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1996.11.27|国会会議録

138回 衆議院・厚生委員会

岡田委員 新進党の岡田克也です。

きょうは、私の方は、まず最初に岡光前次官の問題につきまして、幾つか現在の調査の状況その他につきましてお伺いをしたいというふうに思っております。

まず、私が承知しておりますところでは、厚生省が岡光前次官から調査したところによれば、一千六百万円のゴルフ場会員権の問題については、岡光前次官はみずからがそれを承諾したことはないというふうに述べている、こういうふうに聞いております。また、六千万円の金銭の授受については全面否定している、こういうふうに聞いておりますが、その点について事実かどうか、まず確認をしたいと思います。

近藤説明員 ゴルフの会員権の千六百万円、小山が岡光前次官のために買った。こういうふうなことでございますけれども、これにつきましては、前次官は、全然身に覚えがない、こういうふうにおっしゃっておられますし、それから金銭の授受につきましては、これも私、何度も何度も念押ししてお聞きしましたが、そういうことは絶対ない、こういうふうなことで一貫しておりまして、その後においてもそういうふうに言っている。私ども、こういうことを聞いております。

岡田委員 今のお話は前次官から官房長がお聞きになった内容だと思いますが、厚生省として、そのことについて何らかの裏づけの調査をされておられますでしょうか。

近藤説明員 私ども、強制捜査権がございませんので十分た調査はできかねるわけでございますけれども、できる範囲につきましては若干調査をさせていただいております。

一つ、ゴルフ会員権の関係でございますけれども、これは、ゴルフコースまでは行けなかったわけでございますけれども、言われております関越ゴルフ倶楽部中山コース、群馬県の高山村というところにあるそうでございますが、その東京本部が東京の渋谷区にございます。ここに、電話で聞くのと、職員が一回出かけていって聞いております。ただ、十分な調査ができておりませんけれども、若干の内容を御報告申し上げたいと存じます。

東京本部でお聞きした関係でございますけれども、会員権につきましては、岡光序治それから小山博史それぞれの名義で購入をされている、こういうふうな形になっております。入会金は三百万円、これは二人分だそうでございます。恐らく小山さんが現金でお支払いになったのだと思います。それから、会員権は千六百万円、これも二人分でございますので一人分では八百万円ということですから、入会金と会員権では一人分は九百五十万円、こういうふうなことだそうでございます。支払いは、十年の百二十回の分割払いで小山氏が手形で支払っているということで、払込期間は平成四年の一月から平成十三年の十二月までということだそうでございまして、平成八年十月までは支払い済み、こういうふうにお聞きしております。

この間参りまして、これの購入の申込書と申しますか、その写しをくれないか、こういうことを申し入れたのでございますけれども、これは無理だ、こういうことで現在の段階では拒否されている、こういう段階でございます。

それから会員権、これは何か預託金証書と称するのだそうでございますけれども、この預託金証書、いわゆる会員権といいますのは、すべてが払い込まれた。したがいまして十年たたないと名義人には手渡されない、まあ十年たたなくても全額払えばいいのでしょうけれども、全額払った時点で初めて手渡しかできるということで、したがいまして、現在、その会員権たるものはまだ存在しない状態だそうでございます。

しからばどうやって使うのだということでございますけれども、会員証というのがあるそうでございまして、メンバーズカードというのがあるようでございまして、これには写真貼付の会員証が岡光序治名義で発行されているそうでございます。

年会費が二万円で一回払いだそうでございますが、平成八年分一月は岡光氏本人に請求いたしまして、クラブの指定口座に振り込まれているそうでございます。これの、どこから振り込まれているかということについて、私ども、写しをくれないか、どういうところから出ているのだということをお聞きしたのですが、これについても拒否されております。

利用状況ということでございます。

一度、問題になっております、署名があるではないか、こういうふうなことが言われたので、これについても、これは本物で確かめておりません。残念ながら、今となりましてはゴルフ場に言っても出してくれないというふうなことでございますけれども、口頭ではお聞きしておりまして、メンバーでプレーされたのが、岡光それから小山、ビジターで女性二人、一人は小山さんのお嬢さんではないかと思いますけれども、もう一人の方は私ども知らないお名前でございます。岡光さんの署名があるわけでございますが、本人は本物ともにせものとも認定いたしておりません。プレー代金はカードで支払いと報道されておりますけれども、残念ながら、これは確認できておりません。

以上のような状況でございまして、さらに私どものできる範囲で客観的な事実確認、こういうものをする必要がある、こういうふうに考えております。

それから、マンションとかなどと言われておりますけれども、現在、岡光前次官の代理人の方がその辺を調べているということでございますので、私どもはとてもそれには手が出せない、こういうことで、その結果をお知らせしてもらう、こういう段階でございます。

岡田委員 今のマンションの話でありますけれども、これは調べる気になれば、調べるというか証明する気になればすぐ証明できる問題ではないかという気がいたします。岡光前次官御本人が証明しようという気になればですね。

