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2015.05.18|記者会見

岡田克也代表定例記者会見(5月15日)

岡田克也代表記者会見
2015年5月15日(金)15時29分~15時58分
編集・発行/民主党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。

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■冒頭発言
〇安全保障法制に関する安倍総理の発言について

■質疑
〇安倍総理の米議会演説における発言について
〇党首討論について
〇PKO活動中における「駆けつけ警護」について
〇安全保障法制に関する民主党の考え方について
〇北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイル開発について
〇安全保障関連法案の国会審議について
〇安全保障法制に関する民主党の考え方について
〇「五・一五事件」の日に当たって/安全保障関連法案について
〇参議院の選挙制度改革について
〇安全保障法制をめぐる議論について

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■冒頭発言

〇安全保障法制に関する安倍総理の発言について

【代表】
 昨夜の安倍総理の記者会見、それから今日の本会議での答弁を聞い
ておりまして、気になるところを、幾つか申し上げます。
 まず、昨日の記者会見、例えば「厳格な歯止めを法律案の中にしっか
りと定めました」という中で、「私たちのためその任務に当たる米軍が攻
撃を受けても、私たちは日本自身への攻撃がなければ何もできない」と
おっしゃった。これなども私には全く理解できない。じゃあ何のために周
辺事態法があるのか。「米軍が攻撃を受けても、私たちは日本自身へ
の攻撃がなければ何もできない」と、周辺事態法は機能しないと、総理
自身が言われたとしか考えられない。
 それから「アメリカの戦争に巻き込まれるのではないか。(中略)そのよ
うなことは絶対にあり得ません」というのも、私には理解に苦しむところで
す。
 それから、「夏までに法案を成立させる」と総理がアメリカで述べられた
点です。総理はこの点について、5月12日の本会議でも述べられている
のですが、今日も同じことを繰り返しておられたのですが、「昨年来、記
者会見や国会答弁の中で、今通常国会で成立を図るということを繰り返
し申し上げてきた」と。成立を「図る」。それから「選挙において速やかに
整備することを公約した以上、選挙直後の今通常国会において、その実
現を図ることは当然のことである」と。ここも「図る」。このため、(米議会
での演説においても)「第3次安倍内閣の組閣に当たっての記者会見に
おいて(中略)平和安全法制は通常国会において成立を図る旨、はっき
りと申し上げております」「さらに、本年2月の衆議院の本会議において
(中略)二度にわたり、今国会において成立を図るということを申し上げ
ている」と。みんな「図る」と言っている。
 「図る」ということは、総理としてそういう意向であるという意味であって、
最終的にはそれは国会で決まること。そのための総理ないし内閣の考え
方、姿勢を示した、だからこそ「図る」という表現を注意深く使ってきたは
ずです。それをアメリカでは、「We will achieve this」、要するに「成
し遂げる」と、しかも「夏までに」と期限も切って言ったわけで、これは「図
る」とは本質的に違う言葉遣いです。そのことは誰もがわかっていること
だと思いますが、それを開き直ったように、しかし、役人が答弁を書くと
「図る」という言葉を入れざるを得なくなるが、総理は知ってか知らずか、
それを何度も繰り返し読んでいる。つまり全然議論はかみ合っていない、
答えになっていない。
 こういうところも含めて、もう少し丁寧に、そして誠実にご答弁いただく
こと。来週には党首討論もありますから、そう感じているところです。

■質疑

〇安倍総理の米議会演説における発言について

【フリーランス・宮崎記者】
 法案成立に関して、総理はアメリカ議会で「We will achieve this 
by this coming summer」と。「We」はおそらく日米同盟ということ
だと思うが、「will」は非常に大きい表現だと思う。その件に関して今日、
公明党の岡本議員の質問の中で、(岡本議員が)あの直後に訪米して
いたという話の中で、どうもガイドラインと演説に関して、アメリカ側との
理解が違うようなので、アメリカに問い合わせてみたらどうかという趣旨
の質問があった。この総理発言に関する整合性は来週の党首討論など
で聞いていくのか。

