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3/14 衆議院経済産業委員会(大臣訪米、地球温暖化対策計画、エネルギー基本計画)

【委員会】衆議院 経済産業委員会

【日 時】2025年3月14日(金) 9:35~(35分間)
    
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【主な質問内容】

  1. 大臣訪米
    • 米国の関税措置について
    • 自動車に対する追加関税
    • 2019年9月25日の首脳会談のやり取り
    • 自動車輸出の数量規制
    • 鉄鋼・アルミ関税

  2. 地球温暖化対策計画
    • 高みに向けた挑戦

  3. エネルギー基本計画
    • 原発のコスト
    • 原発の安全性
    • 再生可能エネルギー促進策


    議事録

    岡田委員 岡田克也です。
     大臣、訪米お疲れさまでした。今、自民党の方から質問がありまして、お答えがありましたので、同じ答えは聞きませんので、お答えにならなくて結構です。
     私がまずお聞きしたいのは、アメリカにおける記者会見において、大臣はこういうふうに言われました。日米貿易協定に関する我が国の理解についても申し上げた。大臣は、日米貿易協定についてどのように理解しておられるんですか。簡単にお答えください。
    武藤国務大臣 岡田委員から御質問いただきました。
     二〇一九年の日米首脳共同声明において、両国が、日米貿易協定が誠実に履行されている間、同協定及び同共同声明の精神に反する行動を取らない旨を明記しているところであります。
     そして、これが日本の自動車・自動車部品に対して米国が追加関税を課さないという趣旨であることは、当時の首脳会談において安倍総理からトランプ大統領に明確に確認されたものと承知をしているところであります。
    岡田委員 今大臣のお答えになったとおりなんですが、これは、第四項についての解釈として、安倍総理も国会で何度も、自動車について追加関税は課さないという趣旨であるということを答弁されています。
     ということになると、もし自動車に関税を課するということになった場合には、この日米間の約束に反するということになりますよね。そこについて、アメリカ側はどう説明したんですか。あるいは、大臣は、約束に反することになるということは明確に主張されたんですか。
    武藤国務大臣 この第四項の解釈について、今回の訪米において、米側に対して、我が国が関税の対象になるべきではないことを申し上げる際に、日米貿易協定に関する我が国の理解についてもしっかりと申し上げたところであります。
     そして、岡田先生から更問いがありましたか。
     では、取りあえずそういうことでお答えしておきます。
    岡田委員 ですから、もし関税を課することになれば、それは日米間の首脳間での約束に反することになりますね。そのことについて大臣は明確に指摘されたんですか。そして、アメリカ側の反応はどうだったんですか。
    武藤国務大臣 私からは明確にその辺についての私どもの理解を申し上げておるところであります。これは繰り返しになっちゃいますけれども、米側に対して我が国が関税の対象となるべきことがないことを申し上げる際、日米貿易協定に関する我が国の理解についても申し上げたところであります。
     向こうの反応がどうであったかということだろうと思いますけれども、これ以上の詳細はちょっと外交上のやり取りになるので、議論の詳細については言及を差し控えさせていただきますが、特に申し上げれば、グリア通商代表はライトハイザー前通商代表の補佐をやっていらしたので、こうやってうなずいておられましたのは御報告申し上げたいと思います。
    岡田委員 うなずいたかどうかということではなくて、明確に反することになるということは主張されたわけですね。アメリカ側はそれに対して、反してでもやります、やる可能性はあるというふうに答えたんですか。それとも、約束は守りますと言ったんですか。
    武藤国務大臣 米側の反応でありますけれども、米国からは、様々な制度の相互性を重要視しており、米国における製造業の復活や雇用の確保を最重要視していることについての説明をされたところでありますということです。
    岡田委員 一般論を聞いているんじゃないんです。自動車について聞いているんです。
     明らかなこれは約束違反じゃないですか。そのことについて一言も説明もなかったんですか、もし課すことになれば。
    武藤国務大臣 約束違反だということへの向こうの答弁は、明確な答弁はございませんでした。
    岡田委員 それで明確な答弁のないまま引き下がってくるのも私には理解できないことなんですが。
     そもそも、そういう約束があったのかどうかというところに疑問は帰ると思うんですね。
