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2006.03.02|国会会議録

164-衆-予算委員会-20号 平成18年03月02日

岡田委員 民主党の岡田克也です。

今の件も後でまた少し議論したいと思いますが、多分総理と議論する機会も余りないと思いますので、きょうは総括的に議論したいと思っています。

まず、公平を期すために、少し総理の実績についても申し上げておきたいと思いますが、私は、小泉政権五年間で評価できることは二つあるというふうに思っております。

これはかねがね申し上げておりますが、一つは、タイミングが十分じゃなかった、時間がかかったということはあるかもしれませんが、不良債権の処理にめど をつけつつあるということであります。そしてもう一点は、景気対策という名のもとで公共事業をどんどんふやすという政策はとらなかった。この二点は、私は 一定の評価をしているわけであります。

しかし他方で、小泉改革のいろいろな中身を見たときに、ポイントがずれているといいますか、本当に大事なところがいつの間にかぼやけてしまって、何のた めに改革したのかわからない、そういう改革が多いことも事実であります。そのことについて具体的に少し議論させていただきたいと思います。

まず、小泉改革、当初、二大改革と言われたのが道路公団民営化と郵政民営化でありました。それぞれについてポイントを絞ってお聞きしたいと思います。

まず、道路公団の民営化であります。

総理は、当初、無駄な道路をつくらない、そのために公団を民営化する、こうおっしゃいました。私は、それはそのとおりだと。本当の意味で民営化すれば、採算に合わない道路はつくらないわけですから、確かに無駄な道路はつくらないということになる。

しかし、先般の国幹会議では、九千三百四十二キロの計画はほとんどつくるということが正式に決定をされました。ということは、総理は、無駄な道路はつく らない、だから公団民営化と言われたが、無駄な道路はなかったというふうに総理は判断されたんですか。

小泉内閣総理大臣 これは、よく道路公団改革を批判する方の言う意見を岡田さんも言っておられると思うんですが、誤解があるんですよ。無駄な道路はつくら ない。そうなんです。必要な道路は、地域住民あるいは国民の税負担でもつくらなきゃならない。そういう中で、道路公団民営化の前は、高速国道の予定路線は 一万一千五百二十キロ、整備計画は九千三百四十二キロ。道路公団の民営化、この議論が出なかったならば、一万一千五百二十キロまでつくるという前提で進ん でいくはずだったんです。

しかし、現在、道路公団民営化は実現した。九千三百四十二キロまでストップしている。一万一千五百二十キロというのはつくらない。それは、どうしても地 域が税金を投入する、国でも、どうしても必要ということで税金を投入しようという議論がみんな出てくればまた別の話ですけれども、そうじゃない。これは、 計画ということについてもう前提としないということになっているんです。黙っていれば一万一千五百二十キロまでこの道路公団でつくっていく、みんな当然視 していた、それをストップした、これがいかに大きいか。無駄な部分をつくるということが避けられた。

さらに、整備計画区間九千三百四十二キロの中でも、全部つくるんじゃありませんよ、凍結区間が出た。凍結区間の中でも、民主党の議員でもつくってくれと 要望が来ているじゃないですか、現在でも。そうですよ。しかし、それはできない。かなりの部分においては、この九千三百四十二キロも凍結しております。

なおかつ、道路公団のときには一度も料金を値下げしたことがなかった。民営化して初めて料金を値下げすることができたんです。

第一、地域……(岡田委員「もういいです」と呼ぶ)もういいの。

岡田委員 私は無駄な高速道路の話をしているんであって、料金値下げの話とかコストが下がったとか、そんなことを聞いているわけではありません。

今総理がおっしゃったことで、まず第一点、確認しますよ。整備計画以外の一万一千五百二十キロの計画、これは、では、もうつくらないわけですね。例えば 私の地元の三重県知事なども、第二国土軸構想などという構想を持っていまだに走り回っていますよ。私は、早くやめろ、こう言うんですけれども、これは一万 一千五百二十キロよりさらに先の話なんですよ。だから、そういう従来のいろいろな計画、これは、九千三百四十二キロの整備計画以外はすべて白紙、そういう ことで確認させていただいてよろしいですね。

小泉内閣総理大臣  白紙であります。大きいでしょう。こういうのは道路公団民営化をやったから言えることなんですよ。

岡田委員 その上で、この九千三百四十二キロ、総理は凍結したものもあるとおっしゃいました。わずか三十五キロでしょう。九千三百四十二分の三十五ですよ。ほとんどやっていないに等しいです。ほとんどやっていないに等しい。

総理は、九千三百四十二キロの、まあ、三十五キロを除いてもいいでしょう、そこの部分については、これは必要な道路だ、こういうふうに言われたと思いま すが、しかし、そもそも、道路公団民営化の議論のスタートはそうではなかったんじゃないですか。九千三百四十二そのものに、将来の採算がとれない、その可 能性の高い道路がたくさんある、だからこれを全面的に見直すということでスタートしながら、結果的には三十五キロしか凍結されなかった、こういうことじゃ ないんですか。いかがですか。

