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2005.01.01|マスコミ

明るい日本をつくるために

岡田克也(民主党代表)×古賀伸明(電機連合中央執行委員長)

官界から政界へ

古賀 新年おめでとうございます。本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。
さて、イラク問題をはじめ、政治とカネの問題、社会保障、災害復興対策、そして三位一体改革とさまざまな課題を抱える中での新年となりますが、まずは、人間・岡田克也さんを読者の方々に紹介するという意味でいくつかお聞きかせいただきたいと思います。

岡田さんは大学卒業後、官界に進まれ、その後に政界に転出されましたが、そのきっかけとは、どのようなことだったのでしょうか。
岡田 子どものときから政治家になりたいと望んでいて、そのために努力してきた人が多くいますが、私はまったく違います。私が政治家を志したのは社会人になってからです。

私は子どもの頃から公のために仕事がしたいという気持ちを強く持っていました。それで通産省に入り12年間官僚を務めていましたが、そのなかで、日本の政 治はこれで良いのかと強く思うようになりました。つまり、肝心なところで政治家の顔がまったく見えない。官僚も一生懸命職務を果たしていますけれど、国の 大きな方向性を決めるのは、やはり政治です。通産省時代にアメリカに留学して、本当に公のために働くのであれば政治家になる必要があると気付かされたので す。官界から政界に転進したきっかけとは、そういうことでした。

古賀 岡田さんはその時、自民党公認候補として立候補され、当選されましたね。そして、数年で自民党を離党した。何故、そんな行動をとられたのかお聞かせ下さい。

岡田 私は平成2年の総選挙で初当選しましたが、当時、政権与党は自民党で、野党の姿は政界では薄かった。政治家になって公のために働こうと思った時、自民党から立候補するというのは自然の選択だったと思います。

その時、私たち若手議員はリクルート事件の反省に立って、政治を変えると訴えて当選しました。そして自民党内では政治資金規正法の改正や選挙制度の改正 をめぐって、党を二分するような対立が起こりました。マスコミでは改革派か守旧派かというような色分けもなされました。私たちは後藤田正晴さん、伊東正義 さん、羽田孜さんたちと一緒に自民党改革に向けて努力しましたが、「これではダメだ。自民党は」と、はっきりわかりました。

その一番の理由は総裁の選び方です。その当時、自民党総裁というのはイコール日本国の総理だったわけですが、総裁になるために派閥の親分になって子分をた くさんつくる。そのために、裏金を含めてお金をいっぱい集める。当時、「塀の上を歩いて、うまく行けば総理大臣だが、悪く行けば刑務所行きだ」という悪い 冗談が飛び交っていました。一国の総理大臣が、金集めがうまいかどうかで決まるというのです。私は”冗談ではない”と思いました。”自民党にいては政治を 変えられない”と思い、3年半だけ自民党議員でしたが、宮沢内閣不信任案に賛成して自民党を離れました。

その後、迷ったことは一度もありません。自民党に代わって政権を担える政党をつくるために誠心誠意努力しています。それが私に与えられた使命だと思っています。

好きな言葉は「大器晩成」

古賀 プライベートなことを少しお聞きしたいのですが、趣味はDVDの鑑賞とお聞きしていますが、映画鑑賞ですか。

岡田 はい、映画鑑賞です。気分転換にはいいですね。地方に行った帰りの電車のなかでよく見ます。飛行機の場合は本が読めますが、電車は揺れがあって本が読めない。映画を見る絶好のチャンスですから、暇があればよく見ています。

古賀 もう一つ、カエルの置物を集めておられると……。

岡田 はい。海外に行った時、自分がその国にきた記念として、カエルの置物を買ってきます。カエルの置物は安いし、アジアのホテルでは大体売店においてありますからね。

古賀 昨年の参議院議員選挙では、カエルが民主党のキャラクターグッズになっていましたが、”日本を変える”と”カエル”をかけていたのでは・・・といううわさもたっていました。
ところで、お好きな言葉、座右の銘は。

岡田 私 は大器晩成という言葉が好きです。そのせいか私自身もゆっくりしすぎているという評を受けたりしますが、基本的にはあまりあわてず、急がす、しっかりと、 というのが私のポリシーです。ずっと野党にいて、私たちが絶対に実現しなければならない政権交代の日が来ることを信じて大器晩成を肝に銘じてきました。大 器晩成という言葉は、道程にあって自らを励ます言葉でもあります。自民党からあと、自分に言い聞かせてやってきました。