     安倍総理は約束はしたということを国会で何回も答弁されたんですけれども、例えば共同記者会見で述べるとか、あるいは、そういったものが紙になっている、文書になっているとか、そういうことはないわけです。安倍総理の国会答弁だけなんです、担保するものが。だから、本当にそういう明確な約束がなされたのかどうかということについて、当時から、私も含めて、様々な疑問が国会で呈されてまいりました。議事録をちゃんと国会に提示すべきだという話も強く出されました。
     だから、私は、改めて、当時の首脳会談の議事録、一体どういう言葉のやり取りで、安倍さんが述べたような約束がなされたのかなされないのかということを明らかにするために、議事録の提出を、国会法百四条第一項に基づいて、本委員会に議事録を提出することを求めたいと思います。
     委員長、理事会でお諮りください。
    宮崎委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議をすることといたします。
    岡田委員 もう一つ、ちょっと、大臣も今言われたんですが、茂木大臣は、日本としては、数量規制、輸出自主規制について反対だと明確に主張し、ライトハイザーUSTR代表の了解、確認も取ったというふうに国会で答弁されました。しかし、これも文書はないんですね。
     大臣は、数量規制しないということをライトハイザーの後任のUSTR代表と確認はしたんですか。
    武藤国務大臣 今回は、数量規制については何ら言及はしていないものと承知をしているところであります。
     以上です。
    岡田委員 大臣から、そういう約束がありましたねということは確認していないということですね。
    武藤国務大臣 先ほどの二〇一九年の文書についての御理解というものは確認をさせていただきましたけれども、今回、数量については確認をしていません。
    岡田委員 これも、当時から、果たしてどういう約束をしているのかということは国会で議論になって、茂木大臣とライトハイザーとの間のやり取りを国会に提出するようにということを我々は求めました。
     これは、改めてこの点についても求めたいと思いますので、委員長、理事会でお諮りいただきたいと思います。
    宮崎委員長 ただいまの件につきましても、理事会で協議をいたします。
    岡田委員 いずれにしましても、これは四月二日ですよね。もうかなり迫ってきているわけです。
     私は、言うまでもなく、やはり自動車の輸出に二五%の関税が課されるということになると、これは我が国の経済や雇用に極めて大きな影響を及ぼすということになります。今まではそれを何とかしてブロックしてきたということですが、いとも簡単にそれを課されるということになれば、これは大きな責任問題ですよね。
     ですから、大臣には、四月二日までの間に、そういうことにならないように、事務方も含めてですが、大臣は何回でもアメリカと交渉して、これは職を賭してしっかりと結論を導いていただきたいと思いますが、いかがですか、覚悟は。
    武藤国務大臣 まさに自動車産業というものは、先生よく御承知だと思いますけれども、出荷額においても製造業の二割、雇用においては全産業の一割、設備投資額や研究開発投資額は製造業の三割とよく言われている我が国の基幹産業であるのは、私自身の地元でもやはり自動車産業のメッカでもありますので、よく承知をしているところであります。
     自動車関税につきましては、こうした自動車産業の重要性を踏まえて、米側に対して繰り返し問題提起をしてきているところでもあります。そして、今回の訪米においても、日米貿易協定に関する我が国の理解をまず含め、そして、日本が自動車関税の対象となるべきことではないことを再三申し入れてきているところであります。
     今後の米側の協議の中でも、これを更に申し入れていく。
     まさに先生おっしゃられている四月二日ということですから、タイムスパンはそんなにないわけであります。全力を尽くして私も頑張ってまいります。
    岡田委員 今まで日本としては関税を課せられることはなかったし、しかも、この日米貿易協定の中では、アメリカ側はゼロに向かって努力することになっているはずなんですね、本来は。日本政府も余りその点について交渉してこなかったと私は思っていますけれども、ゼロに向かって努力しなきゃいけない中で、逆に、しかも明確な約束が首脳間であったとすると、にもかかわらず二五%の関税を課するというのは、これは同盟国に対して極めて失礼な話だというふうに思うんですね。
     大臣、改めて、職を賭してでもやり抜くんだ、日本政府としてやり抜くんだということを、決意を述べていただきたいと思います。
    武藤国務大臣 私の立場で、全力を尽くして日本のウィンの一つの自動車産業を守るということについては全力を尽くしていきたいのは、重ねて申し上げておきたいというふうに思います。
