがその時にはあるのは、ある意味やむを得ないと言いますか、当然のことだと思います。外交においてはそういったことが、あるいは多いということが言えるかもしれません。しかし、一時的な機密と密約というのは、かなり性格が違うということであります。密約の定義については有識者委員会で定義をしていただいておりますが、「狭義の密約とは両国間の合意、或いは了解であって、国民に知らされておらず、かつ公表されている合意や了解と異なる重要な内容を持つもの」ということであります。当然合意文書というものが存在するのが「狭義の密約」であります。「広義の密約」というのは文書化されていないもの。一言で言えばそういう違いかと思っております。「明確な文書による合意ではなく、暗黙のうちに存在する合意や了解である。」というのが「広義の密約」の定義でございます。

【フリーランス 岩上氏】そうしますと、両国間で、とにかく今は表に出せない約束であるということは共通しているように思いますが、機密というのは先程の「一定期間経過後には公開するルールを設ける」というお話でした。では、密約はその中に含まれるのでしょうか。今後そうした両国間の機密の約束というものは、必ず公開のルールにすべて含まれて、一定期間経過後にすべて明らかになっていくと考えてよろしいでしょうか。

【大臣】結論から申し上げると、必ずしもそうは言えないと思います。つまり、日本の場合には30年経てば原則公開ということですが、すべてを公開すると言っている訳ではありません。その時点において、国益に照らして、今明らかにすることができるかどうかの判断をしなければなりません。今までは、それを外務省の中でやっておりましたが、今後は、大臣始め政務三役の判断も加え、場合によっては第三者の判断も加えた上で、それを明らかにするかどうかを決めていこうということです。全体として、あまりにも公開するものが少な過ぎたという反省に立って、より公開を増やしていくという中で、しかし、最終的に明らかにできないものは残ると考えております。30年では駄目でも、40年後、50年後には可能になるというものも当然あると思います。
 それから、密約というものをどう考えるかと、今回のこの検証作業の中で、私(大臣)もいろいろ考えさせられることがございました。できればそういうものは無い方がいいと思っていた、時の総理もいらっしゃる。例えば佐藤総理は沖縄返還時に、その前の岸総理の改定安保締結時の朝鮮半島有事の際に日本に事前協議なくして出撃できるという密約について、これを何とか記者会見における発言に置き換えようと、そこでは事前協議があることを前提に、しかし、プロンプトリー・アンド・ポジティブリーに対応するという表現で置き換えようと努力をされました。これは恐らく、なるべく表に出ない密約という形は望ましくないという判断を、時の佐藤総理がされていたのではないかと私(大臣)は想像するわけであります。そういった様々な、今までの指導者も、国際環境の中でギリギリどこまでできるかということを悩みながら、従来どおり続けるか、あるいは形を変えるか、努力をされた形跡もかなりあるということであります。

【産経新聞 高橋記者】関連なのですけれども、事前協議制度についてお伺いしたいと思います。大臣は先程、今回の検証を日米安保体制をこれによって変更することはないというように仰いましたけれども、事前協議制度を経て、米国から核持ちこみを要請され、事前協議が行われ、日本政府が日本の安全保障上、核持ち込みが必要だと判断した場合は、核の持ち込みを容認するということはありうる訳でしょうか。

【大臣】先程来、繰り返しておりますように、非核三原則を守るという日本政府の考え方に変化はありません。それ以上のことは、これは仮定の議論ですから、お答えするべきではないと考えております。

【フリーランス 上杉氏】この密約に関してなのですが、国民共有の知的財産、この文書にも書いていますが、まさにその通りだと思うのですが、そうした公式文書の破棄に関わった者というのは、ある意味、日本の歴史の破壊者とも言えなくもないかと思うのですが、不正ともいえる大量破棄に関わった職員の処分というのは、今後、考えていらっしゃるのでしょうか。

【大臣】今のご質問も、ある程度、仮定に基づくご質問だと思います。そういう大量破棄というようなことが、現実にあったのかどうか、色々な噂があることは承知をしておりますけれども、意図的に廃棄するということがあったかどうかということは、まだ明確ではありませんので、そういう段階で、あまり仮定に基づいてお話をしない方がいいと思います。

【フリーランス 上杉氏】この文書の中に、「行政官庁における公式文書の大量破棄という事態を招いたことは、容易に推測できる」という文言があるので、それをもってして、先ほど質問をさせていただいたのですが。

【大臣】有識者委員会の報告書の中にそういう表現があるのは事実です。しかし、それは「推測される」ということでありますので、事実として、そういうことが明確になっている訳ではありませんので、現時点でまだ何か言うのは早いと思います。しかし、事実として、そういうことがもし明らかになれば、それは放置できない事態だと考えております。

【共同通信 井上記者】非核三原則についてお尋ねします。非核三原則を見直す考えはないと仰いましたが、「持たず、作らず」の部分は、原子力基本法やNPTで法的に担保されている訳ですが、「持ち込ませず」という部分については、寄港の問題も含めて、そういった制度がありません。今後、非核三原則の法制化を検討するお考えがあるかどうか、お聞かせ下さい。

【大臣】本日、私(大臣)がここに立っていますのは、過去の事実関係を明確にするという作業の結果を報告するために、今、会見を開いている訳ですけれども、政策的に何か変えようとか、そういう意図は私(大臣)にはございませんので、(非核三原則)法制化についても、従来、政府が答えてきたのと同じであります。法制化する予定は現時点ではございません

