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2010.03.12|記者会見

外務大臣会見記録(平成22年3月12日)

外務大臣会見記録(平成22年3月12日(金曜日)15時00分~ 於:本省会見室)

○冒頭発言
(1)ミャンマー情勢(総選挙関連法)について
○ミャンマー情勢(総選挙)
○調査捕鯨(シー・シェパードの船長逮捕)
○日露関係(北方領土のビザなし交流)
○いわゆる「密約」問題に関する調査
○米軍再編問題
○気候変動問題(地球温暖化基本法案)
○APEC及びG20
○沖縄県うるま市での米軍車両による交通事故
○米「旅行促進法」

冒頭発言
(1)ミャンマー情勢(総選挙関連法)について

【岡田大臣】私(大臣)からはミャンマー情勢について一言。8日にミャンマーで成立された総選挙関連法ですが、なかなか読み方は難しいですが、禁固刑に服している者が政党のメンバーになることはできない、立候補もできないと規定されております。アウン・サン・スー・チー女史の自宅軟禁がこれに該当するのかどうかということは明確ではありませんが、その可能性は排除できませんので、もしそういうことであれば極めて遺憾だと思います。この点につきましては、ミャンマー政府に、その意味するところを明らかにするように、現地の大使に、政府に接触をして、(話を)聞くように指示をしたところであります。いずれにしても、せっかく総選挙が行われ、これが開かれたものになるかどうかということがミャンマーの将来を大きく左右する訳でありますので、多くの国際社会を受け入れることができる、そういう法律、そしてその運用を是非お願いしたいと思っております。その回答如何によっては、次のアクション、対応も政府として考えていかなくてはならないかもしれません。外相とは2回会談を行っておりますし、首相が日本に来られた時に、首相とも、私(大臣)も表敬をしてお話をして、その時にもお伝えしておりますが、是非この際、開かれた選挙ということが、いかにミャンマーの将来にとって重要かということを考えていただいと思っております。

ミャンマー情勢(総選挙)
【朝日新聞 五十嵐記者】ミャンマーについてお伺いします。今、大臣は「ミャンマー側の回答次第によっては更なる対応を考えなければいけない」と仰いましたけれども、具体的にどういうことを考えられているのかということが1点。法律の中にNLD(国民民主連盟)が再び政党として登録するためには、60日以内に選挙に参加することを決めなければいけないということで、日本政府もある程度、働きかけに期限を切られたような格好になったと思いますけれども、大臣を含めて、どのような外交努力を具体的になさるのかを教えていただければと思います。

【大臣】「もし」という、仮定の議論で先の話をしない方がいいと思います。そして、60日以内にというのも、単なる申請・登録ということであれば、そう窮屈な話ではないかもしれませんが、アウン・サン・スー・チー女史の扱いが決まっていない中で、NLDに判断を迫るというのは、それはなかなか困難を強いることにもなると。したがって、アウン・サン・スー・チー女史の扱いが早期に明らかになれば、60日以内ということはそれなりの合理性があると思いますが、そういったことで、最初の問いに対する答えをきちんと出していただくことが重要ではないかと。もちろんアウン・サン・スー・チー女史が立候補するかどうか、これはご本人なり、政党のNLDが決めることでありますけれども、そもそも有資格であるのかどうかということを、明確にする責任がミャンマー政府にあると思っております。

【読売新聞 川崎記者】もう一度、今の質問の確認ですが、「更なる対応」というのは、具体的に大臣の念頭に考えていらっしゃることがあるのかどうか。

【大臣】答え次第ですので、その先のことまで言うのは、若干外交儀礼上如何かと思います。

調査捕鯨(シー・シェパードの船長逮捕)
【NHK 禰津記者】先程、反捕鯨団体のシー・シェパードの船長が例の件で逮捕されましたけれども、今回のシー・シェパードを巡って、オーストラリアや関係国といろいろ協議されたり、また、抗議されたりしていたと思いますが、改めてこの逮捕を受けまして、大臣の受け止めについてお伺いできればと思います。

【大臣】本日、艦船侵入容疑で東京海上保安部が逮捕したと聞いています。それ以上にこの逮捕の件は、これから起訴されるかどうか、司法手続きに入っていくかどうかということでありますので、今私(大臣)がこのことについてあまりコメントしない方がいいと思います。シー・シェパードの我が国の調査捕鯨の妨害行為が非常に悪質であるということは、何度も懸念を表明し、オーストラリア政府とも議論をしてきたところであります。そして、今回ニュージーランド人の船長が逮捕されたということでありますので、あとは司法手続きに従って粛々と進んでいくことになるだろうと予想します。

【フリーランス 岩上氏】関連して、シー・シェパードのメンバーの逮捕の件について、非常に確信犯的な妨害行為であると思いますし、殊更に政治問題化しようという意図も明白な人達であろうと思います。その取り扱いは非常に慎重でなければならないと思いますが、これを機会に取り調べの過程を可視化するというようなお考え、もしくは当局に対しての申し入れをするお考えはおありでしょうか。

【大臣】そこに結びつくとは予想外でした。逮捕された船長の扱いについては、在京ニュージーランド大使館代表からご本人にも連絡を取ったり、それから、恐らく本日、在京ニュージーランド大使館の総領事が、逮捕された船長に接見予定と聞いております。適正な手続きを経て、裁判を進めることを期待したいと思います。突然にそこだけ全面可視化というのは、如何かという感じがします。それは制度論として論ずべきことであると思います。

【読売新聞 川崎記者】今回仮に起訴されて、裁判になりまして有罪になったとしても、シー・シェパードの妨害活動そのものを封じ込められるかどうかというのは別問題で、依然として存在すると思います。結局、航海上での取り締まりが船籍国でないとできないという実情は変わらない訳でして、今後、妨害活動を止めさせるためには、どういうことができるか、或いは、やはりこれは難しいのか、その辺についての大臣のご見解をお聞かせください。

