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2010.07.29|夕刊フジ

夕刊フジコラム「ズバリ直球」10年7月29日号

19日から26日朝まで、アフガニスタンとベトナム、ラオスを訪問してきた。
 
アフガニスタンでは、クリントン米国務長官やラブロフ露外相など主要国の外相らとともに、同国の復興支援などについて話し合った。いまだにタリバンとの激しい戦闘が続く中で、首都カブールで大規模な国際会議が開かれ、主要国外相らがカルザイ大統領を支持した意味は非常に大きい。同国国民にも勇気を与えるだろう。
 
日本としても、5年間で最大50億ドル規模の支援のうち、年内に約11億ドル分を実行すると表明した。世界中のテロの温床を断つためにも、わが国は紛争や内戦後の平和を定着させ、国家の再建に道筋をつける「平和構築」に積極的に関わっていくべきだ。日本国民の皆さんにもご理解いただけるよう努力したい。
 
ベトナムの首都ハノイでは、東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓3国(プラス3)の外相会議、ASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会議などが開かれた。ARFの焦点は、韓国哨戒艦撃沈事件を受けた北朝鮮問題と、南シナ海をめぐる領有権問題だった。
 
ARFの参加各国は、強弱こそあるものの、北朝鮮に対し「好戦的行動をやめるべき」などと発言していた。北朝鮮を擁護する意見はほとんどなかった。北朝鮮の朴宜春外相は黙って聞いていて、最後に反論文書を読み上げた。
 
南シナ海の領有権問題とは、南シナ海の南沙、西沙両諸島をめぐり、中国がフィリピンやベトナムなどと領有権を争っている問題だ。中国は「当事国同士で交渉すべきだ」という意見だが、私は「南シナ海が平和で自由に航行できることは重要だ。こういう場でこそ議論すべきだ」と主張した。この問題の関係国が中国に対して問題意識をはっきりさせたことは良かった。今後の建設的な議論を期待したい。
 
さて、すでに新聞などで報じられているが、新しい駐中国大使に伊藤忠商事の元社長・会長の丹羽宇一郎氏が決まった。私は以前から、大使は必ずしも外交官に限る必要はなく、適材適所で民間人も起用すべきだと考えていた。例えば、ルース駐日米大使は弁護士で外交の経験はないが、素晴らしい仕事をしている。
 
丹羽氏は、中国や米国の実情を良くご存じだし、危機に陥っていた伊藤忠商事を再建した手腕もある。私も長くお付き合いしているが、人間として、非常に立派な方だ。
 
大使就任の打診に対し、丹羽氏は「残された人生を国家・国民のために働きたいと考えていた」と快諾され、「多くの中国国民と直に接したい」など抱負を語られた。日中関係は極めて重要な2国間関係だ。丹羽氏が存分に力を発揮できるよう、外務省として最大限のバックアップをしていきたい。

(C) 夕刊フジ




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