【TBS 樋口記者】大臣は、この調査を始めると発表した際に「まず事実を明らかにすることが先で、最初から外務省幹部を処分するなどということは、そこに支障をきたすので、そういう考えはない」ということを言われましたが、そういった考えに変更はないかということと、現在の幹部の中で、密約について、何人が把握していたかということを、大臣は把握されているのでしょうか。

【大臣】私(大臣)、そう言い方をした記憶はあまりないのですが、私(大臣)が事実を事実としてまず明らかにすることに専念すべきだというように申し上げたのは、その後のことを考えて、説明が大変だとか、政策の整合性が取れなくなるとか、いま質問に出ている非核三原則の話などはその1つですけれども、そういうことを考えていたのでは、事実を明らかにするという、矛先が鈍ってしまうので、ここは割り切って、まず事実をはっきりするということに専念すると申し上げた訳です。幹部の処分とか、そういうことの関連で申し上げた記憶は私(大臣)にはございません。

【TBS 樋口記者】後半の質問で、現在の外務省の職員の中でどれくらいの職員が、この4つの密約について、1つは(密約では)ないということですが、把握をしていたのかということは、大臣は報告を受けているのでしょうか。

【大臣】密約の把握ですか。

【TBS 樋口記者】或いは見つかった文書の存在だとか、そういった意味です。

【大臣】これは、今回徹底的に調査して出てきたものでありますので、そういったものが事前に分かっていたかどうかということは、必ずしも明らかではありません。ただ、例えば、その資料の1つ、東郷北米局長が作ったメモなどを見ると、事務方の中にも、それを承知していたということは伺われます。つまり、日本の解釈と米国の解釈が違うということを、少なくとも、大平外相とライシャワー大使の会談以降、そういうこと(事務方による問題の把握)がかなり一般化していたというように想像されます。どの範囲までというのは、なかなか、それは想像するしかないので分かりません。

【琉球新報 滝本記者】沖縄に関連する第3番目と4番目の密約、すなわち「沖縄の返還と有事の核の再持ち込み」の件と、「沖縄返還と原状回復補償費の肩代わり」の件ですけれども、この件に関する有識者委員会、或いは外務省の調査報告についての評価というのを、大臣はどのようにご覧になられるか、お聞かせ願います。

【大臣】有事の際の核の再持ち込みに関する密約でありますが、これは外務省には資料がないということで、調査時点、11月末の段階で見つからなかったという調査結果になっております。その後、佐藤信二氏が自宅から佐藤栄作元総理とニクソン元大統領のサインが入ったものが出てきたということで、事態が一変したということはご案内の通りであります。そのことを受けて、この有識者委員会の報告書の中では、その性格について、つまり、両首脳のサイン入りの紙の意義付けについて議論をしていただいた結果、これは密約とは言えないだろうという結論になったと承知をしております。これは、密約の定義に関わる問題で、少なくとも日本の場合には、外務省を始め、総理以外の政府関係者は関わっていなかった。したがって、将来にわたって拘束するものではないということで、密約ではないというように判断されたものだと思います。違う解釈も当然ありうるだろうというように思います。
 補償費をめぐる密約の問題については、報告書に書かれている通りでありますけれども、有識者委員会の方は、「広義の密約」という表現をされていたと思います。私(大臣)もそのように考えることもできると思います。ただ、国会答弁では、日本が出したお金をどのように使うかということは、米国政府の決めることであると明確に答弁しておりますので、ある意味では、それは秘密ではなかったとも考えられると思います。

【共同通信 太田記者】核の運用政策の問題に関わってくる話でございますが、先程頂いた調査報告書を拝見しておりますと、やはり大きなそういった日米間の齟齬が生じる一つの政策というのは米国のNCND政策、艦船上の核の存否につきましては否定も肯定もしないという、あのNCNDがあった訳でございます。大臣は先刻ご承知のことかと思いますが、NCNDは1957年のナッシュビルリポートを元にしまして、1958年に政策化されているということでございます。冷戦下において、対ソ連に対しまして核のターゲティング、これを複雑化させるための戦略であったということでございます。大臣は常日頃に「核なき世界」を標榜されておられるオバマ大統領の考え方にも賛同されておられますが、このNCND政策、冷戦時代の政策が「核なき世界」の障害になるのかどうか、もしも障害になるとお考えならば、米国とこの問題を協議される考えはございますか。

【大臣】私(大臣)は必ずしも障害になると思っている訳ではありません。この問題を考える時に、「核なき世界」を目指すという将来に亘っての理想と、現実に核が果たしている「抑止力」というもののバランスをどうとっていくかという問題だと思います。「核の抑止力」ということを私(大臣)は肯定しておりますので、その補強のためのNCNDという政策についても、これは米国の判断ですが、米国がそういった政策をとるということについて、理解をしているところです。

【朝日新聞 川端記者】沖縄返還の(有事の核)再持ち込みについてお尋ねいたします。有識者委員会の報告では、この再持ち込みについてだけ「必ずしも密約とは言えない」と結論を出しています。冒頭部分の定義について議論はあると思いますが、当時公表された共同声明の内容というのは、そういう再持ち込みを明記したものではありません。ある意味玉虫色かも知れません。しかし、今回発見された文書というものは、そこにかなり明確に再持ち込みを容認する内容となっています。冒頭の報告書の定義に照らしても追加的な権利を与える、(持ち込みを)認めることの善し悪しは別にして、追加的な権利を相手に与えうるというものにあたるのではないかと思うのですが、その点大臣はどのようにお考えでしょうか。