例えば、マンションを購入したその費用が、資金調達をどういうふうにしたかということをきちんと出せば、その六千万が関係がないということを立証できるわけですね。それがいまだになされていないということは、やはりそこに問題があるのじゃないか、新聞に報道されているようなことがあったのじゃないかというふうに思われても仕方のないように私は思うわけでありますが、その点についてはいかがでしょうか。

近藤説明員 先ほど申し上げましたように、証明するといいますか、マンションの購入代金がないためにお金をもらった。こういうことであれば、マンションの購入代金というのは、ある程度、ある程度と申しますか、証拠に基づいて証明できるだけの資料はそろえられるということでございますが、現在、それに必要な書類、これはその当該マンションにあるそうでございまして、そこについてまだ入れないような状態になっているそうでございまして、そこの部分を早急に把握した上で、これは事実上入れないというだけでございますから、無理して入れば入れないわけではございませんので、そこの中に入って証拠書類を持ってきて、それをもって解明をする。部分的にでございますけれども、売買の謄本的なもの、こういうものについては既に集められている、こういうふうにお聞きしております。

岡田委員 今のお話は、厚生省が調査しているということではなくて、岡光前次官の代理人が調査をしているというふうに聞こえるわけでありますが、厚生省としてはこの岡光前次官の問題についていつまでに調査を終えるつもりなのか、その点についてお聞かせいただきたいと思います。

近藤説明員 いついつまでというふうに申し上げるだけの見通しがまだ立っておりません。少なくとも先ほどの現金の授受とかマンションの何とかということにつきましては、これは私どもがなかなか手が出せない分野の問題だというふうに思っておりますし、恐らく、証明するとなりますと、株がいつ売られたとか、あるいは定期がいつおろされたとか、そういうことまで含めて証明する必要があると思いますので、これはなかなか私どもでは手が出せないだろうというふうに思っております。

私どもが一番この関係では早めなければいかぬと思いますのは、これはやはり、先ほど大臣からもあいさつの中でありましたけれども、事実関係、我々の関係者もこの事件に関係している、こういうふうに言われておりますので、そういうものについてなるべく早く、来月の中ごろをめどにそのあたりを決めていきたい、こういうふうに思っておりますが、私どもが強制捜査権がないというふうな形で、全面的にこの部分について把握できるとは思っておりません。私どもの手が届く範囲におきましては、これは私どもとして全力を尽くして事に当たってまいりたい、こういうふうに思っております。

岡田委員 大臣、大臣は先ほどこの岡光問題について、「関係資料の照合や関係者からの事情聴取などの調査を進めているところであります。今後、さらに事実関係の正確な把握に努めた上で、厳正な処分を行う考えであります。」こういうふうに述べられたわけでありますが、今のお話をお聞きしておりますと、厚生省の行う調査には限界がある、できるものとできないものがある、こういうふうに受け取れるわけであります。先ほど大臣が言われた。調査をした上で厳正な処分をするということと若干矛盾するように思いますが、その点いかがでしょうか。

小泉国務大臣 厚生省内部の調査と、新聞に報道されている疑惑が事実なら捜査当局でも調査をしているはずであります。両方の観点から結論を見守って、しかる後に厳正な処分を行いたいと思っています。

岡田委員 先ほどの御説明で、厚生省の調査にいろいろ限界がある、こういうことでございます。

私は、ここで委員長に申し上げたいと思いますが、確かに厚生省は、いわば身内でありますし、権限も限られておりますから調査に限界がある。そういうことであれば、この委員会に岡光前次官を呼んで、そして前次官の口からいろいろ疑惑について御説明をいただきたい、そういうふうに思っております。この委員会で岡光前次官を参考人として招致することを私どもとしては要望いたします。

町村委員長 ただいまの参考人の御要求につきましては、後刻理事会で協議をいたします。

岡田委員 それでは、次の問題でありますが、岡光前次官の辞表受理の問題であります。先ほど大臣の方からいろいろ御説明もあったわけでありますが、ちょっとまだ服に落ちないところがございます。

まず一つは、退職金の扱いでありますが、退職金については、辞表を受理した後で退職金を払わないということは法律上できるのでしょうか。まずこの点についてお伺いしたいと思います。

近藤説明員 お答えいたします。

退職金につきましては、法律上はお支払いするということになっておりまして、通常でございますと、やめられてから二、三週間で支給するということでございますが、今回は、いろいろな疑惑もあるわけでございますし、事態の推移もよくわからない面もあるわけでございまして、その面では、まあ法律はそうでございますけれども慎重に対処する必要がある、こういうふうなことで当面は凍結、こういう形で対処させていただいております。

岡田委員 今の御説明は、支払いの時期について今凍結をしている、しかし、法律的に言えば、つまり相手がそれを手続にのっとって要求すれば法律的には払わざるを得ない、こういうことだと理解してよろしいでしょうか。

近藤説明員 退職手当の支給制限でございますが、これは国家公務員退職手当法の八条に規定されておりますが、国家公務員法の八十二条の規定によります懲戒免職の処分を受けたとき、またはこれに準ずる処分を受けた者、これについては支給しないということでございます。それから、職員が欠格条項に該当して失職したような場合とか起訴中に退職する場合とか、こういうふうなことが幾つか挙げられておりますけれども、懲戒免職の場合には支給をされない、こういうことでございます。