【大臣】今回逮捕された船長は、第二昭南丸と衝突事故を起こしたアディ・ギル号の船長でありますので、これは私(大臣)がコメントすることではありませんが、その件についても、海上保安庁が適正に捜査を行うのではないかと予想しているところであります。捜査の結果どういうことになるかということは、それは先の話ですから、そのことを一定の方向性を持って言う訳ではありません。

【読売新聞 川崎記者】もう一度質問させていただきますが、この件とは別個に、今後、シー・シェパードの妨害活動そのものを止めさせる、封じ込めるためには、どういうことが考えられるのか、或いは、それは困難であるのか、この辺について大臣のご見解をお伺いしたいと思います。

【大臣】国籍のある国に対して何らかの対応を求めるということは、当然考えられます。私(大臣)が承知している限り、そのうちの一つの船は無国籍になった状態だと思いますが、国籍があるのとないのでは、その船に対する保護の状況が変わってまいりますので、国籍を持っている船に対してはきちっと取り締まりをお願いする、或いは国籍があることそのものについて問い合わせをするというようなことも考えられるかと思います。
 いずれにしても、今回は、妨害活動は終わったと彼らは主張している訳ですから、次回までにはIWCでの議論で何らかの変化がある、或いは訴訟に持っていくとオーストラリア政府は言っている訳ですが、その進展も見られるかもしれません。そういったことも見極めながら、次回の予想される妨害活動について、備えなければいけないと思います。

日露関係(北方領土のビザなし交流)
【北海道新聞 島田記者】北方領土のビザなし交流の件ですが、ロシア側が対話集会を中止する意向を表明したり、入港税のことを持ち出すなど、かなり強硬な姿勢を見せているのが伺えますが、その点に対しての大臣の見解と、今後の政府としての対応を教えてください。

【大臣】入港税を課すということは、我々から見ると、それは適切なこととは考えられませんので、そういったことについて、外交ルートを通じてよく話をしていかなければいけないと思っております。いずれにしても北方領土との交流というのは、両国政府で推進していく大きな方針は確認されている訳でありますので、その阻害要因になるようなことはお互いに避けるべきだと思いますし、我々、外交ルートを通じてそのことをロシア側に主張していきたいと思っております。

いわゆる「密約」問題に関する調査
【朝日新聞 東岡記者】密約に関してお尋ねします。政権交代前の政府の立場は、今回調査対象となった四つの密約について「いずれも存在しない」という見解を表明していました。今回、外務省が調査チームに調査をさせ、報告書が纏まり、その上で有識者委員会が調査をして報告書がまとまりました。その上で、現在調査対象となっている四つの密約について改めて政府として、(密約が)あったのか、なかったのか公式見解をお尋ねします。

【大臣】公式見解という形では特に報告書の中でも出しておりません。事実関係について明らかにし、あとはそれをどう評価するかという問題です。有識者の皆さんは一定の推論も交えて、そして学者としての見識を持って「狭義の密約」、或いは「広義の密約」、或いは「密約とは言えない」と、それぞれ四つのケースについて結論づけられた訳です。我々は政府でありますので、推論とか、そういったことはなるべく避けるべきで、事実関係については明確にしましたが、それをもってどう解釈するのか、どう読むかということは私(大臣)は、今回の有識者委員会の結果が一つではありますが、違う解釈もあるかもしれません。そういったところは広く議論される中で歴史的な一つの定まった見方というものができてくるのだろうと思います。

【フリーランス 岩上氏】核の密約問題に関連しての質問です。先日の会見の際、列席されていた立教大学の佐々木先生が、非常に重要なご指摘をされておりました。「米国との関係だけに気を取られがちですけれども、韓国、台湾等々、他の国々との外交関係もあり、また、韓国、台湾などは日本の政府よりもずっと早くディスクロージャーは進んでいる。日韓条約については、今、韓国側はディスクローズしているけれども、日本側はしていない。そうすると、韓国側の資料によって日韓関係のヒストリーが書かれるような事態になっている」という非常に貴重なご指摘がありました。これについて、例えば、対米国との関係だけではなく、韓国、台湾、その他、あるいはロシア、中国、そうした諸国に対して戦略的に一歩早くディスクローズして、むしろ外交面でリードしていくためにも情報公開を進めるというお考えはございますでしょうか。

【大臣】基本的にはそういう考え方がなし得ると思います。今回も、例えばライシャワー・大平会談などは、我々の方は、基本的には資料は出てこなかった訳ですが、米国の方はある。それを見ると、あたかもそこで完全に合意したかのような扱いになっている訳です。日本はそれに反するものが新たに出てきた訳ではありませんが、その後、米国側の見方とは異なるいくつかの資料も出てきました。同じ一つの事柄を捉えた時に、両当事者それぞれから見ると違って見える場合がある。だからこそ、両方が情報公開をすれば立体的に物事をより考えやすくなる。一方しか出ないと、それが当然のことになってしまうということだと思います。ですから、なるべく情報公開をしっかりやった方がいいと言えると思います。今、外務省だけでもかなりの在庫と言いますか、本来、30年経って公開しなければいけないけれども、まだ作業自身が終わっていないものがかなりありますので、そういうものを、どういう順番で、どういう体制でやっていくかということは、私(大臣)が責任者を務める省内の議論の場、間もなく動き始めますが、そこで早急に目途をつけたいと思っております。

【毎日新聞 野口記者】密約の三つ目の、沖縄の核再持ち込みですが、外務省が11月に調査をまとめた時点では、関連の資料は見つからなかったという結果になっておりましたが、その後に佐藤家の方から保管された資料が出てきて、有識者はそれを受けて見解を発表しました。外務省は佐藤家の資料が発見されたことを受けて、密約があったのか、ないのかという判断をまだ下していないと思いますが、その辺、今後何らかの対応を考えていらっしゃいますか。

