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カブール陥落―何ともやるせない思い

 アフガニスタンの首都カブールが、タリバンに占拠されました。米軍撤退が決まってからこれだけ短期間に政府軍が敗れたことは驚きです。しかし、私のどこかに、「やっぱりそうだったか」という気持ちもあります。タリバンが支持を集めたというよりは、現政権が、各国の多大の支援がある中で、国民の支持を得られるだけの実績が残せなかったということでしょう。その背景には、根強い汚職体質の存在も否定できません。

 日本も、アフガニスタンの復興には強くコミットしてきました。2002年1月に東京でアフガニスタン復興支援会議を開催。国連事務総長や61か国の代表が集まる中、日本は共同議長として会議を主導しました。

 私も外相として、2度アフガニスタンを訪問。1回目は外相就任間もない2009年10月にカブールを訪れ、大統領や外相と会談しました。空港から大使館、そして大統領官邸へと、分厚い防弾チョッキを着て、装甲車のような車両で移動しました。日本が支援する職業訓練校で電気工事技術を学ぶ若者や、既存のビルを使い電気もない中で一生懸命学ぶ子供たちの姿はとても印象に残っています。2回目は2010年7月に開催されたカブール会議への出席です。国連事務総長や、米、仏、英、中国など、主要国の外相が集まりました。治安が悪化する中で、あえてカブールで主要国が集まることに意味がありました。

 民主党政権においては、紛争が続いているアフガニスタンに、自衛隊を派遣しないことを前提として、経済的支援をしっかりと行う方針で対応しました。和解、再統合に向けての支援、農村支援、カブール国際空港ターミナルや国内幹線道路の建設などに力点が置かれ、多額の国民の税金が投入されました。治安状況を改善するため、警察官の教育支援や給与の負担も行いました。2010年6月には、日本の主要なNGOが構成員であるジャパンプラットホーム(長(おさ)有紀枝代表)と外務省が、教育・保健分野や平和構築のために協力することを決定し、私と長さんで記者会見しました。アフガニスタンで活動実績を積み上げてきたNGOの力を借りて、草の根ベースの有効な支援を行うこととしたものです。

 しかし、アフガニスタンにおける政府の存在感がなかなか高まらず、タリバンが次第に支配地域を増やしてきました。2010年6月にカルザイ大統領が訪日された際にも、日本国民の税金が有効かつ正しく使われることが大切だと強調しました。はびこる汚職によって、各国の巨大な支援が有効に使われていないとの指摘がなされていました。

 巨額の支援と欧米各国の派遣した軍隊の人命が失われる中で、あっけなくタリバンが復活しました。テロの温床になるのではないか、地域の不安定化を招くのでは、そしてアフガニスタンの人々、とりわけ女性の権利が失われるのではないか、様々な懸念があります。

 ハイチで大きな地震がありました。モイーズ大統領が暗殺されたばかりです。外務大臣時代に巨大地震があり、日本も復興の為に支援し、自衛隊のPKO部隊も派遣を決定。各国の支援にもかかわらず政治は不安定なままです。アフガニスタン、ハイチのような汚職がはびこり、行政がきちんと機能していない国々に対する支援の在り方についてどうすべきか、いままで日本がやってきたことはどこまで意味があったのか、改めて考えさせられました。善良な市民のこれからの苦難を思うと、何ともやるせない思いです。



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