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シリア空爆─疑問の残る米国の単独行動と曖昧な安倍総理の支持表明

シリアのアサド政権が、サリンなどの大量破壊兵器を使用したということで、アメリカがシリアの軍事基地を攻撃しました。

このことについて、日本政府も含めて、多くの国はトランプ政権の行ったことに支持を表明していますが、積極的に支持するべきだったかどうかということについては疑問が残ります。

国連安全保障理事会における議論は、ほとんどなされないままでした。安保理の決議が出る前に単独行動をとったということになると、従来はコソボの例はあるものの、あの時もアメリカ単独ではなく、NATO軍という形で、多くの国が参加をしての空爆でした。

今回は、攻撃が限定的とはいえ、アメリカの単独行動です。サリンガスを使ったと思われる映像は、とても悲惨で、アサド政権が行ったことは、もちろん許されることでありません。しかし、国際的ルールというものを無視したトランプ政権の行動には、大きな懸念を持ちます。

少なくとも、アサド政権が行ったということの説明、私も9割ぐらいの確率でアサド政権が行ったと思います。しかし、アサド政権は、今サリンを使えば、さらに国際社会から孤立するということが分かっているわけですから、本当にアサド政権が行ったかどうかについて、疑問が全くないわけではありません。アサド政権が行ったという明確な説明をアメリカは行うことができていません。

アメリカの国務省や国防省をはじめ、関係者がしっかり議論を行い、英知を集めて、その上での攻撃だったのか、疑問が残ります。トランプ大統領の独断に大きく影響された単独行動であったとすれば、これは今後に大きな懸念を残すことになります。

最後に、安倍総理は、「化学兵器の拡散と使用は絶対に許さないとの米国政府の決意を日本政府は支持する。これ以上の事態の深刻化を防ぐための措置と理解している」という言い方をしました。つまり、支持したのは「決意」であって、爆撃行為そのものは理解するにとどめた、注意深く聞けば、そう読み取れる声明でした。日本の国内には、攻撃そのものを支持したのではないという説明をしたいのだと思います。しかし、国際的な場では、アメリカの行動を支持すると受け取られかねない、極めて曖昧で、かつ、二枚舌的な表明ではなかったかと思っています。



コメント
  1. 楠本雄二 より:

    全くそのとおりだと思います。早く政権が変わってほしいです。民進党頑張って下さい。優しい日本にしてください。

  2. さんぴん茶 より:

    トランプ大統領はアサドには不干渉、親ロシアだと思っていましたが、突然の政策転換、しかも正反対の方向へ。
    わたくしは、アサドは大統領を退くべきだと思います。その後は人道上の罪を犯した者として、国際法廷で裁かれなくてはなりません。
    それだからこそ、今回の空爆は無条件支持とはゆかないのです。国際法に則っているのか、国連や関係国、とりわけロシアと事前に協議したのか、今後の作戦は、アサド後の体制は。疑問と不安ばかりです。安倍さんが今日本の総理大臣であることが、後々大きな災いをもたらすだろうという気がしてなりません。
    大きな恐れを抱きつつ見守っています。

  3. 西島 より:

    岡田さんの見解に全く同感です。大量破壊兵器のイラク戦争の例もあり、検証した合理的説明もなく、同盟国への事前協議もないままに決断をされては、世界の支持も得られないのでは。どのような収拾の展望を持っているのか。これに対して、いち早く賛成を表明する日本の首相とは。
    今は、政策の相違は当然のことであり、民進党を中核とした「より益政権」で、野党は現政権打倒で一致して選挙に臨むべきです。

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