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2007.09.10|TALK-ABOUT [ブログ]

所信表明――極めてメッセージ性の乏しい演説だった


いま本会議が終わりまして、安倍さんの所信表明演説を聞いてきました。そのことについて、一言申し上げたいと思います。

非常に捕らえどころのない演説だったと思います。参議院選挙におけるあれだけの大敗、そして、それにもかかわらず続投するということであれば、いままでの何が悪くて、何をどう変えるのかという明確なメッセージがあるべきだったと思います。残念ながら、そういうものは安倍さんの演説からは感じ取ることができませんでした。


安倍さんがまず言われたことは、参議院選挙の結果について、「国民の皆様の思いや怒りに対して、これまで十分応えきれていなかったこと、政治と行政に対する不信を招いたことについての深い反省の上に立って、今後、国政に当たっていきたい」ということです。

つまり、配慮が足りなかった、だからそのことは反省しますということですが、あの参議院選挙で示された国民の気持ち、民意はそういった「配慮が足りなかったね」というような次元のものではなくて、より本質的な問題ではなかったかと思います。

安倍さんにはそういう認識はないようです。うまくくみ取れなかったところがあったから負けちゃったと。私は決してそうではないと思います。

その上で安倍さんが言われたのは「戦後レジームからの脱却」、戦後長きにわたり続いてきた諸制度を原点にさかのぼって大胆に見直す改革、すなわち、戦後レジームからの脱却が、どうしても必要です」と言われました。

まず、私も含めて、国民の皆さんが「戦後レジームからの脱却」という安倍さんの言葉を初めて聞いたときに、そこに含まれる一種のイデオロギー性、つまり、戦後の日本が歩んできた道に対して非常にネガティブな、例えば憲法に対して、これはアメリカが作ったものだから全面的に見直さなければいけない。教育基本法もそうだ。そして、戦後の民主主義というものに対しても正当な評価をしない。ある意味では、戦前回帰のような一種のイデオロギー性を感じ取ったからこそ、多くの国民が「戦後レジームからの脱却」という言葉に対してノーと言ったのだと思います。

それを安倍さんは、戦後レジームの見直しというものを、ある意味で言葉を変えることで、根本的に一から見直すんだ、それこそが戦後レジームからの脱却である、大胆な改革というのは戦後レジームからの脱却であると言われているわけです。ここに言葉の置き換え、誤魔化しがあります。単なる見直し、改革、そういうことではない意味で、「戦後レジームからの脱却」ということを言っておられたはずです。

そういう本来の意味での「戦後レジームからの脱却」ということが今回放棄されたのか、それとも実はフラついているのか、そういったことは安倍さんの演説からは明確に伝わってこないわけです。

そして、安倍さんのもう1つの政策が成長至上主義、つまり、経済が成長するなかでいろんな格差の問題なども解決できるという考え方でした。これについても、経済成長は重要であると述べておられます。そのことは、もちろん私も否定するつもりはありません。

しかし、成長すれば格差が解消していくという従来の考え方を安倍さんが今回変えたのか、あるいは変えていないのか、そのことは今回の演説からは全く明らかではありません。

その他、「美しい国」という言葉も最後に出てきますが、これも従来の「美しい国」、これも定義がはっきりしなかったわけですが、言葉の置き換え、誤魔化しがそこにあるように思います。

いずれにせよ、従来の路線をどう反省し、これから何がやりたいのかというメッセージ性が極めて乏しい演説でした。自民党のチルドレンの皆さんはじめ、前のほうの席は一生懸命演説に拍手をしていましたが、公明党も含めて、自民党以外からの拍手はほとんどないというのが大変印象的でした。

いずれにしても、今日10日から国会が始まるわけで、この国会は極めて重要です。明後日から衆参の代表質問がスタートします。

そして、私が筆頭理事を務める予算委員会での議論、しっかりといい議論をしていきたいと。国民の皆さんの前で、どちらがより説得力があるかということを感じてもらうことができる、つまり、民主党に対する期待感が高まるような国会に是非ともしたいものだと思っています。

それにしても、ここ1週間、若干私はツイてないところがありまして、札幌に行ったら飛行機が飛ばずに1日遅れてしまい、昨晩は名古屋から新幹線に乗ろうとしたところ、大雨で新幹線が動かずに名古屋に1泊、今朝東京に出てくる羽目になりました。ちょっとツイてないなと思っています。

そのツイてない分を予算委員会での審議で逆にツキに回したいと思っています。



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