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2006.02.21|国会会議録

164-衆-予算委員会-16号 平成18年02月21日

岡田委員 民主党の岡田克也です。

きょうは、財政再建と経済運営の問題を中心に質疑をしたいと考えております。

この問題は、経済財政諮問会議の議事録などを拝見しておりますと、かなり活発なる議論が各委員間、閣僚間で行われていることが想像されるわけでありま す。多くの論点について経済財政諮問会議の中でも意見がまだ収束していないという印象を受けるわけでありますので、国民の見ているところでしっかりと議論 していきたいというふうに考えております。

きょう、私が議論したいと思っている点は四点であります。

第一点は、実質成長率についてどう考えていくのか。第二点が、名目成長率と長期金利の関係をどうとらえるのか。第三点が、財政再建との関係で、高目の名 目成長を目指すという考え方についてどう考えるのか。第四点は、これが実は一番私は重要だと思っているわけですが、基礎的財政収支黒字化の次なる目標をど う設定し、そしてトータルとしてそれの実現に向けてどう具体化していくのかという四つぐらいの問題があるのではないかと思っております。

それぞれについて順次お聞きしたいと思います。資料を配付させていただいていると思いますが、その資料も参考にしながらというふうに考えております。

まず実質成長率についてお聞きしたいと思いますが、資料の最初のページをごらんいただきますと、内閣府の試算結果というのが出されておりまして、基本 ケースであります。実質成長率について、今後一・八から一・七%程度で推移していく、そういう想定を置かれているわけです。これは与謝野大臣にお聞きした いと思いますが、この一・七あるいは一・八程度、つまり二%に届かない、一%台の後半、こういう実質成長率について、どういう視点でこういった数字が出て きているのか、御説明をいただきたいと思います。

〔委員長退席、森(英)委員長代理着席〕

与謝野国務大臣 御指摘の「改革と展望」参考試算の基本ケースにおいては、二〇一〇年代初頭までの中長期的な実質成長率を一・七から一・八%程度と見込ん でおりますけれども、これは、高齢化が進むことから労働投入は今後とも減少していく見込みである一方、資本蓄積や全要素生産性の伸びが経済成長に貢献する ことによるものでございます。

このうち、全要素生産性上昇率については、構造改革の効果が今後とも進展していくと見込まれることから、足元の一・〇%程度から一・二%程度まで徐々に高まるとの仮定を置いております。

そこで、実質成長率一・七から一・八%程度の要因としては、具体的に申し上げますと、労働力の寄与がマイナス〇・二%、資本蓄積の寄与がプラス〇・八%、全要素生産性の寄与が一・二%程度というふうに想定して計算をしております。

岡田委員 大体多くの学識経験者といいますか学者の皆さんも二%を切るぐらいという考え方が多いんじゃないかと思うんです。

そこで竹中大臣にお聞きしたいと思いますが、資料の三をごらんいただきますと、竹中大臣が前々回の経済財政諮問会議において出された一枚紙、論点という 紙があります。その1の(2)のところで、「実質成長力 日本経済の実力は二%あるのではないか」、こういうふうに書かれております。ただ、竹中大臣が前 職であったときに出された昨年の同じような試算、これは資料の二につけてございますが、このときには、二〇一二年度に向けて実質成長率は一・五から一・六 という前提を置かれていたと思いますが、二%可能ではないかというふうにお考えになるに至った御説明をいただきたいと思います。

竹中国務大臣 諮問会議で議論しておりましたときは、今後、中期的な観点で財政再建を、健全化を考えようではないか、そのときの成長率でございます。

中期的な成長力というのはどのぐらいあるかということに関しましては、これは今与謝野大臣からもお話がありましたように、基本的には、中長期的な場合 は、需要側ではなくて供給側で労働のインプットがどれだけあるのか、資本のインプットがどれだけあるのか、全要素生産性がどのぐらい伸びるのか、そういう 形での議論がなされるわけでございます。

一・八なのか二なのか二・一なのか、その辺の議論をしているわけではございませんが、私は、今までの幾つかの専門家の議論を重ね合わせて二%程度の成長の実力はあるというふうに考えておりまして、そのことを申し上げているわけでございます。

短期的に、今年度が何%か、二年後、三年後が一・七%か八%か、これはむしろ供給側の議論ではなくて、需要がどのようになっていくかということの議論で もありますので、短期の議論と中長期の議論というのはやはり分けて少し議論をする必要があるというふうにも思っております。

岡田委員 私は、足元の短期の話をしているのではないと思うんですね、まず前提として。二〇一一年度あるいは一二年度までの、これを中期と言うかどうかですが、プライマリー黒字に至るまでのその道筋の期間の話をしていると思います。