ただ、日本の政治を立て直すためには次の総選挙で政権交代を実現しなければなりませんので、大器晩成を封印して、しゃにむにやらなければならないと思っています。

古賀 そういう使命を自らに課されてプレッシャーはあると思うし、ストレスもたまると思いますが、その発散法としてどんなことを心掛けておられますか。

岡田 まあ休むことですね。映画を見たり、本を読んだり、ジムに行って運動したり……。ただ、私は基本的にはストレスがたまらないタイプです。 

国民一人一人が政治に参加するために

古賀 どっしりと構えていながら、好機にはここぞとばかりに攻めに転じる、そんな思いですね。しかし、そこで必要なのが、国民の目を如何に民主党へ向けさせるかということだと思います。
われわれ労働組合は政策・制度改革を運動課題の大きな柱として、それに連なる政治活動、選挙活動を行っています。最近、選挙のたびごとに低投票率が取り沙 汰されます。私たちも選挙の時には組合員に必ず投票所に足を運ぶよう訴えているのですが、投票率はなかなか上がらない。

国民が政治に関心をもち、一人一人が政治に参加していくという意識を持つためには政治をおもしろくさせなければならないと思います。日本国民の政治意識 を変え、国民が政治に参加する上で重要な投票率を上げるためには、政治は何をなすべきか、岡田さんのお考えをお聞かせください。

岡田 今、国民は政治のあり方に対して怒っていませんよね。静かです。諦めているという言い方ができるかもしれません。しかし、諦めていていいはずはない。

諦めているということは、逆の言い方をすると危機感が希薄で、何とかなるということだと思いますが、今、日本は何とかなるという状況ではない。国の財政 にしても、社会保障制度にしても、あるいはホームレス問題にしても、教育現場にしても、いろいろな場面で危機的な状況にある。
多くの国民は、今、大きなショックがきていませんからそういう事態に目をつむって、自分だけは何とかなると心の中で思っておられるのかもしれません。し かし、日本は真綿で首を絞められるような状況にきています。日本の選択の余地は確実に狭まっています。かつてアジアの国々であったような、いきなり外貨準 備が底をつき、金が流れなくなるような事態が起こるとは思いませんが、われわれが日本国民に日本の危機を伝えることに成功していないという思いは強くあり ます。

古賀 制度面で、たとえば有権者の年齢を18歳に引き下げるとか、投票方法を変えるということは考えておられませんか。

岡田 もちろん国民の政治意識を高めることが基本ですが、私たちは選挙年齢を18歳にすることをかねてから主張し、そのための法案を民主党はすでに上程しています。

これからの「日本のかたち」

古賀 今、 私たちを取り巻く環境は大きく変化しています。グローバル・ボーダレス化、IT社会の進展、少子高齢社会、また私たちと密接に関連する分野でいえば雇用構 造の変化や就業意識の多様化など、一方では地球環境保護や循環型社会の要請の高まりなど、かつて経験したことのない変化が押し寄せてきています。

このような状況の中で、一番重要なことは、「この国のかたち」をどうするのか、政治は大きなビジョンを描いて国民に示すことだと思います。

われわれ国民がこれからどのような社会に暮らすのか、よりわかりやすく言えば、私たちは今後どんな働き方、暮らし方をしなければならないのか、そのために 何を変えなければならないのか、そんな基本的なメッセージが政治から伝わってこない。小泉政権はブッシュ政権に従って市場原理万能主義を貫き、「強者劣 敗」の政治を行っています。

この政治のもとでは、強い者はより強くなり、弱い者は切り捨てられて、日本の社会は二極化がますます進行していきます。このことについて、岡田さんの考えをお聞かせください。

岡田 小 泉首相は口ではいろいろ言っていますが、小泉政治は、基本的には、従来の自民党政治と何ら変わらないと私は思っています。彼は何か新しいことをやっている わけではない。「自民党をぶっ壊す」といって総理・総裁になった小泉さんが、たとえ間違った方向に向けて走ったとしても、真に改革を志していたら、それは それでまだ救いがありました。しかし、現実は従来の自民党政治と何ら変わりません。持論の「三位一体改革」にしても、道路公団改革にしても、打ち出した当 時は大言壮語していましたが、できあがったものは、とても改革とは呼べないものになっています。