【大臣】基本的には密約があったか、なかったかということについて、これは3番目だけではなくて、明確に外務省の報告書は述べていません。事実関係、しかも外務省にあった資料に基づいて事実関係を述べたということであります。今回出てきた佐藤元総理のご遺族から出された資料は、我々もコピーは入手しておりますけれども、これは外務省にあった資料ではありません。そういう意味では、これについてコメントするというのは、外務省の調査そのものの今までの考え方からは少しずれてしまうということだと思います。あとは、あの資料をどう解釈するかという問題で、私(大臣)個人の意見はいろいろ言えますけれども、個人の意見を言うと「食い違っている」と言って新聞の見出しになるようなことでもありますので、やはり世の中の解釈に任せた方がいいのではないかと思います。外務省としては、特に公式に言うことはありません。

【NHK 別府記者】同じく密約の関係ですが、今回、「東郷メモ」というのが出てきて、歴代政権の説明ということも浮かび上がってきました。ある段階、海部元総理のところで終わっていると私は理解したのですが、それもそのはずかなと思ったのですが、今回対象だった文書は1989年までの文書ですよね。それ以降は、委員会の方は検討されなかったと想像するのですが、いつぐらいまで引き継ぎがあった、続いていたと見ていらっしゃいますか。

【大臣】東郷メモ自身は海部元総理で終わっておりますので、あのメモ自身を使った引き継ぎは、そこで終わっているのだろうと思います。その先はなぜ(引き継ぎが)なされなかったのかということは、よくわかりません。ただ、次の宮沢総理は外務大臣の時に既に引き継ぎを受けていたという見方もできますし、その後政権交代がありましたので、細川総理、羽田総理に対して、政権が変わったということであえて避けたのかもしれませんし、あるいは別の理由があったのかもわからない。その辺はよくわかりません。政権がもう1回、村山さんになって、あるいは橋本さんになって、そういう説明が再開されたかどうかということは、東郷メモが使われなかったことは推測できますけれども、それ以上のことは、現時点ではわからないということであります。

【時事通信 高橋記者】先刻、野口さんから質問があった第三密約に関してです。今回の密約調査公表前に、第一の密約について米国側との意見のすり合わせをして解釈の違いを明らかにしたと仰っておりましたが、佐藤・ニクソンの合意議事録の内容について、米国側とこれは拘束されないものなのか、向こう側は有効と取っているのか。その辺の有効性というか、拘束力と言いますか、この辺を米国側と何らかの確認をされたのかどうかということをお伺いします。

【大臣】日本側としては、現時点においては効力はないと考えております。

【時事通信 高橋記者】米国側に確認しましたでしょうか。

【大臣】情報交換は様々行っておりますが、それ以上のことはお答えできません。

【朝日新聞 倉重記者】先程大臣は、「公式見解を言うことはありません」とのお考えでしたが、この問題というのは、国会で野党が密約の有無について質問して、結果的に嘘の答弁をしてきたという歴史があって、今回の調査の最大の意義というのは、政府がこれまで言ってきたことが違っていて、どう違っていたのか、それについてこれからどのような見解を示すのかという、説明を新たに今の政権が示すということが最大の意義だと私は理解しています。ここまで有識者を含めた見解、報告書が出ているにもかかわらず政府としての統一した公的な見解を述べないというのは、そこは相当無責任というか、せっかくここまで時間をかけて調査した結果、「解釈は国民に任せます、委ねます」というのは少し無責任なような気がしますが、どうして公式の見解、お考えをまとめて仰らないのかをお願いします。

【大臣】そういう作業を行っていないということです。私(大臣)は今回の最大の意義は、事実関係を明らかにしたことだと思います。ですから、その事実関係を明らかにした訳です、それに対して、何らかの密約の定義をして、有識者委員会の定義でもいいのですが、狭義、広義という定義がありますから、これにあてはめるとどうなるのかと、外務省の調査をあてはめるとどうなるのかという作業は今していません。それは外務省の調査のあと、有識者委員会の見解も出ていますから、ここまで含めて全体をまとめて新たに外務省としての評価をするのか、それとも外務省の調査だけに基づいて評価するのかと、二つの考え方があり得ると思います。前者で、外務省の調査だけでやるということになりますと、その後に出た有識者の調査を、ある意味では無視してやるということになりかねませんし、有識者の調査も含めてやるということになりますと、そこに推測とか、いろいろな有識者の方々の、いわば穴を埋める形での学者としての見識に基づく、そういうものを全部取り入れて国としての評価をすることになってしまいます。そういうことをやるべきかというように考えた時に、そのためにまた新たな議論をしなければいけない。簡単に出る話ではないというように思います。今回の有識者の報告を受けて、それに対してまた他の有識者、専門家からいろいろな意見が出てくることも考えられます。今回お願いした有識者の意見だけを受けて外務省が何か(見解を)出すということが良いのかどうかという問題です。私(大臣)は歴史というのは非常に複雑なものだと思いますので、外務省としては事実関係を明確にするということが第一義であって、それに○か×か△かというようなレッテルを貼る、評価をするというのは、率直に言ってそう簡単ではない部分があると思っております。

【共同通信 比嘉記者】廃棄に関してですけれども、大臣は会見で廃棄に関しては、明確な事実の可能性がかなり高くないと調査をされないということでしたが、かなり可能性が高くなって本格的な調査をする前に、本当に調査をすべきなのか、それとも噂の段階で終わるものなのかについて、ご確認されるつもりはおありでしょうか。

