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2010.01.22|記者会見

外務大臣会見記録(平成22年1月22日)

外務大臣会見記録(平成22年1月22日(金曜日)18時10分~ 於:本省会見室)

○冒頭発言
(1)ハイチ支援に関する閣僚級会合について
(2)核政策に関する岡田大臣発クリントン国務長官及びゲイツ国務長官宛書簡について
(3)政務三役会議について
○ハイチにおける地震に対する支援
○核政策に関する岡田大臣発クリントン国務長官及びゲーツ国務長官宛書簡
○米軍再編問題
○EPA・WTO推進会合
○政治資金疑惑(鳩山総理の発言)

冒頭発言
(1)ハイチ支援に関する閣僚級会合について

【岡田大臣】今日は、私(大臣)から2点です。まず、ハイチにおける地震についてですが、武正副大臣を25日にモントリオールで開催される「ハイチ支援に関する閣僚級会合」出席のために、派遣することにいたしました。24日(日曜日)に発って27日(水曜日)に戻ることになると思います。武正副大臣からは、我が国の対ハイチ支援策を説明し、また(会合に)出席する22の国・関係機関とともに、今後のハイチ支援のあり方について意見交換する予定であります。今次会合を通じ、国際社会が連帯し、被災者の早期救済、ハイチの早期復興に向けた動きが加速されることが期待されます。我が国としても、会合の成功のみならず、ハイチの救済・復興のために積極的に貢献していく所存であります。
 なお、ご質問が出ると思いますが、この会合において新たな支援策を発表すべく、現在検討を行っているところです。

(2)核政策に関する岡田大臣発クリントン国務長官及びゲイツ国務長官宛書簡について

【大臣】それから、もう一点は、先ほどお配りした核政策に関する私(大臣)からクリントン米国務長官及びゲイツ米国防長官に対するレター(PDF)でありますが、昨年の暮れの12月24日に発出したものであります。内容はお読みいただければ、お分かりいただけるかと思いますが、一方で「核の傘」による抑止力を評価する一方、「核のない世界」に賛同し、そのために協力していこうということを述べたものです。さまざまな意見がありますが、一部メディアにおいて米議会戦略体制委員会の報告書作成の過程で、我が国外交当局が核トマホークとか地中貫通型小型核について、その保有を求めたり、退役に反対したりしたという報道がなされましたが、そういうことはなかったと理解しています。少なくとも、核軍縮を求める私(大臣)の考え方は、明らかに異なるという旨を述べたものです。もちろん、トマホークの退役が行われる場合に、それが拡大抑止にいかなる影響を及ぼすのか、どのように補うのかといった点についての説明を希望するということは述べてあります。その上で「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」、日豪共同イニシアチブで行われたものでありますが、その公表に触れて、その中にすべての核武装国による措置として、核兵器の目的を核兵器使用の抑止のみに限定すべきこと、NPT非核兵器国に対する核兵器の使用を禁止すべきことなどの提案が含まれていて、それらについて、私(大臣)は強い関心を持つと、直ちに実現し得るものではないかも知れませんが、現在あるいは将来の政策への適用の可能性について、今後両国政府で議論を深めたいということを述べたものです。
 なお、これに対するクリントン国務長官、ゲイツ国防長官からの返事はすでに受け取っておりますが、その内容につきましては、相手方との信頼関係がございますので、特に述べるものではございません。ただ、これについて問題があるとかという趣旨の返事は全く受け取っておりません。そのことだけは誤解のないように申し上げておきたいと思います。

(3)政務三役会議について

【大臣】それから、政務三役会議は特にご報告することはありません。

ハイチにおける地震に対する支援
【朝日新聞 東岡記者】先程ご紹介がありましたハイチの関連でお尋ねします。閣僚級会合において新しい支援策を発表すべく現在検討中であるということでしたけれども、お話し頂ける範囲で、どういった内容を検討しているのかという点と、本日、国連の赤坂事務次長が記者会見して、国連のアピールに対して日本の支援額が非常に低いとの指摘がありました。支援額が低いという指摘に対して大臣はどのようにお考えなのか、ご見解をお聞かせください。