今の日本の社会、私の言葉を使えば、日本の社会を支えてきた中間層の厚みがなくなっている。これは、日本の政治の安定にとって大きな問題です。その解決のためには税制改革が不可欠です。

もう一つ、地方分権という非常に大きな課題があります。”中央がそうしろというから、私たちはこうせざるを得ない”ということでは地方分権は成り立ちま せん。そうではなくて、地方自らが自立型の地域経済モデルをつくらなければいけない。税源も地方自治体に移して、地方それぞれが自らの責任で自立を果た す。それが農業であったり、観光であったり、それはその地方の選択です。国はそれをバックアップする。そういうことで地方分権は成り立ちうると私は考えま す。そのことを頭に置いて制度改革を行いたいと思います。

明治政府以来の中央集権制がいまだに色濃く残っていることを私は強く感じます。つまり、国に何かをしてもらいたいと発想がある。そのような中央依存の発 想がある限り、この国は変わりません。地方が、自分たちのことは自分でやると決意し、その仕組みを制度的につくることが政治に求められていると思います。

古賀 こ れからの時代、「自律」「選択」「共生」「責任」などが、日本のキーワードになると私は思っているのですが、しかし、そのときには前提条件があって、機会 の平等、多様な選択肢とやり直しのきく人生・職業生活が実現されることであり、セーフティネットが社会的にしっかりと張られていなければならないと思いま す。この点についてはどうお考えですか。

岡田 私たちは「自由で公正な社会づくり」をモットーとして掲げていますが、「公正」というのはどういうことかというと、その一つは中間層の厚みを重視する社会を実現することです。

もう一つは「機会の平等」です。本当の意味での「機会の平等」があってこそ資源の有効活用になります。その典型が女性問題です。女性の能力が活かされない社会というのは、トータルとして大きな損失です。

教育における機会の平等も非常に重要です。そのためには、特に公立の小中学校における教育の立て直しも必要です。もう一つは、世代間の公平の確保です。次代を担う若者たちにあまりにも過重な負担を課していると思います。

それから、私は先日、大阪の釜が崎にも行きましたが、働く意欲を失っている人たちに対してどうして働く意欲を与えて、働くチャンスを与えるか――政治は大きな課題を負っていると思います。

雇用の安定が社会の安定の基盤

古賀 わ れわれの生活が安定する基盤とは雇用の安定です。そして、それが社会の安定にもつながっていきます。ところがグローバル化が進展するなかで、われわれ電機 産業でも組合員数がここ10年で22万人も減っています。それだけではなく、定職に就かないフリーターやニートの増加とか、あるいは少子・高齢化のなかで 中高齢の2007年問題に対して、民主党はどういう問題意識をもっているのか、雇用問題に対してどういう手を打つのか、岡田さんのお考えを聞かせてくださ い。

岡田 とくに電機産業の場合は海外との関係が非常に重要だと思います。グローバル化は止めようとしても止まらない時代の趨勢です。そういう現実のなかでどのように雇用の安定をはかっていくか、これが問題だと思います。

その際、一つには、一時の過度な海外依存の流れが変わってきたのではないでしょうか。いろいろなノウハウとか技術を守っていくために、先端的なものを中 心に国内に工場を立地しなければならないという流れが出てきていると思います。その意味では、今が一番きびしい時期なのかもしれません。

もう一つは、不安定雇用が増えてきているということは非常に重要な問題です。もちろん、いろいろな働き方があっていいと思いますが、しかし、国の制度が そういう不安定雇用に追いやるような仕組みになっている。たとえば社会保険の負担などについてはニュートラルにすべきだと思います。雇用問題は、長い目で 見れば、人口減少時代ですから深刻さは薄れていくかもしれませんが、外国人労働者のことを含めて、真剣に考えなければならないと思っています。

古賀 石炭から石油へのエネルギー革命の時は自動車産業や電機産業が雇用の受け皿になりました。今、他の先進国と同様、サービス経済に移行しているなかで、どこに雇用の核をつくっていくかという産業政策が、日本全体との問題として非常に重要ではないかと思うのです。

岡田 私 は通産省にいましたからよくわかるのですが、産業政策でうまくいった例はほとんどないという確信を持っています。つまり、国が手を出さなかったところ―― たとえばエレクトロニクス産業や自動車産業――はうまくいったけれど、国が手を出したところ――たとえばエネルギー産業や基礎素材型産業――はうまくいか なかった。そこは両論あると思いますが、国の産業政策に頼るのは危険があると思います。