【大臣】今引用されたのは、有識者委員会の報告書で書かれたものですので、それは有識者の皆さんの考え方を是非聞いて頂きたいと思います。有識者委員会の報告書と外務省の報告書というのは、いくつか違う部分もありますが、これは一つにしなければいけないということではありません。結局は文書の性格、つまり両首脳間がサインをしたのだけれども、しかし、過去日本国政府としては承知をしていなかったということ、それにどれだけの拘束力があるのかという判断の問題ではないかと思います。常識的に考えると、両トップがサインした文書が一枚あって、それが何十年かぶりに発見されたということですと、これこそ「密約」だと、そういうように受け止められやすいかもしれません。いろいろな解釈があって私(大臣)はいいのだろうと思いますが、有識者委員会の結論としては、「これは密約ではない」というように結論づけたということです。

【共同通信 斎藤記者】先程大臣は、「現在、当時の核持ち込みに関する暗黙の了解が現在どのように関与しているか」という趣旨の質問に対して、「ブッシュ政権時の1991年の政策転換以来、日本に核は一時寄港という形で持ち込まれていたとは考えられない」という趣旨の発言だったと思います。そこでお伺いしたいのは、米国の政策変更によってそうした事態が起こっていないという現状があるにせよ、将来的にもし米国が再びその政策を何らかの形で変更してきた場合、その場合は問題が起きるのではないかと、理論的には考えられるのですが、この点についての受け止めと対処についてお伺いします。

【大臣】基本的に今の米国の核政策の方向性というのは、「核に対する依存を減らしていこう」ということだと考えております。核の目的というものを低下させていくという方向性にありますので、私(大臣)は仰るようなことが将来起こるというようには考えておりません。あとは、仮定の議論ですから、仮定の議論をあまりあれこれ言うべきではない、現時点ではそのようなことはないと申し上げておきたいと思います。

【日本テレビ 山見記者】核持ち込みで、1991年以前のことに関しては、現実にあったかもしれないという疑いを拭い去れないと仰っておりましたが、これを調べるお考えはありますか。或いは、「おそらくあっただろう」というような確証等はありますでしょうか。

【大臣】現在、外務省で承知している限り、そういった具体的な証拠はございません。

【日本テレビ 山見記者】今後お調べになるおつもりは。

【大臣】必要があれば、外務省が持っている資料の範囲で調べることは可能かと思いますが、おそらく出てこないであろうと思います。

【西日本新聞 齋田記者】今回の密約が明らかになったことと、政権交代が実現したこと、この関係についての大臣のお考えをお聞かせください。

【大臣】もちろん、政権交代しなくても、こういうことは出来たはずだと私(大臣)は思います。先ほど申し上げましたように、冷戦が終わり、そして米国の政策も変わった1990年代前半というのが、一つのチャンスだったと思います。しかし、それが変わらないまま、ある意味では国会答弁で事実でないことを歴代の総理や外務大臣が述べてきたということは大変残念なことだと思います。しかし、考えてみれば、政権交代というのは一つのきっかけでありまして、前任者と全く違う答弁をするというのは、なかなか大変なことでありますので、そういう意味では政権交代があったことが、こういった情報公開といいますか、事実を明らかにすることの追い風になったということは間違いないと思います。私(大臣)も国会で質問が出て、「そういう事実があるのか」と聞かれて、そこで答えざるを得ないという事態になる前にと考えましたので、大臣就任の日に調査を命じた訳です。

【朝日新聞 谷津記者】先程、(資料の)破棄についての質問が出ていました。「あったかどうかは明確でない」とすると、今後そこを明確にされるつもりはありますかというのが1点です。もう1点は、この話は決して過去の話でなくて、ごくつい最近まで「文書は無い」というように政権交代直前まで政府は答弁していた訳です。先程、似た質問が出ていましたが、現役の職員の方で、特にこの「東郷メモ」と言ったらよろしいのでしょうか、その存在について承知していた方というのはいらっしゃらないのでしょうか。そもそも、そのメモはどこにあったのでしょうか。

【大臣】「東郷メモ」自身は、説明した経緯を見ますと、最後は1990年位、確か海部総理、中山外務大臣までは回覧されてきたと思うのですが、それ以降、ありません。ですから、それ以降については、果たして、歴代の外務大臣や総理に(東郷メモを)説明したのかどうかというのは、このメモからは明らかではありません。どこから出たのかというのは、個別の話ですから申し上げるつもりはありません。しかし、このメモが出てきたことは、私(大臣)は今回の調査を行うにあたって、「非常に良かった」と言うとおかしいですが、事実関係がこれでかなり明らかになったと思います。資料の破棄の話は、そういうことが事実として明確になれば、それはやはりあってはならないことだと思いますので、事実関係について、そういったことがかなりの可能性を持ってあったということであれば、調査をしなければならないと思います。現在、まだそれは推定といいますか、想定の段階だというように考えています。

【朝日新聞 谷津記者】その可能性が高いかどうかをお調べになるつもりはありますか、という質問です。

【大臣】可能性が高いかどうかというのは、ある程度、客観な手法が必要です。現在のところ、そういうようには考えておりませんが、必要性があるなら調査をしたいと考えています。