小泉内閣総理大臣  物は言い方で、言っていることを聞くと、いかにも何もやっていないという、とんでもないこと。

まず、一万一千五百二十キロ、これはもう白紙でしょう。なおかつ、九千三百四十二キロメートルの整備計画については、抜本的見直し区間となっていた五区 間百四十三キロメートルのうち、新直轄区間のおおむね三分の二に当たる六十八キロは今回着工しないんです。第二名神の二区間三十五キロメートルは、必要性 を再確認するまで事実上凍結するんです。この凍結するという第二名神についても、地元の知事や財界のみならず、地元の民主党関係者からも、早期整備してく れと要望されているんだよ。民主党はどうなっているのかと聞きたいですよ。

岡田委員 総理、高速道路というのは地元負担がないんですよ。少なくとも旧道路公団のやる部分については、これは地元負担がないんです。だから、知事も、 あるいは地元も、ぜひつくってくれと言う。私の地元でもそうですよ。土地を高い値段で買ってくれるんですから、地域住民は早くやってくれ、早くやってく れ。だけれども、本当にそれでいいんですかということを私は申し上げているんですよ。地元が求めるからつくると言うなら、それなら全部つくればいいじゃな いですか。

国の財政を考えたときに、本当にそれが必要かどうかという判断を総理はきちんとしたかということを私は聞いているわけです。地元が求めているかどうかということを聞いていないんですよ。いかがですか。

小泉内閣総理大臣 きちっとしたから、予定区間は白紙である、全部見直すと言っているんじゃないですか。しかも、整備計画についても、五区間百四十三キロ メートルのうち、三分の二に当たる六十八キロは着工しないと言っているんじゃないですか。そういう中において、民主党の議員までもつくってくれ、つくって くれと陳情に来ているんです。岡田さんも民主党だけれども、民主党はどうなっているんですか。

だから、民営化した場合は、民営化の会社が、採算性をとれるか、地域の人が必要となったら地域の人が負担してくれるのか、そういうことを考えながら、真 に必要な道路はつくらなきゃならない。必要な道路は税金をかけてもつくらなきゃならないという地域はあると思いますよ。それは、民間会社ができないんだっ たらば、地域が税負担をどのぐらいするのか、国が税負担をどのぐらいしなきゃならないか、それが本当に必要かということをよく考える必要があるんです。 (発言する者あり)わかりやすいでしょう。

岡田委員 総理、もう一回言っておきますけれども、九千三百四十二キロの中でわずか百キロですよ。百キロなんですよ。それで胸を張って言えることじゃない と思いますよ。何のために道路公団民営化、あれだけ二大改革の一つとして議論を始めたんですよ。その結果がわずか百キロだということ。総理自身が、いや、 そのほかは必要だというふうにお認めになるなら仕方ないでしょう。

だけれども、本当に、将来赤字路線がどんどんふえていって、それは、将来借金を実際返し終えるかどうか、そんなことがはっきりわかるのは随分先の話です よ。それが次の世代に負担を残すことにならないのかということを私は申し上げているわけであります。

ではもう一点、郵政改革についてもお聞きします。

私は、もちろん、例えば十年後、郵貯銀行について一〇〇%株式を民営化する、そのことについて本当に成り立つのかどうか、大きな疑念を持っています。しかし、これは法律が成立したわけですから、これから厳しく監視をしていきたいと思います。

その上で私が申し上げたいことは、持ち株会社です。持ち株会社は三分の一以上の株を国が持つ。逆に言うと、三分の二近くまでは民間にという将来構想が描 かれています。そして、その持ち株会社のもとに一〇〇%子会社、つまり、現時点では一〇〇%国営会社の一〇〇%子会社ですから、完全な国営会社、郵便局会 社があります。その国営会社がこれからいろいろなことをやっていく。既に公社の段階でも、国際物流に乗り出したり、あるいはコンビニと提携したり、いろい ろなことを始めています。

選挙のときも皆さんいろいろ言っていました。例えば、東京の駅前の今の郵便局の跡の再開発とか、あるいは不動産のリフォームの仲介をやるとか、そういっ た本来民間がやるべきことをもし一〇〇%国営会社がやったとしたら、私は、これは大きな無駄遣いにつながると思う。

したがって、総理にお聞きしたいのは、この持ち株会社の株式をどういうスケジュールで民間に売っていくのか、そのことを具体的に示していただきたい。総理のお考えを聞かせていただきたいと思います。

○ 竹中国務大臣 持ち株会社についてのお尋ねでございますけれども、委員は今、国営会社というふうに言われましたけれども、これは民営化された民間の会社で ございます。いわゆる特殊会社ということになりますが、株式は三分の一以上持っていなければいけない。これは、郵便等々ユニバーサルサービスの義務があり ますから、その義務をやはり果たしていただくという、公共性を担っていただく民間会社ということで、これはまさにNTTがそうでありますので、NTTは国 営会社ではないというふうに皆さん思っておられると思います。その意味で、この持ち株会社は、国営会社ではなくて、民間の会社でございます。