もう一つに、多様な働き方というなかで、たとえばNPOで行動することによって自らの生き甲斐を求めていくというように、給与水準に重きをおかない方が かなりいらっしゃると思うんですね。そのような従来の企業の枠にとらわれない形で雇用の場をつくっていくことを私たちは考えなければならないと思います。 少子・高齢社会のなかで実は雇用の場はたくさんありますので、それを具現化していくのが政治の役割だと思っています。

古賀 少子・高齢社会では、性別、年齢に関係なく、それぞれの立場で社会参画し、全員で支えあう社会を創っていかなければならないと思います。そのための前提条件をつくるために、ぜひ頑張ってください。

岡田 個人差はありますけれど、今、80歳ぐらいまでは何らかの活動はできますよね。その力を国のために発揮してもらうような国づくりをしたいと思います。

身近な政策と地方組織の強化が急務

古賀 電 機連合はもちろん労働組合・連合は、生活者、働く者、タックスペイヤー、消費者の立場から「おっ、これだ」という政策づくりを民主党に求めています。もう 一つには、われわれ電機連合の組合員は全国各地にいますが、これらの組合員を政権交代に向けて奮い立たせるためには、民主党の地方組織の強化が必至条件で はないかと思います。

岡田 おっ しゃるとおりです。民主党が政権奪取を果たすためには、地方での草の根の足腰を強くしなければならない。ただその際、私は、率直に申し上げますが、民主党 は共産党や公明党のような上位下達のピラミッド型の政党になってはならないと思っています。それでは国民の意思を反映した政権はつくれない。個々の議員が それぞれの地域でしっかりと根を張ることが重要です。

古賀 ネットワーク型の組織を草の根からつくりあげることが必要だということですね。

岡田 そのとおりです。しっかりと民主党議員を支えてもらうネットワークを地方につくりあげることが必要です。そのためには日常の粘り強い政治活動が不可欠です。この点で欠けているところがあると思います。これが一つです。

もう一つは、地方議員が圧倒的に不足していることです。次の統一地方選では、空白区をなくすことと三人以上区で複数立候補を原則として、女性とか無党派の人たちを候補者として立てて、地方自治体に新しい血を入れていきたいと思っています。

それから第三に、身近な政策ということでは、今の民主党をつくったとき、枝野さん、川端さん、私の3人で3日間かけて民主党の基本政策づくりの土台をつ くりました。その時、私が一番気に入ったフレーズは、「民主党は生活者、納税者、消費者の立場に立つ」ということでした。

これまでの政治は財政とか金融とか外交とか骨格の話にどうしても中心がいきがちで、国民にとって身近な問題に対して配慮が欠けていた。参院選における勝 因の一つは、私たちが、年金とか平和という国民が身近に感じるテーマを争点にできたことがあると思います。この点については私たちは具体案をすでに準備し ていますので、それを国民の皆さんにいかに伝えるかが重要だと思っています。
日本の外交路線をめぐって

古賀 今、 日本は国際舞台のなかで大きな岐路に立っていると私は思います。つまり、日米関係は大切にしなければなりませんが、今の小泉政権の日米関係一本槍路線だけ でいいのか。国際社会の中での日本の新たな役割・責任が問われていますし、アジアのなかの日本という立場も、非常に重要な位置付けとなっていると思うので すが、いかがですか。

岡田 小 泉政権は無批判的にブッシュ政権を支持し、日米関係一本足で立っています。もちろん日米同盟は大切ですが、と同時に、懐の深いアジア外交が非常に重要だと 思います。懐が深いという意味は、近隣諸国である中国、韓国はもちろん、ASEAN、インドなどとの重層的な関係です。

今、極端なことを言えば、日米関係の枠内でしかアジア外交を語れなくなっている。その典型が日中関係です。日中関係の現状はきわめて深刻です。民主党政 権になれば、もちろん日米同盟が前提ですが、同時に日中をはじめ、アジア諸国との関係を重視していく外交路線に変わります。

もう一つは、やはり国としての志が非常に重要です。今、たとえば病気や飢え、あるいは戦争で苦しんでいるのが人類の大半です。そういった問題に対して、 同じ人間として最低限の責任は果たしていく。これは同じ人間として必要なことですし、日本外交の一つの志だと思っています。そういう外交路線を正面に出し ていきたいと思っています。