【大臣】これは地震発生直後に発表したものであって、その時点では財源の裏づけが必要でありますので、決して少ないものではないと考えています。ただ地震が発生してかなり時間も経ちましたので、より復旧、復興に向けて活動が本格化する中で、日本としてどのように復興活動に携わっていくかという視点で今政府の中で検討しているところであります。内容については現在まだ決めておりませんので、申し上げるわけにはいかないことをご理解頂きたいと思います。

【朝日新聞 五十嵐記者】引き続きハイチ支援についてお伺いします。最初の医療チームの派遣についてですが、遅かったとか遅くなかったとか、そういった議論がなされておりまして、本日の国会でも小池百合子議員の方からそのような質問が出まして、それに対して大臣は「検証していきたい」というようなお話をされました。省内、政府内でこれからどのような検証を行いたいと考えているのか、あとは検証の結果、質問にもありましたけれども、要請主義であるとか、あるいは武器の携帯等についても見直そうとお考えなのかについてお答え頂けますか。

【大臣】検証作業は省内でまず行いたいと考えております。こういった緊急支援隊の派遣については外務省の法律でありますので、もちろん各省庁とも関連するわけですが、省内での検証ということを考えております。国会でも申し上げましたようにハイチの状況はPKO部隊が首都に多数配置されるなど極めて治安が悪い状況という中での地震という特殊事情もあったと思います。国民の皆様には特殊な事情があったということをぜひ理解して頂きたいと思います。既にPKO部隊を派遣していた米国や中国であれば派遣した支援隊を守るための人も形もあったと思いますが、日本にはない状態で、やはり慎重に実態を把握する必要があったということであります。
 ただ、国会でも申し上げましたが、調査隊が出て、それから一日か二日置いて本隊が出たということを見た時に、なるべく早く本隊も出して、そして例えばマイアミで待機をするとかそういうことはできたかもしれません。見込みで出すということですね。その場合に一日ぐらい早く着いたかもしれないという思いはあります。今日は小池議員からもそういうことはやるべきだというお話もありました。それは税金の無駄遣いではないと。もちろん時と場合による訳ですけれども、私(大臣)自身はその可能性が果たしてなかったのかどうか、今後のこともありますのでよく検証してみたいと考えているところであります。
 もう一つあるとすれば医療部隊を派遣した訳ですけれども、救出部隊は派遣していません。それは、例えば四川省の大地震などとはだいぶ違う状況があったと思います。距離的に離れていますし、行くだけで時間がかかりますから救出できる可能性は非常に低かったと思います。現実はそうだと思いますが、そういう選択肢はなかったのかどうかということも論点の一つだと思います。

【朝日新聞 五十嵐記者】要請主義については。

【大臣】それも、見込みで出す、少なくとも近くまでは出すということは十分考えられることではないかと思います。

【共同通信 斉藤記者】今のお話は、あくまでも日本の現行の憲法と法律の枠内で、現状を見ながら何ができるかというお話だと理解しました。しかし、現実に米国は言うまでもなく、中国、韓国、他の国もPKO部隊の増派などを通じて、積極的に活動を展開していると受け止められます。国の事情が違いますので、彼らはPKOを出せると、我が国はPKOを出せないという現状があるのですが、こうした現状を考えた上で、改めてPKO5原則を含む関連法及び関連のルールについて見直すべき時期に来ているのかどうか、改めてこの件についてお伺いしたいと思います。

【大臣】米国が軍を出しているのは、PKOという位置づけの中で出しているのかどうか、私(大臣)は子細には承知しておりません。少なくとも国連にPKOということで、正式に認可を経て出しているのかどうかは、ちょっと私(大臣)、今自信がありません。ご質問者はそう言われたのですから、自信を持って、根拠を持って言われているのだと思いますが、いずれにしても、今回のことでPKO5原則を見直すとか、そういう話ではないと思います。
 PKOの見直しについては、今後の検討課題ということで、前にも申し上げたことがあると思います。ただ、災害だから、何かいろいろな制約を乗り越えて、何でも出すというようなことではなくて、もう少し落ち着いたところで、通常のPKOの派遣について、きちんと今の(PKO)5原則を変える必要があるのかどうか、ということは冷静に議論したらいいと思っております。