【大臣】誰に確認するんですか。

【共同通信 比嘉記者】省内です。

【大臣】いずれにせよ、かなり前の話でありますので。しかし、噂としてあるのは、情報公開法制定の前にということであります。それにしても時間がかなり経っておりますので、そういう噂の信憑性が高いという見通しがあれば、調査をしなければならないと思いますが、現時点ではそのようには必ずしも受け止めている訳ではありません。

【共同通信 西野記者】かなり昔のことであるのは事実ですけれども、情報公開法の施行前後に、外務省でそういった幹部として働いておられた方で、まだ公務員でいらっしゃる方が何人かいらっしゃると思います。今回の密約調査でもOBの方やそうでない方から、いろいろ話を聞いて、いろいろな資料がないことの穴を埋める作業をしたと思います。文書の廃棄の問題は、報告書の中でも戦前は文書管理がきちんとしているのに、戦後はそうではないという厳しい指摘がされています。文書の廃棄の問題について、調査は難しいというのは分かりますが、あそこまで報告書が指摘しているのであれば、何らかの姿勢を示すとか、そのために何かするとかというには必要なのではないでしょうか。

【大臣】今の話も現職の職員の中にいるとかいうのは全て推測ですから、もう少し事実関係を明らかにした上で考えた方が良いというように私(大臣)は思います。

【フリーランス 岩上氏】文書の廃棄の問題に関連して、質問させて頂きます。文書を廃棄するということは、やはり国民に対する大きな背信ではないかと考えられます。なぜそういうふうに、そのことがまかり通ったのか、先ほども質問がありましたけれども、戦前は管理されていたものが、戦後はそうされなかったという問題点の追及、それから今後保管作業をきちんとしていくというお話がありましたが、その話の中に、もし仮にそういう作業をしても、密かに文書を破棄していくような人間が現れた場合のサンクションと言いますか、ペナルティと言いますか、罰則と言いますか、そういったものに対する言及がこの間なかったように感じられます。こういった問題に関して、どれだけ厳しく取り組むのか、文書廃棄は絶対に許されないのだというルール設定も含めてご見解を教えて頂きたいと思います。

【大臣】今、2つの話が1つになっていると思いますが、戦後、本来きちんと管理されて保存されるべき文書が穴が空いているということ、これはこの60年間の中で起きたこととであります。その話と意図的に特定の時期に大量に廃棄したこととは、分けて考えた方が良いと(思います)。先ほどから言っているのは、特定の時期に意図的に廃棄したのではないかという話だと思いますが、それはもう少しそれを裏付ける事が出てきた上で動いた方が良いと思います。まだ噂の段階ですから、そういう状況で私(大臣)自身が動くというのはいかがなものかと考えております。過去のいろいろな資料が時々無くなっているというのは、外務省だけの話ではないのですが、そういうことがないように、忙しいところ程、大事な資料があります。そして、それが整理されないまま、いつの間にか無くなってしまうという傾向にあるわけで、そういうものをきちんと一定の期間がくれば、記録文書として隔離をして保存すると、それは仕組みの問題としてきちんと構築していかなればいけないと思っております。

【フリーランス 岩上氏】ペナルティの問題に関しては。

【大臣】ペナルティの話は、昔無くなったというのは特定のしようがないのですけれども、まとめて何かそういうものが無くなったということになれば、ペナルティの話が当然あると思います。けれども、先ほど言いましたように、まだそれははっきりしていませんので、先へ先へと私(大臣)は言うつもりは今ありません。

【日テレ 小栗記者】先ほどの密約かどうかの公式見解のところについて、○か×かを出すのは簡単ではないし、そういう作業もこれまでやっていないというお話でしたけれども、そうであるならば、これからそういう作業をするつもりがあるかどうか、そして無いとすれば、どういう理由でないのか、教えてください。

【大臣】それについては先ほどお答えしたつもりですが、ですから何をもって判断の材料にするかだということです。外務省の調査だけをもって判断するのか、それとも今回の有識者の結果も含めて評価の対象にするのかいうことで、答はたぶんあまり変わらないと思いますが、論理的には違ってきます。どちらだとお考えですか。

【日テレ 小栗記者】それをどうするかというのを、外務省で話し合うべきではないかと思うのですが。

【大臣】ただ、有識者の結果を入れるということは、そこに有識者の皆さんのいろんな推論とか、そういうものが含まれてくる訳です。その推論が良いか悪いかということを国が決めるということが果たして良いのかどうかということです。むしろ一般にオープンにいろいろな方が議論される中で、今回有識者の報告書はかなりレベル高いと思いますが、更にそれに対して、レベルアップして、次第に評価が固まっていくということで良いのではないかというように思います。勿論、私(大臣)がどう思うかということは、今すぐ言えますけれども、あまりそうすべきではないと思いますし、外務省としての公式見解というのは、ここまできちんと調査をして、有識者にも結論を出して頂いた時に、それを踏まえて、外務省としては実はこうなのだというのはいかがかなというように私(大臣)は思いますが。むしろ、こういう問題は様々な見方もあり得るんだということを国民の皆さんに理解して頂くことも大事なことで、クイズ番組のように○か×かと、そういう単純さだけでは計れない問題だと思います。

【西日本新聞 斉田記者】今の質問に引き続きです。そうしますと、今は密約に関する政府見解としては「密約はなかった」というのが、つまり前政権の中でそのまま続いていると思われますが。

【大臣】そんなことはないでしょう。どうしてそうなるのですか。「(密約は)なかった」という結論は全く出してませんから。

【西日本新聞 斉田記者】質問書に対する答弁書という形で、そういう見解が出ているかと思いますけれども。もしくは、今までの国会答弁の中でも、前政権の中では「密約は存在しない」と。

【大臣】我々がそれをそのまま踏襲するなどということは、根拠のないことです。

【西日本新聞 斉田記者】ですから、そこは自民党政権だったのか、民主党政権だったのかは別として、日本政府としての見解としては、「いわゆる『密約』は存在しない」という形になっていると思うのですが。