     しっかり、今回、トランプさんの第二次政権ということで、大分閣僚も替わって、ただ、政府の方もまだ全部決まっていないという背景もある中で、時間のない中で、いずれにしましても、今回、個人、人間関係をつくれたところもありますので、しっかりと応対をしてかち取っていきたいというふうに思っております。
    岡田委員 大臣も先ほどおっしゃったように、USTRの代表は交渉の経緯をよく分かっている人ですよね。それから、やはりこれは、当事者はトランプ大統領ですから、四月二日までに首脳間でもう一回この問題を含めてしっかりと意思疎通するしかないと私は思うんですが、大臣から総理にそういうふうに進言される御予定はないですか。
    武藤国務大臣 総理はもちろんですけれども、ある意味で、我々の経産省だけじゃなくて、これは各省とも連携をしながら、向こうからは、いわゆる相互関税もある、そして非関税措置とか、いろいろな形で要求もあると思いますので、そういう形の中で、総理にも御報告を申し上げながら、しっかりと対応していきたいというふうに思います。
    岡田委員 では次に、ちょっとエネルギー基本計画について。
     新たなエネルギー基本計画では、原発依存度の低減という表現が削除されました。これは、新たな原発を今後積極的に建設していこうというもので、国家として極めて重要な政策転換だと思います。
     大臣、その認識はありますか。そして、なぜそのような決定となったのか。いろいろ今までの答弁もお聞きしていますが、一言で言うと、なぜ原発依存度の低減という表現を削ったのか、そこについてお聞きしたいと思います。
    武藤国務大臣 この背景ですけれども、DXやGXというものが、これが進展をしながら電力需要増加が見込まれるというところが一番の今回のポイントだというふうに思います。脱炭素電源の確保が国力を左右する状況の中で、低いエネルギー自給率や火力発電への高い依存といった課題を克服する観点でも、脱炭素電源の確保が求められているところであります。
     したがって、第七次エネルギー基本計画では、特定の電源や燃料源に過度に依存しないバランスの取れた電源構成を目指すとともに、必要な脱炭素電源を確保するため、再エネと原子力について、二項対立ではなくて、共に最大限活用していく方針を示したところであります。
     これまでのエネルギー基本計画では、可能な限り原発依存度を低減するという記載に加え、必要な規模を持続的に活用するとも記載をされていたところでありますが、これは、原発依存度が東日本大震災の約三割を下回って、一方で必要な原発は活用していくという趣旨であります。この考えは、第七次エネルギー基本計画においても変わりません。
     一方で、原子力に対する様々な御懸念の声があることは十分に承知をしているところであります。これを真摯に受け止めながら、それぞれの課題にしっかりと取り組み、丁寧に説明を行いながら、原子力を活用していきたいというふうに存じています。
    岡田委員 電力需要が増えるから原発が必要だ、そういうふうに政府の関係者の方は繰り返し述べられるんだけれども、果たして二〇五〇年に向けて電力需要は増え続けるのか、それは分からないですよね。当面は増えると思いますよ、データセンターあるいは半導体工場もできるわけですから。だけれども、更に先のことは分からない。
     例えばスターゲート計画。トランプ大統領は、孫さんで五千億ドル投入する、これを四年間でやると言っているんですね。データセンターとその電力を賄うための発電設備を四年間で建設する。四年間ということを考えると、これは原発ではあり得ないですよ。ソフトバンクの専務取締役も、原発の活用について、私たちの選択肢の中では順位は極めて低いというふうに記者会見で答えられています。
     つまり、五千億ドル投入する極めて大規模なデータセンター、それからそのための発電設備、その発電設備というのは原発じゃなくて自然エネルギーだ、そしてそのための貯蔵のものも当然設備も必要になるでしょう。だから、感覚が大分違うんですよ。
     電力が増えるから原発が必要だ、それは一つの考え方にすぎない。いかがですか。
    武藤国務大臣 スターゲートの話も存じ上げておりますけれども、あるいは、アメリカですと、今、マイクロソフトがSRMの新しい原発を近くに造るとか、いろいろな報道はあるというのは承知しています。
     日本の場合は、やはり火力に今まで七割依存している。そして、再生エネルギーを一生懸命頑張ってやっておりますけれども、なかなかここも、太陽光の敷くところがだんだんなくなってきているとか、いろいろな規制も入ってきています。
     そういう意味でいうと、二項対立じゃなくて、原子力で安全なものはやはり動かさざるを得ないだろう。そして、再生エネルギーも、地熱もそうですけれども、風力も含めて、全てやはり、今、トランジションの世の中ですから、研究開発をどんどん進めて、実証性のあるものを作っていかなきゃいけない。そういう中で、何よりもエネルギーの安定供給、これを確保するということが大変大事なことだろうという趣旨で私は考えておるところであります。
