6/4 経済産業委員会質疑(大川原化工機事件、日米貿易交渉)
【委員会】衆議院 経済産業委員会 質疑
【日 時】2025年6月4日(水) 9:40~(20分間)
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【質問要旨】
- 大川原化工機事件
- 外国為替及び外国貿易法所轄大臣としての高裁判決についての所感
- 省令にある「殺菌」の定義の解釈を変え、捜査機関の解釈に歩み寄ったとされる経緯
- 2017年10月からの公安部との折衝、そして3人の拘留・起訴後2021年8月公訴棄却までの公安部とのやり取りなどを踏まえて、経産省として第三者委員会を設置し検証すべき
- 「殺菌」の意味をより明確にするための省令改正
- 大川原化工機を所轄する大臣としての同社に対する謝罪
- 日米貿易交渉
- 日米で協議を重ねる中で、鉄鋼の50%への関税引き上げが発表、まともな交渉がなされていないのではないか
- 日米首脳間で交渉の範囲(すべての関税が含まれるか否か)を確定させることが必要不可欠
【解説動画】
議事録
〇岡田委員 岡田克也です。
今日は、主として大川原化工機の問題について質疑をしたいと思います。
まず、既に高裁の判決は出ました。二週間以内に上告するかどうかを決めなければなりませんので、政府の中でいろいろ検討されていると思います。中心になっているのは法務省かなというふうに思いますが、経産省も私は当事者だと思うんですね。当事者という意味は二つあって、一つは、大川原化工機の所管大臣、中小企業であり機械産業ですね、所管大臣としての関わり、もう一つは、外国為替及び外国貿易法の所管大臣としての関わり。この間、公安とのいろいろなやり取りがありました。したがって、非常にこの事件について責任ある立場だと思うんです。
上告するかどうするかということは私は聞きませんけれども、その議論に当たって大臣としても政治家としてしっかり関与していただいていると思いますし、その決意を聞きたいと思います。
〇武藤国務大臣 大川原化工機さんのお話、私もこの裁判の結果が出る前に情報として教えていただきました。
本件に関しては、外為法違反の容疑ということで拘束をされる間に亡くなられた方がいらっしゃるということで、このことについては、まずもってお悔やみを申し上げなきゃいけないと思います。
私も中小企業をやっておりましたので、こういう形で、外為法の関係でこういう事件が起きたということについては、大変、私も正直申し上げて心にすっと落ちないものがあります。したがって、外為法を所管する立場としては、まずは、この判決内容を精査した上で、しかるべく今後の対応を検討したいと考えております。
また、安全保障貿易管理においては、外為法の法令解釈を事業者にとって分かりやすく、ここはちゃんと分かりやすい内容として、また、運用の際には事業者に対して丁寧な説明を行っていくことが大変大切なことだと考えているところであります。
責任を持ってこういう対応を、もう二度と起きないように、できるだけのことを善処していきたいというふうに思っているところです。
〇岡田委員 そこで問題になるのは省令の解釈の問題です。
省令に言う殺菌、そこに、化学物質を利用して機械の中の微生物を殺菌することのみならず、機械を空だきして高温で微生物を殺滅することも含まれるというのが公安の解釈で、経済産業省としてこれをどう考えてきたのか。基本的には同じ解釈、最初から同じ解釈だったのか、あるいは途中で変えたのか、もっと狭く考えていたけれども途中で公安の解釈に寄り添ったのか、どちらなんですか。
〇武藤国務大臣 私の答弁で不足なところがあれば、また事務方の方から追って説明をさせていただきます。
当初、警視庁から担当者レベルで相談を受けておりまして、その際の議論では省内でも様々な意見があったと聞いております。
しかし、省令に関する経産省としての公的な解釈でありますけれども、警視庁から文書により照会を受けた際に、警視庁から提出された実験結果を前提とすれば該当すると思われると文書で回答した解釈が全てでありまして、解釈を変更したとかあるいは捜査機関に歩み寄ったとの御指摘には当たらないというふうに認識をしているところであります。