【読売新聞 川崎記者】カナダのモントリオールでの会合で支援策を説明されるということですけれども、その支援策の説明には、新たな追加の財政支援は含まれるのでしょうか。特に先程の質問にもありましたけれども、国連の方は、日本が経済大国としてそれに見合う規模の支援を実施してほしいという強い要請があるようですけれども、現在、最初に出した500万ドルがあると思うのですが、諸外国は数千万ユーロとか、あるいは1億ドルとか、米国はそういう金額の単位で出しているので、そういうことを考えますと、日本が大幅に積み増す、追加の支援を表明するということが考えられるわけですが、その規模については、今現在ご検討中ということかもしれませんが、大臣ご自身はどのようにお考えを持っていらっしゃるか、お願いします。

【大臣】これは政府で今検討しているところですので、私(大臣)があまり個人の意見を言わない方がいいと思います。ただ、ハイチの現状は極めて深刻であると認識しております。

【NHK 別府記者】ハイチ支援との関連なのですが、大臣の国際会議への出席についてなのですが、来週、世界ではこのハイチを皮切りに、ロンドンでアフガニスタン、その前の日にはイエメンの支援国会合があって、イエメンは遠いですけど、このあいだ日本人が誘拐された時もお世話になった国だと思いますし、いずれの会合にもヒラリー・クリントン国務長官も出席だと聞いていまして、様々な接触の機会にもなるのではないかと思うのですが、もちろん国会があるということは、長い間のあれだと思うのですが、今一度、せっかくの政権交代でもありますし、そういうことを変えて、やはり出席に向けて検討できないのだろうか、あるいは、こういうことが続いていくことが、お金にはなかなか出ないかもしれませんが、どういう日本外交の損失になりうる危険をはらんでいるとお考えでしょうか。

【大臣】私(大臣)は、かなり危機感は持っております。例えば、G8の外相が集まる機会が、この前のアフガニスタン大統領就任式には私(大臣)以外のG8の外相が全て集まりました。日本は福山副大臣に出てもらったということであります。あれは、その前に私(大臣)がアフガニスタンに行っておりましたので、まだ影響は比較的限られたものであったかなと思っておりましたが、しかしやはりG8外相が常に顔を合わせて、いろいろな議論をしているということは非常に重要なことだと思っておりますので、そういう観点から言うと、残念なことでした。
 今回また、特にアフガニスタンの復興に関するロンドンにおける会議は、主要な議題は、一つは治安の問題、しかしもう一つは、タリバン末端兵士の社会復帰に関する問題で、これはイギリスと日本が事務レベルではかなりリードしてきた議論、問題であります。そういう時に、いざ大臣レベルになった時に、大臣が出て行けないということは、国際社会に対して、アフガニスタン問題に先頭に立って取り組んでいる日本の態度が疑問視されるということになりかねませんし、何よりも、そこでしっかり議論を自らしたいという立場からしますと、非常に残念なことであります。
 ただ一方で、国会の現実も認識しておりますので、政府の中で議論をしたこともあるのですけれども、現実、国会を円滑に運営するために、やむを得ない部分もあると思います。私(大臣)は是非、別にこのことで国対ベースで野党に対して持ち出して、そして駄目だと言われた訳ではありませんので、そこは誤解を招かないようにしていただきたいと思いますが、ただ、今まで与党だった政党が、その事の重要さということはよくお分かりいただいていると思いますので、こういう話し合いにこれからもう少し乗って頂くということであれば、大変ありがたいと思っております。今、現にそういうことを野党に持ちかけている訳ではありませんが、本当にクリティカルな時には、是非お願いしたいと思っております。

【共同通信 上西川原記者】外相の国際会議出席の関連で、追加で聞きたいのですけれども、国際会議を取材していると、やはり日本の外務大臣がいないということは、非常に日本のアピール力に大きく影響するのではないかと思うのですが、国対の問題だと思うのですけれども、これを実現するために、与党と野党の立場が代わったら、それぞれの立場でものを言ってしまうと、何も前に物事が進まないような気がするのですけれども、実際に出席するためにどうすればいいのかというのは、何かお考えはありますか。

【大臣】我々、野党の時にも常に出席を求めていた、国会に張り付きにしていた訳ではありません。私(大臣)の経験では、それは委員会にもよりますけれども、弾力的に考えていたこともあったと思っております。ただ、非常に難しいのは、結局、「出すことを認めるから、代わりに日程を少し多めに取れ」ですとか、そういうネゴになりがちで、ということになると、やはり駄目だと与党の方がなりますので、これを根本的に解決する手段というのはなかなか難しいとは思います。副大臣で国会答弁が普通にできるという状況が作り出されないと根本的な解決にならないのかなと、それまでは、どうしてもクリティカルな場合には、ぜひお願いするということなのかなと思っております。