【J-CASTニュース 亀松記者】先程、核持ち込みのことについて、以前、「実際に核の持ち込みがあったかどうか」ということについて、「必要があれば調べることは可能である」というようなお答だったのですが、3月7日の毎日新聞で報道されたところによりますと、1966年にライシャワー駐日大使がいた時の特別補佐官のジョージ・パッカード氏が「1966年の少なくとも3ヶ月間、岩国基地の沿岸部に核兵器を保管していた」という証言をしたという報道がなされています。「これはもう、通過とか寄港を超えるものであるというような評価だ」と報道ではなされているのですが、こういう報道が実際にあり、かつ具体的に元特別補佐官だった方が証言しているということですので、これは先程の「必要がある」ということに該当するのではないかと思うのですが、この具体的事実についてお調べになるというお考えはありませんでしょうか。

【大臣】今回、全体について、先程言いましたように、膨大な資料について、全体スクリーニングして、関係書類を特定していますので、仰るようなことがあれば、それは分かるはずだと思います。ですから、外務省にはその資料はないというように判断しておりますが、具体的な案件について再度調査するということは、必ずしもできない訳ではないと思います。ただ、その話も、私(大臣)が記憶している限り、ライシャワー駐日大使もその事実を知って、確か激怒したとか、というようなことだったと思います。ですから、米国を代表して日本にいる大使が「たまたま知った」ということだとすると、それは日本国政府に全く分からないところで、そういうことがあったのかもしれません。いずれにしても、そういうことになると日本としては確かめようがないということになると思います。

【共同通信 太田記者】先程の朝日の記者の質問の関連で、(資料の)破棄の問題です。理解力が不足しているのかもしれませんが、大臣は「客観的な事象があれば(資料の)破棄について調査される」ということだったかと思うのですが、その客観性というものは、現前にある事実について判断されなければいけない訳です。現在、手持ちの事実でそういうような調査が必要というお考えかどうかというのが第1点です。手元に事実が無いのなら、追加調査が必要な訳です。そうしないと、客観性が出てこない訳です。この点にはついてはいかがお考えですか。

【大臣】具体的な、どういう場合にどういう廃棄をしたのかということがないと、漠然と調査をすると言っても、これはできませんので、もう少し特定がされれば、そのことについて関係者から話を聞くなど、そういうことができるかと思います。

【共同通信 太田記者】そういたしますと、現時点では「具体的な情報はない」ということでよろしいですか。

【大臣】いろいろ書かれたものは目にしますけれども、私(大臣)自身が確信を持って、「これは事実で多分こういうことがあったのだろう」と思えるだけのものは、今の時点ではありません。

【共同通信 太田記者】廃棄簿の調査などをするつもりはありますか。

【大臣】廃棄簿は保存が5年です。ですから、5年の範囲ではそういうものは特に見当たらないということです。

【毎日新聞 倉重記者】今回の調査結果を基に、米国に対して何か物申すということがあるのかどうか。要は、核持ち込みについて、基本的に認識の差が明らかになって、トランジットに対する解釈の差があって、それは暗黙に合意として認めていたものが明らかになった訳です。ところが、「これからは非核三原則の中にトランジットもきちんと入れるから、トランジットも認めない」という日本政府の新しい態度を明確にされたということは、これまで暗黙の合意として認めていたものを、政府の調査結果を基にした大臣が、こういう形で発言されるというのは、ある意味では日本政府の政策の変更と受け取られる可能性もあるものだと思うのですが、それは向こうにどう取られるにせよ、そういう重大な一つの調査結果に基づいた政府の指針について、米国に対して何か物申されるこがあるのかどうか、要は、密約の効果がいつまで続くのかということにも繋がっていくということです。

【大臣】今回、「日米の考え方が違う」ということが明確になったということでありますが、日本政府としての政策は変わっておりません。ですから、そのことが何か障害になるとは考えておりません。

【毎日新聞 倉重記者】米国に対して何か物申されるということは。

【大臣】「物申す」ということの意味がよく分からないのですが。

【毎日新聞 倉重記者】日本政府ではこういう調査をしました。こういう結果が出ました。非核三原則について、トランジットも認めませんということを改めて。

【大臣】「従来の政府の考え方は変わらない」ということは、米国側にもその旨述べてあります。

【毎日新聞 倉重記者】述べてあるということですが、今回これだけの大変な調査をした結果を伝えるつもりはないということですか。

【大臣】必要に応じて、米国側とは意見交換をしております。

【琉球新聞 滝本記者】先程、私が質問させていただいた沖縄密約の2件についてのフォローアップです。まず、核の再持ち込みについての部分については、大臣の評価は、有識者の皆さんの結果は出ているとのお話が出てましたけれども、そのことについて大臣はどう思われるのか、大臣はどのようなお立場なのか、ということを確認したかったということなのです。

【大臣】これは、外務省の調査では何も書いてありません。まだ佐藤信二さんの重大な資料が出てくる前でしたから。ですから、そういう中で私(大臣)が自分の意見を言わないほうがいいと思います。ただ、外務大臣ということを離れてみると、「これこそ密約ではないか」という感じがしない訳でもありませんけど。それは密約の定義に関わるものであります。

【日本テレビ 小栗記者】核の持ち込みについてですが、先ほどから大臣は、「将来的にもこの核の持ち込みがあると思っていないし、仮定の質問にはお答えしない」ということですが、そうした不測の事態に対応していくということも外交の大きな仕事かと思います。その観点からこの問題について政権として改めて協議する、或いは確認するということをされるおつもりはありますでしょうか。