    岡田委員 二項対立という表現も基本計画にも出てくるんですが、正確じゃないですよね。二項対立というのは、どっちを取るか。でも、どっちを取るかという話じゃないんですよ。自然エネルギー、再生可能エネルギーは、これは主要電源だ、その上で原発をどう考えるかという話で、二項対立という言い方は、私は全く正確じゃないというふうに思いますよ。
     令和三年のエネルギー基本計画ではこういうふうに表現しているんですね。福島第一原発事故を経験した我が国としては、安全を最優先し、再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り原発依存度を低減すると。この考え方は捨て去ったんですかと聞いているわけです。
    武藤国務大臣 私も、福島は、今からいうともう七年前ですけれども、副大臣をやっているときに、原子力災害対策本部長で一年間福島にも通わさせていただきました。廃炉を間違いなくこれは実現させなきゃいけない、そして風評をとにかく抑え込んでいかなきゃいけない、様々に地元に寄り添ってきました。ですから、その教訓は決して忘れることはしません。できません。
     その上で、依存度の低減、これは震災後に福島の反省として入れたのではないかという今委員の御指摘でありますけれども、今回、再エネを最大限導入するとともに、特定の電源や燃料源に過度に依存しないようなバランスの取れた電源構成を目指すという考え方を明記したところであります。この考え方の下で、二〇四〇年のエネルギーミックスとしては、原子力の比率は二割程度とお示しをしたところであります。
     原発依存度の低減という文章は、人材確保やサプライチェーンの維持の観点で将来の見通しを損ない、原子力発電事業者や廃炉作業に支障を生じさせないということもあろうかと思います。そのため、安全性や原子力利用の将来像といった観点からも立地自治体からも見直しを求める声があり、表現を見直したところであります。
     東京電力福島第一原子力発電所事故の反省と教訓を肝に銘じながらエネルギー政策を進めることは、一貫した政府の方針であります。
    岡田委員 私も、原発の再稼働については、現在のこれ以上二酸化炭素の排出を増やさないという観点からも、安全性の確認、地元理解、そして避難路の確保というような条件が満たされた場合にはこれを是認すべきだ、そういう考え方なんです。ただ、新しいものを造っていくということは、未来永劫原発に依存するということですから、それはそうではないんじゃないか、やはり原発に依存しない社会を目指していくべきじゃないか、そういう観点で質問させていただいているわけです。
     大臣は、この場で、ミサイルによる攻撃について、それは自分の問題でないというような答弁をされて、後で少し訂正をされたようですが、そういったミサイルやドローンによる攻撃とか、あるいは防御不可能なサイバー攻撃とか、あるいは地震や津波だって現在の想定を超えるものがあるかもしれません、そういうときにどう対応するのかということについて、大臣の答弁を求めたいと思います。
    武藤国務大臣 原子力は、福島事故の反省を踏まえて、これもいかなる場合もゼロリスクではないという認識、ここに立って、安全性の確保を最優先にリスク低減に取り組んできていると承知しています。
     地震などの自然災害あるいはサイバーテロ等に対して、原子力規制委員会が、福島事故の反省を踏まえて策定をされた新規制基準、この下で厳格な規制を行ってきているところでもあります。この新規制基準では、事故は起こり得るという前提に立って、放射性物質を低減しつつ放出することにより格納容器破損を防止する対策であるとか、仮に格納容器が破損したとしても放射性物質の拡散を抑制する対策も確認をすることとされているところだと思います。
     また、今委員おっしゃられたような原子力発電所に対する武力攻撃への対応、これも我が国自身の防衛の問題であり、弾道ミサイル等による攻撃に対しては、イージス艦やPAC3等により対応するほか、事態対処法、国民保護法等の枠組みの下で、原子力施設の使用停止命令、住民避難等の措置を準備しているところであると思います。例えば、発電所近傍へのPAC3の機動展開訓練など、各種事態発生時における関係機関相互の連携強化にも不断に取り組んできているところだと承知をしているところです。
    岡田委員 使用停止といったって、攻撃されてから使用停止したって意味がないじゃないですか。それから、いろいろな、PAC3とか言われましたが、それで完全に防げるわけではない。だから、そういう場合に一体どうするのか。それは政府としてきちんと答えが出ていないじゃないですか。