竹中大臣のペーパーも、二〇一〇年代初頭のプライマリーバランスの回復をどう実現するかという中で、二%の実力があるのではないか、こう言われているわ けで、これは短期の足元の話をしているのではなくて、恐らく二〇一〇年代初頭までの話として二%ということを言われていると思います。そこを従来から〇・ 五ポイント上げられたわけですから、一・五から一・六と言われていたわけですからね、昨年までは。〇・五上がるというのはかなりの変化だと私は思います。

そういう意味で、どういう根拠で二%ということを主張されるに至ったのか、その根拠を示していただきたいと言っているわけです。

竹中国務大臣 今までも、日本の潜在成長力は二%弱ぐらいであるというふうに私は申し上げてきたと思います。二%弱ぐらいである、しかし、改革をすること によって潜在成長力を上げること、これは大変難しいという委員の御指摘は正しいと私も思いますけれども、それも決して不可能なことではないのだと思ってお ります。

そういう意味で、二%程度の中期的な成長力を前提にするというのは、今まで二%弱だった、それが二%になった、その厳密な差は何なのかと聞かれましたな らば、それはそういう厳密な試算を行った上での発言ではないということを前提で申し上げておりますけれども、二%程度ということ、それは、今までの議論の 延長線上、そして改革を進めるということで可能な範囲である、私はそのような趣旨で申し上げているわけでございます。

岡田委員 一・五、一・六と言っておられた竹中さんが二と。一・五、一・六というのは、去年の、竹中さんが責任者をしておられたときの内閣府の試算です。 それが二と言われる。〇・五上がるというのはかなりのものでありますから、そのことをきちんと説明する説明責任があるというふうに思いますが、そのことは さておいても、今の竹中さんの御発言でも僕は基本的に違うというふうに思うのは、可能性の問題を今論じているのかということですよ。

つまり、この試算は何のためにあるかというと、二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスの黒字化、基礎的財政収支の黒字化、その道筋を議論しているわけ ですから、財政の立て直しの議論の前提として、可能性、つまり、ある意味では楽観的見通し、希望といいますか期待値といいますか、そういうものを置いて財 政の再建を議論するということ自身が間違いではないか、私はこういうふうに思うわけですが、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 まず、そこの私の紙は試算結果を示しているわけではございません。それなりの試算に基づいて最終的ないろいろな議論をしなければいけないと 思いますが、私はそういうことも可能だと思うので、そういうシナリオについても検討する必要があるのではないかという趣旨の発言をさせていただいておりま す。その上で、しっかりとした試算は当然していただかなきゃいけないと思います。

これは、私は経済財政政策担当大臣のときからずっと申し上げていますけれども、日本の潜在成長力について、例えば民主党は何%ぐらいと考えておられるの か、そういう議論も大いにしていただく必要があると思っておりますし、そういう意味で私は一つの可能性として二%程度は可能であるというふうに思っており ますので、そういうシナリオを踏まえた試算もしていただきたい、そのようなメモでありますので、私の試算ではございません。

岡田委員 私の質問に答えていただいていないわけですが、先ほども、不可能ではないという言い方をされたんですね。そういう可能か不可能かという次元で財 政の再建の前提の議論をしていいんだろうか。やはりそこは、基礎的財政収支を二〇一〇年代初頭に実現するというその前提の議論としては、きちんとした、あ る意味ではかた目の数字を置いて議論しないと、楽観論で、実はこの後で言いますが、実質成長率二%、名目も二%、合計四%、そういう数字になると、確かに かなり税収とかが違ってきますよ。それは、そういう楽観的シナリオで財政の再建について議論すれば、かなり楽な結果が出てきますよ。でも、それはある意味 では粉飾だと部分的には言われても仕方のない議論ではないか、やはりそこはきちんとした裏づけのある数字で議論しなければいけない、こういうふうに私は思 うわけであります。

与謝野大臣、もし御意見があれば聞かせてください。

与謝野国務大臣 日本の経済を成長させたい、潜在的な成長力も上げたい、経済運営としては、当然高いところに目標を置いて、それに向かって改革も行い、国民的な努 力もする、これは私は、高目の目標を掲げて進んでいくというのは正しいと思います。しかし、財政再建をやるときには、余り悲観的な見通しも好ましくないだ ろう、余り楽観的な見通しも好ましくないだろう。

イギリスで財政を点検するとき、二つのことがございます。一つはプルーデントという言葉がありまして、要するに、堅実なと申しますか、慎重な、控え目 な、そういう前提で計算しよう、それから、財政の持続可能性も三十年間ぐらいにわたってちゃんと点検しよう、こういう思想で物事を計算されているそうでご ざいます。