【大臣】政府として、2つの調査結果を公表した訳ですから、それが結果です。だから、「(密約は)ない」という、今までの調査結果が生きているということはあり得ません。

【共同通信 斉藤記者】まさに今の件でご質問させて頂きたいのですが、外務省が出している内部調査の報告書、この結果に基づけば、例えば、一つ目の核持ち込みについては、結局、明確に密約だということを立証できるような関連文書が見つかっていないから、要するに外務省としては密約として認定していないけれども、有識者の方はそれに対して、大臣の言葉を借りれば、有識者の立場から広義の意味での密約だと認定したと私は理解しました。だとすれば、外務省の調査結果報告書に立脚して言えば、必ずしも密約は確認していないということになるのではないでしょうか。

【大臣】報告書を読んでいただくと、最初の討議の記録については、外務省の調査結果も、有識者の調査結果も、これが密約そのものではないということで一致している訳です。その後、タイミングのずれの問題、いつからかという問題がありますが、有識者も外務省も、やがて「暗黙の合意」というべきものが成立をしたということについても、一致していいます。それを「広義の密約」と有識者委員会の方は呼んでいますが、我々はそういう言葉を使っていないだけです。

【テレビ朝日 新堀記者】大臣は、これから国会で「密約はあったのですか、なかったのですか」という質問があったときに、「有識者委員会の調査では」ということで政府見解ではなく、お答になると理解してよろしいですか。どのような説明を国民に対してされるのでしょうか。

【大臣】「あったか、なかったか」という質問に対しては、有識者委員会の結論はお答えすることはできますが、「あったのか、なかったのか」という前に、まず我々が明らかにした事実関係をきちんと説明することが重要なのだと思います。それをどういうネーミングをつけるかというのは、それは必ずしも二義的な問題で、重要なのは事実関係を明確にしたということなのです。

【週刊金曜日 伊田記者】先程の答弁の話なのですが、仮定の話では答えにくいかもしれませんが、火曜日の(大臣会見の)冒頭の発言では「従来の答弁を繰り返し、約20年が経ってしまったということが、極めて遺憾だと思っています」ということは、今後は従来の答弁を繰り返すことはないという理解でよろしいでしょうか。

【大臣】それは当然です。

【朝日新聞 東岡記者】そもそも密約があったのか、なかったのとか、或いは米国政府との間に合意があるのか、ないのかについて、判断できるのは外交当局である外務省だと思います。公式見解として合意があったのかなかったのか、ということを説明出来ずに外交が成り立つのか、或いは国民の信頼を得られるのか疑問に思います。この点は如何でしょうか。

【大臣】具体的にどのことを言っておられますか。合意があったとか、なかったとかいうことは報告書の中で明確に言っています。

【朝日新聞 東岡記者】報告書の中で出ているのは承知しております。先程大臣が「外務省として議論をして正式に公式見解を出すのは難しい」と仰いましたが、公式見解を出さずして、国民の理解が得られるのか、そもそも判断ができるのは外務省しかないと思いますが、如何でしょうか。

【大臣】公式見解は全部報告書で出ている訳です。それをもって密約と言うか言わないかという問題です。外務省で分かっている限りの事実関係は全部明らかにした訳ですから。合意があるのに、ないのにと言われましたが、合意は例えば、ある訳でしょう、或いはなかった訳でしょう。最初の第1の密約で言えば、最初の時には合意はなかったというのが我々の判断です。たまたま有識者委員会も同じ結論ですけれども。しかし、どこかでお互いが違う解釈をしているということは知っていたということです。よく事実関係を我々は明らかにしている訳ですから、それをもって「暗黙の密約」というように呼ぶか、呼ばないかというのは、それは定義の問題で二義的な問題だと私(大臣)は思います。

【朝日新聞 五十嵐記者】ということは、一番目の「核持ち込みの密約」ついては、日米間で合意があったというように認識していらっしゃるのでしょうか。

【大臣】一番目は、最初は合意はなかったのです。しかし、途中の段階から合意が合ったかどうかは別にして、日本は米国の解釈が日本と違うということを分かっていたということです。

【朝日新聞 五十嵐記者】それは合意ではないということでしょうか。

【大臣】それを合意と呼ぶのかどうかというのは、言い方の問題だと思います。大事なことは事実関係として、日本は途中から、「一時的な寄港というのは、持ち込みにあたらない」と米国が考えているということを日本が知っていたという事実が我々の報告書には示されている訳です。これ以上の明確な結論はないと思います。

【朝日新聞 五十嵐記者】その前提でお伺いします。この報告書を公開した現在、「合意」というのはあるのですか、ないのですか。

【大臣】何の合意ですか。

【朝日新聞 五十嵐記者】核持ち込み密約についての政府間の暗黙の合意なり、そういうものはないという認識でしょうか。

【大臣】それは定義の問題です。ですから、日本だけが、日本が知っていたということをもって「暗黙の合意」という言葉を使うかどうかという問題でしょう。昔、学生時代に概念法学か、それとも実際の利益考量かという、定義がまずあって個々の中身があるのではなくて、個々の中身があってそれを後でどのように言うかという、我々のアプローチはそういうことですから。それをどういうかと言うことはある意味ではこれからも色々な解釈が出てくるので、あえて外務省として言っていないということです。しかもその直後に、有識者委員会の先生方が結論を出している訳ですから、それと違うものをまた外務省が上乗せしていうと言うのもいかがかと思います。