〇岡田委員 今の答弁を踏まえると、機械を空だきして高温で微生物を殺滅することも含まれる、殺菌の定義として、そういうふうに最初から経済産業省は考えていた、こういうことでよろしいですね。
〇福永政府参考人 いただきました解釈に至る経緯なのでございますが、経産省として当該商品が該当と判断すると解釈に至った経緯については、少し丁寧に御説明させていただきますと、貿易管理部、こういう担当部局がございます。こちらでは、案件の審査に当たりまして、物事の難しさ、難易度に応じて合議制をしいております。その合議制をしいている中で、省内でもいろいろな検討プロセスがあったというところでございます。
その中で、今回の案件において、警視庁から捜査関係事項照会書の連絡があり、これを踏まえて部内でもしっかり会議を行いました。その際の判断は、大川原化工機の噴霧乾燥機の二機種についての判断を行っていまして、一件目は、平成三十年八月三日に照会があり、同月八月十日に経産省から回答を申し上げた、さらに、もう一機種、令和元年七月二十六日に警視庁から照会があり、同年八月九日に経産省から回答を申し上げた。
その際に、警察からいただいた様々なデータを検証して、経産省の外為法所管の立場から、殺菌の法令解釈、大川原の装置が該当するか否かが論点となりまして、関係者で議論して、合議の結果、二つの機種いずれについても、省令及び解釈定義に厳格に適用することとした場合においては、特に警視庁から提出された実験データを前提とすれば該当すると思われるという形で文書で回答するという結論に至ったところでございます。
〇岡田委員 ですから、具体的事例が出てくる前に、これは根幹の部分ですから、殺菌の定義、それについて、省令を制定する際に、当然、官房の審査も受けているはずですし、あるいは原課との協議もしているはずですから、最初から殺菌に、機械を空だきして高温で微生物を殺滅することも含まれるかどうかということは決まっていたはずですよ。もちろん、この会社が、大川原化工機がどうかということは、公安に聞かれて解釈したかもしれません。考え方としては最初から決まっていなきゃおかしいですよね。
〇福永政府参考人 御質問の省令の制定の経緯についてでございます。
この点、オーストラリア・グループという国際的な輸出管理の会議体がございまして、そこの会議体での議論において、平成十二年六月に噴霧乾燥機が追加された際に、殺菌及び滅菌の定義は規定されておりませんでした。
したがいまして、我々、今回、二十三年二月に、オーストラリア・グループで追加されたクロスフローろ過装置の殺菌の定義を参考としながら、ここが大事なんですが、産業界の方々とも意見交換をしっかり重ねまして、その上で定義をしたという経緯がございます。
定義の内容は、御指摘のとおり、殺菌については、物理的手法、例えば、蒸気の使用、あるいは化学物質の使用により当該装置の潜在的な微生物の伝染能力を破壊することができるものとしたわけでございますが、これは産業界との議論も相当重ねて定義させていただきました。
ちなみに、この点、オーストラリア・グループのガイドラインにおいて各国における規制品目の拡大や審査方針について各国の裁量が認められているため、このような判断と至ったというところもございます。この点、実はほかの国でもこういう定義を利用しているところもあります。
〇岡田委員 端的に答えてもらいたいんです。機械を空だきして高温で微生物を殺滅することは、当初から殺菌の範囲に含まれるというふうに経済産業省として考えていたということですか。
〇福永政府参考人 協議を重ねましてそこに至ったという意味で、入るということでございます。
〇岡田委員 協議を重ねてって、省令を作るときには答えがなければおかしいでしょう、根幹の部分なんだから。どうなんですか、そこは。
〇福永政府参考人 ありがとうございます。
産業界とか有識者の専門家の方々に、今回のまさに噴霧乾燥機というものの定義を規定するに当たって、クロスフローろ過装置というのはすごい小さい装置なんですね、今回の噴霧乾燥機というのは非常に大きい装置で、この中で、一〇〇%菌をなくすためにどういう形の定義がいいかという、専門家の意見を聞きながら議論をしているプロセスで、殺菌については物理的手法というのも入れた形がよいだろうという認識に至り、定義をしたということです。