核政策に関する岡田大臣発クリントン国務長官及びゲーツ国務長官宛書簡
【毎日新聞 野口記者】クリントン米国務長官宛ての書簡なのですけれども、12月に出したというこの時期について、どういう狙いでこの時期にこういった書簡を送ったのかという目的についてご説明願えますか。その中で、一部報道で「我が国外交当局者が、貴国に核兵器を削減しないよう働きかけた」ということがありますけれども、そういうことはなかったと大臣として理解しているという件があるのですけれども、これは自民党政権時代の頃の話ですが、なぜそれはなかったと岡田大臣が言えるのかということをお願いします。

【大臣】これはきっかけは国内での某メディアの報道であります。そして、このトマホークと地中貫通型小型核の問題に関する報道であります。では、そういうことがあったのかどうかということを私(大臣)なりに精査させていただいて、その上でそういうことはなかったと私(大臣)は理解しました。しかし一方で、そのことにかかわらずとにかく核について現状維持をしたいという立場に立つ人たちから、日本の拡大抑止を求める立場というのが上手く使われているのではないかというご指摘も内外問わずありますので、そういうことも考えてこの手紙を出すことを決めたものであります。

【朝日新聞 鵜飼記者】あまりこういったものは公開されないものですが、この書簡を公表された狙いと、ここに書いてある拡大抑止に依存しているということと、核廃絶を目指すということは相反するものではないのだということですけれども、なかなか理解しにくいことだと思うのですが、どうして相反しないのかもう少し説明をしていただけますか。一方で核に頼っておきながら、もう一方で減らすということは普通に考えると矛盾するのではないかと思うのですが、ご説明いただけますでしょうか。

【大臣】公表したのは既に一部のメディアに出ましたので、正確にその内容を伝えた方がいいと考えた次第です。情報開示とお考えいただければと思います。それから、拡大抑止の話と「核なき世界」を目指すと、これはなかなかバランスが難しいと思います。全く相反するものではないと思います。今の核兵器の現状から見ると、人類を何回でも殺せるような過剰な核が存在する訳ですから、その核を減らしていくということと、拡大抑止というものは私(大臣)は矛盾なく実現できると思います。さらにそれが核の軍縮が進むことで量的に限られてくるといろいろな議論が出てくるかもしれませんが、それは現時点ではまだそこまでいっていないわけですから、私(大臣)には矛盾なく実現できると考えております。ただ、これは日本だけで決められる話ではありませんので、日米間でよく議論する必要があるという意味で最後に私(大臣)なりの考え方を述べつつよく協議をしたいということを申し上げた訳です。

【毎日新聞 野口記者】なぜ12月の年末の時期に出したのかという時期について、もう一度説明をお願いします。

【大臣】先ほど説明をいたしましたが、日本のメディアに、確か東京新聞だったかと思いますが、記事が出て、そのことを踏まえて私(大臣)なりに省内で検証をし、そして手紙にしたということであります。核態勢の見直し(NPR)の作業も続いておりますので、なるべく早く出した方がいいという判断でこの時期に出させていただきました。

【共同通信 西野記者】この報道は弊社がやったと理解しているのですが。

【大臣】失礼しました。共同(通信社)とフジ(テレビ)で。

【共同通信 西野記者】(大臣が)「そういうことがなかった」と理解されているということについては、非常に遺憾なことです。我々は非常に明確な取材をして、根拠に基づいて報道しているので、そのことは理解していただきたいと思っております。
 その上でお伺いします。この書簡は、今後の日本の核政策が抱えている問題点を端的に表しているという気もするのですが、核政策を考える上で、大臣のこの書簡というのは、キック・オフというか、基本的な考え方になると位置づけているのでしょうか。