したがいまして、この日本という国の豊かさを維持するために高い潜在成長力を目指して頑張る話と、財政を堅実なものにするという話とは、恐らく前提が違ってきてもやむを得ないことだろうと思っております。

岡田委員 この予算委員会の冒頭の総括質疑のときに、自民党の中川政調会長が上げ潮路線というようなことを言われて、構造改革によって高い成長を目指すと。私、その限りにおいては方向として間違いじゃないというふうに思います。

ただ、そのことと、税収もふえるから財政の改革が、その改革というのは、私、必ずしも増税を意味するものではないんですが、財政の改革が楽になる、ある いは、多少そこについて急がなくていいという発想に立つとすればそれは間違いで、与謝野大臣おっしゃるように、国として目指すべき高目の成長を実現すると いう話と、それから財政の立て直しのための前提として置く数字というのは、おのずから趣旨が違いますから違って当然である、そういうふうに私は考えており ます。

竹中大臣、もし御発言がありましたらおっしゃっていただきたいと思います。

竹中国務大臣 私は、やはり改革というものを今後しっかりと続けていかなければいけない、そういう中で財政の改革をしていく必要があるというふうに見ております。これは、恐らく皆さんそうだと思います。

その中で、その改革がどのぐらい効果をあらわすかということに関しては、これはいろいろな見方があるんだと思います。その意味では、財政については非常 に堅実にそのあり方を考えていかなければいけないというのは、私も全く同感でございます。同時に、改革を進める中で、いろいろな選択、可能性があるという ことを念頭に置きながら、できるだけ国民の負担を小さくしていくような改革、そして財政の健全化をなさなければいけないということだと思っております。

その意味では、私が申し上げていることと与謝野大臣が申し上げていることというのはこれは基本的に方向としては同じなわけでありまして、できるだけしっ かりと成長を高めていこう、その中でできるだけ堅実に財政を健全化していこう、その方向で議論をさらに深めたいと思っております。

岡田委員 国民の負担をなるべく小さくする、そのこと自身は私は当然だと思いますが、それは、現実ではなくて仮想の世界で小さくして、後で結局大きな負担 になってくる、そういうことがあってはならないというふうに思っております。余り高目の実質成長率を言うということはそういったことにつながる懸念がある ということを、私、重ねて申し上げておきたいと思います。

それでは、次に名目成長率と名目金利の関係について話を進めたいと思いますが、私は、この話をするときに、中期の話なのか長期の話なのかということで整理して議論した方がいいというふうに思うわけです。

ここは竹中大臣も、先ほどの一枚紙、論点でありますが、二〇一〇年代初頭までのプライマリーバランス回復までの話と、それからプライマリーバランス回復 後の長期シナリオ、こう二つに資料を大きく分けられて、そして、実は2の(3)のところで名目成長率と名目金利の関係という話が出てくるわけですから、こ れを拝見していると、長期的な話として名目成長率と名目金利の関係を議論するということなのかな。逆に言いますと、二〇一〇年代初頭までのプライマリー黒 字を確保するところまでの話とは一応切り離しておられるのかな、そういうふうに受け取るわけですけれども、いかがでしょうか。

〔森(英)委員長代理退席、委員長着席〕

竹中国務大臣 それはもう当然な話でありまして、プライマリーバランスというのは金利は関係ございませんから、要するに金融費用を考える前のその収支がプ ライマリーバランスでありますから、そこに金利が高くなるか低くなるかというのは、プライマリーバランスを議論する限りは、これは入ってきようがない問題 でございます。

その意味では、長期的に、プライマリーバランス回復後に何をさらに、プライマリーバランスの回復というのはあくまで第一歩ですから、さらに何をするの か、どういう目標を掲げるのか。そのときに成長率と金利の関係が大事になってきます。これはごく自然のお話だと思います。

岡田委員 この資料一の基本ケースのところを見ますと、名目成長率と名目長期金利の項目、「マクロ経済の姿」の中であります。これによりますと、二〇〇八 年度までは名目成長率の方が名目長期金利よりも高い、これは実績も含めての話でありますが。二〇〇八年度にこれは交差をしまして、二〇〇九年度以降は名目 成長率を名目長期金利が超える、こういう図になっているわけであります。竹中大臣のときにおつくりになった一年前の基本ケースでも、年度は二年ぐらい後ろ 倒しになっておりますが、やはり途中で長期金利が名目成長率を上回る。二〇一〇年度に同じになって、それ以降は上回る、こういう姿になっております。