その上で、直接のお尋ねは、この会社がどのように株を売っていくかということでございますけれども、これは、NTTの場合もそしてJRの場合もそうであ りましたけれども、しっかりとした事業計画をこれから立てていただいて、その中で、しっかりとした経営の戦略を練る中で判断していただく問題だと思いま す。

そのための承継計画、具体的に、今郵政民営化の会社というのはもうできております。そこで西川社長が就任しておられて、それをどのように今後四つの会社 に事業を割り振って、資産を割り振ってビジネスモデルを立てていくかということの承継計画をつくりなさいという命令を今政府としては出していて、それが出 てくるのを待っているところでございますので、その中でいろいろなことがまさに民間の知恵で議論をされていくというふうに思っております。

○ 岡田委員 私が国営会社と言ったのは、現時点で一〇〇%国の会社という意味で国営会社だというふうに申し上げたんです。例えばNTTやあるいはJR、それ は、将来は株式を公開するという絵がかけていましたよ、スタート時から。しかし、この持ち株会社については、例えば十年後であれば、郵貯、簡保はもう一〇 〇%民間になっているんですよ。そして、郵便局については一〇〇%子会社として残る。

この持ち株会社が民間の資本を入れて成り立つかどうか、そのことに大きな疑念があるからこそ、そして、一方で非常に意欲的な事業計画を言っておられるか らこそ、きちんと、どういうタイミングで民間資本を入れていくか、そのことを明示願いたいということを私は申し上げたわけです。

総理は覚えておられるかどうかわかりませんが、選挙のときに総理は、これも十年後に民営化するんだと言いましたよ。でも、そんなことは法律のどこにも書 いていないんです。持ち株の比率を少なくとも十年後には三分の一、そこまで落としていく、そのことをきちっとお約束いただけませんか。

竹中国務大臣 この持ち株会社がどのように成り立っていくのかどうか、これは、郵政全体について既に国会審議のときに骨格経営試算という一つのめどを示さ せていただいております。そして、四会社全体がしっかりと成り立つ、その上で経営努力をしてもらいたいということを何度も私自身御答弁させていただいてお ります。

その骨格経営試算を超えて、では、もっと具体的なビジネスプランをどう立てるのかというのが承継計画でありますので、その承継計画の中には、当然のこと ながら、この十年間でどのような売り上げになって利益になっていくかという詳細が示されてまいります。その中で示していくわけです。

これをしっかりと私たちとしては提出させたいと思いますし、もう一つ、一〇〇%政府が持って、それでいろいろなビジネスに進出していくというふうにおっ しゃいましたけれども、そういった場合との民間のバランスを図るために郵政民営化委員会というのを別の組織としてつくって、そこでしっかりとイコールフッ ティングを議論してもらうという仕組みをつくっております。

また、法律の中には、この会社が、移行期間、同業他社に、確かに政府の資産を引き継いでつくる会社でありますから、そのほかのイコールフッティングを害 してはいけないという観点から、いわゆる配慮義務、同業他社に対して配慮をするという配慮義務も課している。そういう慎重な制度設計をした上で、今申し上 げたように、その承継計画の提出をこの間命じたところでございます。

岡田委員 今、郵政民営化委員会の話をされましたが、しかし、届け出すればできるわけですね、基本的には。私が聞いていることは、どういうタイミングで、 例えば十年後に一〇〇%は少なくともないですね、持ち株会社が。十年後に一〇〇%国が株を持ち続けるということはない、少なくともそのことはお約束いただ けますね。総理、どうですか。総理、総理。

竹中国務大臣 民間の経営にするということが民営化でございます。その意味で、一〇〇%その時点で政府が株を持っているということは、私たちは想定をしておりません。もちろん、詳細につきましては承継計画の中で明らかにされていくというふうに考えております。

岡田委員 今総理が全く答弁されなかったこと一つをもっても、この郵政民営化について総理が責任を持ってやっていくという形になっていない、あるいは中身を御存じないということを今このことで示されたじゃありませんか。

そして、さっきの道路公団、郵政民営化、いずれも先ほど来民営化という言葉が躍っていますが、私は、いつの間にか民営化という言葉の意味が変わったと思 うんですね。つまり、民営化というのは、民間の資本を入れることで、そのことによって、上場すれば株主のチェックも入ります、そして、民間の資本を入れる ことで、つぶれれば責任をとらなきゃいけません、だれも、最後国が面倒を見てくれません、そういうのが本来の民営化。しかし、いつの間にか民有民営という 言葉などが出てきて、持つことと経営することを分けて、そして、経営者が民間人であるとか、あるいは別の法律をつくればそれだけで民営化である、こういう 言葉の言いかえが行われていると思うんです。