【大臣】あまり具体的なことを書いている訳ではありませんので、キック・オフになるというと、それは大げさだと思いますが、私(大臣)の基本的な考え方というのは、この手紙の中を読んでいただければ、ご理解いただけるのではないかと思っております。これから今年一年、核軍縮・不拡散について極めて重要な一年だと思っております。オバマ大統領のプラハ演説が、ある意味ではキック・オフになっていて、今年は「核セキュリティ・サミット」が4月にあり、5月には「NPT再検討会議」があるということです。その後も、私(大臣)としては、引き続き、核軍縮・不拡散の問題を今年一年をとおして、しっかりと前向きなはっきりとした一歩を示す、そういう一年にしたいと考えております。どちらかというと、数年前までは核拡散も進み、核軍縮についても、ブッシュ政権時代の話ですが、ほとんど議論すらされないような状況だったと思います。その流れが今変わりつつあり、その流れをより明確なものにしたいと考えております。そういう気持ちもありますので、先般のドイツ外相をはじめ、各外相との会談では、ほとんどこの核軍縮・不拡散の問題をテーマに取り上げて議論をしているところです。COP16を控えた「気候変動の問題」と「核軍縮・不拡散」と、この2つが一年をとおして大きなテーマになると認識しております。

【日経新聞 山内記者】書簡というより、米政府が今策定しているNPRについて、大臣は以前、大臣が就任される前に核の先制不使用について、「とりわけ、米国が核の先制不使用を宣言することを、日本が主張することが大事である」という発言を伺ったことがあります。この考えは、現在NPRを策定中ですが、盛り込まれる盛り込まれないと米国内でいろいろと議論があるようですが、考え方は変わっていないでしょうか。

【大臣】私(大臣)の考え方は、この場でも何度か述べておりますが、核の先制不使用というのは将来の課題です。それに向けた現実的なステップとして考えておりますことが2つあります。この(岡田大臣発クリントン米国務長官及びゲイツ国務長官宛書簡の)最後のページに書きましたように、ひとつは、消極的安全保障。つまり「NPT非核兵器国に対する核兵器の使用を禁止する」ということ。そしてもうひとつは、「すべての核武装国による措置として核兵器の目的を核兵器使用の抑止のみに限定すべき」と、この2つが具体的なステップだと思います。この2つも簡単に実現するものではないと思いますけれども、是非、日米、或いは日豪のいろいろな場で議論していきたいテーマだと考えております。

【朝日新聞 鵜飼記者】今後、日米両国で議論を深めたいということですが、たしか前政権の最後の頃に、局長級の2+2で拡大抑止の議論をしていくことで合意がなされておりますが、こういった枠組みを活用していかれるお考えなのか、新たに何か協議の枠組みというのを作っていこうというお考えですか。

【大臣】実際には各レベルで議論をしております。ただ、米側はNPRの結果待ちというところもあると思いますが、NPRにどのようなことを盛り込むかということも含めて、さまざまなレベルで日米間で核の問題も話し合っているところであります。

【共同通信 上西川原記者】書簡の関連で、大臣は年明けの日米外相会談でもクリントン国務長官に対して直接、同様の考えを伝えられました。引用すると「我が国が米国の核なき世界に向かっての努力について、まるで異を唱えているような印象を持たれている。それは違う」というような発言をされました。これはNPRをかなり意識されているのではないかと思いますが、大臣の中でNPRの持つ意義や重要性をどのように考えているか教えてください。

【大臣】NPRを意識しているということですが、少なくとも米国に間違ってメッセージが伝わっているとすれば、それは直さなければいけないという思いでこの手紙も書きましたし、外相会談の具体的な中身は申し上げませんが、そういう考え方で私(大臣)自身来ているところであります。NPR、米国の核政策がそこで方向付けられる訳ですから、もちろん、それですべてが決まる訳ではないにしても、ある意味重要だと思います。もちろん、現実をしっかり見据える必要がありますけれども、同時にオバマ大統領の「核なき世界」の理想に向かって、まさしくその理想と現実のバランスをどうとるか、どこに線を引くかということに非常に注目しているところです。

【日経新聞 山本記者】先程、今年は核軍縮・不拡散がテーマになると仰いましたが、昨日今日と都内で「アジア版の核セキュリティ・サミット」の国際会議が開かれました。今年は4月に核セキュリティのサミットもありますが、それに向けて日本としてどのようなメッセージ、もしくは世界に対する支援、協力というのを表明していきたいとお考えでしょうか。

【大臣】現在、いろいろと中で議論しているところですので、現段階で申し上げることは特にありません。

米軍再編問題
【琉球新報 滝本記者】昨日、4回目の沖縄基地問題検討委員会が開かれまして、そちらで「検討委員会としてグアムの視察ができないのか」という形のお話が出て、武正副大臣も「検討したい」というようなお話をされたというように聞いているのですが、検討委員会全体としてグアムの視察に行くということについての状況、調整の状況はどのようになっているかをお伺いできればと思います。