与謝野大臣にお聞きしたいんですが、こういう名目成長率とそして名目金利の、現状は成長率の方が高いわけですが、やがて金利が上回るに至るという中期の シナリオの話、長期の話ではありません、中期でそういう絵をかいておられるその理由をお聞かせいただきたいと思います。

与謝野国務大臣 これはあくまでもモデル計算でございまして、一定の条件のもとで、経済の姿、財政の姿を試算しようということでございます。

まず、名目成長率と名目長期金利の関係については、もう委員御承知のとおり、一方が他方を上回る、他方が一方を上回る、いろいろなケースがございまし て、しかしながら、一九六六年から二〇〇四年までの平均をとりますと、名目長期金利の方が名目成長率より下でございます。しかし、一九八〇年以降の平均で 見ますと、名目金利の方が名目成長率より上だということでございます。

「改革と展望」の参考試算においては計量モデルを利用して客観的な推計を行っておりますけれども、ことしの試算においても昨年の試算においても、ともに推計期間の途中で長期金利が名目成長率を追い抜く姿となっております。

岡田委員 私は理由を聞いたわけで、今直接お答えにならなかったと思いますが、ちょっと先を急ぎます。

私、この名目金利と名目成長率の話というのは、長期的シナリオとして非常に重要な議論だというふうに思うわけであります。竹中大臣にお聞きしたいと思い ますが、二年前、竹中大臣は覚えておいでかどうかわかりませんが、私がこの議論を提起したときに、私の議論に対して竹中大臣がこういうふうに反論されたん ですね。長期的には名目成長率が名目金利を上回るのは、非常に幅広く世界の専門家の間で共有されている考え方である、こういうふうに言われたんです。

私は、これはちょっと言い過ぎじゃないかというふうに思うわけです。つまり、竹中大臣がおっしゃったのは、世界の専門家の中のいわば常識は名目成長率が 名目金利を上回っているんだよと言われたんですが、私はこれは事実に反するというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 先般の諮問会議でも整理をさせていただいたんですが、長期的にはそのように世界の専門家の間に受け取られている、これは私は間違いないと思 います。諮問会議でも紹介させていただいた幾つかの論文、その詳細は挙げませんが、例えば、アメリカで過去百二十年、七十年、五十年、日本で過去四十年、 そういう長期をとると名目成長率の方が高かったというのは、これは歴史的な事実であると思います。ただし、その時々によって違いますし、期間のとり方に よってもそれはまちまちです。

ですから、非常に長い期間をとると、私は今でもそれは世界のファクトとして申し上げられると思いますが、我々がこれから議論するのは、百年というより は、これから五年、十年、まあ二十年という間でございますから、それについてはいろいろなケースがあり得るわけでありますから、そこは、非常に長期の議論 と、それと五年、十年の議論というのはやはり分けて考えなきゃいけないと思います。

もう一つ、そのときも理論の話は、これは岡田委員でございましたか、別の委員でございましたか、させていただいたと思いますが、では、理論的に名目成長 率と名目金利がどうなのか。これはこれで大変重要な問題でございますが、結論から言いますと、若干日本の経済学者の間でも誤解があるんですけれども、理論 的に名目成長率と名目国債金利、どちらが高いか低いかということに関して確立された考えはないというふうに思っております。

岡田委員 私は、日本の過去の長いレンジをとって議論するというのは、これはアプローチとして正しくないというふうに思うわけです。

まず、今の金利市場と、三十年、四十年前の金利市場と全く違うというふうに思います。当時は低金利政策というのを確かに政府としてとってきた、貯蓄過剰 を背景にとってきたという事実はあったと思いますけれども、それが可能なマーケットだったと思うんですね。しかし、今や自由化されたこの金利マーケットの 中でそういったことは私はほとんど不可能だというふうに思いますが、つまり、状況が変わっているにもかかわらず、古い状況の中での数字をもって今後のこと を論じるというのは、私は明らかに誤った態度ではないか、こういうふうに考えるわけであります。

この名目成長率と名目金利の関係について、竹中大臣は、長期的にはこれからも名目金利が名目成長率を下回るということを今言われたと思うんですが、この点について与謝野大臣はどういうお考えですか。

与謝野国務大臣 名目金利というのは何によって成り立っているかという純粋に学問的なことを申し上げますと、成長率プラス期待インフレ率プラス・リスクプ レミアムということでして、これは、委員御指摘のように、今は長期金利というのは市場で決まってしまうということもありますし、それから、金融が自由化さ れたことによって海外市場との関係でも金利のレベルは決まるということであって、果たして人工的に金利水準を左右できるのかという根本問題が多分あるんだ ろうと思っております。