今までの特殊法人でも株式会社というのはたくさんありますよ。私は、下手をすれば、この道路公団の民営化、これも一〇〇%国でしょう、そして、この持ち 株会社もその可能性がある。そうだとすると、それは従来の意味での民営化ではない。民有民営と言っていますが、経営者は民間かもしれないけれども、しか し、資本は一〇〇%国という可能性が残るし、道路公団などは一〇〇%ですから、これは従来の意味の民営化ではないということを私は考えていますが、いかが ですか、総理。

小泉内閣総理大臣 私はそうは思っておりません。先ほども、道路公団のお話をしたら、もういいよと遮られてしまいましたけれども、もっと詳しく述べてもい いんだったら述べますけれども、民営化したからこそ採算性というものも考えてきた。コストの削減も、今までの道路公団の場合だったらば二十兆円かかるとい うところを十兆円でできることになってきた。

具体的な一つの例をとってみても、あの高速道路の非常電話、これ、民営化しない、道路公団に任せてやっていたら、我々は知らなかったんですけれども、道 路の一つの非常電話が一台大体二百五十万かかる。民営化議論になってきたら初めて、何であの非常電話が二百五十万もかかるのかといってよく調査してみた。 今まで二万台以上、道路公団は高速道路のところにあの非常電話をつけていた。二百五十万もかかるわけないだろう、二百万ぐらいでできるんじゃないか、ある いは百万ぐらいでできるんじゃないかといったら、何と四十万円でできる。これはやはり、民営化をやろうという議論が出てきたから、コスト削減という民間の 手法が出てきたんです。これはほんの一例なんですよ。

だから、全体で二十兆円かかるところを十兆円でできる、同じ道路でも本当に三車線も必要なのか、二車線でいいんじゃないか、六車線でいいのか四車線でい いのか、そういう厳しい査定を、調査をしながら、必要なところだったらば、コストを安くして、料金を安くして、どうしても必要だったらつくる、こういうの は、民営化の議論が出て、民営化になったから初めて明るみに出てきたんじゃないですか。

岡田委員 総理、総理は非常に恥ずかしいことをおっしゃっているんですよ。つまり、民営化したからやったんじゃないんですよ。公団のままでもやったんです よ。今の非常電話はどうですか、二百五十万、それが四十万になったと総理は誇られるけれども、今まで二百五十万の非常電話を放置してきた政府こそが恥ずか しいんじゃないですか。

こんなことは、政府の責任ある特殊法人、公団がそういうことをやってきたことを放置してきたことが問題。官製談合も同じですよ。そういったことを放置し てきたことの責任を本来問われなきゃいけない。現にこれは、民営化会社ができる前にやったじゃないですか。

私は、こういった総理の民営化というのは、経営者に民間人を入れるけれども、あるいは株式会社にはするけれども、しかし、本当の意味での民営化にはなっていないということをまず申し上げておかなければいけないと思います。

それでは次に、地方分権の話を申し上げたいと思います。

この地方分権も、本当に私は無残な結果になったと思いますよ。結局あの三兆円の税源移譲、これは、私、それなりに評価しているんです。しかし、具体的な 地方への仕事、本来、裁量権を地方に与えることが分権の目的だったはずです。しかし、ほとんどは補助率を変えただけじゃないですか。

この前、鳥取県の片山知事もこの場に参考人として来られました。そして、地方として裁量の余地のない、したがって、努力によって効率化する可能性のない補助金の負担割合変更では、やらない方がましだった、現職の知事がそう述べられているわけですよ。

こういった補助率を変えることだけに終わったことについて、総理は、反省の弁ありますか。

小泉内閣総理大臣 それは、片山知事の発言をとらえて言っていますが、四十七都道府県の知事の中でも賛否両論あった問題なんです。そこで、知事会がまとめ てきて、最終的なこの結論については、知事会の代表の方々、市長会の代表の方々等は評価をしてくれている、よくここまでやってくれたと感謝の言葉まで私は いただいております。

どういう形でまとめるか、都道府県でも大変だったんですよ、苦労が。しかし、そういう賛否両論の中をまとめていく。政党でもそうです、すべての人が賛成 するということは余りないんです。それは自民党も民主党も同じでしょう。賛否両論、結論が出るまではかんかんがくがくの議論が行われます。そして、結論が 出れば、大体これでお互い納得しようと。納得した中でも、中にはまだぶつぶつ言う人がいるのは、それはいますよ。しかしながら、全体の評価としては、これ はよくここまでやってくれたという評価が全体の意見であると私は受けとめております。

岡田委員 総理、知事会がまとめてきたとおっしゃいましたね。確かにまとめたんですよ。総理が知事会に、あるいは地方六団体にお願いしましたから、けんけ んがくがくしてまとめた。そのまとめたものとでき上がった姿は似ても似つかないじゃないですか。六団体がまとめてきたもの、知事会がまとめてきたものを各 省庁にもう一回投げて、そして各大臣あるいは族議員、官僚、みんなが寄ってたかって当初の案をめためたにしたじゃないですか。

では総理、最初の質問に戻って聞きますが、例えば児童手当制度、これは補助率を変更しました。三分の二を三分の一にした。あるいは、児童扶養手当は四分の三を三分の一にした。地方の負担が従来の千五百八十億円から四千五百二十億円にふえました。