【大臣】先ほど申し上げたとおりです。非核三原則を変えるつもりはございません。仮定の問題をに答えるべきではないと思います。

【日本テレビ 小栗記者】改めて政権として確認するというような作業をされることもないということでしょうか。

【大臣】何を確認ですか。

【日本テレビ 小栗記者】「非核三原則」、或いは「事前協議の位置付け」について、改めて政権内で確認するということをされるおつもりはありませんでしょうか。

【大臣】政権内というのは。

【日本テレビ 小栗記者】外務大臣を含む、鳩山政権として非核三原則をそのまま守るということを確認するということをされるおつもりはないでしょうか。

【大臣】総理はこの間、何度も「非核三原則を守ります。堅持します。」ということを公にされているところであります。最初は国連総会における鳩山総理の発言です。国会でも何度も答弁されています。

【週刊朝日 諸永記者】有識者委員会の報告書の中でも、文書の欠落が指摘されておりまして、先程、岡田大臣も核持ち込みについて、「文書がないので、日本政府として確かめようがない」というような発言をされています。多くの文書がないという指摘を受けて、自分の国の歴史に何があったのかということを十分に確認、認識できないという部分がいくらかあるように見受けられます。このことについて、大臣はどのようにお考えでいらっしゃるでしょうか。

【大臣】今の話で、核の持ち込みというか、先程おそらく岩国基地の話を言われたと思いますが、これは(文書が)なくなったというより、元々ないというように推定されます。ですから、そこは意味が違うと思います。それから、外交文書が欠落しているというのは資料管理の悪さもあるということでありますので、それはきちんとシステム化して、後世の批判に耐えうるような、そういうものにしていかなければいけない。情報開示をきちんとする、一定期間30年経てば基本的にはオープンにするということは、私(大臣)は民主主義の根幹に関わる問題だと思います。それを十分やってこなかったということは反省されるべきだと思います。

【朝日新聞 武田記者】核持ち込みのことで何度か出ている質問の関連ですが、これまで、「一時寄港は持ち込みにあたらない」という米国の解釈があって、やはり持ち込まれた可能性が高いと思いますが、とりわけ米軍の寄港を受け入れている自治体とその住民の皆さんにとっては、「過去、一体何だったのか」と、そこがはっきりしない限り、これから基地を受け入れるかどうか、「説明がないと」という方もいらっしゃると思いますが、この問題で外務省には資料がないということですが、米国側に照会をかけるということが可能と考えられておられるかどうかということと、そのご意志があるかどうか、伺えればと思います。

【大臣】先ず、今の「核の持ち込みの可能性が完全に排除できない」というのは先ほど申し上げたところでありますが、それは1990年以前の問題、米国の核政策転換前にそういう可能性があったということであって、その多くは自民党政権でありますので、私(大臣)から見ても、それは極めて不本意なことです。そして、地元の皆さんに対しては、そういった不安感を抱かせたことについては申し訳ないことだと思います。しかし、それ以上のことは私(大臣)の立場で申し上げにくい訳でありまして、むしろ時の政権に聞いて頂くしかないということだと思います。米国側に改めて問い合わせるかどうかということについては、先ほどのNCNDという米国の政策もありますので、それは聞いても答えは返ってこないというように思います。

【琉球新報 滝本記者】沖縄の密約に戻ります。原状回復費用のことですが、これで文書が見つからなかったということについて、先ほど来、文書破棄のことについてもありましたが、一方で米側で文書が見つかっているというので裁判にもなっていますけれども、この文書が当の外務省でどうなったのかということについて、今後改めて調査というか、この文書のあり方について調査されるおつもりがおありでしょうか。

【大臣】なかったものはなかったとしか言いようがありません。これは全体的に資料の欠落は一部ある訳ですから、そのことについて今私(大臣)に聞かれても、それはお答えのしようがないということです。

【琉球新報 滝本記者】まさに、具体的に調査する理由になるのではないでしょうか。

【大臣】それを、当時の(関係者が)どれだけお元気でいらっしゃるかという問題もありますが、それを調査するというのは、私(大臣)には現実的なことだとは思いません。

【フリーランス 岩上氏】大臣は大事なことを3点仰っております。第1点として、過去も今もこれからも密約、機密はありうる。それから第2点として、今回はその過去の密約について時間の経過と共に公表しても良いと判断したものについて公表したということ。3点目、非核三原則は今後も守るという断言です。ということは、過去の密約は刷新して、公表してクリアにして、きれいになった上で、このような非核三原則という建前を裏切るような密約はないというように仰っているようにももちろん受け止められます。同時に、この公開されていない直近の間に、交わされた密約、公表されていない密約が存在しているかもしれないし、また今現在新たな密約があるかもしれないと、しかしそれは公表できないと、機密はあるものだと仰っていますから、だからここでは非核三原則は守るという建前を仰っているという、合理的な疑いが論理的に考えてもありうるなというように思います。産経新聞の方が先程、厳しい国際環境の中で、これはその核の密約をしたというのは、苦肉の策だったというように仰っていましたけれども、今も、或いはこれから先もこうした形で、苦肉の策で非核三原則は守ると言いつつも、実はまた別な形で現実に即した密約というものが、日米間で結ばれている、もしくは結ばれる可能性があると疑うことができるのですけれども、「仮定の質問には答えられない」とお答えされてしまうかもしれませんが、是非ともお答え頂きたいと思います。

