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核禁条約発効――日本政府は積極評価を

 核兵器禁止条約が1月22日発効します。同条約は、核兵器が国際人道法に反することを強調し、核兵器の開発・保有・使用などを違法として禁止するものです。
世論調査によると、国民の多くがこの条約に日本も加盟すべきとしています。しかし、同条約第1条は他国による核兵器の使用や保有を「援助、奨励、勧誘」してはならないとしており、米国の核の抑止力に依存する日本が、米国と核兵器をめぐり協議したり協力することは同条約違反となりかねません。日本が米国の核の傘から出ない限り、日本が同条約に加盟することは難しいのです。
 ロシア、中国、北朝鮮の核の脅威がある中で、日本は米国による核の抑止力によって自国の安全を確保しています。核を日本に対して使おうとすれば米国の核で報復される可能性があるということで、相手国の核攻撃を抑止しているという訳です。日本は米国の核の傘から出て、核禁条約に加盟すべきとの意見もありますが、私は周辺にいくつも核保有国が存在する以上、核による拡大抑止は日本の安全保障上必要なことであると考えています。いまの核禁条約に加盟することはできないのです。この点の認識は日本政府と変わりません。
 日本政府は、核禁条約が核保有国と非核国の対立をあおるとして、同条約に批判的です。確かに近年核保有国に対する批判が高まり、対立が激化する中でこの条約が生まれました。核禁条約の成立の原動力となったのは、国際政治上の様々な考え・思惑であることは否定できません。しかし、その最大のものはNPT(核不拡散条約)上、軍縮義務を課せられているにもかかわらず、米露中などの核保有国が、その義務を果たしていないことへの怒りであり、これは正当なものなのです。本来NPTは核兵器を持つことを禁ずる一方で、米露中英仏の5ヶ国には既得権として認めています。これは不公平なことですが、5ヶ国が核軍縮を確実に実現することでバランスをとっているのです。この義務が果たされなければ、核の拡散は止まりません。

 私は核廃絶を目指して核軍縮を推進することと核の傘のもとにあり、日本の安全を保障することは何ら矛盾しないと考えています。核兵器が使用されれば、あまりにも非人道的結末をもたらすもので、正当化できるものではありません。唯一の被爆国として日本がそれを最もよくわかっています。それだけに核の廃絶を目指して、あらゆる困難を乗り越えて核軍縮を着実に前に進めなければなりません。しかし、現実に核の脅威が存在する以上、核軍縮は交渉によって相互にバランスをとって行われなければなりません。一方的な核能力の削減はあり得ず、その間、核兵器が存在することで日本の安全を確保することが必要なのです。
 
 日本政府は核禁条約が、停滞していた核軍縮への動きを大きく高めたことを高く評価すべきです。中国や北朝鮮の核が脅威となる中、日本自身にとっても歓迎すべきことなのです。米国の核の傘の下で安全を確保しながら、米国も含めた核保有国の軍縮を、バランスをとりながら着実に進めていくことが日本の国益につながるのです。加盟はできないものの核禁条約加盟国の議論をより充実したものとするため、日本は今後加盟国の協議の場にオブザーバーとして参加すべきです。核軍縮を、バランスをとりながら確実に前に進めるために共闘すべきなのです。
 同時に同盟国米国に対し核の数と役割を減ずることを積極的に働きかけるべきです。トランプ大統領は核兵器の活用に積極的で、軍縮に否定的でした。核禁条約についても賛同しないよう同盟国に働きかけてきました。バイデン大統領が就任することで、核軍縮や非核条約に対する米国のスタンスも変化が期待できます。その動きを同盟国である日本が後押しをすべきです。これこそが、日本政府が言う「橋わたし」の役割を本当に果たすことになるのです。



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