【週刊金曜日 伊田記者】報告を受けて国会の場でも密約について更に真相を明らかにしようとする動きが出ておりますが、これについて以前もお聞きしましたが、どのように協力されるおつもりでしょうか。一つはOBになっても科されている守秘義務と関わりがあると思いますが、前政権下ではありましたが、OBの方々がいろいろ本を出されると、その中で自分の知っている外交の事実について書かれるということに対して外務省の方として特に意見を言うとか、事情を聞いて、これは守秘義務違反であると言ったという事例が一つもないというか、個々の質問趣意書に対してそういうことは行っていないという答弁が出ていますが、そのことを勘案すると守秘義務というのは、かなり狭いというか、OBの方でもかなり自由に発言をしていいという解釈ができると思いますが、そのあたりはいかがでしょうか。

【大臣】これはもう少しお待ちいただきたいと思います。国家公務員法100条の問題です。もちろん、今回の報告書を作るにあたって様々な情報は既に情報開示というか、守秘義務を解いておりますので、そういった開示された情報に基づいてお話をされることは守秘義務に違反される訳ではありません。ですから、かなりの部分はそれで対応できると思います。しかし、開示された情報以外の問題については、これを話すためには守秘義務を解除しなければいけないのですが、国家公務員法上は一定の要件を満たした場合に解除できるということになっておりまして、その要件にあたるかどうかということを政府の中で検討を行っているところです。それに基づいて対応していきたいと、これは外務省だけで決められる話ではありません。具体的に言うと、「等」に入るかどうかということだと思います。条文は忘れてしまいましたが。

【NHK 別府記者】第1の密約についてですが、核を持ち込んだ艦船の立ち寄りというのは、事前協議の対象になるとする日本、ならないとしている米国、この現状は今日もそうだということでよろしいでしょうか。

【大臣】それは今も変わりません。ただ、そのことが隠されていたということです。隠されていたどころか、日本政府は米国が日本と異なる解釈をしているということを途中の段階から知っていたにもかかわらず、そのことを明らかにせず、そして国民に対して、「米国が事前協議を求めてこないから核はないのだ」という虚偽の説明をしていた、そういう状態が終わったということです。事実上1991年からは終わっているのですが、しかし説明はしてきた訳です。もうそういう説明は認められないということです。

【毎日新聞 野口記者】公式見解の件で、大臣が公式見解は報告書が出していると仰っていたのですが、つまり有識者の出している紙のほうが政府としての公式見解だという理解でよろしいのでしょうか。

【大臣】報告書は2つあります。今の段階ではその2つを総合的に見ていただくしかありません。

【毎日新聞 野口記者】外務省の方は事実関係を明らかにしただけで、それについて有識者の方が解釈も含めて見解を出した。広義の密約というものがあったというのを有識者の報告書は出していて、それをもって政府として「密約があった」と位置づけるということでよろしいでしょうか。

【大臣】外務省の報告書と有識者の報告書は必ずしも同じではありません。外務省は事実関係を中心に組み立てた報告書であります。非常に論理的に事実に基づいて作ったものだと言えると思います。それに一定の推論やその後行ったヒヤリングなどを含めて、ある意味では膨らませて説得力を持たして出したものが有識者の報告書です。その膨らませたところについて違う考え方もありうる訳ですから、断定しない方がよいということです。現時点では2つの報告書、それを総合的に考えて皆さんがどう判断されるかということだと思います。ただ、事実関係は外務省の報告書で出しておりますので、私はそれは外務省としての最大の責任だと思います。

【共同通信社 斎藤記者】同じ密約ですが、この前、大臣が会見で現在及び今後のことについて、米国が1991年、いわゆる戦術核撤去を決めたことによって状況が変わって 、そうした観点から、米国が少なくとも現時点において、過去にあったかもしれない、いわゆる持ち込みが起こる可能性はあまりないとご発言されたと私は理解しました。ここで問題になるのは、米国の核政策、たしかにオバマ大統領は「核のない世界を目指す」と言ってますから、現時点において、状況としては持ち込む可能性はないかもしれません。しかし米国という他国の国の政策の話であって、理論的にはいろいろな可能性もあると思います。そうした意味では、リスクが完全にゼロと言えるかというと議論があるところではないかと思います。ということは、リスクをゼロにするためには、例えば法制化という問題も一つ出てくるかと思いますが、大臣は会見で現時点では法制化という考えはないと仰られました。法制化が現時点で特に必要としないというか、検討するまでにいかないという理由についてご説明いただきたいと思います。

【大臣】米国の政策が将来変わるかどうかという話は、仮定の話ですから、その段階でその時の政権が判断するということだと思います。我々は非核三原則は変えないということを鳩山政権として申し上げている訳です。

【フリーランス 岩上氏】密約の問題に関しては、毎日新聞の西山太吉記者がかつてスクープをして、その結果、濡れ衣と言うのでしょうか、不名誉な思いをしてきた訳ですけれども、結果としてこうして事実が明らかになったところによると、かつてのスクープが間違っていなかったということになろうかと思います。西山さんの名誉回復というものを大臣としてお考えになることは有り得るでしょうか。リークということが昨今問題になっていますけれども、虚偽リークと、それから真性の情報をリークした結果、公務員の守秘義務に違反しても、国民の利益にプラスになるような行為をした場合、それは別の評価があるかと思うのですが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

【大臣】それは大変難しいご質問だと思います。随分時間も経ちましたけれども、外務大臣である私(大臣)に、そもそもそういう権限なり可能性があるのかという議論もあると思います。たしか西山さんは衆議院の外務委員会の参考人としてご出席になると伺っておりますから、そこでどういうお話になるのかを、まず聞いてみたいと思います。個人的には、大変有能なメディア人であったにもかかわらず、その後、その世界から追われる形になった訳で、お気の毒だと思いますし、惜しいことだと思いますけれども、外務省はどのように関わっていくべきかということを含めて、少し頭の整理がいると思います。