いろいろな専門家の意見を聞いて省として政令を定めたという意味では、おっしゃるとおりです。
〇岡田委員 もし最初からそう決まっていたとすれば、どうして担当者が、二〇一七年十月から二〇一八年三月までの十三回の公安との協議の中で、当初、否定的な見解を述べたんですか。ちゃんとそうやって議論して決まっていたなら、否定的見解が出てくるはずがないじゃないですか。
〇福永政府参考人 ありがとうございます。
我々、当時の担当者とかからも話を聞きましたが、彼らとしても、今回の法令の適用というケースがそんなにたくさん事例があるわけではなかったので、当該事例が本当に該当するかどうかというものは、いろいろな、まさに機械の装置一つ一つの性能とかにも鑑みながら判断しないと分からないという意味で、丁寧な、問合せをいろいろ受けるたびにしていたというふうに報告を受けております。
〇岡田委員 非常に理解に苦しむところですが。
先ほど局長おっしゃったように、最初からそういうふうに、空だきも読み得るような省令だったというふうにしましょう。そうすると、今回の判決は、罪刑法定主義の基本的考え方からいっても、省令の解釈を拡大することは許されないという趣旨のことを述べていると思うんですね。私もその意見に同意をするわけですが。
しかも、AG参加国の中で裁量の余地が認められていると今おっしゃったかもしれませんが、基本的に、合意に基づいて法律があり、政令があり、省令があるわけですから、それを勝手に経産省が拡大して幅広く読めるようにしていたとすると、そのこと自身が極めて大きな問題だし、東京高裁の判決から見ても全く真逆のことを当初からやっていた、そういう理解でいいですか。
〇福永政府参考人 ありがとうございます。
オーストラリア・グループ内でもいろいろな議論が行われたということを、いろいろ報告を受けています。こちらはほかの国との関係で委細、詳細は御報告できないんですが、そういった議論の経緯も踏まえながら、かつ、こういった政令、省令の持つインパクトについて、丁寧に産業界との議論を重ねながら今回制度を定めてきたわけでございますが、今でも既にオーストラリア・グループの議論などもしっかり行っていますし、今後とも、産業界の意見もしっかり聞いて議論をしていきたいと思っておりますが、規制の明確化に引き続き取り組むとともに、事業者に対しても丁寧に説明して理解いただけるように、より一層取り組んでいくということが我々の基本方針でございます。
〇岡田委員 ですから、今回のこの省令の解釈で食い違いがこれだけ生じているわけですから、やはり省令そのものをきちんと定義し直すということは、私は最低限必要だと思うんですね。
それから、こういうふうに国際的に合意されたことを拡張して、それを省令で読み込んでいるということになりますと、やはり経済安全保障に関わる類似の事例でも同じようなことがあるかもしれませんから、これは政府として全面的に見直して、そういう拡大解釈の余地がないように省令の定義をきちんと見直すべきだというふうに考えますが、大臣、いかがですか。
〇武藤国務大臣 今し方、背景を局長から御説明いただきました。
私ども、委員の御指摘のとおりのところもあると思います。今後も、局長からお話し申し上げたように、産業界ですとか有識者との意見交換などを通じながら、輸出者による法令解釈等に関する問合せあるいはまた相談に丁寧に応じていくのはもちろんであると思いますし、こうした取組を行いながら、省令の改正も含めて、規制内容の明確化に向けた検討を行ってまいりたいというふうに思っております。
〇岡田委員 これは省内で第三者の検証委員会を立ち上げてもらいたいんです。これは政府全体にも必要なことだと思いますが。経産省の中でいろいろなやり取りをしているはずですよ、この省令の解釈について。担当の部局と公安とのやり取りもありますし、担当部局が例えば官房と省令の解釈をめぐって意見交換している、あるいは原課としている。そういうものが、どういう議論がなされて、そして今回のことに立ち至ったのかということをきちんと検証しないと、同じことが私は繰り返されるというふうに思うんです。反省していますで済む話ではないというふうに思うんですが、いかがですか。
