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2003.10.21|マスコミ

民主党と自由党が合併。新・民主党はどう動くか・・

民主党と自由党が合併。新・民主党はどう動くか・・

日本でも二大政党による政権交代は、実現するのか――。民主党と自由党が合併し、国会議員数も204人となり、与党・自由民主党とほぼ対抗できる勢力となった。マニフェスト(政権公約)で、国民の支持をどれだけ取りつけられるか。

「政権を取ったら局長以上の官僚からいったん辞表を提出させる」

地方は公共事業に頼らず自立・自助で

―― 民主党は国民に向けたマニフェスト(政権公約)を公表していますが、次期総選挙に向けてどういう手直しをしていきますか。

岡田 既に原案を発表していますが、これからも公示日まで、いろいろな人の意見、経済団体、あるいは自治体関係者、そういう方々の意見も聞いて改善していきます。

―― 民主党が政権を取った場合は、中央省庁の局長以上から一旦辞表を預かるということもマニフェストの1つとして検討しているそうですね。

岡田 ええ。本来、局長や次官人事は大臣が行うものです。ところが、この国では不思議なことに、ほとんど大臣には人事権が自主的にはないというのが現実です。政権交代がなされたとき、民主党の理念やマニフェストに賛同し、行政官として努力すると約束する人は、そのまま続けてもらいますが、そうでない方は、辞めていただくのは当然ではないでしょうか。

―― では、民主党が目指す国家像とは?

岡田 自民党政治は実は官僚依存政治で、それを族議員が更に悪くねじ曲げています。われわれは政治が主導して、国民から選ばれた政治家がこの国を担っていく、そういう国の形を考えています。政治家が国の基本方針を決め、具体的な実施はわれわれの基本方針の下で官僚にやらせるということです。

もう1つは、地方分権にプライオリティを高く置いています。小泉さんも三位一体の改革とか、言葉はいろいろおっしゃいますが、現実にはほとんど進んでいない。われわれは既に具体的なプランを示しており、財源も権限も、思い切った分権を進めていく。

―― 上場企業は増益基調になりましたが、中小企業や地方の経済は総じて悪い。経済の現状に関して岡田さんはどういう認識を持っていますか。

岡田 地方経済が疲弊しているのは、国の公共事業に依存して地方が自立性をなくしている。ここが大きな原因です。公共事業に頼らないモデルを、ほとんどの地方においてつくりえてないということだと思います。

ただ、そのときに、また国が新しいモデルを示して、これを一律に全国にやるというと、過ちを繰り返すことになるでしょう。権限、財源を移した上で自己責任で地方がそれぞれの特色を生かして街づくり、あるいは産業を興す。そういうことを考えもらうことが基本です。

高速道路無料化で産業を活性化する

―― しかし新しいモデルをつくるまでは、苦境が続きますね。その間は多少我慢してもらうことになりますか。

岡田 分権して権限も財源もいきますから、その中でどう使うかは、それぞれの地方の判断です。「目の前のことが大事だから、目の前の痛みを和らげるために資金を使おう」と考えるのか、将来に投資するのか。それも自治体の重要な投資の判断です。それはいろいろあっていいのではないでしょうか。

―― 民主党のいまのマニフェストでは、2004年度中に経済再生5カ年プランを作成し、失業率を4%前半にもっていくということですが、具体的な政策手段は何を使いますか。

岡田 まず重要なことは消費の拡大で、具体的な話でいえば、1つは、住宅・自動車などのローン利子控除制度の創設。借金して買った人に対して利子控除する。アメリカは基本的にそういう政策をとっています。

高速道路の無料化も、別に高速道路を利用する人だけがメリットを受けるのではなく、物流コストを低減することで産業の活性化にも資する。地方にいることが不利ということがより緩和されます。

―― 「3年以内の無料化」というのは可能ですか。

岡田 具体的に積算もつくって出しています。できます。本来、高速道路が有料の国は例外なのです。また、規制改革が重要で、事業規制原則撤廃の基本方針などを定めた基本法をつくることも平成17年中に国会に出すという約束をしています。また、中小企業向けの金融という意味では、金融検査マニュアルを大企業向けと中小企業向けで変えるということも提案しています。

