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1994.11.02|国会会議録

131回 衆議院・政治改革に関する調査特別委員会

岡田委員 今回の法改正、それから前回の改正、特に政治資金規正法が前回改正になったことによりまして、今までざる法と言われた政治資金について非常に厳しくなったというふうに承知をしております。

そういう中で、例えば、企業からの献金の上限がこれから五万円になる、五万円を超えると公表しなければいけない、そして、一社当たりは五十万円である、あくまで一団体である、こういうことになるわけでありますが、そういう状況のもとで、今までこういうことがある、こういうふうに言われていたわけですけれども、企業からの例えは車の提供でありますとか、秘書の派遣でありますとか、あるいは選挙事務所を世間と比べて安いお金で借りるとか、そういうことがこれから即政治資金規正法にひっかかってくるだろう、こういうふうに思うわけですけれども、この点について、まず自治省の御見解を聞きたいと思います。

野中国務大臣 政治資金規正法の「寄附」とは、「金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付で、党費又は会費その他債務の履行としてされるもの以外」をいうと法の第四条第三項において決められておるところでございまして、委員御指摘のように、財産上の利益とは、金銭、物品に限らず、債務の免除、金銭、物品の貸与、さらには労務の無償提供もこれに該当するものと解されております。また、対価相当分を超えて金銭、物品その他財産上の利益の供与または交付がある場合には、その超える部分は寄附となるものと解されております。したがって、政治活動に関しまして、事務所や自動車あるいは労務等が無償提供されたり、著しく低い対価で提供されるような場合にありましては、一般的には政治資金規正法上の寄附に該当する場合が多いものと考えます。

このたびの改正法では、企業等の団体がする政治活動に関する寄附については、政党、政治資金団体及び資金管理団体以外の者に対するものは一切禁止することとされているところでございまして、したがいまして、企業が資金管理団体以外の後援会等に事務所や労務等を無償もしくは著しく低い対価で提供することは、寄附の禁止に該当する場合が多いものと考えております。

岡田委員 大変厳しくなって、これから言いわけが通用しなくなる、こういうことだと思うのです。そのこととは直接関係ありませんが、話題を変えます。

自由民主党と社会党の本部の敷地の問題について、参議院で既に一度質問が最近出たわけでありますが、ことしの十月に一二十年間の契約の期限が終了して契約の更新をしたという話を聞いておりますが、一体どのくらいの価格で契約をされたのか、大蔵省の方から、事実関係でそういう数字をお聞かせいただきたいと思います。

沖津説明員 お答え申し上げます。

自由民主党に対する国有地の貸付料は、現時点で年間五千百七十二万六千四百七円でございます。日本社会党に対する国有地の同じく年間の貸付料は、二千三百四十七万三千八百二十二円でございます。

岡田委員 参議院で同僚の衆議員が質問したときにはこの賃料について答えられないということだったわけですが、今回お答えいただいたことについては率直に評価をしたいと思います。

しかし、自民党本部が三千三百平米、日本社会党が一千七百十七平米ある、こういうことでありますが、これだけの土地を借りようということになりますと、今言ったような自民党五千百万、社会党二千三百万という値段で借りることは非常に難しいのじゃないか。そういう意味で、もしこれが相場から比べて安いということになりますと、先ほどの政治資金規正法の話ではありませんが、同じような状況になるのではないか、そういう気がいたしますが、自治大臣の答弁をお願いします。

野中国務大臣 委員御承知のように、政党助成制度は、現行の個人中心の選挙や政治活動を政党中心のものに抜本的に改めることに伴いまして、政党の財政基盤の確立強化が不可欠となることから、政党に対する公費助成を行い、民主主義のコストというべき政党の政治活動の経費を国民全体で負担をしていただこうという趣旨であろうと存じております。

今御指摘のございました国有地の貸し付けにつきましては、その詳細を承知をいたしておりません。大新聞の新聞社の敷地がほとんど国有地のものであった等、長い過去の経過等を考えて、私は現実にそれを承知をしておらない次第でございますけれども、しかし、当然このような問題は、今御指摘のように政党助成制度とは異なるものと理解をしておるものでございます。

岡田委員 政党助成と直接リンクするものではないというふうに思いますが、考え方において、もし安く貸しているとすればそれが政党助成と同じような機能を果たしているのではないか、そういう問題意識で聞いているわけでございます。

路線価格が自民党本部の場合が大体五百万から六百万ぐらいですね、平米当たり。三千三百平米ということは、今こういう不動産不況ですから本当に売れるかどうかは別にして、時価にすると百六十から二百億円ぐらいの不動産価値を持った敷地であります。それが年間五千万円で借りられるというのは、私は常識から見てどうかな、こういう気がするわけであります。その辺は専門家の意見もよく聞いてみないといけないわけでありますけれども、もちろん大臣おっしゃるようにいろいろ経緯もありますから、直ちに数字だけで論ずることはできないかと思いますが、少なくとも言えることは、自社両党はいろいろな経緯もあって今あれだけの敷地をこれだけの価格で借りているわけであります。

