気候変動とエネルギー―重要性を認識し、英知を結集して前進を
国連の気候変動に関する多国間パネル(IPCC)第2作業部会の7年ぶりの報告がまとまりました。
この報告によると、現在の状況について、「すべての大陸と海洋で影響が表れている」という危機感をあらわにしたうえで、「今世紀中に平均気温の上昇が4度を超えるということになれば、後戻りできない環境の激変を起こしかねない」としました。
例えば、海面水位の上昇がよく言われます。グリーンランドや南極の氷が解けてしまえば、元には戻らないわけで、そのことによって海面水位が上昇する。世界の中の小さな島々の国家だけではなく、日本も含めて広範にその影響が及ぶことは当然予想されます。
あるいは、近年、気候が非常に不安定になるということは、多くの方が実感していると思います。
1986年から2005年までの世界の平均気温の上昇は0.6度ですので、これが4度、あるいは、それ以上上がるときの影響というのは、想像を絶するものがあると思います。
生物の多様性という観点から見ても、気候変動が急激に進むと、多くの種がいろいろな地域で取り残され、移動することができずに絶滅し、多様性が失われるということも指摘されています。
これだけ深刻な影響があるということですが、この気候変動の問題は、最近あまり議論にも上らず、少なくとも我々日本人は関心が薄れているように思われることは、大変残念です。
ここはもう一度、将来世代のためにしっかりと重要性を認識し、政府のエネルギー計画なども危機感を盛り込んだものにすべきだと思います。
いま、原発の問題が議論されています。原発は大変リスクが高く、特に何かあったときに、福島の例で見られるように極めて大きな影響を及ぼすエネルギー源です。
しかし他方で、それではガスや石炭をどんどん焚いていいかというと、そのことによって地球温暖化がさらに進みます。
自然エネルギーをもっと拡大するという方向性は大賛成ですが、そのことによって、エネルギーコストが上がることをどう考えるか、という問題もあります。
つまり、エネルギーの問題を考える際に、いざというときの原発のリスク、自然エネルギーの価格、そして、石炭・ガスのエネルギーによる温暖化の問題。そういうものをバランスよく判断していかなければならないということを、改めて申し上げておきたいと思います。
困難な課題ですが、英知を結集して前進していきたいと思います。
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