いずれにしましても、経済財政諮問会議では極めてアカデミックな議論が進んでおりまして、そういう中で、経済運営の前提となる金利の話、それから財政再 建を達成するための金利の考え方、こういうものはやはり分けて考えてもよろしいのではないかと私は思っております。

岡田委員 同じ質問を日銀総裁に、福井総裁にお願いしたいと思いますが、この長期金利と名目成長率の関係について日本銀行としてはどういうふうにお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。

福井参考人 日本銀行におきましても、長期金利と成長率の関係につきましては、さまざまな学問的成果、そして過去の長い歴史の中での経験則ということをいろいろと勉強させていただいております。

ただ、現実に、私どもは、生きた経済の中で金融政策をやっていく責任を負っている立場でございます。これから我々がどういう世界で、どういうマーケット の中で生きていくか、それを前提に、やはりこの関係は現実的にとらえながら政策立案をしていく必要がある。

過去の例の中で私どもがそういう観点から特に参考になりますのは、八〇年代以降の各国における長期金利と成長率との関係でございます。なぜかと申します と、その間、金融の自由化が非常に進んだ、経済のグローバル化が非常に進んだ、つまり、今我々が直面している状況が八〇年代以降実現してきて、その中で長 期金利がどういうふうに形成されてきたかということは一つの重要な参考材料になると思います。

その間におきましても、成長率と長期金利の関係は上下にまたがることがございます。しかし、経験則の語るところでは、やはり、自由化が進み、グローバル 化が進んだ状況のもとでは、長期金利は幾分名目成長率を上回って推移することが多いということです。常にということじゃありません、多い。これを一応念頭 に置きながら今後の政策をやっていく。

そして、マーケットの中で共有されております長期金利についての見方は、将来の経済や物価に関する市場の見方、これがベースになる。それに対して、さま ざまな不確実性があるので、将来を人々が見たときにどれだけリスクを感ずるか、そのリスクを感ずる度合いだけリスクプレミアムが上乗せとしてつく。

私ども金融政策の立場、あるいは政府が経済政策を施される立場からいえば、長期金利に上乗せ要因が乗っかってくるということを極力小さくする、リスクプレミアムを極小にするということは重要な政策的ターゲットになるというふうに考えております。

岡田委員 今の福井総裁のお話を前提にしながら、竹中大臣はこういうふうにおっしゃっているんですね。名目成長率を高く、国債金利を低く保つための施策が 重要であるというふうにこの論点の中でも言われていますし、経済財政諮問会議の中でもそのことを強調されていたと思います。

これは、具体的に、国債金利を低く保つための施策というのは一体どういうことを考えておられるのか。今の日銀総裁の御発言だと、リスクプレミアムを低く する。ある意味じゃ、財政の再建路線をきちっと引くということがむしろそういうことにもつながるのかなと思いますが、竹中大臣、同じようなことを考えてお られるのか、あるいはもっと別のことをここで考えておられるのか、御答弁いただきたいと思います。

竹中国務大臣 まず、名目成長率と名目金利の関係については、これは実は諮問会議での議論を専門家も今大変注目しておりますので、さらに議論を深めたいと思います。

岡田委員が、例えば昔の事例は余り参考にならないのではないかというような議論、これはそれで理解できる面もあるわけですけれども、逆に言いますと、実 は、昔は金利が低く抑えられていた。金利がもし本当に低く抑えられていたのであるならば、それによって資源の配分がゆがんでいますから、成長率もその分低 く抑えられていた、そういう面もあるわけです。ですから、最近のことだけが参考になるということかというと、必ずしもそうではない。最近のことだけから参 考になるのであるならば、二〇〇〇年以降はむしろ成長率の方が高いということをいろいろ述べる論者もいらっしゃいます。

だから、要は、理論的にはどちらかわからない、そして、その時々でどちらでもあり得る、私はそれ以上のことは言えないと思います。長期的な事実として は、これは成長率の方が高かった、それ以上の議論を私は余りできないのではないかなというふうに思っております。

その上で、私は実質成長率を高くしてくれ、これは、国民皆さん、そのように思うと思います。そして、金利に関しては、金利を人為的に低くゆがめるという 必要はもちろんないし、そんなことをしてはいけませんけれども、金利が高騰しないようにやはり適切な政策をとらなければいけない。これも国民の皆さんは同 意してくれるんだと思います。