岡田委員 今のお話で、円満に辞職した岡光前次官について、後から懲戒免職をすることはできるのでしょうか。

近藤説明員 やめられた方につきましては、懲戒権は及びませんので、できません。

岡田委員 そこで、先ほど大臣おっしゃった。いろいろ事実関係の調査をした上で厳正な処分を行う考えである、こういうふうに述べられておりますが、もう既に辞職をしてしまった者について、もし仮に今報じられているようなことがあって、警察当局、逮捕とかそういうことになった場合に、しかし懲戒免職ということはもうできない、したがって、退職金についても法律上は払わざるを得ない、こういうことになるわけで、ここで言われる厳正な処分というのは一体何なのか、こういう疑問が出るわけですが、大臣、いかがでしょうか。

近藤説明員 支給した場合におきまして、退官されまして支給されて、その後で在職中の行為に係りまして刑事事件に関しまして禁錮以上の刑に処せられたときにはこれは返還命令ができる、こういうことになっているわけでございます。

岡田委員 退職金についてはそういうことだということですね。それで辞職のことについては、さかのぼって懲戒免職とかそういうことはできない、こういうことですね。やはり私は、今回の辞表の受け取りに問題があったのではないか、こういう気がしているわけでございます。

それじゃ次に移りたいと思いますが、もう時間も限られておりますが、私は、今回の事件、大変驚きを持って新聞を読んだ一人であります。その後、岡光前次官の関係は、きょうも朝日新聞にだったと思いますが、新しい国立病院の医療廃棄物の問題について一面トップで報じられております。こういうことが続くということは、もちろんこれから事実関係はきちんと押さえていかなければいけません、事実かどうかということはまだ立証されていないわけでありますが、もしこういったことが本当に起きたのだとすれば、それは岡光前次官お一人の個人的な問題なんでしょうか、それとも厚生省全体の構造的な問題だというふうにお考えでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

小泉国務大臣 今お話しの、けさの朝刊に出た記事が事実かどうかわかりませんが、今回の不祥事について、私は、もし報道されている疑惑が事実だとしたらば、唖然とせざるを得ません。また、こういう人物がなぜ事務次官になったのか、なぜエリートと言われたのか、なぜ厚生省の切り札と言われたのか、信じる気にはなれません。

しかし、私は、こういう問題は極めて特殊な人物の行為だと思っておりまして、厚生省の他の職員というのは、全体的にまじめに地道に努力している方々が圧倒的ではないか、なおかつ、社会福祉施設に働いている方、理事長の方々も、使命感を持ち、責任感を持ち、必死にみずからの職分に忠実に働いている方がほとんどだと思っております。

極めて特殊な、例外的な人物ではないか、私はそう思っております。

岡田委員 私も、厚生省に働く皆さんがそれぞれ、弱い人の立場に立って何とか自分の人生をかけて頑張っていこう、そういう思いで入省され、努力をされているということについては全く同感であります。

しかし同時に、次官であります。その岡光前次官が特殊なキャラクターの持ち主であったというそれで片づけてしまうには済まない問題、つまり、そういう意味で構造的な問題があるというふうに言わざるを得ないのではないかと思いますし、少なくとも国民はそういうふうに感じている。

そういう中で、厚生省はこれから医療制度改革や介護の問題、国民に対して負担を新たに求めていくことをやっていかなければいけない。そうだとすれば、やはりここはよほどきちんとした改革をして、国民の皆さんに、厚生省はこうなりましたよ、こういうふうに生まれ変わりましたよということをきちんと示さないと、私はこれからの改革というものは非常に難しいだろうという気がいたします。

そういう意味で、大臣もいろいろと改革について語っておられますが、厚生省全体の機構の問題あるいは人事の問題、人事政策の問題、そういうことも含めた抜本的な改革案というものを示して、そしてそれをやり遂げた上で、今私が言いました新たな負担を求めることについて求めていかないととても前には進まないのではないか、こういうふうに思っておりますが、大臣、いかがでしょうか。

小泉国務大臣 厚生省本来の仕事というのは一日も停滞が許されないと思っております。いかに評判が悪かろうと、次官の不祥事による厚生省全体の信用が失墜しようとも、福祉全体の仕事というものは、私はこの重要性というのは変わらないと思います。それを一日も休みもなく進めていく。

同時に、今言われたような施策を進めていく上での前提の信頼感が揺らいでいるということも深刻に受けとめております。そして、今までの省内でなぜこういう人物が多くの方から信頼されてあのような地位に上り詰めてきたか、そういう今までの省内の人的交流のあり方、さらにはいろいろな方々とのつき合い方、これに問題がなかったか、こういう点も含めて洗い直して、今御指摘のありましたような、二度と不祥事が起こらないような体制を一日も早くとっていきたいと鋭意検討しているところであります。

岡田委員 大臣がリーダーシップをとられて、厚生省そのものが国民からもう一度受け入れられる役所として生まれ変わることを私も期待を申し上げまして、私の質問を終わります。

以上です。




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