〇武藤国務大臣 本件のような事案というものが再度起こることがないように、今後どのような対応が必要であるかを関係省庁で連携して検討していかなくてはいけない、これはまさに重要なことと考えています。
委員おっしゃられたように、第三者委員会というものは、外為法の解釈の提示について、第三者委員会で検証すべき性質の事柄とはちょっと違うんじゃないかと思っています。
いずれにしましても、経済産業省としても、今回の事案を踏まえた上で、企業に対する法令解釈の丁寧な説明、これを一層心がけ、適切な安全保障貿易管理を行っていきたいというふうに考えております。
〇岡田委員 非常に疑問が残るわけですね。さっきも言いましたように、担当者は一貫して否定的なことを言っていた。もし最初から決まっていたのならそんなことになるはずがない。だから、先ほどの局長の説明は、私はどこかで違うんだというふうに思わざるを得ないんですね。
それから、もう一つ申し上げると、空だきが含まれるという解釈に立ったとしても、その空だきの結果として全てのポイントで高温が実現できたかというと、そうではないということも分かっていたのに、それも放置して、どんどんどんどん勾留期間が延びたり、裁判に行く直前まで、経産省として、業所管省でもありますから、放置していたというのは、そこも私は非常に問題があったと思うんですが、いかがですか。
〇福永政府参考人 ありがとうございます。
委員御指摘のとおり、省内でいろいろな議論があったことは事実でございますが、繰り返しになりますが、省全体として意見を決定するに当たっては、貿易管理部で、部内で一堂に会して、関係者が一堂に会して丁寧な議論を行って省としての方針を決めたというところで今回の決定には至っております。
繰り返しになりますが、省令の解釈等、非常に重要な部分があり、更に言えばそれに伴う該非判定というところに対しても重要な解釈があり、相当部内でも丁寧な議論を行って判断をしたというふうに過去の関係者からの意見聴取を行っております。
〇岡田委員 もう終わりますけれども、経産省は省令の解釈というのを担当部局だけで決めるんですか。当然、官房の審査もあるでしょう。そこで何か意見が出なかったとしたら、相当問題がありますよね、それはそれで。そういうことのやり取りも含めてきちんと第三者に検証させるべきだということをもう一度申し上げておきたいと思います。
終わります。
今日は、主として大川原化工機の問題について質疑をしたいと思います。
まず、既に高裁の判決は出ました。二週間以内に上告するかどうかを決めなければなりませんので、政府の中でいろいろ検討されていると思います。中心になっているのは法務省かなというふうに思いますが、経産省も私は当事者だと思うんですね。当事者という意味は二つあって、一つは、大川原化工機の所管大臣、中小企業であり機械産業ですね、所管大臣としての関わり、もう一つは、外国為替及び外国貿易法の所管大臣としての関わり。この間、公安とのいろいろなやり取りがありました。したがって、非常にこの事件について責任ある立場だと思うんです。
上告するかどうするかということは私は聞きませんけれども、その議論に当たって大臣としても政治家としてしっかり関与していただいていると思いますし、その決意を聞きたいと思います。
〇武藤国務大臣 大川原化工機さんのお話、私もこの裁判の結果が出る前に情報として教えていただきました。
本件に関しては、外為法違反の容疑ということで拘束をされる間に亡くなられた方がいらっしゃるということで、このことについては、まずもってお悔やみを申し上げなきゃいけないと思います。
私も中小企業をやっておりましたので、こういう形で、外為法の関係でこういう事件が起きたということについては、大変、私も正直申し上げて心にすっと落ちないものがあります。したがって、外為法を所管する立場としては、まずは、この判決内容を精査した上で、しかるべく今後の対応を検討したいと考えております。