では、地方の裁量の余地は、この児童手当制度について、どこにどうふえたんですか、具体的に述べてください。

川崎国務大臣 生活保護と児童手当また扶養手当の問題について、ずっと知事会、市長会と議論をしてまいりました。生活保護については、もう委員御承知のと おり、国々によって違います。(岡田委員「児童手当」と呼ぶ)生活保護の議論をしているんです、生活保護の議論がありました。そして、その議論の中で、国 の分権のあり方によって違いますねという議論の中で、私どもは生活保護で議論しましたけれども、結論として、児童手当、児童扶養手当でやりたいというお話 もございました。最終的には話し合いで決着した、このように思っております。

岡田委員 私の質問に答えていただきたいんです。確かに、地方は生活保護は裁量の余地がない。それだけではなくて、将来、どんどん全体の規模も膨れ上がっていく。そういう中で、これは絶対に堪忍してくれということだと思いますよ。

私が聞いたのは、最終的に決着した、厚生労働省も政府も合意をした児童手当について、地方にどこに裁量の余地がふえたんですかということを聞いているわけです。

川崎国務大臣 生活保護と並んで議論している中で、特に就職支援という議論になりました。生活保護においては、就職支援というのは高齢者が多いからなかな か成り立たないというのが知事会等の御意見でございました。そうなりますと、子を持つ親、母親でございます、若い母親への就職支援というのは成り立ちます ねという議論が実は進みました。その議論の中で、一方で、扶養手当と児童手当と率が違うのもおかしいねという議論もございました。そういう議論を積み重ね た中で、最終的には、就職支援の問題も含めて同じ率で合わせようということで結論を得た、このように考えております。

岡田委員 私は、今児童手当に限って話をしているんです。

三分の二が三分の一になりました。それでは、地方の裁量で児童手当の額は変えられるんですか。児童手当の所得制限がありますが、その所得制限の額も変え られるんですか。何も変えられないじゃないですか。ただ単に国の決めた制度の中でお金を出すだけじゃないですか。そういったものについて何が地方分権なん ですか。裁量の余地が全くない、これは地方分権とは言えないということを言っているわけです。

川崎国務大臣 いえいえ、ですから、全体の議論の中で生活保護の議論から始まった、生活保護を長々と話をするのは嫌ですから切りました、さっき私が。だけれども、長々と話していいですか。

生活保護といったって、フランスのように中央集権の国は全額国が持ちます。ドイツのように分権が進んだ国は基本的には州が持つのが基本でございます。そ の中で、生活保護の議論の中で今岡田委員のような御主張がございましたから、生活保護全体としてとらえないで、例えば、地方でできる、住宅のあっせん、就 職の支援、入院、これは入院から介護へ、こういういろいろな議論がありますねという中で議論をずっとやってまいりまして、しかし、生活保護については、地 方は、国ができるだけ責任を持つべきだという強い御主張をされました。

最後のまとめとして、その中で児童扶養手当の問題が出てきて、児童扶養手当につきましては就職支援という側面が多いですね、地方の努力の結果が出る部分 ですねという議論と、片っ方で、それでは、四分の三という支援をしている負担と、片っ方の児童手当の三分の二ですか、という手当の負担と、その比較はどう ですか、合わせるべきじゃないですか、こういう議論がありましたので、全体の整理としてやらせていただいたということでございます。

岡田委員 私は何度も聞いているんです、地方の裁量の余地がどこがふえましたかと。経緯のいろいろなことを私はお聞きしているつもりはありません。

結局、ここに象徴されるように、総理、総理の地方分権というのは、最初は、地方にできることは地方に任せる。いいですよ、それは。そのことはよし。しか し、地方に任せていないということなんですよ。全部国が仕切って、お金の負担だけふやした、そういう部分がかなりあるのが今回の分権なんですよ。ほとんど 意味がないんですよ、中身がないんですよ。

こんなことを幾ら繰り返していても、本来、地方の責任でやらす、裁量を持たせて地方の責任でやる、そういう中からより効果的な政策が出てくるし、無駄も なくなっていく、最終的には効率的な行政になる。そういう中で分権の議論をしているにもかかわらず、そういった意味では全く当初の政策目標を達成していな いということを私は申し上げているわけですが、総理、いかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 それは、地方の団体と、今まで国のやってきた部分の中央の役所との交渉があります。中身がない、中身がなかったら評価しませんよ。中身 があるから評価してくれているのであって、すべてが地方でやるということの考えじゃないんです。国の役割、地方の役割それぞれあるんですから、生活保護に ついては地方の言い分を聞いて、地方がその権限は国がやってくれと言うからそれは残している。しかし、そのほかの部分で、税源移譲にしても地方が評価して いる部分もあるんですから、バランスを持って見ていただきたいと思います。

