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米中外交トップ会談 ― 長く重要な話し合いの出発点

 アラスカで行われたブリンケン米国務長官と楊 潔篪(よう けつち)中国共産党政治局員との米中トップ会談、異例のスタートとなりました。ブリンケン長官とサリバン大統領補佐官の踏み込んだ挨拶に対して、楊氏が20分以上激しく反論。その後もメディアの前で双方の厳しいやり取りが続いたのです。

 10年前の外相時代、当時の楊外相と会談を重ねてきた私は、楊氏らしい反応だと思いました。外交儀礼にふさわしくない極めて感情的な反応を、私は2回経験しました。2010年5月の日中韓外相会議で、私の「中国が核能力を高めている」との指摘に対して、立ち上がって感情的に発言、同じく7月のARF(ASEAN地域フォーラム)での南シナ海をめぐるクリントン長官と私の発言に対する感情的な反発(私の著書「外交をひらく」の208頁と177頁参照)。当時私は、外交官出身の楊氏が本当に感情的になっているのではなく、本国向けにそうふるまっているのだと受け止めていました。今回も同じだと思います。

 トランプ大統領は、貿易の不均衡を問題視して圧力をかけ、中国と取引しようとしました。これに対してバイデン大統領は、中国を開かれた国際システム、民主主義的価値観への挑戦者であるとしており、より深刻・本質的な問題として捉えています。中国共産党の否定につながりかねない問題指摘であるだけに、中国も簡単には妥協できません。そのことが今回の会談冒頭での激しい反発となりました。米ソの対立、東西冷戦の時代を思わせるイデオロギーの対立の時代の再来を思わせます。
 ただし、先に発表された米国家安全保障戦略暫定指針の中で、「中国の行動が米国の利益・価値観の脅威となるとき、米国は中国の挑戦に対処する」と、全面的対立でないことを示唆する表現をしていることには注目しておくべきでしょう。また、「戦略的競争が米国の利益である時には、中国と共に働くことを排除しない」ともしています。かつてのソ連と異なり、経済的には相互依存の関係にある。この点が、東西冷戦時代とは全く異なるところです。加えて、中国の経済力が強まっている。このことが、事態をより複雑にしています。
 会談冒頭の双方の激しいやり取りのあと、何が話し合われたのか。二日間の日程で様々な課題について突っ込んだ議論がなされたはずです。会談終了後、ブリンケン長官は「幅広い分野で率直な意見交換ができた」、楊氏は「会談は率直かつ建設的で有益だった」と述べました。これからなされる米中両国の長い重要な話し合いのスタートです。
 
 日本にとっても、隣国中国は極めて重要な存在です。安全保障上の脅威であり、同時に経済的に強い相互依存の関係にあります。サリバン補佐官は「ワシントンに帰り、政策を検討し、今後の進め方について同盟国、友好国と協議する」と述べました。中国とどう向き合うか、日米間での調整が本格化します。そしてまず、日本自身が今後の日中関係をどう考えるのか、そのことが問われています。国会において、しっかりと議論していきたいと思います。



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