また、安全保障貿易管理においては、外為法の法令解釈を事業者にとって分かりやすく、ここはちゃんと分かりやすい内容として、また、運用の際には事業者に対して丁寧な説明を行っていくことが大変大切なことだと考えているところであります。
責任を持ってこういう対応を、もう二度と起きないように、できるだけのことを善処していきたいというふうに思っているところです。
〇岡田委員 そこで問題になるのは省令の解釈の問題です。
省令に言う殺菌、そこに、化学物質を利用して機械の中の微生物を殺菌することのみならず、機械を空だきして高温で微生物を殺滅することも含まれるというのが公安の解釈で、経済産業省としてこれをどう考えてきたのか。基本的には同じ解釈、最初から同じ解釈だったのか、あるいは途中で変えたのか、もっと狭く考えていたけれども途中で公安の解釈に寄り添ったのか、どちらなんですか。
〇武藤国務大臣 私の答弁で不足なところがあれば、また事務方の方から追って説明をさせていただきます。
当初、警視庁から担当者レベルで相談を受けておりまして、その際の議論では省内でも様々な意見があったと聞いております。
しかし、省令に関する経産省としての公的な解釈でありますけれども、警視庁から文書により照会を受けた際に、警視庁から提出された実験結果を前提とすれば該当すると思われると文書で回答した解釈が全てでありまして、解釈を変更したとかあるいは捜査機関に歩み寄ったとの御指摘には当たらないというふうに認識をしているところであります。
〇岡田委員 今の答弁を踏まえると、機械を空だきして高温で微生物を殺滅することも含まれる、殺菌の定義として、そういうふうに最初から経済産業省は考えていた、こういうことでよろしいですね。
〇福永政府参考人 いただきました解釈に至る経緯なのでございますが、経産省として当該商品が該当と判断すると解釈に至った経緯については、少し丁寧に御説明させていただきますと、貿易管理部、こういう担当部局がございます。こちらでは、案件の審査に当たりまして、物事の難しさ、難易度に応じて合議制をしいております。その合議制をしいている中で、省内でもいろいろな検討プロセスがあったというところでございます。
その中で、今回の案件において、警視庁から捜査関係事項照会書の連絡があり、これを踏まえて部内でもしっかり会議を行いました。その際の判断は、大川原化工機の噴霧乾燥機の二機種についての判断を行っていまして、一件目は、平成三十年八月三日に照会があり、同月八月十日に経産省から回答を申し上げた、さらに、もう一機種、令和元年七月二十六日に警視庁から照会があり、同年八月九日に経産省から回答を申し上げた。
その際に、警察からいただいた様々なデータを検証して、経産省の外為法所管の立場から、殺菌の法令解釈、大川原の装置が該当するか否かが論点となりまして、関係者で議論して、合議の結果、二つの機種いずれについても、省令及び解釈定義に厳格に適用することとした場合においては、特に警視庁から提出された実験データを前提とすれば該当すると思われるという形で文書で回答するという結論に至ったところでございます。
〇岡田委員 ですから、具体的事例が出てくる前に、これは根幹の部分ですから、殺菌の定義、それについて、省令を制定する際に、当然、官房の審査も受けているはずですし、あるいは原課との協議もしているはずですから、最初から殺菌に、機械を空だきして高温で微生物を殺滅することも含まれるかどうかということは決まっていたはずですよ。もちろん、この会社が、大川原化工機がどうかということは、公安に聞かれて解釈したかもしれません。考え方としては最初から決まっていなきゃおかしいですよね。
〇福永政府参考人 御質問の省令の制定の経緯についてでございます。
この点、オーストラリア・グループという国際的な輸出管理の会議体がございまして、そこの会議体での議論において、平成十二年六月に噴霧乾燥機が追加された際に、殺菌及び滅菌の定義は規定されておりませんでした。