     原子力、核分裂の怖いところは、分裂が始まったときにそれを止める手だてが限られている。場合によっては数十万、数百万の人間が退避しなければいけないとか、あるいは、東日本大震災のときに我々が経験したのは、最悪の場合には東日本全体が人が住めないような状況が生まれるかもしれない。極めて大きな被害が可能性としてあるというところがほかのリスクとは違うところです。そこに対してどうするんですかということを私は聞いているんです。
    武藤国務大臣 先ほど申したとおり、福島事故の反省、これを踏まえて、いかにゼロリスクに抑えていくかということだろうと思いますし、その認識の下で安全性の確保をどうやって確保するのか。これはまさに、経産省だけじゃなくて、各省とも連携をしながらということで、原子力災害というもの、これを防ぐということが我々に求められているタスクだというふうに承知をしているところであります。
    岡田委員 だから、具体的にどうやってということを聞いている。答えがないんですよ。
     結局、その背景にあるのは、都合の悪い事実から目をそらす、そういうことは起こらないと信じる、安全性神話、そこに陥っていると私には見えてしまうんですね。そこをやはり責任ある答えがなければ国民は納得しないと思いますが、いかがですか。
    武藤国務大臣 ちょっと重ねての問いになるかもしれませんけれども、ゼロリスクはないという認識に立った上で、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえた新規制基準の下、安全性の確保を最優先として取り組む、ここが大事なことだと思いますけれども、その上で、万が一事故が起きた場合、原子力災害の迅速な対応、すなわち、事故の拡大防止という早急な事態の収束や、自衛隊、警察、消防、海上保安庁といった実動組織による各種支援を含めて、住民避難の支援、物資の円滑な供給、医師の派遣などが円滑に行われるように、関係法令に基づき、責任を持って対処をしていくこと。さらに、被害者に対する賠償が迅速かつ適切になされるよう、原子力損害賠償法、これは、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法、枠組みがございますけれども、責任を取っていくことが重要であるというふうに思います。
     ただ、やはり、事故が起きないように、万全の平生からの各省連携の対策を打っていかなきゃいけない、これが前提になると思います。
    岡田委員 ミサイルが飛んでくるような事態というのは防衛出動事態ですよね。自衛隊はそれへの対応を全国的にしなきゃいけない。だから、原発だけに構っていられないんですよ。だから、どうやってこれに本当に対応するのかと真剣に私は政府の皆さんが考えているとは思えないんですよね。それで本当に大丈夫なのかというふうに思います。明確なお答えをいただけなかったということですので、なおこの問題についてはしっかりと答えを求めていきたいというふうに思います。
     経団連が、昨年十月のエネルギー基本計画の見直しに向けた提言の中で、原発の事故については、米欧各国では一千億から二千億円程度の有限責任としている例が多い、日本においても、事業者の有限責任を認めて、超過分は国が補償することを検討すべきだというふうに提言されました。
     この点、どう考えておられますか。福島第一原発のような事故があった場合に、東電の事故処理費用というのは現在でも二十三兆円を超えているというふうに思います、その二十三兆円を税金で納税者に負担させるということをお考えなんですか。それとも、そういうことは全く考えていないということですか。
    武藤国務大臣 原子力事故の損害賠償に関しては、原子力損害賠償法の規定によって、原子力事業者に無限の責任を負わせることとしているところです。
     その一方で、一千二百億円ありますけれども、損害賠償措置を超える賠償については、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法等に基づく事業者間の相互扶助によって、その賠償に必要な資金を確保できる制度となっているところです。
     事業者の責任を有限とすることについては、過去の法改正時にも議論がなされたと承知をしていますが、責任限度額の水準の適切性など、様々な課題があることから、無限責任を維持することが妥当とされた。
     国としては、現実の無限責任に基づく制度を適切に運用することが重要だと考えているところであります。
    岡田委員 有限責任というのは適切でないという今の大臣の答弁というふうに理解しました。
     ただ、先ほどおっしゃった今の仕組みも、結局、電力料金を上げて、それで国民に負担させているということですから、税金で賄うのと余り変わらないということは申し上げておきたいと思います。
     もう一つ、原発のコストについて一つ聞いておきたいんですけれども、今回の基本計画やGX二〇四〇年ビジョンでは、他電源と遜色ないコスト水準であるというふうにされています。