委員の直接のお尋ねは、そのリスクが、リスクプレミアムが高まらないようにするためにどういうことを考えているかということでございますけれども、これ もそんなに打ち出の小づちのようなものがあるわけではありませんが、まず、ちゃんとした財政再建のシナリオを、信頼できるシナリオを築くこと。そして、そ れが国民に信頼されて、マーケットに信頼されて受け入れられるような状況をつくること。その過程で、財務省も苦労しておられますけれども、国債管理の政策 等々についてもしっかりと市場の信認を得ていくこと。そういうことが総合的に必要であるというふうに思っております。

岡田委員 これは確認しますが、竹中さんがおっしゃった国債金利を低く保つための施策というのは今言ったような話であって、政策的に人為的に金利を低く誘導していく、こういうことではないということですね。

竹中国務大臣 人為的にというのは、市場のメカニズムをゆがめてそのような人為的なことはすべきではありませんし、自由化されたマーケットで、そのようなことは現実にできないと思います。

岡田委員 人為的にコントロールすることはできないという御答弁をいただきましたので、私は、長期で見たときに、これも財政の健全化の議論をするための長 期金利と名目成長率の議論であれば、やはりそこは両論あるということであれば、基本的には、関係は一定であると見るか、つまり同じであると見るか、あるい は少しかた目に、金利の方がやや上回るというふうに見ておくのが正しい選択ではないかというふうに思いますが、谷垣大臣、この点いかがでしょうか。

谷垣国務大臣 今までの議論を伺っておりまして、私も、実質成長率を高める必要のあることはもちろんだと思います。

他方、今の金利との関係もございますが、インフレによって名目経済成長率が高まりますと、これは税収の増加も期待できますが、他方で、社会保障コストな どが物価スライドで動いていくという面もございますし、それから、今おっしゃった、これだけ国債がございますと金利上昇によって財政負担がかさんでいく、 これはプライマリーバランスとは関係ないんですが、極めてそのリスクというものは大きいというふうに考えておかざるを得ないのではないか、利払い費の増加 ですね。そういったようなことを考えますと、先般も政府税調に一定の資料を出したわけですが、私は、できるだけかた目の考え方を持って財政再建に備えてい くというのが私ども財政当局の心構えであるべきではなかろうか、このように思っております。

もちろん、今の御議論のように、国債価格が市場の不信認によって高騰することのないようにいろいろな手だては講じていかなければならないと思います。一 番基本は、竹中大臣もおっしゃいましたように、財政再建に向けて確実に進んでいっているということをマーケットが信頼してくれることだろうというふうに思 います。その上で国債管理政策等がやはり適切になければならないと思います。市場のニーズをどう読み取っていくか、こういうようなことも私どもは工夫しな ければいけないと思っておりますが、前提はできるだけ堅実なところに置いて財政再建の見通しをつけていきたい、このように考えております。

岡田委員 ちょっと議論が先に行ってしまったように思いますが、次に、名目成長と財政再建について話を進めたいと思います。

名目成長率を高めることが財政再建にとってプラスであるのかマイナスであるのか、こういう議論があるかと思います。そういう中で、竹中大臣のお話は、名 目成長率四%は堅実な前提である、こういうふうに言われているわけです。これはどちらかというと二〇一〇年代初頭までの話でありますが、実質が二、そして 物価の上昇率二%程度、各国もそれが一般的である、したがって、トータルで四%ということを言われているわけであります。

ただ、名目成長率四%、実質が二を欠ける、そういう数字だとするとGDPデフレーターが二を超える。そうすると、CPIは恐らくそれに〇・五ぐらい上乗 せをした数字になるんじゃないかと思うんですね。ですから三に近い数字になってくる、二・五を超えるぐらいの数字を想定しておられるんじゃないかというふ うに思います。

大臣は、各国も二%程度が一般的である、物価上昇率の目標値ですね、というふうに言われているわけですが、各国の物価目標値を設定している国の実績を見 ますと、例えば、カナダが一から三、イギリスが二、オーストラリアは二から三ということで、しかもこれは上限ですよね、三というのは。そういう中で、いわ ばその上限に近づけるような経済運営を日本は行うべきだ、各国がインフレ目標値をとっているその上限に近づけるようなインフレ政策、ある意味でのインフレ 政策をとるべきだというふうに竹中大臣はお考えなんでしょうか。

竹中国務大臣 インフレ目標そのものについて、それがよいか悪いか、いろいろな議論が今なされているところであります。その意味では、インフレ目標を置く ということを前提にした議論はするつもりはございませんけれども、私が申し上げているのは、日本はデフレです。これだけ実質成長率が高いにもかかわらずデ フレが続いている。そのデフレをやはり克服しないと、デフレ下で財政再建を行うということはこれは本当に至難のわざで、その意味では各国並みの状況になる 必要があるのではないかということを申し上げているわけです。