【大臣】これは、相手のある話です。米国政府側がどのような反応を示すかと、受け入れということがなければ成り立たない話ですので、現時点ではそういった具体的なことについて、私(大臣)は承知しておりません。

【テレビ朝日 新堀記者】普天間移設先の決定の時期について、昨日、総理と官房長官のコンセプトに違いがあったような形で、総理が改めて官房長官に指示を出して「5月末までに日米で合意だ」と仰ったのですが、この点について大臣のお考えをお聞かせ下さい。それから、官房長官に大臣からも決定の時期のことについて何か助言をなさったのでしょうか。

【大臣】総理が言われたことは、本日、国会でも総理が言われました。それが政府としての考え方であると思います。非常に重要な話でありますので、いつまでにという時に、何が5月の末までにということなのかということでありますので、官房長官や総理と意見交換をして総理の発言になったものです。

【共同通信 上西川原記者】名護市長選挙がまもなく投開票になりますが、選挙自身についてはコメントは難しいと思いますが、名護市では普天間の移設を巡って、1997年の名護市民投票から今回(の選挙で)5回目の住民投票のような様相が続いているのですが、日本の安全保障について、一自治体でそういった市民を二分するような状況が十数年続いてきているような状況について、どのようにお考えでしょうか。

【大臣】これは、私(大臣)が沖縄に行った時にも申し上げました。名護市民に対して申し訳ないと思います。本来、国が決めるべきことであるにもかかわらず、いわば市民の皆さんに選択を迫っているような形になっているということは申し訳ないと思います。

【NHK 禰津記者】この名護市長選の選挙結果というのは、米国も非常に注視しているといいますか、おそらく非常に気にされている部分だと思いますが、選挙結果を受けて外務大臣が米国側に何らかの説明だったりとか、そういうことを考えていることはありますでしょうか。

【大臣】公正公平に行われる選挙でありますので、私(大臣)から何か米国側に対して説明したりコメントしたりということにはならないと思います。

【琉球新報 滝本記者】検討委員会の視察の件ですが、まだ外務省として、検討委員会のグアム視察について、米国側に打診というのはもう投げられていらっしゃるのかどうかということと、グアム移転というのはまさに普天間の移転ということとは別に、沖縄の8000人の海兵隊員がグアムに行くということについて、日本側の財政支出もある訳です。そういう日本側からお金を出してグアムに施設を造ろうということの状況視察を含めた視察であるのに、以前は社民党の皆さんがなかなか予定がとれなかったというようなこととか、米国側が許可をしなかったのかという事実関係は別にしましても、視察に行けないという状況が生じることについてどのようにお考えでしょうか。

【大臣】私(大臣)は、昨日の検討委員会の状況はこれから武正副大臣の報告を受けますので、どのような結論になったのか確認しておりませんので、特に申し上げることはありません。したがって、外務省内でどのような状況になっているのかということも承知をしておりません。一般論で言えば、施設の視察を受け入れるかどうかというのは、受け入れる側の状況というものを尊重して、受け入れる側がそういったことが可能な状況にあるかどうかということに左右されるのはやむを得ないと思います。

【琉球新報 滝本記者】検討委員会での移設先の検討ですけれども、琉球新報で新年のインタビューで大臣にお伺いした時に、「一義的には防衛省が検討すべきことだけれども、外務省としても検討したい」とお答えいただいたのですが、新たな移設先の検討という文脈で、今外務省でどのように検討されていますでしょうか。

【大臣】これは検討委員会で官房長官の下で今議論しているところですから、その中には武正外務副大臣も出席をしております。中でどのような議論が行われているかということは私(大臣)はコメントする立場にありません。ゼロベースで議論しているということです。

EPA・WTO推進会合
【読売新聞 石川記者】EPA・WTO推進会合についてお伺いします。今朝、その会合があったと思いますが、以前大臣がEUとのEPAについて特に推進したいというようなお考えを表明されておられましたが、現段階で本日の会議も含めて、どの国や地域が議題になっているかということと、こういったEPAを進めていくには省庁横断的な対応が必要になってくると思いますが、その他の関係閣僚の皆さんとの連携、意思疎通というのはどの程度進んでいるのでしょうか。