それに対して、それじゃ新しい政党はどうか。新しい政党がもし同じような本部敷地を確保しようとすれば、同じような価格でそれが確保できるかどうか、こういうことであります。私は、そこに新しい政党と昔からの自社両党の格差というものが現実に存在している、こういうことは認めざるを得ないと思うわけであります。その点について、総理の御見解をお聞かせいただきたいと思います。このことは、法律的にどうかという問題は別として、実質的に不公平を生じているのじゃないか、こういうことであります。

村山内閣総理大臣 私が聞いておりますのは、昭和三十九年、東京オリンピックの際に自民党の本部も社会党の本部も道路予定地にかかって、そしてその替え地を探したけれどもないのでお借りした、こういう経緯があるのですね。そういう歴史的な経緯も踏まえた上で、少なくとも大蔵省が客観的に妥当な数字を計算をして賃貸をしているのであって、そこに、何か政党だから特別の恩典を与えて安く貸しているとか、そんなことは絶対にあり得ないというふうに私は思います。

ですから、何か古い政党だから特別の恩典をいただいて、そして今度の政治資金規正法なんかにかかるのではないかといったような疑念を与えるような、そういうことがあるとすればこれは国民に対して大変な疑惑を招くことになりますから、私は、この席でしっかりその正当性について、正しい評価でもってやっているんだということをきちっと説明してほしいというふうに思います。

岡田委員 私が申し上げているのは、先ほどの五千万、三千万という水準が果たして常識にかなっているかどうかという点を申し上げているわけで、もちろん経緯がありますから、そういう計算方式であれば五千万とか三千万という数字になるのかもしれません。これはとにかく借地なんですから、そこに建物を建ててしまったわけですから、そのことについて私がおかしいというふうに申し上げているわけではありません。

しかし、現実に新しい政党が同じように本部を確保しようとすれば、それはなかなか、今やそんな更地を貸す人はおりません、建物建てたら、ほとんど賃料は入ってこないわけですから。だから、そこのところについて、もう少し公平な扱いができないだろうか、そういうことを申し上げているわけであります。過去のいろいろな、安く借りているとか、そんなことについて私は批判しているわけではございません。

村山内閣総理大臣 それは、公平に貸しておるかどうかとか公平に貸してほしいとか、そんなことを私に言われたからといって、私は貸す立場にはないわけですからね。ですから、もし具体的にこういう国有地がある、あいている、この土地を借りたいんだがと、こういう話になれば、それは折衝していただいて、そして客観的に正しい評価でもって公正な貸借を成立すればいいのであって、私はそれ以上のことは、ここでとやかく言う立場にはないというふうに言わなければならぬと思います。

岡田委員 今総理は、その立場にないとおっしゃいましたけれども、大蔵省も総理は総理大臣として見ておられるわけでありますから、その立場にないというのは私はおかしいと思うわけです。

私が申し上げているのは、いずれにしても、今現に政党なんですから、私人というよりも一つの政党、国会を構成する政党であります。その政党が、ある政党はきちんと本部用地が低い価格で借りられて、低いというのは別におかしいというわけじゃありませんよ、いろいろな経緯があって低くなっている。そして他の新しい政党は、それが今回じ価格で借りることはどうもできないらしいということになれば、相手はいずれも国でありますから、同じ国でありながら、一方には経緯もあって安く貸している、もう一方は高くなるということでありますと、そこに問題が生ずるのではないかということを申し上げているわけであります。

村山内閣総理大臣 誤解されては困りますけれども、それは国有財産を国民にお貸しをする場合に、どの政党であれどういう人であれ、それは差別してはいけないので、平等公平に扱うべきものだ、扱わなければならぬというふうに私は思っています。

岡田委員 そこの公平ということの意味の問題、解釈の問題だろうというふうに思います。いずれにしましても、この問題は、これからなお検討を続けてまいりたいと思っております。

それからもう一つ、全く違う話でありますが、今回、連座制が強化をされました。そして非常に厳しくなったわけであります。問題は、きちんとした捜査を行うということだと思うのですね。これは捜査がきちんと行われなければ、結局連座制のところまでいかないわけであります。そういう意味で、新しく法律も変わって、もちろん有権者とかあるいは議員に対しこういうふうに変わったということをPRすることも大事でありますが、同時に、各都道府県の県警に対して、これからきちんとこの法律に基づいて適正な取り締まりをするというようなことが私は必要だと思いますけれども、その点について、警察庁はどういう御指導をされる予定でしょうか。

野中国務大臣 国家公安委員長としてお答えをいたします。

警察は、法令に従い、厳正公平に選挙違反の取り締まりを行ってきたところでありますが、今回法改正がなされれば、その法改正の趣旨に沿った適正な取り締まりが行われるよう都道府県警察を指導してまいる所存であります。

岡田委員 警察の捜査とともに、今度は連座規定ですから、その告発も適正に行われなければならない、こういうことになるわけであります。その点も含めて、この連座制の規定について総理としてどういう方針で臨まれるのか、最後にお聞かせをいただきたいと思います。

村山内閣総理大臣 法は厳正に守っていかなければならぬ、そういうものだというふうに思っていますし、今自治大臣からも答弁ございましたように、検察も警察も厳正公平に取り締まりをし、もし法に違反するものについては公平に厳正に扱ってきたというふうに思っておりますが、これからもその方針には変わりはないというふうに思います。

岡田委員 ありがとうございました。




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