【代表】
 党首討論で何をやるかは申し上げませんが、先ほどの公明党の岡本
議員の話は、要するに食い違っているということは言っておられました。
 確かにガイドラインの中で、新3要件に当たるようなことは表現として
は出てきます。しかし、総理の演説にはそういうことは何も出てこない。
同盟の重要性とか、そのために踏み込んだことをやるんだ、今までとは
違うことをやるんだという趣旨のことは述べられているが、しかし、それ
は自国防衛のためだと。つまり3要件の第1要件についてや、あるいは
後方支援についても憲法上の制約、武力行使はしないのだとか、そうい
う話は全く演説の中に出てきません。あの演説だけ聞いた多くの議員は、
「これは普通の同盟国としての責任を果たしてくれるのだ」というふうに誤
解されるとしても不思議ではない。そういうことだと思います。岡本議員も
そういうことを非常に気にして質問されたと思います。
 誤解があるとすると、これはどこかで解いておかないと、いざという時
に「結局、こういうことで実はできないんです。法律もこういうふうになっ
ているんです」ということになり、リスクはより高まる。「やります」と言って、
「実はできません」という時のリスクも考えておかなければならないと思い
ます。

〇党首討論について

【テレビ朝日・小田川記者】
 来週、党首討論があるが、どういう話をするかは別にして、代表にとっ
て今回の党首討論は、どういう位置づけで考えているか伺いたい。

【代表】
 今回、代表就任以来、初めての党首討論ですが、国民の皆さんにわ
かりやすく議論したいと思います。具体的なこと、個別のことは、その後
の特別委員会が動き出せば、私も質問するつもりでおります。(党首討
論は)27分間という限られた時間ですから、大きなところでわかりやすく
議論していきたいと思います。
 総理には、昨日の記者会見をご覧になっていた皆さんはよくわかって
おられると思いますが、質問したことに対する答えは非常に長かったが、
ほとんど聞かれたことに答えていない。あの様な答弁だと非常にわかり
にくくなる。私も、わかりやすくストレートに質問しますので、それに対して
ストレートに答えてもらいたいと思います。

【朝日新聞・渡辺記者】
 QT(党首討論)の際、岡田さんが重点を置かれるのは、民主党の考
えを強く主張されるのか、もしくは総理の考え方、ここはこうだという指
摘型にされるのか、どうお考えになっているか。

【代表】
 両方です。

〇PKO活動中における「駆けつけ警護」について

【フリーランス・宮崎記者】
 優先度合いがどのくらいかわからないが、PKO協力法の改正条項で、
駆けつけ警護ができるということが入っている。束ね法案の中で、過去
10年間ずっと憲法との整合性で議論があった駆けつけ警護ができると、
今日、提出された法案に入っているようだ。この姿勢はどうお考えか。

【代表】
 政府案が、駆けつけ警護はできる、そして任務遂行のための武器使
用ができるという中身を含むものであるということは承知しております。
 わが党もいろいろ議論しましたが、わが党は武器使用についての考
え方は政府とは異なります。ただ、駆けつけ警護そのものを否定してい
るわけではありません。

〇安全保障法制に関する民主党の考え方について

【NHK・花岡記者】
 今回政府の出してきた法案に対して、民主党の見解はもうまとまって
いるかと思うが、それを法案の形にして対案として出す必要性について
代表はどうお考えか。

【代表】
 特別委員会の質疑は、まずは一渡り政府の考え方を質すところから
入っていくのだと思う。どういうことを考えているのか、法案の意味すると
ころは何なのかということをクリアにすることがまず重要だと思います。
 その上で、我々の考え方をどう扱っていくのか。これは他の野党もあり
ます。バラバラではなくて、なるべく考え方は一本にしていきたいという思
いもあります。
 そしてそういうことが整った時に、法案の形で出すのかどうか、全体を
見ながら判断していく問題。主としてそれは現場の判断。代表があまりど
うこう言う話ではないと思います。現場で戦いやすいように、わかりやすい
ようにするためにはどうしたらいいかを判断しながら決めていけばいいと
思います。

【毎日新聞・田所記者】
 これまで民主党は安保の中身の部分で、新3要件の歯止めのなさとか、
総理の挙げている事例が適切でないとか、幾つか問題点を指摘している
が、昨日の総理の会見を聞いて、中身の部分では特にどこが重大だとい
う感想を持たれたか

【代表】
 「中身」というのは、何の中身ですか。

【毎日新聞・田所記者】
 安保法制の中身の部分です。冒頭言ったのは総理の言い回しなどの部
分だったが、安保法制の問題点という中身のところ。

【代表】
 それは「言い回し」というか、最も本質的な部分だと私は思います。個々の
具体的な政府案の中身については、我々、既にまとめたものの中で述べて
いるとおりです。

〇北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイル開発について

【フリーランス・宮崎記者】
 北朝鮮が潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射に成功したと発表した。
また、韓国政府の分析によると、数年以内にSLBMを発射できる潜水艦を
北朝鮮は持つであろうと。この件に関してどうお考えになるか。