岡田委員 結局、これは片山さんも言って おられましたが、各省庁が自分の権限を温存したい、逆に言うと、うまみのある補助金は守り切って、そして、単にお金の負担が減る、つまり、みずからの権限 には影響のない補助金を渡したというのが現実ですよ。そのことは、総理、率直に認めていただきたいと思うんです。

これからも分権を続けるんでしょう。こんな意味のないことをやっていても何の意味もないし、地方も中央省庁もお互いエネルギーをロスしているだけです よ。そして、その中で見事に欠けていたのは、私は、今回の分権騒動、本当に私も霞が関にかつて身を置いた者として残念でならなかった。省あって国なしじゃ ないですか。みんな自分の省庁のことで走り回っている。

そして、その中で最も問題だったのはリーダーシップの欠如。大臣のリーダーシップもありますが、総理自身のリーダーシップの欠如ですよ。六団体に一たん まとめろと言って投げながら、その案がぼろぼろになっても、総理は全くそのことに関与しなかった。それが今回の分権であります。これからも分権の議論続く んだと思います。きちんと本当の意味での分権をしっかり進めていただきたい、そのことをお願いしておきたいと思います。

次に、格差論について少し議論したいと思います。

まず、総理は、所得格差について、統計データからは所得格差の拡大は確認されないとかつて答弁されています。本当にそうなんでしょうか。

確かに、内閣府の説明によると、所得再分配調査、これは厚労省の調査ですが、これは二〇〇一年。その二〇〇一年まで見れば多少格差の拡大は見えますが、 決定的とは言えないかもしれない。そして、学者の一部が言うように、それは高齢化とかあるいは世帯の増加によって説明できるかもしれない。

しかし、一方でもっと新しい数字もたくさんあるんですよ。例えば二〇〇五年までの数字として、貯蓄ゼロ世帯、過去最大の二四%。そして、二〇〇一年から 二〇〇五年までの間に、正規労働者が三百万人減って非正規労働者が二百万人ふえた、こういったことも私は格差の存在を立証する統計だと思います。

そういう意味で、総理がかつておっしゃった、所得の格差の拡大は統計データから確認されない、この言葉を取り消していただきたいんですが、いかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 私が言っているんじゃないんです。専門家の中で、格差があるあると言われているからどうかということで、政府の月例経済報告会で、専門 家の方々が、今までの数字をもとに、統計をもとに調査してくれたんです。その報告によると、言われているほどの格差はないという報告を受けたということを 私は委員会でも申し上げているんです。

そして、これが二〇〇一年までの資料じゃないか。二〇〇一年か二年までの資料だった。それ以降の最近の資料はないということですから、できるだけ早く最 近の資料も集めて報告をしていただきたいと。最近の資料を集めるにも調査するにも時間がかかるということであります。

いずれにしても、言われているほどの格差はないという報告を受けておりますが、世の中、どの時代におきましても、どの国においても格差はあると思います。格差があるということは必ずしも悪いことではない。

要は、どうしても一人では立ち行けないような人たちに対して、どのようにお互い支え合うような体制を整備するか、あるいは、公的な機関として、国とし て、地方自治体として、どうしてもみずからの力で立ち行かない人たちに対して、社会保障なり立ち行けるような支援の手だてをどのように講ずべきか、これは 極めて重要な政治の課題であるということを申し上げたので、格差がない社会なんというのはあり得ないし、また、完全な格差社会でどんどん格差を広げていけ ばいい、こういうふうに思っている人も恐らくいないでしょう。

それぞれ、企業においても格差がある、個人においても持てる力の違いがある、個性もある。そういう格差というものを認め合いながら、それぞれの力が発揮 できるような社会をつくっていくことが望ましいということを私は申し上げているのであって、格差がある、なしというようなことだけがいい、悪いという問題 ではないと私は思っているのであります。

岡田委員 総理、総理はたびたび議論をすりかえられるんですが、きょうは最後の議論かもしれませんから、きちんとした議論をしたいと思うんです。

私は、格差がある、ないの議論を今しているんじゃないんです。これはまた後からやりますよ。格差が拡大しているかどうかの議論をしているんですよ。そし てそのことは、確かに二〇〇一年までの所得再分配調査では、あったとしても違う理由だと先ほど私申し上げました、具体的に。しかし、それ以外の統計もある じゃないかと。貯蓄ゼロ世帯、二〇〇五年、最高ですよ。

こういうことも総理は御存じだと思いますが、例えば、経営上の理由で仕事をやめた人は、バブル後、八百万人、端的に言えばリストラ。八百万人の人が職を 離れました。しかし、その中でも、特に平成十三年度以降平成十六年度までの間で三百万人なんですね。つまり、最近に至って、リストラによって職を離れた人 が平成十三年度以降ふえているんです。

あるいは給与総額で見ても、企業の支払う人件費総額、ピーク時の平成十年二百二十三兆円、それが平成十六年には二百二兆円ですから、平成十年から十六年にかけて二十兆円減っているんですよ。

