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2003.10.19|マスコミ

[日本の選択]外交・安保 イラク戦争と日米関係

ひどくなった対米追随、「言うべきは言う」同盟関係に──岡田克也・民主幹事長

――イラク戦争開戦前、民主党が政権を握っていたら、どんな選択をしましたか。

(戦争ではなく)査察継続ですね。特に、ブッシュ米大統領の「先制攻撃正当化」論には、「ちょっと違うのではないですか」と首脳会談で問題提起すべきだった。

――事務レベルではなくて?

そういう議論をするために個人的な信頼関係がある。そのような本当の意味での信頼関係がないことが、日米関係の不幸だと思う。

――独仏型のアプローチを取った、と?

声を張り上げて反米的な論理を展開するのではなく、もう少し静かに日米間でしっかり話をしたと思います。

――どんな説得を?

イラクを民主化すれば、中東全体に広がる、といったブッシュ政権の論理は、我々日本人からすると現実的とは思えない。国家の歴史、伝統を無視して、い きなり外から国家改造をする、なんて無理。先制攻撃正当化が世界の平和にどんな影響を与えるか、ということも考えなくては。ロシアも同じ理屈を言い始め た。国連ができる以前の世界に戻ってしまう、と説得したでしょう。

――日米間は相当ぎくしゃくするでしょうね。

それを恐れたら議論ができない。何か意見を言えば、すぐに壊れるならもともと対等で健全な同盟関係ではない。その程度の同盟しか築いてこなかったことを恥ずべきだと思います。どこかでやはり変えなければ。

――「外交・安保については物申さず、静かに米国の後ろからついていき、経済発展に専念する」というのが、戦後自民党政治のスタイルでした。

どうなんでしょうか。僕は日米安保の基礎を作った岸信介元首相の決断は、当時としては評価できる。つまり片務的なものを双務的なものに変えた。トップ として非常に立派な決断だった。その後、経済重視路線に転じて、いつの間にか独立国としての気概を失ってしまった。

――それが田中(角栄)型政治にたどり着き、冷戦後10年たって、ようやくそれを否定する小泉純一郎首相が登場しました。この変化をどう評価します?

むしろ小泉政権になって、米国追随がひどくなっている。従来の自民党政権だったら、イラクの問題はせめて「理解する」にとどめ、「支持」はしていなかったと思う。

――そこで、イラク復興支援。政権をとったらどう対応しますか?

勝手に戦争して、カネを出せと言われても、素直に受け入れられないが、イラク国民の復興のためには、一定の支援は必要だ。ただ、特定の国のための利権 ではなく、イラク国民のためになる、透明性のある仕組みを作ることが大切だ。納税者である国民への説明責任を果たすことも重要で、ブッシュ大統領が来日し ていきなり小切手を切るようじゃだめだ。

――日米安保に全面依存しない、時代に合った防衛力の整備が必要になると考えますか。

今までまともに議論されてこなかったことです。従来の大規模な正面からの侵略より、ミサイル攻撃の可能性の方が強くなっている。脅威自体が変わってきているのに、戦艦大和を造り続けた官僚主義が今の防衛庁にもあるのではないか。

――ミサイル防衛は集団的自衛権の問題と絡みますね。

現行憲法の解釈として集団的自衛権を認めないが、改憲すべきかどうかは、まだ判断していません。個人的には第三国で戦っている米軍と共に自衛隊が武力 行使すべきでない、と考えている。ただし、在日米軍に攻撃があった時、自衛隊が何もできないのではなく、これは個別的自衛権の中で十分に説明できます。

――最後に「菅直人首相」の外交能力は?

現実主義者だし、(衆院)外務委員長も経験している。総理としての見識は十分ある。外交なんて全く関心のなかった小泉さんとは違いますよ。

民主マニフェスト

  • 受け身の外交姿勢を改め、日本を明確な外交意思を持つ国に変える
  • 日米同盟進化のため「協力すべきは行う、言うべきは言う」ことを対米関係の基本姿勢とする
  • 米国等のイラクへの武力行使は容認できない。イラク特措法は米英軍への後方支援になるので、これに基づく自衛隊派遣は行わない
  • イラク国民による政府が樹立され、安保理決議がされた場合は、PKO、PKFの派遣基準を緩和し、自衛隊の活用も含めた支援を行う
  • FTA(自由貿易協定)の締結促進などアジアの一員としての連携と協力を強化する
  • 陸自の削減など防衛力整備を転換、軍事技術のハイテク・IT化




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