それが二なのか二・五なのか、消費者物価でいうと二なのか二・五なのかとか、そういう厳密な議論をする段階ではまだございません。考え方として、実質成 長率は日本はもう十分にあるところまで来ている。私は、二%程度、その実力はあるというふうに思う。

加えて、今、実物がよくなっているのにデフレが続いているわけですから、そのデフレの状況を、OECD並み、G7並みの状況に早く持っていこうではない か、そうすると四%程度の名目成長という姿は出てくるのではないだろうか、そのような議論をさせていただいているわけでございます。

岡田委員 デフレの克服は、もちろん当面する非常に大きな政策テーマだと思います。ただ、議論されているのはもう少しレンジの長い話で、そのデフレの克服 が成った上でどの程度の名目成長、逆に言うと物価の上昇ということを考えていくのか、そういう議論を今しているんだと思うんですね。

そこで、日銀総裁にお伺いいたしますが、財政再建をするためにも高い名目成長が望ましいという意見があります。これは言葉をかえれば物価を上げていく、 そういうことにつながると思いますが、こういう考え方について日銀総裁としてはどのようにお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。

福井参考人 財政再建と今後の経済運営の関係というのは、今をスタートとして、非常に将来にわたる長い期間の話でございます。政府の試算をお示しいただき ましたけれども、プライマリーバランスの回復まででも二〇一一年、その先に、政府の債務残高のGDP比率を改善していかなきゃいけない。そこまで入れます と、恐らくこの先十年以上の期間を見なければいけません。

一番大事なことは、私どもの立場から見ますと、まず経済成長の実力を蓄える。潜在成長能力を、人口が減るという厳しい条件を克服しながら実力を蓄える。 第二に、蓄えた実力をそのまま現実の実質成長率として発現すること。第三に、その発現した実質成長というものが年々大きな波を打たない、安定的に持続的に 成長を実現していくこと。そのための条件は、物価の安定を十分確保しなければ景気は必ず波を打つ。景気が波を打ちますと企業は長期的な投資ができませんの で、もとに返って、潜在的な成長能力も上がらないという悪循環になります。

私は、実力を蓄え、実質成長率をコンスタントに実現し、長期的に企業が投資しやすい環境を実現する、結果的に名目成長率はついてくる、こういう循環が一番望ましいというふうに考えています。

岡田委員 今までの議論で私は三点ほど確認できたんじゃないかと思うんですね。

一つは、実質成長率あるいは潜在実質成長率を高めることは重要だ。しかし、その場合の目標数値を財政再建の前提の数値として使うのは正しくないということが第一点。

それから第二点は、名目成長率と名目金利の関係については、これも財政再建の中で議論する際には、これは長期的な話ですが、同じあるいは名目成長率が名目金利を上回るという前提は少なくとも置くべきじゃない。これが第二点。

第三点は、同じ実質成長のもとで名目成長を高くする。つまり、ある意味での物価を上げるという政策は、これは財政再建についてはプラス、マイナス両面あ るわけで、今、日銀総裁のお話のように、長い目で見たときの不安定要因を増すということも考えれば、やはりインフレ的な政策については慎重に考えるべき だ、こういうふうに私なりに理解をしたところでございます。なお経済財政諮問会議あるいは国会の中でこういう議論を続けていきたいというふうに考えていま す。

そこで、時間が非常になくなってしまいましたが、一番大事な話で、新たな目標値の設置ということについて議論したいと思っております。

この点は、私は基本的質疑の中で、小泉総理に、基礎的財政収支黒字化後の次なる目標をどうするのかと聞いたところ、小泉さんは、基礎的財政収支回復後、 財政収支均衡を回復後という意味だと思いますが、どの時点で新たな目標を設定するのかというのはその時点の為政者の考える問題ではないか、こういうふうに 言われたんですね。私はやや驚いたわけでありますが、与謝野大臣は、債務残高を一定にするのか低くするのか、それは対GDP比なのか絶対額なのかという議 論はこれからしなければならないというふうに答弁されたと思います。

端的に言って、私は、債務残高の対GDP比を毎年下げていくということを明確な目標にする、それが次なる目標ではないか。そのことはやはり六月までに はっきりさせないと、単に基礎的財政収支の均衡だけが当面の目標というだけでは全体の絵がわからないわけですから、そういうものを明確にすべきじゃないか というふうに考えるわけであります。

この点は、竹中大臣も、基礎的財政収支の黒字を対GDP比二%にするということになると二十年で四割残高は減るという発言もされていたと思います。これは非常にざくっとした議論ですが。