     ただ、事故リスクについては、福島第一原発事故を参考にして計算しておられると思いますが、しかし、福島第一原発、デブリの取り出しは全くめどがついていない。現在の想定をはるかに超えることが予想されるわけですね。それから、除染も、人が住むところの周りは除染していても、例えば森林とかそういうところの除染というのは基本的にやっていないと理解していますし、帰還困難区域全部の除染のめどなど立っていない。最終処分費用、これは現時点では想定することができないはずです。
     そういう要素があるにもかかわらず、他電源と遜色ないコスト水準という結論はどうやったら導き出されるんですか。
    武藤国務大臣 原発のコストの件の御質問だというふうに思いますが、経済産業省が実施をしました発電コスト検証では、原子力について、例えば、追加的安全対策費、これを含む建設費、あるいはまた東京電力福島第一原子力発電所の廃炉や除染に係る費用、また最終処分に係る費用も含めて、現時点で合理的に見積もることができる費用を全て織り込み、算定をしているところだというふうに承知しています。
     他方で、資材価格等の更なる上昇の可能性であるとか、現時点で合理的に見積もれていない費用があることは認識をしているところであります。そうした費用の増加に対応して、発電コストがどの程度変化をするのかという試算も併せてお示ししております。
     こうした点も含め、過去の検証と同様、公開の場で専門家の方々に複数回御議論をいただいた結果として、キロワットアワー当たり十二・五円以上とお示しをしたところです。
     なお、欧米で建設費が上昇した例についても、サプライチェーンの劣化ですとかコロナ禍の影響等により工期の遅延が発生をし、それが契約形態や資金調達コストに起因する費用の増大につながったと認識をしているところですが、前提条件が日本とは異なるため、そのまま日本でも起こるとは言えないと考えております。
     いずれにしましても、サプライチェーン劣化によってコスト上昇を回避することは重要と考えておりまして、また、原子力の産業基盤、人材の維持強化のために様々な取組を進めていかなくてはいけない。今委員がおっしゃられるように、全てのコストというものを、やはりこれは、今後ともまた御指導いただきながら、ちゃんとしたものをつくっていかなきゃいけないというふうに思っております。
    岡田委員 合理的だとか全て見積もっているとか言われますが、先ほど言ったように、廃炉費用一つ取ったって、一体、燃料デブリがどれだけ取り出されているんですか。計画と全く乖離しているじゃないですか。トータルで幾らかかるかと全く分かっていない中で、今ある非現実的な数字だけを前提にはじいているだけじゃないですか。除染も同じです。最終処分費用に至っては、どこに最終処分するのかということが決まっていない中で、どうやって数字がはじけるんですか。
     そういうことがあるのに遜色のない価格だと言うのは、私は極めて誠実さを欠いていると思いますが、いかがですか。
    久米政府参考人 まず事実関係について申し上げます。
     委員御指摘のとおり、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉や除染に係る費用を含めまして、さっき大臣が答弁申し上げましたとおり、現時点で合理的に見積もれていない費用があるということは事実でございます。
     福島第一原発の廃炉は、世界にも前例のない困難な事業でございます。デブリ取り出し後の処分が必要となる分量や処分方法が見通せない中で、燃料デブリの処分費用まで含めた全体の廃炉費用について一定の蓋然性をもって算出することは難しいというのが現状でございます。こうした中で、今後各費用が増加する可能性を考慮して今の試算というのは示させていただいたところでございます。
     その上で、仮に廃炉費用あるいは賠償費用が増加した場合の感度分析というのもお示ししておりまして、例えば損害賠償費用あるいは廃炉費用が十兆円増加した場合、発電コストはキロワットアワー当たり〇・〇四円から〇・一一円増加するという結果を得ているところでございます。
    岡田委員 想定できないものを他電源と遜色ないコスト水準と軽々しく言わないでもらいたいということは申し上げておきたいと思います。
     最後に、時間が参りましたが、太陽光について、大臣も立地とか限界があるということを言われましたが、一方で、屋根置き型とか営農型についてポテンシャルがあるということも認めておられますよね。だから、そこにもっとしっかりとした助成を考えていきませんか。例えば、二〇三〇年に新築住宅の六割なんですよ、今、エネルギー基本計画では。だけれども、東京都は新築住宅に基本的には全部義務づけているじゃないですか。もっともっとそういったところについて政策的にやる余地があるというふうに私は思っておりますので、できないできないと頭から言わないで、しっかり可能性を探っていただきたいと思います。
     終わります。




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