【NHK 禰津記者】密約に関連して、在日米軍基地を抱える地方自治体への対応についてお伺いします。大臣は密約の報告を発表され、その前後に、例えば横須賀市であったり佐世保市であったり、各自治体からこれまで「核が持ち込まれていた可能性を排除できない」といったことに対して反発の声が上がっています。今後とも米軍の艦船が入港するという観点で考えますと、日米同盟の安保体制に影響を与えないようにするためにはどのような形で理解を求めていく必要があると考えていらっしゃいますか。

【大臣】これは可能性があるとすれば、1991年以前の問題です。そのことをまず申し上げたいと思います。そして旧政権時代の話ではありますが、政府という意味では共通ですから、これは政府として今まで間違った説明をしてきた訳ですから、そこは誠に申し訳ないと思います。ただ現時点においては米国の核政策が変わったことによって、そういう可能性はないと、その点についてご理解をいただくということです。外務省のそれぞれ担当の者が今お話のように、基本的には発表の後ですけれども、現地に行ったりしてご説明をし、理解を求めているところです。

【フリーランス 岩上氏】確認ですが、私が少し理解が及ばないのかもしれませんが、核持ち込みの事前協議の話について、日本政府が日米間での解釈の違いを理解した、理解した上でもある種虚偽の説明をしてきた、それについて言ってみれば、事実を明らかにし、訂正し、今後はそういう説明の仕方をすることはないだろうと仰いましたが、日本政府と米政府の間の事前協議の解釈は異なったままであるということだと思います。この異なったままでいい訳はないだろうと思いますので、何らかの形でこれをすり合わせを行うとか、或いは一定の日米共通の見解に立脚するようにするとか、そういう外交努力をするおつもりはあるのでしょうか。その点についてお聞かせください。

【大臣】まず、現実には解釈は違う訳ですが、そのことによって不都合は生じないということは何度も申し上げているとおりです。その上で異なる解釈を一つにするべきだ、それは正論だと思います。しかし、今日本は非核三原則、そして米国側は核の所在について明らかにしないという考え方ですから、これを一つにするというのは現時点では至難の業だと率直に言わざるを得ないと思います。

【フリーランス 岩上氏】そうしますと、日米間でこの解釈は統一できないということになりますと、実体として核を搭載した米艦船が寄港するかどうかという現実に関しては、日本は「非核三原則を守っている」という意向を表明し、米国の方は「核の所在は明らかにしない」と表明し、日米政府ともども、おかしなことは言っていないということで一種のダブルスタンダードが生まれて、艦船が寄港することが可能になるということになるのでしょうか。

【大臣】何度も申し上げているとおり、米の政策によって戦術核は艦船、飛行機に搭載されることはないということで、現実に持ち込まれることはないということであります。

【共同通信 西野記者】有事対応の話に関連してですが、例えば、朝鮮有事にしても有事の際にどうするのかという密約であったり、或いは核の再持ち込みという話にしても、通常はあり得ないというのは十分分かるのですが、有事の際どうなのか、或いは戦略核を持っているような原潜が故障したりなどの緊急事態になったらどうするのかとか、まさに通常のケースでない時にどうなのかという話もあると思います。そういったことについては、米国側と話をしていくということはあり得ないのでしょうか。

【大臣】議論としては非常におもしろい議論だと思いますけれども、例えば戦略原潜が日本近海にいるというのは私(大臣)は聞いたことがありません。それは基本的に米本土の周辺にいるということで、故障して急遽日本に寄港するというのはかなりフィクションであって、そこまで考えて私(大臣)が何か考え方を述べる必要はないと思います。

【共同通信 斎藤記者】先程私が非核三原則を法制化しない理由についてお伺いして、その後に別の方の質問に対して大臣が「日本は非核三原則、米はNCNDと、政策は違うので、それを一緒にするのは至難の業だ」という話をされました。ここは日米全く相容れない立場ということが日本として非核三原則を法制化できない根底にあると考えてよろしいでしょうか。

【大臣】法制化するかどうかというのは、それは根本的な問題ではありません。だから法制化できないということではありません。ただ先程言いましたように、日本の非核三原則と米国のNCNDは一つにはなり得ないという状況です。それは国民の皆さんに率直に語っていきたいと思います。それが現実だということです。ただし、非核三原則は、鳩山内閣としてこれは堅持するということです。

【NHK 別府記者】確認ですが、つまり米のNCNDは米国の政策として尊重すると、逆に言うと非核証明とかを求めることはないということでしょうか。

【大臣】米国のNCNDが変わることはないと思います。別にニュージーランドの例を持ち出さなくてもいいと思いますけれども。基本的に言わないという政策が変わることはないと私(大臣)は思っております。

【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読します。10日、日米間の密約問題で神奈川県知事が「非常に遺憾だ」と発言されました。報告書発表後の大臣や外務省に来ております国民の反応や評価についてお聞かせください。

【大臣】あまり来ていないのです。私(大臣)の個人的なメールとかそういうものは、私(大臣)が見ていないだけかもしれませんが、でも多分来ているはずです。多分まだ見ていないのだと思います。苦情の電話はいくつかあったというのは聞きました。

【ニコニコ動画 七尾記者】外務省の方には。

【大臣】私(大臣)が直接電話を取るわけではないので、まだ報告は受けておりません。

米軍再編問題
【共同通信 西野記者】普天間移設問題についてお伺いします。12月15日に米国のルース駐日大使と外務省でお会いになって、その後、総理官邸に行かれてルース駐日大使と大臣と総理と3人でお話になったと記憶しております。その際に日米合意について時間が経てば戻すと鳩山総理が発言されたと私どもは取材し、報道いたしました。その件に関し、大臣のご所見、或いはその時の状況について可能であればお聞かせください。

