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2010.07.15|夕刊フジ

夕刊フジコラム「ズバリ直球」10年7月15日号

参院選の結果は残念というしかない。投票1週間前の世論調査で、内閣支持率が急落していた。私は「この傾向が続けば、大変なことになりかねない」と思ったが、悪い予感が当たってしまった。特に、1人区で8勝21敗と大きく負け越した。6年前の参院選、私が民主党代表時代に初当選した人たちも落選した。無念で仕方がない。
 
ただ、党執行部の責任を問うべきだという声には、「それは違う」といいたい。

菅直人首相が就任する前の状況を思い返してほしい。あの時、「政治とカネ」の問題などで、民主党に対する国民の信頼は失われていた。あのまま参院選に突入していたら、もっと負けていただろう。ここまで戻した首相を評価すべきだ。

消費税発言が原因だという見方もある。本当にそうなのか。自民党は「10%に上げる」といい、民主党は「超党派で議論をしよう」と訴えたが、メディアでは菅内閣が消費税をすぐ上げるように取り上げられた。テレビのコメンテーターの発言などに問題はなかったか。

そもそも、昨年の衆院選で、民主党は「消費税の議論はするが、次期衆院選までは税率は引き上げない」

「その間、ムダ削減の努力を徹底する」「税率引き上げに踏み切る場合は、衆院選で信を問う」と訴えた。菅首相の発言はこれと変わっていない。選挙戦でも、有権者に真意が伝わっておらず、非常にもどかしい思いをした。一方で、多少の逆風でも勝ち抜けるだけの地力を、党も候補者もつけなければならないと思う。

参院選の最中、首相はカナダで開かれたG8、G20サミットに出席した。その合間には、日米、日中などの二国間会談も行い、そこには私も同席した。首相は落ち着いていて、堂々と振舞われていた。オバマ米大統領との首脳会談も良かった。外交はトップ同士の信頼関係が重要だ。日本は最近、毎年首相が代わっているが、これは国益を損ねる。絶対に避けるべきだ。

昨年の政権交代以降、私たちは「新しい政治」を目指して戦ってきた。1つは既得権との戦いであり、もう1つは、日本の政治を官僚任せから政治家主導に転換させる戦いだ。これを10カ月間で完成させるのは簡単ではない。最低3、4年は必要だ。参院選で示された民意は真摯に受け止めるが、あまりに短期間での評価だったとも思う。

与党で参院過半数を失ったことで、これからの国会運営はかなり厳しいものとなる。国会での議論に奇策も秘策もない。1つ1つの政策や法案について、野党に賛同していただけるよう、誠意をもって議論に臨むしかない。

(c) 夕刊フジ




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