【大臣】何と言いますか、言葉の定義の混乱が見られると思うのですけれど、密約の話と機密の話は違います。ですから、外交に機密は、それは場合によっては止むを得ない場合があるということで、全てが直ちにオープンにできるという訳ではありません。しかし、密約というのは、それを越えて単に事実を明らかにしないというだけではなくて、事実とは違うことを積極的に述べるということですから、そういったことは過去のいろいろな状況を考えれば、当時のその指導者の苦渋の選択として、そういうことが止むを得ない選択としてあった、私(大臣)はだから一方的に断罪すべきではないと思いますけれども、しかしそういうものは望ましくないということは当然前提です。

【フリーランス 岩上氏】そういう点を先程明らかにしたいと思いまして、機密と密約の違いは、どういう定義になるかという御質問をさせて頂いたつもりでした。機密があるけれども、その現実とは違うことを積極的に述べることが一種の密約の問題であるというご説明でしたけれども、もう一度重ねてお聞きしたいのですが、非核三原則を守るというように強くはっきり断言されている訳ですから、現時点においてこの言葉を裏切るような形での密約というようなものは存在しないと断言できるのでしょうか。

【大臣】それはできます。

【中国新聞 岡田記者】核持ち込みの関係で、核密約が結ばれた背景に国民の反核感情があるということも有識者委員会の中で報告されていますが、結果として、人類は核兵器と共存できないと言い続けてきたその被爆者の思いに反する事態があったかもしれないということになると思うのですが、この点について大臣の受け止めをお聞かせ下さい。

【大臣】それは先程申し上げたと思います。まず一つは、それ(核の持ち込み)があったと言っている訳ではなくて、論理的にその可能性が排除できないということを申し上げている訳です。解釈が違った訳ですから。そして、それはもちろん日本は非核三原則ということを日本の重要な政策の柱として唱えてきた訳ですから、その事実に反するようなことが仮にあったとしたらそれは極めて遺憾だというように思います。

【TBS 樋口記者】大臣も冒頭に仰ったとおり、今回前例にない規模で同時に資料も公開されたと仰いましたけれども、今回調査報告書だけではなくて、併せてこれだけの資料も併せて公開しようということになった経緯、これは大臣の強い意向なのか、あるいはどういうプロセスだったのか、省内に抵抗はなかったのか、そういったことをお聞かせ下さい。

【大臣】この問題に関しては、省の中で、事実を徹底的に明らかにしようというコンセンサスができあがっていたと思います。別に私(大臣)が無理にそうしたのではなくて、当然のことのように、やはり調査報告書を公表するにあたりバックグラウンドになった事実については、少なくとも出そうということで、外務省の中で合意ができたということであります。

【毎日新聞 倉重記者】核の持ち込みについて、1991年以降オープンにできなかったことは非常に遺憾だと、まさにそのとおりだと思います。しかし、その前の大平さんの時代には、相当な程度までオープンにしようとする動きもあったし、あるところまで行ったということを考えると、一体その後、それだけの機会がありながら、また環境がありながら、なぜ長い間秘密にせざるを得なかったのか、非常に大きな疑問を抱くのですが、その時足りなかったことは、政治家の勇気なのでしょうか、それとも官僚の歴史に対する誠実さが欠落したのでしょうか。一言で言うとどうお感じになられますか。

【大臣】これは基本的に、リーダーたる外務大臣や、或いは総理大臣の問題だと思います。もちろん、政権交代のない中でより困難であったということは間違いないと思います。大平さんもいろいろと考えられたけれども、結局、周りが止めた訳です。様々なリスクを考えれば、そういう結果になってしまったのだろうということだと思います。ただ、私(大臣)は、あの時の大平さんがそこまで何度も、何か車の中でつぶやいたという話も聞きますが、そこまで思いつめてお考えになったと、悩まれたということには心から敬意を表したいと思います。

【J-CASTニュース 亀松記者】密約の1番目の点について、細かい点で、もう何回か質問に出ている件なのですが、もう一度確認させて頂きたいと思います。安保改定の際に、核持ち込みについての密約があったのではないかという点ですが、それについて、検証委員会の判断では「狭義の密約はなかったけれども、暗黙の合意という広義の密約というのはあったのではないか」という認定になっていました。それが今どうなっているかという点については、先ほどの大臣のお答えですと「1991年以降の米国の政策変更によって、今、具体的に問題になることではない」というような答えでした。ということは、現在はその暗黙の合意というのは、もう拘束力は持っていないという解釈をされているということでよろしいのでしょうか。

【大臣】暗黙の合意というのは、お互いがどうも解釈が違うということに対しての暗黙の合意なのです。有識者委員会の結論は、正確に言いますと「その暗黙の合意が安保改定時にできあがりつつあった」と、そこは「暗黙の合意の萌芽があった」との言い方なのです。その後、大平・ライシャワー会談のときにはっきりと、ライシャワー大使から米国の考え方を示されて、そこで米国の考え方がはっきりと分かったにも関わらず、その後も日本政府は不誠実な答弁を継続してきたということであります。従って、最初から、その暗黙の合意があったというように必ずしも言っていないのです。その萌芽があって、次第にそれが形成されてきたということであります。今回、そのことがお互い解釈が違うということが明確になりましたので、もうそのようなものは、もちろんない訳であります。

【フリーランス 上杉氏】文書の破棄についてですが、先ほど大臣がこの会見の冒頭で、文書管理本部を設置されたと仰いましたが、これについては、例えば、破棄についても関わるのか、その決裁方法とか、或いは外務省のいわゆる文書管理規則とどう整合性があるのかということも含めて、今後その本部がこの破棄をどういうように取扱うのかということを現時点で分かったことをお聞かせ下さい。