【代表】
 私は専門家ではないのでよくわかりません。日本政府としても何か具体的
なことをコメントしているわけではないと思います。
 それから、北朝鮮の言っていることが事実かどうかも、確認できませんので、
不確かなことを前提にコメントしないほうがいいと思います。潜水艦に搭載で
きるような核の小型化ができているかどうかも、全くわからない状態です。

〇安全保障関連法案の国会審議について

【読売新聞・前田記者】
 今日、午前中に安保関連法案の審議日程に関して、与野党の国会対策委
員長会談が行なわれた。早く審議入りしたいという与党側と、もうちょっと慎重
に、資料を読み込みたいとか、後の日程を主張する野党側で議論は平行とな
った。この審議入りのタイミングについてはどのようにお考えか。

【代表】
 それはまさしく与野党の国対委員長が議論されたわけですから、それを代表
が何かコメントするというのは避けるべきだと思います。高木義明国対委員長
の言われたとおりです。

【日本テレビ・中村記者】
 野党でも、次世代の党は今回の政府の法案に対して賛成だ、むしろ足りない、
もっと強くすればいいのではないかということで、野党といってもいろいろ考え方
が違っている。その考え方の差は埋めにくいと思うが、政府・与党と対峙してい
く上で他の野党とどう話し合いを進めていこうとお考えか。

【代表】
 現場レベル、つまり委員会の理事、ただし、野党でも委員会に席もない政党も
あります。それから国対委員長レベル、さまざまなレベルで、将来、場合によって
は幹事長、代表ということもあるかもしれません。意思疎通をはかり、共闘できる
部分、すべて共闘できるということにはならないかもしれません。この部分につい
ては共闘できるとか、そういう話になるかもしれません。最初から「賛成」と言って
いるところとは、共闘と言っても現実にはなかなか難しいが、その状況の中で最
善の態勢を組んでやっていくということだと思います。
 我々に次ぐ大きな野党は維新です。維新とはなるべく歩調が合うようにしたいと
思いますが、これもこれから現場でご努力されることになると思います。やってみ
ないとわからない部分がありますので、私の立場では、それ以上のことは申し上
げないでおきたいと思います。

〇安全保障法制に関する民主党の考え方について

【日本テレビ・中村記者】
 政府が出してきた安全保障法制の関連法案、民主党のこれまでの議論からす
ると当然これには反対の立場だと思うが、そこは現時点でどういうことになってい
るか。

【代表】
 これはちゃんと議論するということが先ですので、私があまり頭から賛否、賛成
ということはないですから、反対と言ってしまうと議論が深まらない可能性がありま
す。ですから、一渡り議論をきちんとすることをまず先行すべきではないかと思い
ます。

〇「五・一五事件」の日に当たって/安全保障関連法案について

【フリーランス・安積記者】
 83年前の本日は、犬養首相が暗殺された「五・一五事件」の日だ。この日に
この法案(安全保障関連法案)が提出されたことについての感想を伺いたい。

【代表】
 意図して(この日に法案提出を)いないと思いますので、コメントは控えたほうが
いいと思います。
 ただ、やはり平和憲法、わが国は70年間そのもとにあり、その考え方が根本
的に変わる、私はその可能性がかなりあると思っていますが、安倍総理自身もア
メリカで、安全保障政策の歴史的な転換と、「戦後、初めての大改革」と言いまし
たか、大きな変化であることは多くの人が、どういう立場であっても認識を持って
いる。それだけに、将来「あの時が大きなターニングポイントだった」ということに
ならないように、悔いのないしっかりした議論をしていきたいと思います。
○参議院の選挙制度改革について

【時事通信・大町記者】
 自民党はいわゆる合区を伴わない「6増6減」案を各党に提示するようだが、こ
の案についての評価と、代表が求めてきた自民党案というのが出てきたわけだが、
今後、民主党としてどう協議に臨むかを伺いたい。

【代表】
 昨日、郡司彰参議院議員会長も会見でお話しになったかと思います。我々の案
は既に提示しています。それはもともとは脇案、自民党の参議院幹事長であった
脇さんの出した案をベースにして、手を加えて、基本的に(一票の格差を)2倍以
内に収め、定数も削減するという条件を満たした案です。民主党としては、この
案は全く変える必要はないと思っていますので、引き続きこの案が採用される
ように各党にも働きかけていきたいと考えております。
 自民党は、三つぐらい案があると承知していますが、どの案を示すのか、私、
最終確認をしておりませんので、あまりそれを前提に言うつもりはありませんが
、どの案であるにしろ、2倍以内には収まらない。最初から「違憲状態」の可能性
の高い案であります。
 前回の選挙の前の法改正の中で「次はちゃんとやります」ということを書いたわ
けです。そしてその後、参議院幹事長だった脇さんが中心になって各党で話し合
ってきた。その脇さんが更迭され、脇案は撤回され、出てきたのは2倍を大きく超
えるような、最初から「違憲状態」と言われかねないような案だというのは、私は極
めて問題だと思います。
 もちろん参議院の中で議論していただいていることですので、これ以上言うことは
控えますが、しかし、安倍総理は施政方針演説の中で、これは衆議院を念頭に置
いたものだったかもしれませんが、選挙制度改革、定数是正には衆も参もありま
せんから、「皆さんやろうじゃないですか」と。自分たちはちゃんとやっているんだ、