つまり、小泉総理の総理御就任の時期と大体重なって給与総額も減っているし、そして、経営上の理由で職を離れた人も非常にその間集中的にふえているんですよ。それでも総理は格差拡大はないとおっしゃるんでしょうか。いかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 先ほども申し上げましたように、私は、どの程度格差が広がっているか、私自身は断定できないから、専門家の皆さんに、どの程度の日本は 格差なのかという報告を受けたと申し上げているんです。そして、格差があるというのは必ずしも悪いことではないと。(岡田委員「拡大の話」と呼ぶ)

拡大の話においても、どうしてもできない、自分で立ち行かない人に対するセーフティーネットが整備されていれば、どんどん能力のある人はみずからの能力 なり経営手腕なりを発揮して伸びていくのは私は構わないと思っております。成功者の足を引っ張って言うのはよくない。

ですから、最低限のセーフティーネットが整備されていれば、みずからの能力をどんどん発揮できるような人をどんどん出すということは、仮に格差が広がっ ても、私は悪いことではないと思っているんです。余り成功者をねたんだり、能力のある者の足を引っ張る風潮というのは好ましくない、そういうことを言って いるんです。

しかし、どうしても自分でやっていけないという方に対してはセーフティーネットをどう整備するか、これは政治で極めて重要なことだと思っております。

岡田委員 総理、私は、小泉構造改革がこの格差拡大をつくり出したすべての原因だとは言っていないんですよ。

私が申し上げていることは、総理、先ほど言いましたよね、平成十三年以降で三百万人の方がリストラで職を離れている、そして、給与、人件費総額が平成十 年から二十兆円減っている。こういう人たち、職を離れなきゃいけなかった人たち、あるいは給与が下がった人たち、もちろん一人一人生活がありますよ、家庭 もありますよ。この中には、例えば、私の周りでもよく聞きますよ、私立高校とか私立大学に入ったけれども、親の都合でそれを途中でやめなきゃいけない、あ るいは学校をかわらなきゃいけない、進学を断念しなきゃいけない、そんな人はたくさんいますよ。そういったことについて、きちんとわかった上で政治をやっ ていくのかどうかという問題なんですよ。そこを総理は、格差は認められないと一言で切って捨てるから私は問題だと言っているんです。

もちろん、今のこの格差の拡大、いろいろな理由があります。一番大きな理由は、私はやはりグローバル化だと思う。世界的な現象ですよ。私は、そのことは ある意味ではとめようのない部分、日本としてそれを受け入れていかなきゃいけない部分もあると思う。しかし、そのことが、先ほど言ったような現実があると いうことをきちんとわかって政治をやっていくのか、そういうものから目を閉ざして、そして格差拡大は認められないと開き直ってやっていくのか、そのことが 政治家の姿勢として問われていると思うんです。総理、いかがですか。

小泉内閣総理大臣 何回も申し上げていることでありますが、格差は、どの時代にもどの国にも、どの企業にもどの個人にもあると思うんです。そういう中で、 できるだけ多くの人が、仮に一度や二度チャンスを見逃したり、あるいは挑戦しても挫折したり失敗したりしても、また立ち上がれるなという機会をできるだけ 多くつくるのが大事だ。そして、一たびできた格差というものがずっと生涯固定するのはよくない。あるときは敗れても、またあるときは勝ったり成功したりす る場合があるでしょう。成功した人が安住すると、また失敗することもあるでしょう。一度や二度の失敗でくじけないで、それを一つの糧として、経験として次 への挑戦に、成功への糧に生かしていただきたい。

そういういろいろさまざまな機会を提供する社会にしたい。そして、やる気を持って努力すれば何とかなるんだというような社会にしていきたいというのが、 今の改革の一つの方向性を持って進む必要があると私は言っているのであって、現に、私が就任以来、失業者が多かった、このまま不良債権処理を進めると、ど んどんどんどん失業者がふえると、よく批判されました。

しかし、現実には、この四、五年進んできて、失業率も五・五から、最近はたしか四・五かな、四・四か四・五に減ってきた。そして、なかなか企業が採用し てくれない、有効求人倍率も一にはなかなか届かなかった。〇・六、七だったかな、それが最近では一になった。中には、東京だけじゃない、愛知県でも群馬県 でも一・一倍を超えた。そういう中で、仕事を持つ人もふえてきているし、なおかつ、最近では新規の採用をし出す企業もふえてきた。どんどん就業者数もふえ てきている。チャンスを提供して、やればできるという意欲を持っている人も出てきているんです。

しかし一方、ニートとか呼ばれる人たち、仕事につかなくてもいいやという人たちがふえてきているのは、これは将来を考えるといいことではない。こういう 方々に対して、仕事の持つ重要性、こういうことについて、より教育なり訓練なり就業機会の提供を与えていく方策を政治として考えなきゃならないということ で、今その方に力を入れているわけであります。

でありますから、それを、格差があって当たり前、小泉がそう言っていると、私が言っていないことまでワンフレーズで取り上げられて、勝手に、何もやっていない何もやっていないと批判されるのは、私は心外であります。