【大臣】文書管理のあり方については、改めてこの本部で議論を行って、今、内規のような形であるものについて、きちんとより明確な形でルール化しようと考えております。廃棄の話はこの本部と直接係わる話ではなくて、本部はこれからのことでありますので、そういう事実がかなり明らかになってくれば、それはそれとして、むしろ政務レベルを中心に対応しなければいけない問題だというように考えております。現時点ではそこまでいっていないということです。

【琉球新報 滝本記者】原状回復費の肩代わりの件ですが、この文書の件は先ほどお伺いしましたけれども、ずっとこの密約はなかったとの説明で今まできて、沖縄県民の沖縄返還にともなう原状回復は米国が払うとされたものが、日本が払っていたということを確認されたということになると思うのですが、それで今まで答弁してきたことと、沖縄県民、この件に関しては新聞記者の西山さんも裁判に絡んでいましたけれども、西山さんに対して、或いは沖縄県民に対して外務大臣としてこの密約の存否について、どのようにお考えかということをお伺いします。

【大臣】西山事件と呼ばれるものは、これそのものではないです。そして、我々の調査の結果は、これは外務省の調査の結果ですけれども、その議論の要約というのは、先ほど言いましたとおり、「発見できなかった」ということであります。そして一方で、現状回復保障費の400万ドルの支払いの問題について、大臣に「書簡を出せ」と米側から強い要請があった訳ですが、それについては「ノー」ということにしました。最終的にこれは当時の大臣の判断によって、そういうものは出さないということを決めたというメモが発見された訳であります。あと、国会答弁の中でも、従来、現実に支払われた3億2000万ドルについての使い道については、米国政府に委ねられているという答弁もしておりますので、外務省の意見を聞かれれば、これは必ずしも密約と言える事態ではなかったのではないかと、そういうようにも考えられます。

【琉球新報 滝本記者】先ほどの広義の密約という有識者委員会の判断には、大臣個人としては、そのようにも思うというように仰られたかと受け取っておりましたけれども。

【大臣】外務省としての意見を聞かれれば、今、申し上げたとおりです。そこはいろいろな考え方の幅があるのだと思います。

【朝日新聞 谷津記者】もう一度、文書破棄の件についてです。有識者委員会の報告書の、例えば45ページ、或いは105ページ。105ページの方をそのまま読みますと、「多くの文書の欠落については、今後何らかの調査が必要であろう」と具体的に提言というか指摘されていると思います。そうすると、先ほどの大臣のお答えをお伺いすると、この指摘については宙ぶらりんになるということでよろしいのでしょうか。

【大臣】有識者委員会でご提起頂いたことについて、精査をしながら必要に応じて、先ほど言っていますように、事実がはっきりすれば、これは調査をしますが、まだそれを確信させるに足る事実の提起はないということであります。過去のかなり昔に廃棄されたものについて、今、調査をしたとしても、それはどこまで明らかになるのかという問題も当然あると思います。もう少し特定されないと、なかなか実際に調査をするというように断言することは難しいと思います。別に私(大臣)は否定している訳ではありません。

【朝日新聞 谷津記者】特定するのは、どちら側に誰に特定する義務というか、それがあるとお考えですか。

【大臣】それは事実関係が明らかになってこないと、闇雲に行うわけにはいかないと思います。

【NHK 禰津記者】これまでの歴代の自民党政権への対応について、どうお考えになっているのかということについてお伺いします。報告書でも「歴代政権が嘘を含む不誠実な説明をしてきた」と指摘していますし、大臣も先程から「極めて遺憾だ」というようなことを仰っていますけれども、今後、これまでの自民党の歴代政権について何らかの対応というものは考えていらっしゃるのかどうか、その辺についてお伺いできますでしょうか。

【大臣】先程申し上げましたように、これは極めて遺憾だというように思います。ただ、例えば、先程言いました岸総理が当時置かれた状況の中で、事前協議制度というものを米国側と協議の結果、作りました。私(大臣)はそれは従来の安保条約と比べて見た時に、それは大変な努力の中でよくここまでできたというように思っております。それを作っていく中で、何らかの例外を設けざるを得なかったということで、先程の朝鮮有事の際の問題とか、そういったことが、言わば、事前協議制度を勝ち取る過程でそういうものに穴を開けざるを得なかったということで、それは私(大臣)が当時の岸総理の立場にあれば、完璧にそれができたかというと、恐らくそうではなかったと思いますし、私(大臣)は当時の岸総理は独立してそう時間も経ってない中で、よくあそこまでやられたというように思う訳です。先程言いました佐藤総理が沖縄返還時に、それを事前協議を前提にしたステートメントで置き換えようとしたという努力に敬意を表する訳であります。ですから、あまり一方的に断罪しないほうがいいと思っております。

【NYタイムズ マーティン記者】半年続いてきた調査の結果が、今日出まして、大臣はやって良かったと思いますか。その成果をどう評価しますか。特に、今の日本の民主主義にとっては、この結果はどういう意味を持ってますでしょうか。