私は、二〇一一年に仮に基礎的財政収支が均衡したとして、その後、黒字を対GDP比二%、これは直ちにできるわけじゃなくて数年かかると思うんですが、 それからさらに二十年で四割削減ということに至るとすると、今から三十年近く、二十五年から三十五年先の話なんですね。そのときに残高が四割減っていると いうのはぎりぎりの数字かな、次の世代に責任を果たすという意味では。それ以上、四十年も五十年もかけて残高が三割減った、四割減ったというのでは、やは り次の世代に責任を果たすことにならないんじゃないか。

そういう意味では、次なる目標は、端的に言えば対GDP比でプライマリー黒字を二%、そこに到達する、そしてそれを維持していく、そのことによって残高 を減らしていくというのが次なる目標ではないかと思いますが、与謝野大臣、御見解を聞かせていただきたいと思います。

与謝野国務大臣 プライマリーバランスの到達というのは、あくまでも財政再建の第一歩でございます。プライマリーバランス自体は、借金の話を除いて均衡さ せるという話でありまして、二〇一一年にプライマリーバランスを到達したときに、財政の構造として、借金が雪だるま式にふえていくという状況、これをやは り避けるということが第二の目標であると思っております。

私は答弁で国債残高の絶対額ということを申し上げましたけれども、直観的には、多分それを減らすというのはかなり難しい話であって、やはり対GDP比一 定にする、ないしは減少させていく、そのためのプライマリーバランスの黒字をどの程度つくるか、こういうことが大変大事だと思っております。

特に、成長率と日本の財政との関係を見ますと、成長しますと確かに税の自然増収はふえます。これはプラスの要因。ただ、マイナスの要因は、金利が上がる と国債費がふえる、それから、物価連動しております社会保障関係の支出がふえるというようなマイナスの面もありまして、どこがちょうどバランスのいいとこ ろかということは、これからいろいろ数字を出して計算して、一定の結論を得たいと思っております。

岡田委員 私は、プライマリー黒字、GDP比二%ということになりますと、約五百兆の二%ですから十兆円ですね。そして、プライマリー黒字化のために約十 五兆円程度、財務省は最近二十兆という数字を出したようですが、十五兆円程度の要調整額が出てくる。それにさらに十兆円ですから、合計すれば二十五兆円の 要調整額。これをどうやって達成していくのか。歳出削減と増税、その組み合わせをどうするのか。こういう議論がその本質だというふうに思うわけでありま す。

谷垣大臣は、来年度にも消費税増税の法案ということを言われた時期もあるんですが、私は、ここはやはり、歳出削減の具体的な案をどうやって六月までにつ くり上げるのか。それは、一般会計、特別会計、地方、そして物件費、人件費あるいは社会保障、そういうものについてきちんと絵をかいて、そして、でき得れ ばそれを法律の形にする。財革法というのはかつて失敗しました。いろいろな意味で失敗しましたけれども、その失敗を踏まえた上で新しい法律をきちんとつく り上げて、これを必ず政府としてやり遂げる、そしてその第一歩が現に示された、そういったところまで行って初めて、国民の皆さんは、増税について議論す る、そのことについて理解が得られるのではないか、こういうふうに思うわけであります。

そういう意味で、具体的なプログラム、歳出削減のプログラム、そしてそれを法律にするということについて、谷垣大臣、いかがお考えでしょうか。

谷垣国務大臣 それこそこれからの経済財政諮問会議での議論なんですが、委員がおっしゃるように、選択肢を示すと言っておりますけれども、できるだけ具体 的な選択肢をお示しして、国民的な議論を喚起していくようなものでなければならないだろうと思っております。それをどういう形に、法律にするかしないのか というのはまだ私ども十分考え詰めておりませんけれども、できるだけ具体的な議論の材料をそろえていこう、このように考えております。

岡田委員 私は、重要なのは、国民に選択肢を示すということも議論のためには重要ですが、しかし、政治の意思をしっかり示すことだと思うんです。これだけ 歳出の効率化、削減をやっていく、それも具体的に示す、それがどれだけ説得力があるかで、国民はその次のステップとしての増税の話、負担増の話について理 解が得られる、それが政治の手順じゃないか、こういうふうに思っております。

したがいまして、六月の段階で、単なるケース分けで、これだけ歳出削減すれば残りはこれだけ増税が必要だとか、そういう絵を示すだけではなくて、具体的 に、政治の責任としてこれだけの努力をするんだ、歳出削減の努力をするんだということを説得力を持って語っていただきたいし、そして、それはやがて法律と いう形で国民にしっかり約束をする、その上での負担増の話ではないか。負担増を否定するものではありませんが、やはりそういった手順というものは非常に重 要ではないかということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。




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