【大臣】まさしく本日は関係閣僚委員会を開きまして、従来の4大臣、つまり外務・経産・農水・財務、財務は大臣は出てこられず副大臣だったのですが、その4名にあと、厚労大臣にも来て頂いて議論をいたしました。ペルー、それから豪州、韓国、EUということで議論をしたところであります。それぞれどういう状況にあるか、何が問題であるかについて、かなり突っ込んだやり取りをいたしました。ペルーについては、「メキシコ、チリ並み」というそういう視点で是非考えてもらいたいということで、経産大臣、農水大臣に対して私(大臣)から、従来から要請をさせていただいていた訳ですけれども、今の4省庁の出してきたものは、必ずしも満足できるものではありませんので、更に一段の政治レベルでの努力ということをお願いしたところであります。豪州についても、主として農産物について、問題といいますか、相手方は主張しておりますので、そのことについて「努力してもらいたい」というように具体的に申し上げました。インドは年末の首脳会談で、首脳間でも一定の意見交換がありましたので、それに基づいて加速させていこうと思います。EUについては、厚労大臣に来ていただいたのは、主としてEUの問題で、医療機器などについての要望もEU側から出ておりますので、なるべく基準を共有化することが出来ないか、ということも含めて議論をしたところであります。こういう形で、具体的な問題について閣僚クラスで認識を共有しながらしっかりと前に進めていきたいと考えているところです。

【朝日新聞 五十嵐記者】先日の日・インドネシア外相会談で「インドネシアから日本に来られている看護士の試験に関して改善をして欲しい」というような要請が、先方の外務大臣から岡田大臣にあったと聞いております。大臣はこれについて「なにがしか改善をしていきたい」との回答を示されておりますが、現在政府内での検討状況というのはどうなっているのでしょうか。

【大臣】インドネシアの外相からは、「試験そのものについて、漢字が難しいということにつき改善してもらいたい」というお話がありました。私(大臣)はそのこと自身には答えてはいないのですけれども、やはり日本語の能力にかなり問題があるので、そのための日本語を学ぶ機会をしっかりと作らないといけません。一方で実施研修と言いますか、仕事をしながら試験の勉強もし、日本語も勉強をするというのは事実上かなり難しいことがあり、もう少し考えないと、せっかく能力があり、しかも本国では非常に評価されている人たちが(日本に)やってきて、軒並み試験に受からないということは望ましくないと思っております。どうすれば良いかということを今、事務的にはそれぞれ省庁間で話し合いをやっているところですが、どこかの段階でしっかりと政務レベルでも議論しなければいけない問題だと考えております。

【読売新聞 石川記者】EPA(交渉)が今まで進んでこなかった訳ですが、政権交代をして政治主導だからこそ進められるものの一つであると思うのですが、今までもやはり農水省の反対なども一番強かったというような経緯があると思いますが、政治主導でそういった壁は破れるとお思いでしょうか。

【大臣】農水省だけを悪者にしてはいけないと思います。やはり、零細農家に対して一方的に負担がいく、ということでは困る訳です。ですから、所得保障制度や、そういった代替手段というものも考えていかなければいけないと思います。こういう問題はそういう実際の関係者以外に役所があり、色々な仕組みがあって、そこに天下りとか、色々なことがくっついている訳ですから、そういうものが障害になっているとしたら、私(大臣)は一般論で言っているわけで農水省のことを言っている訳ではないですが、そういうものが妨げになっているとしたら、まさしくそういうものを(政治主導で)変えていく中で、前に進めていくことが出来ると私(大臣)は思っております。

政治資金疑惑(鳩山総理の発言)
【毎日新聞 野口記者】鳩山総理の発言について、昨日逮捕された石川議員に関して「起訴されないことを望む」と発言されましたが、これは指揮権の発動ともとられかねない発言であって、この発言をどのように受け止めたのか。また、すぐに翌日に発言を撤回しているのですが、こうした総理の姿勢について併せてご見解をお願いいたします。

【大臣】鳩山総理の発言が指揮権の発動まで思わせるものだったかというと、私(大臣)はそうは思っておりませんけれども、そういう報道もあったので、そこは撤回したというか、誤解がないように言い換えたと私(大臣)は理解をしております。




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