【大臣】ですから、どういう事実に基づいて、あのような報道になったのかわかりませんけれども、そこは私(大臣)としては苦笑いしながらあの記事を読ませていただきました。もちろん米政府は「今の日米合意は最善である」という言い方は変えておりません。しかし、我々は5月末までに普天間代替地を見つけるいうことを主張した訳ですから、「合意に戻すという話になるはずがない。新しい所を探す。もちろんゼロベースで」というのが私(大臣)とルース駐日大使の間のやり取りであります。

【共同通信 西野記者】先程大臣は、大臣とルース駐日大使の間のやり取りだと仰いましたけれども、弊社は鳩山総理の発言について報道しております。それはなかったのでしょうか。それともここでは言えないということなのでしょうか。

【大臣】鳩山総理に本来お聞きになるべきだと思います。私(大臣)がその時に総理がどう言ったかを言うべきではないと思いますが、そのような伝えられるような発言は私(大臣)は承知しておりません。

気候変動問題(地球温暖化基本法案)
【時事通信 鈴木記者】本日閣議決定された地球温暖化対策基本法ですが、その中に排出量取引制度が盛り込まれたところ、特に原単位規制が盛り込まれたことに対する大臣のご見解と評価をお願いします。

【大臣】閣議決定されたことでありますので、私(大臣)が特にコメントすることはありません。これからよく議論をして、排出権取引についての制度設計を急がなければならないと思います。

【時事通信 鈴木記者】小沢環境大臣がご説明の中で、岡田大臣が原単位排出量取引について反対なさっていたと説明していたのですけれど、最終的に反対を取り下げられたというか、今回の法案でOKだという形になさった理由を聞かせていただけますか。

【大臣】鳩山内閣の一員ですから。

【時事通信 鈴木記者】それだけでは少し理解ができないのですが。

【大臣】環境大臣がどのように言われたかわかりませんが、昨日の夜は閣議に準ずる場ですから、その中でのことは基本的に言わないというのが我々のルールですので、詳細については申し上げるつもりはありません。

【NHK 吉田記者】温暖化対策基本法案についてですが、閣議に準ずる場だから内容については言えないというお話だったのですが、事実上法案の内容は両論併記という形になっていまして、1年以内に成案を得るということになっています。成案を得る過程で、外務省としても再び議論に参加していくと思いますが、その中で大臣はどのようなお考えを示していくおつもりでしょうか。法案そのものが今回閣議決定されたということで、国際交渉に関して、何らかの後押しをする役割を果たすのかどうか、この2点についてお伺いします。

【大臣】総量規制を基本とするという条文です。しかし、原単位というものも書いたということです。優劣と言いますか、重要さの順番は書き方によってはっきりしていると思います。それを今後の制度設計にどう活かしていくかということであります。私(大臣)も原単位方式が全くだめだと言っている訳ではないので、原単位というのをキャップをかける際に考慮要因として考えるというのはあるのだろうと思います。特に国際的な比較とか、そういう意味において非常に国際的に原単位で見ると優位性があると見れる産業について、一定の配慮をするということをも否定している訳では私(大臣)はないのです。ただやはり全体を総量規制でやらないと、量は減らない訳ですので、そういう意味で総量規制を基本とするという表現に収まって少なくとも良かったと思っております。今後いろいろな議論があると思いますが、早く議論した方がいいと思います。選挙の時から見たら半年経っている訳ですから、早く具体的に制度設計して、導入した方がいいと思います。外務省として、もちろん意見は言っていきます。

APEC及びG20
【日経新聞 山内記者】5月に開かれるAPECとG20についてお伺いします。G20がAPECの首脳会合に先駆けて開かれることになりました。それについて、先駆けることでこちらに注目が集まってしまうのではないかという懸念も一部であります。それについて大臣のお考えをお聞かせください。

【大臣】これは決まったことですので、あまり言わない方がいいと思います。しかし率直に言って私(大臣)は、まあどちらもあるかなと思っていました。最初に議論した、それを踏まえて後のより深い議論が出来るとそういう見方もできますので、人によって違うのですが、私(大臣)は順序は絶対先でなければならないとか、そう思わなくてもいいのではないかという考えです。元々そういう考えでした。

沖縄県うるま市での米軍車両による交通事故
【琉球新報 滝本記者】昨11日の未明、沖縄県うるま市の県立中部病院という所で米軍の車両が侵入して、ガードレールや縁石を破壊したという事故がありまして、海兵隊の方が軍隊の車両だと認めてきているという話があります。有識者によりますと、施設間移動で公道を通ることは当然認められていますけれども、民有地に無断で入ってしまうということ自体、地位協定に違反することなのではないかという指摘もあるのですが、まず、この事件、事故についての大臣の受け止めと、地位協定違反という指摘についての受け止めをお願いします。

【大臣】今初めて聞いた話ですので、事実関係がよく把握できません。もちろん地位協定なり法に反するということであれば、ルールに基づいて厳正に対処されるべきだと思います。

【琉球新報 滝本記者】事実関係の確認は。

【大臣】よく聞いてみたいと思います。

米「旅行促進法」
【読売新聞 川崎記者】記者会見の前に、ナポリターノ米国土安全保障長官と会談をされていますが、おそらく会談内容はテロ対策ということが中心ではないかと思われるのですが、もう一つ、ナポリターノ長官は入国管理のトップでありまして、先に懸念を表明されておりましたエスタの入国手数料の有料化について、懸念を伝えたり、何らかの形で大臣の方から仰られたのでしょうか。

【大臣】その話は出ませんでした。いろいろな議論をいたしましたけれども、私(大臣)から、別に意識した訳ではないのですが、特に出してはおりません。

【読売新聞 川崎記者】この件については、米側に遺憾の意を駐米大使館の方から伝えられたのでしょうか。

【大臣】今までも伝えておりますし、当然伝えることになります。既に伝えたかどうか確認しておりませんが。

【読売新聞 川崎記者】昨日、書簡を出したという話があるのですが。

【大臣】確認してみます。




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