岡田委員 ワンフレーズは総理です。私は、ちゃんと先ほど、統計データから所得格差の拡大は確認されないと総理は言っていると言いました。

そして、私、今総理の話を聞いていて、やはり時代認識といいますか状況認識が非常に甘いと思うんですね。つまり、今どういう事態になっているか、グロー バル化というもののその影響をどう見るかという話ですよ。これだけ市場が世界じゅう一体化していけば、それは仕事の中身によっては、近隣のアジアの国々が 低い人件費で物をつくっている、そことの競争ですから、必然的に格差拡大の方向に行くんですよ。そのことを私一〇〇%だめだと言っているんじゃありませ ん。日本としてグローバル化は避け得ない、しかし、その中で政治がどういう役割を果たしていくべきか、それが、チャンスをつくればいい、そういう話ではな いと私は思うんです。大きな市場が一つになっていく中で、政治が所得の格差の拡大についてどう向かっていくのかということをきちんと議論すべきだ、具体策 はまた後で申し上げます。そのことを私は申し上げているわけであります。

そして、総理は今、機会の問題、機会をふやしていく、それはそのとおりでしょう。しかし、チャンスがあってもそれを生かし切れない人はいます。努力して も報われない人もいます。そのこともきちんとわかった上で、努力したけれども残念ながら報われなかった、チャンスを生かせなかった、そういう人たちに対し てもしっかり光を当てていくのが政治の役割じゃないですか。チャンスをつくるだけでいいんですか。私は違うと思いますよ。

総理、そこのところについて、総理はチャンスさえつくればいいとお考えなのか、それとも、大体、総理、私、人生というのは、努力もあるけれども運も大き いと思うんですよ。運というのは生まれつきの才能ということもありますよ。ですから、そういう中でしっかりと、単にチャンスをつくるだけじゃなくて、その 結果、努力はしたけれどもうまくいかなかった人に対して、しっかり政策、政治の光を当てていくということが私は大事だと思いますが、総理の御見解を問いた いと思います。

小泉内閣総理大臣 何回も申し上げていますように、どうしても自分一人では立ち向かうことができない人に対しては、しっかりとしたセーフティーネットなり 社会保障制度、これを整備していくということは政治として極めて重要なことだということを何回も申し上げているんです。その上で、チャンスのある人、やれ ばできる人、努力すれば報われる人、こういう人に対しては立ち上がれるようなチャンスを提供していこうと。

もちろん能力だけじゃありません。どんなに能力があったって運が悪い人はいます。努力すればそれだけ努力しない人よりも恵まれるかというと、必ずしもそ うでないのが世の中であります。選挙運動を一生懸命やっても当選できない人がいる。余り選挙運動をやらなくたって当選できる人がいる。それは、野球一つ見 たって、あれだけ才能のある選手が集まっているプロ野球でも、能力があると思われていながら、どんなに練習しても努力しても、血のにじむような訓練、練習 をしても三割を打てない選手もいる。しかしながら、天性、それほど必死に練習しなくてもホームランを打ったり三割打てるバッターもいるんです。

だから、これはもう能力の違い、才能の違い、運のいい、悪い、人生ですからありますよ。そういう中で、できるだけ、やればできる、やりたいという人に対 してはチャンスを提供しよう。たった一例でありますけれども、今まで、一千万円の資金がなかったら株式会社を立ち上げることができない。おれは会社をつく りたいんだというのにも、では、一円あれば株式会社ができるようにしようということができたら、どんどんやる人が出てきたんです。こういうチャンスを提供 することが大事なんです。私はそういうことを言っているんであって、一人で立ち行けない人に対して何もしなくていいなんということは一言も言っていません よ。

セーフティーネットを整備すること、社会保障に対して持続可能なものにしていくこと……

大島委員長 総理、そろそろ。

小泉内閣総理大臣  そして、ニートに対してきめ細かい指導をしていくこと、そういうことも重ねて申し上げております。

岡田委員 私は、どうしても立ち向かえない人に対して総理が何もしていないということを言っているんじゃないんですよ。チャンスがある、チャンスをつく る、それだけでいいんですか。チャンスがあってもそれを結果論として生かし切れない人はたくさんいますよ。それで本当にいいんですか。本当に同じ能力が あっても、チャレンジしても失敗する人はたくさんいますよ。そこに対してしっかり光を当てるのが政治じゃないですかということを私は申し上げているわけで あります。

きょう、具体論を述べる時間は余りありませんでしたが、例えば、これは税制調査会長の石さんも言っていますけれども、株の取引に対しての一〇%の課税、 本則二〇%に戻す時期がもう来ているんじゃないですか。あるいは所得税率や相続税率についても、私は単純に上げろと言うつもりはありませんが、工夫しなが ら、もう少し、行き過ぎたフラット化を直していく必要な時期に、そういう時期に来ているんじゃないですか、そういったことを私としては申し上げているわけ であります。

きょうは総理の演説の中で十分な質問ができなかったので、非常に残念ですが、真剣に考えていただきたい、そのことをお願いして、私の質問を終わります。




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