【大臣】やって良かったかどうかと言われれば、明らかにやって良かったと思います。事実が明らかになったと、ずっと今後も事実に反する答弁を時の総理や外務大臣が続けたとすれば、それは政治に対する信頼感、或いは外交に対する信頼感が更に失われていったと思います。そういう意味でやって良かったと考えております。そして、事実を明らかにするということは、民主主義にとって最も基本的なことでありまして、後に明らかになるからこそ、その時に後世の批判に耐えないような判断というのはできない訳で、そういう意味でも、今回密約なるものが明らかになり、そして今後、より情報公開というものに積極的な政府になるということは非常に意味のあることだと思います。もう一つだけ付け加えさせて頂きますと、やはり、いろいろな事実が、歴史ですから、あると思います。米国は米国の情報公開制度に基づいて、いろいろなことを明らかにしてきた訳です。日本はそれを否定して、そういうものは無いと。しかし、今回明らかにしたことで、より立体的に物事を見ることができるようになったと思います。米国が明らかにしてきたことと、日本の中に若干違う部分があると思います。例えば、大平・ライシャワー会談の中で、大平さんは「イエス」と言ったというような、詳しいことは忘れましたが、そういう米国での伝わり方、しかし、日本側では必ずしもそういうことではなく、もう少し曖昧さを残した対応であったと、そういう一つの事実を受け取る側によって微妙な違いというのは出てきますので、そういうところをお互いが明らかにすることで、より深みのある解釈というものが可能になってくるということではないかと思います。

米軍再編問題
【フリーランス 岩上氏】普天間問題の進捗について、少しお尋ねしたいのですが、6日だったと思いますが、超党派の沖縄の米軍基地問題議員懇談会委員の川内ひろし民主党議員が首相官邸に行かれて、「2014年までにグアムに移転するけれども、それを明確にする代わりに、現在の普天間を移動させない。現状維持のまま2014年まで固定化させるという案はどうか」というように提案したという話がありました。それから7日に、キャンプ・シュワブ陸上案について、小沢幹事長が「県議会が全会一致で県内移転は駄目だと言っているのに、この県内移転ということは考えられない」ということを与党幹部に申し入れたという話もあり、キャンプ・シュワブ陸上案というのは、これは難しくなるのではないのかなというような憶測もあります。一方で現状固定、一方で県外という話が出ておりますが、今後、この問題は、どのように進展しそうでしょうか。この2点についてお聞かせください。

【大臣】私(大臣)の承知している限りでは、小沢幹事長の発言はそういうことを言っておられないと、自ら否定されたというように聞いております。いろんな方がいろんなことを言われるんでしょうけど、今、政府として平野官房長官の下に検討委員会を作り、そこで一元的に議論しているという状況であります。

【フリーランス 岩上氏】川内提案についてのご評価は。

【大臣】いちいちコメントは致しません。

【琉球新報 滝本記者】今の普天間に関連してですけれども、昨日、検討委員会の方に社民・国民新党のそれぞれ移設案の提案がありました。今後、対米交渉の(担当は)、以前からお伺いしている中では、当然外務省、外務大臣が行われるというようにお伺いしたかと思いますけれども、官房長官が行われるのかというような情報もあったりで、改めて今後の政府案策定に向けた米国側との交渉ということについての窓口というのはどういうようになるのかということを教えて頂きたいのですが。

【大臣】米国政府との交渉を、いつ段階で行うことになるのかは、まだ決まっておりません。政府として、まず案を固めることが先だと思います。ただ、いざ米国と政府と交渉するということになれば、外務省が中心になるということは当然であります。いろいろなメディアがいろいろな想像で様々なことを書いておられますけれども、政府としての考え方は一貫しているというように思います。

【琉球新報 滝本記者】今仰っていただいた部分で、ということは、「まず政府案を決めて、対米交渉をする」と正に仰られたと思います。改めて確認ですが、政府案を決める段階で、米国側の意見も、運用可能性というようなことで参考に意見を聞きながら、実際に使うのは向こうだということで、その意見を入れながら、政府案を決めていって、更にハイレベルな部分での交渉に入るんだというような考え方もあると思いますが。

【大臣】私(大臣)は今、私(大臣)の記憶では、「決めた」という表現は使わなかったと、「固めて」と言ったと思いますが。そこは、微妙な幅を持たした言い方をしたつもりであります。

東シナ海の油ガス田(白樺)
【香港フェニックスTV 李記者】中国の楊潔チ外相が全人代の記者会見で、東シナ海に関して、「中国は消極的ではなく、十分積極的だ」というように話しているんですが、大臣のお考えを聞かせてください。また、大臣は「日本が国際法廷への提訴も辞さない」と表明しているのですけれども、この考えは現時点では変更ないでしょうか。

【大臣】まず、私(大臣)が申し上げたのは、対抗手段をとるというように申し上げたのであって、それ以上具体的なことを申し上げている訳ではありません。楊潔チ外相とのやり取りの中で、「白樺」(「春暁」)ですが、これに対しての開発ということが単独で進むということになると、それはいろいろな対抗措置を執らざるを得なくなりますと申し上げた訳であります。楊潔チ外相の今回の発言は、非常に私(大臣)は勇気づけられました。積極的にやるということであれば、是非、ともにしっかりと、日中両国政府で合意した、その合意に基づいて前に進める努力をともに行っていきたいと思っております。

【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読します。今のご質問に関連してなのですが、1月19日の会見で大臣が言われた「レベルを上げての議論」ということに今後つながるとお考えかどうか、ご見解をお聞かせください。

【大臣】私(大臣)としては、そのことを期待をしております。積極的にハイレベルで議論できれば良いと思います。




TOP