したがいまして、我々、今回、二十三年二月に、オーストラリア・グループで追加されたクロスフローろ過装置の殺菌の定義を参考としながら、ここが大事なんですが、産業界の方々とも意見交換をしっかり重ねまして、その上で定義をしたという経緯がございます。
定義の内容は、御指摘のとおり、殺菌については、物理的手法、例えば、蒸気の使用、あるいは化学物質の使用により当該装置の潜在的な微生物の伝染能力を破壊することができるものとしたわけでございますが、これは産業界との議論も相当重ねて定義させていただきました。
ちなみに、この点、オーストラリア・グループのガイドラインにおいて各国における規制品目の拡大や審査方針について各国の裁量が認められているため、このような判断と至ったというところもございます。この点、実はほかの国でもこういう定義を利用しているところもあります。
〇岡田委員 端的に答えてもらいたいんです。機械を空だきして高温で微生物を殺滅することは、当初から殺菌の範囲に含まれるというふうに経済産業省として考えていたということですか。
〇福永政府参考人 協議を重ねましてそこに至ったという意味で、入るということでございます。
〇岡田委員 協議を重ねてって、省令を作るときには答えがなければおかしいでしょう、根幹の部分なんだから。どうなんですか、そこは。
〇福永政府参考人 ありがとうございます。
産業界とか有識者の専門家の方々に、今回のまさに噴霧乾燥機というものの定義を規定するに当たって、クロスフローろ過装置というのはすごい小さい装置なんですね、今回の噴霧乾燥機というのは非常に大きい装置で、この中で、一〇〇%菌をなくすためにどういう形の定義がいいかという、専門家の意見を聞きながら議論をしているプロセスで、殺菌については物理的手法というのも入れた形がよいだろうという認識に至り、定義をしたということです。
いろいろな専門家の意見を聞いて省として政令を定めたという意味では、おっしゃるとおりです。
〇岡田委員 もし最初からそう決まっていたとすれば、どうして担当者が、二〇一七年十月から二〇一八年三月までの十三回の公安との協議の中で、当初、否定的な見解を述べたんですか。ちゃんとそうやって議論して決まっていたなら、否定的見解が出てくるはずがないじゃないですか。
〇福永政府参考人 ありがとうございます。
我々、当時の担当者とかからも話を聞きましたが、彼らとしても、今回の法令の適用というケースがそんなにたくさん事例があるわけではなかったので、当該事例が本当に該当するかどうかというものは、いろいろな、まさに機械の装置一つ一つの性能とかにも鑑みながら判断しないと分からないという意味で、丁寧な、問合せをいろいろ受けるたびにしていたというふうに報告を受けております。
〇岡田委員 非常に理解に苦しむところですが。
先ほど局長おっしゃったように、最初からそういうふうに、空だきも読み得るような省令だったというふうにしましょう。そうすると、今回の判決は、罪刑法定主義の基本的考え方からいっても、省令の解釈を拡大することは許されないという趣旨のことを述べていると思うんですね。私もその意見に同意をするわけですが。
しかも、AG参加国の中で裁量の余地が認められていると今おっしゃったかもしれませんが、基本的に、合意に基づいて法律があり、政令があり、省令があるわけですから、それを勝手に経産省が拡大して幅広く読めるようにしていたとすると、そのこと自身が極めて大きな問題だし、東京高裁の判決から見ても全く真逆のことを当初からやっていた、そういう理解でいいですか。
〇福永政府参考人 ありがとうございます。
オーストラリア・グループ内でもいろいろな議論が行われたということを、いろいろ報告を受けています。こちらはほかの国との関係で委細、詳細は御報告できないんですが、そういった議論の経緯も踏まえながら、かつ、こういった政令、省令の持つインパクトについて、丁寧に産業界との議論を重ねながら今回制度を定めてきたわけでございますが、今でも既にオーストラリア・グループの議論などもしっかり行っていますし、今後とも、産業界の意見もしっかり聞いて議論をしていきたいと思っておりますが、規制の明確化に引き続き取り組むとともに、事業者に対しても丁寧に説明して理解いただけるように、より一層取り組んでいくということが我々の基本方針でございます。
