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原発処理水海洋放出――検討すべき課題は残ったまま

東京電力福島第一原発からでる処理水の海洋放出の方針を政府が27日に決定すると一部メディアが報じました。
 処理水は、放射性物質の大部分は取り除かれていますが、トリチウムは残ったままです。これを薄めた上で放出するというものです。福島第一原発の敷地には処理水を貯蔵したタンクが林立し、このままでは廃炉作業に不可欠な燃料デブリの取り出し作業に支障が出るというのが、政府の説明です。
 しかし、様々な問題点が残り、これに納得のいく説明がないままのあまりにも急ぎすぎる決定は反対です。

 まず、安全性の問題について疑問が完全には解消されていません。政府は専門家会議で6年余り検討したもので、国際原子力機関(=IAEA)からも評価されているとしています。また既存の内外の原発もトリチウムを海洋放出しているから問題ないと説明しています。しかし、処理水の中にはトリチウム以外の放射性物質が残っているとの指摘(政府はほぼ取り除いたとしている)やトリチウム自体の安全性についても一部専門家から異論が述べられています。これらの点を科学的にきちんと説明することが必要です。

 安全性に問題がないとしても風評被害の問題があります。福島県の水産物を不安視する消費者が残念ながら残る中で、水産物の水揚げは事故前の約2割にとどまっています。少しずつ増やしてきたいままでの関係者の懸命な努力が失われてしまう可能性があります。また、いまだに福島に限らず日本の農水産物を輸入規制している国々もある中、その撤廃・緩和がより困難になる可能性もあります。実際の海洋放出は方針決定後2年先ということですが、原発事故後9年でいまだに風評被害に苦しんでいる現状をみると、この期間中に風評被害の問題を解決できるとは思えません。

 そもそもトリチウムは12,3年で半減するとされています。またいまの技術では除去が困難としても、将来的な技術開発の可能性も期待できるかもしれません。廃炉作業も本格化するにはまだまだ時間が必要です。これらを考えれば、新たなタンクの設置場所を敷地外に確保して、そこに中期的に保管することは本当にできないのでしょうか。いまより安全な形で保管する前提で周辺自治体と協議する余地はあると思います。
 これらの疑問にこたえることなく、海洋放出の方針が決まるとすれば、あまりにも拙速な決定で、政府の再考を求めたいと思います。立憲民主党東日本大震災復興本部(玄葉光一郎本部長)としても政府に申し入れを行う予定です。



コメント
  1. むろけん より:

    安全性に疑問が残ったまま処理水を海洋放出することは、福島県の漁業従事者を苦しめるだけではなく、国際的な信義を失うリスクがあると感じます。岡田先生のご指摘通り、本当に海洋放出を回避することができないのか、徹底して検討すべき場面だと思います。

    極めて個人的な意見ですが、そもそも原子力発電所を保有していることが安全保障上も大きなリスクだと考えています。核対策というとミサイル防衛ばかりが注目されますが、原発を稼働させていることで工作員による襲撃・破壊や不審船からのロケット弾の発射など、様々な脅威に備える必要があるはずです。総合的にみて原発はペイしないと考えざるを得ません。

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