あとは税金の使い方を徹底的に変える。まず大規模な公共事業を削減する。基本的には国直轄公共事業の1割、3000億円を削減する。次に、補助金18兆円を一括交付金に変えますから、事務費が減ります。これで2000億円。そのほか特殊法人への支出減で4000億円など、トータルで1兆4000億円の歳出を削減し、これをより生活に密着し雇用創出効果の高い歳出に振り向ける。予算の規模は変えません。われわれはきちんと財源の裏付けをもって主張しています。

基礎年金部分は税方式で

―― 年金制度をどうするかも大きな課題です。

岡田 はい。年金については、政府は財務省案と厚生労働省案と2案出してきて、おそらく自民党としても具体案が出てこないですね。選挙の大きな争点ですから、きちんと出すべきだと思いますが、そういう意味では自民党から本来の意味でのマニフェストそのものの全体も出てこない可能性が高いです。だから何も変わっていないと思います。

われわれの年金制度改革の大きな特徴は、1つは国民年金と厚生年金、2階建ての年金制度に一本化することです。自営業の方も含めて1つの制度にしてしまいます。1階部分は、基本的には税。2階部分については所得比例の税または保険料で賄っていきます。

―― これによって国民の負担はどう変わりますか。

岡田 やがて高齢化率が横ばいになって成熟期になり、その段階において保険料を一定にする。ですから年金の額は、状況に応じて多少は変わります。

―― つまり、減るということですか。

岡田 減ることも増えることもあります。保険料で固定するスウェーデン方式を採用します。その範囲で年金を払っていく。いまの基礎年金的なものは税金で全部賄います。

―― 当然、消費税を引き上げることになりますね。

岡田 ここは、いっぺんに全額税までいくわけじゃありません。これは次の選挙まで4年間の約束です。4年の間に消費税ということにはならない。そもそも年金制度改革で最も重要なことは長期にわたり安定的な制度ができるかどうかで、われわれの提案の狙いはそこのにあります。給付水準とそれに対応する負担の問題は、その次の問題で、この点については、与野党を超えた協議会をつくって論議すればよいと考えています。

―― いまの経済環境をデフレと認識していますか。

岡田 物価が下がっているという意味ではデフレです。それはいろいろな要因がある。もちろん中国はじめ海外から安いものが入ってきていることもあるでしょう。

あるいは高度成長期には、製造業が努力して卸売物価がほぼ横ばいであるにもかかわらず、消費者物価がどんどん上がるという現象が続いていました。それがもう1回再調整されているというふうにも考えられますから、そういう部分のデフレは、むしろいいことで、そこ自身を問題にすべきではないと思います。ただ供給過剰で叩き合いになって、みんな採算がとれない。デフレのそこの部分は問題です。

政府の介入が市場の信頼感を損ねている

―― では、資産デフレは重大な問題だと考えますか。

岡田 資産デフレは重要な問題ですが、どちらかと言うと経済停滞の結果であって、経済再生なくして株、土地などの資産デフレは止まらないと思います。

―― 約1万500円という株価水準をどう見ますか。

岡田 株に関していえば、政府のすべきことは、マーケットの信頼感を高めることです。たとえば株価が下がると、すぐ年金で買えとか郵貯で買えということで、本来の需給関係を無視したような介入で政権が株を抑えるというやり方が、株式市場に対して信頼感を失わせ、そのために個人投資家が逃げていると思います。もちろん、株式に投資しやすい税制改正は必要であり、民主党はその主張をしています。

―― 民主党は旧自由党から旧社会党までイデオロギーの違う人たちが集まっています。安全保障政策は統一できますか。

岡田 民主党の安全保障政策は、4年前に基本政策を決めていますから、基本的に終わっています。有事法制も全員一致で賛成しました。

―― イラクへの自衛隊派遣問題が喫緊の課題ですが、どう対処しますか。

岡田 いまのイラク復興支援法に、われわれは反対しました。米英軍は一種の占領軍ですが、占領軍に対する支援の形で自衛隊を出すことには反対です。将来国連で多国籍軍派遣の決議が明確になされた場合、どうするかというのは、次元の違う話です。憲法の枠内であれば、われわれは一概に否定するものではありません。これはこれからの議論です。




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