〇岡田委員 ですから、今回のこの省令の解釈で食い違いがこれだけ生じているわけですから、やはり省令そのものをきちんと定義し直すということは、私は最低限必要だと思うんですね。
それから、こういうふうに国際的に合意されたことを拡張して、それを省令で読み込んでいるということになりますと、やはり経済安全保障に関わる類似の事例でも同じようなことがあるかもしれませんから、これは政府として全面的に見直して、そういう拡大解釈の余地がないように省令の定義をきちんと見直すべきだというふうに考えますが、大臣、いかがですか。
〇武藤国務大臣 今し方、背景を局長から御説明いただきました。
私ども、委員の御指摘のとおりのところもあると思います。今後も、局長からお話し申し上げたように、産業界ですとか有識者との意見交換などを通じながら、輸出者による法令解釈等に関する問合せあるいはまた相談に丁寧に応じていくのはもちろんであると思いますし、こうした取組を行いながら、省令の改正も含めて、規制内容の明確化に向けた検討を行ってまいりたいというふうに思っております。
〇岡田委員 これは省内で第三者の検証委員会を立ち上げてもらいたいんです。これは政府全体にも必要なことだと思いますが。経産省の中でいろいろなやり取りをしているはずですよ、この省令の解釈について。担当の部局と公安とのやり取りもありますし、担当部局が例えば官房と省令の解釈をめぐって意見交換している、あるいは原課としている。そういうものが、どういう議論がなされて、そして今回のことに立ち至ったのかということをきちんと検証しないと、同じことが私は繰り返されるというふうに思うんです。反省していますで済む話ではないというふうに思うんですが、いかがですか。
〇武藤国務大臣 本件のような事案というものが再度起こることがないように、今後どのような対応が必要であるかを関係省庁で連携して検討していかなくてはいけない、これはまさに重要なことと考えています。
委員おっしゃられたように、第三者委員会というものは、外為法の解釈の提示について、第三者委員会で検証すべき性質の事柄とはちょっと違うんじゃないかと思っています。
いずれにしましても、経済産業省としても、今回の事案を踏まえた上で、企業に対する法令解釈の丁寧な説明、これを一層心がけ、適切な安全保障貿易管理を行っていきたいというふうに考えております。
〇岡田委員 非常に疑問が残るわけですね。さっきも言いましたように、担当者は一貫して否定的なことを言っていた。もし最初から決まっていたのならそんなことになるはずがない。だから、先ほどの局長の説明は、私はどこかで違うんだというふうに思わざるを得ないんですね。
それから、もう一つ申し上げると、空だきが含まれるという解釈に立ったとしても、その空だきの結果として全てのポイントで高温が実現できたかというと、そうではないということも分かっていたのに、それも放置して、どんどんどんどん勾留期間が延びたり、裁判に行く直前まで、経産省として、業所管省でもありますから、放置していたというのは、そこも私は非常に問題があったと思うんですが、いかがですか。
〇福永政府参考人 ありがとうございます。
委員御指摘のとおり、省内でいろいろな議論があったことは事実でございますが、繰り返しになりますが、省全体として意見を決定するに当たっては、貿易管理部で、部内で一堂に会して、関係者が一堂に会して丁寧な議論を行って省としての方針を決めたというところで今回の決定には至っております。
繰り返しになりますが、省令の解釈等、非常に重要な部分があり、更に言えばそれに伴う該非判定というところに対しても重要な解釈があり、相当部内でも丁寧な議論を行って判断をしたというふうに過去の関係者からの意見聴取を行っております。
〇岡田委員 もう終わりますけれども、経産省は省令の解釈というのを担当部局だけで決めるんですか。当然、官房の審査もあるでしょう。そこで何か意見が出なかったとしたら、相当問題がありますよね、それはそれで。そういうことのやり取りも含めてきちんと第三者に検証させるべきだということをもう一度申し上げておきたいと思います。
終わります。