政権奪取に向けて

古賀 03年の衆院選、04年の参院選の結果は、私たちが念願としていた政権交代が視野に入ってきたと思います。新年にあたり、政権奪取に向けて、岡田代表の決意のほどをお聞かせください。

岡田 「視野に入った」というより、次の総選挙では絶対に政権をとるということです。そのことを私たちは思い定めています。私の責任で政権交代を実現することを私自身は決意していますし、民主党はそのためにしっかりまとまっています。

これから民主党にとって必要なことは、これは私が代表就任時に申し上げたことですが、第一に、民主党は国民から信頼される政党にならなければならない。 自民党政治がもうダメだということは多くの国民がわかっています。ただ、自民党に代わって民主党にまかせて良いのかという不安感があることは事実です。私 は「透明性」という言葉をキーワードにして、政権奪取に向けて21世紀型の新しい政党をつくっていきたいと思っています。

第二に、政権奪取のためには総選挙に勝たなければなりません。300の小選挙区すべてにおいて今年3月までに立候補者を確定したいと思っていますが、今 のところ非常にいい人材が手を挙げており、そのめどは立っています。併せて3年後の参院選にも勝つための準備をしていかなければなりません。

第三は、これは最も重要なことですが、民主党が政権の座についた時に何をやるかという「政策メニュー」を国民の皆さんにはっきり示すことです。民主党は 先の総選挙・参議院選挙でマニフェストを発表しましたが、これはまだまだ不十分だったという反省があります。民主党としての国民に対する公約をより明確に して、次の総選挙に臨んでいきたいと思います。そこで私は、国民の視点に立って7つの政策目標を示しました。

第1は、本当の民主主義国家を創るということです。政治の強いリーダーシップは国民の政治への信頼があることが前提です。政治家が正当性を持って選ばれる こと、そして政治資金の透明性確保の実現がとても重要なことです。第2は、自由で公正な社会を実現するということです。実質的な機会平等の確保のための公 立小中学校教育の改革や中間層の厚みを重視する政策、そして次の世代が希望を持てるための政策が必要です。第3は、持続可能な社会保障制度を確立するとい うことです。とりわけ、少子高齢化社会を前提とした年金制度改革と医療制度の抜本改革が必要です。第4は、効率的で満足度の高い地域社会を実現するという ことです。そのためには国からの財源・税源の地方への徹底移譲は当然ですが、特に基礎自治体である市町村が自分の責任で・判断で地域の運営にあたることの できる仕組みが重要です。第5は、日本経済の活力を最大化するということです。政府の介入を最小限にし、市場における競争を重視した政策の徹底が必要で す。第6は、財政の立て直しに道筋をつけるということです。長期債務残高720兆円は自民党政治最大の負の遺産です。プライマリーバランス黒字化定着のた めの説得力ある具体的なプランが必要です。第7は、世界に最も貢献する日本外交を創造するということです。世界の平和の創造に最も熱心で、かつ率先して貢 献する日本10年後の外交・安全保障政策の目標として、具体的政策を展開することが必要です。以上の政策目標をたたき台として、マニフェストにつなげてい きます。

とにかく大事なのは、これからの1年間です。2004年9月に新体制が発足して、これまでは非常に順調にきています。

生活者の視点で日本再生

古賀 最後に、電機連合への期待、あるいは組合員に対する期待を語ってください。組合員というのは生活者であり、国民であり、市民ですから、その人たちに一言、メッセージをいただければありがたいと思います。

岡田 私 が組合員の皆さんと基本的な信頼関係をつくったのは、今から10年前、三重県の知事選で北川正恭さんを担ぎ出したときです。あのときは電機連合のなかも必 ずしも一本化されていなかったのですが、信念をもって改革派の北川さんを推してくれた人たちがいました。あのとき北川さんは僅差の勝利でしたから、私はい までもそのおかげで北川さんは当選したと思い感謝しています。

この国を何とかしなければいけない、国民の幸せのために何とかしなければいけないという共通の思いのなかで、政権を代え、そして政治を変え、国民の手に 政治を取り戻そうとしている民主党に対してご理解をいただき、ともに働いていただければ大変ありがたいと思います。組合員の皆さんは結局は一人一人が生活 者ですから、民主党と共通の基盤があると思っています。

古賀 どうもありがとうございました。政権交代へ向けて、ぜひ全力をあげて下さい。私たち電機連合もしっかりと支援します。




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