野党ちゃんとやれ、みたいな非常に挑発的な物の言い方をされました。
 私はその後の代表質問で、参議院について、そのままお返ししたいと申し上げ
た。今もそういう気持ちです。総理の自民党総裁としての顔は全く見えません。そ
れから谷垣幹事長の会見録を見ていても、何か人ごとのような物の言い方です。
これは国会の信頼に関わる話です。下手したら本当に参議院選挙を来年やった
後、「違憲・無効」という判決が出かねない、そういう危機感を持って本来やってい
たはずです。しっかりと自民党も対応していただきたいと思います。

【時事通信・大町記者】
 今回、参議院の選挙制度改革について、民主党案の支持を党外にも広める必
要があるのではないかという観点と、議員一人ひとりの身分に関わることなので、
今回は党議拘束を外したらどうだという意見も出ているようだが、この点について
代表はどうお考えか。

【代表】
 昨日、郡司会長がその趣旨のことを(議員総会で)言われたと聞いていますが、
事前に説明は受けておりました。それだけの覚悟を持って民主党としてはやって
いるということです。

〇次期国政選挙に向けた対応について

【フリーランス・宮崎記者】
 今月をもって暫定総支部長の任期が来るが、前の任期では暫定総支部長の
任になかった方が衆議院解散後に公認されたケースもあった。今回、5月31日
の時点で暫定総支部長の地位が続く見込みがない方は、6月から就職活動した
いということも多いようだ。特に統一地方自治体選挙で結果が残せていないと本
人が感じているような総支部長は、6月からは仕事を探してもらうというお考えか。

【代表】
 前の選挙の前に暫定総支部長でなかった人が、ということではなく、前の選挙
の前は暫定総支部長という身分はなかった。総支部長でなかった人で、急遽総
支部長に任命して候補者になったというケースはあったと思います。
 今回は、とにかく統一地方自治体選挙が終わるまでは基本的にそのまま、本
人が拒否しない限りは、原則、暫定的に5月までは維持しますとして、統一地方
自治体選挙を戦いました。その5月末が近づいてきております。今、選挙対策委
員長のもとで個別にヒアリングしたり、状況を分析しております。したがって、あま
り時間を置かずに、特に問題の少ないところから総支部長に正式に任命してい
くという作業が、これから急ピッチで進んでいくと理解しています。
 参議院の候補者も、比例は産別の代表者の方を中心に既にかなり決まってお
りますが、選挙区の候補者についても、今まだ広島の柳田稔さんと秋田の松浦
大悟さんの2人ですが、現職の方を中心に速やかに公認を決めていきたいと考
えています。

【フリーランス・宮崎記者】
 時間を置かずにということだが、大体どのくらいのメドになるか。

【代表】
 それは個々、タイミングはズレが出ると思います。様々な判断をした上で、問
題なく総支部長に再任する方と、少し状況を見て判断するという場合と、両方あ
るのだと思います。
 ただ、前回はかなり全体に作業が遅れましたので、今回はできるものは速や
かに、総支部長に任命していく。そういう考え方でおります。

〇安全保障法制をめぐる議論について

【代表】
 それから先ほどの、安全保障法制の見直しの話ですが、考えてみると、私は平
成2年2月に初当選して、8月に湾岸戦争があって、あの時に国連平和協力法案
が出てきました。閣法でしたが、最終的には廃案になった。当時は私、自民党で
したが、先輩の先生方と話をしても、「これはだめだよな」という声が随分ありまし
た。外務省の中での局長答弁の問題なども出てきて、結局成就しなかったが、そ
こから始まって次はPKO法、連日連夜の徹夜審議があった。それからテロ特措
法は、私は(当時)政調会長で、(衆議院テロ対策特別委員会では)筆頭理事で
もあり、与党との交渉もやりました。
 (私は)この安全保障法制、これまで関連する法案に中心的に関わってきたも
のとして、その集大成的なものとして今回の法案、今までの積み上げを活かして、
しっかりとした、国民にわかりやすい議論をしていきたいと思います。




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