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2001.12.11|その他

2002年の政治経済の枠組み

麻生先生に、民主党をお褒めいただいたのか、それとも最近の新人はいいけれどもその前はだめだと言われたのかよくわからなかったのですが、私の方は麻生先生のように大局的なお話はできないので、少し具体的なお話をさせていただこうと思っています。

 まず経済、景気の現状ですが、これは私の地元も含めて各地を歩き、きわめて厳しい状況にあると認識しています。しかしこれは従来から構造改革が遅れて、低成長であった上に循環的な不況が重なって現状になっている。こう認識しています。政治はこういう状態を放置すべきではなく一定の役割を果たすべきだと感じています。しかし、だからといってよく言われるフレーズですが、従来型の公共事業を中心にした財政出動によって一時的な景気浮揚対策をやっても、ほとんど意味がないだろうと考えています。したがってそういうものは基本的にやるべきではないという考え方です。

 考えてみると、今、金融面でも財政面でもできることは、非常に限られていると思います。金融面ではゼロ金利政策ということで、量的な緩和もなされているし、できることはほとんどないという状況だと思います。財政面でも、これだけの660兆を超える借り入れ、国債の発行ですから、これ以上増やした場合の金利の上昇、国債の暴落ということは常に念頭に置いておかなければいけないと思っています。先程、麻生先生の方から借金が増えてもそれに伴う資産があればいいというお話もあったかと思いますが、しかし本当に借金に見合うだけの資産が増えているのかどうかということです。むしろ不良債権を公共事業の名の下に作り続けてきた10年ではなかったかと、もちろんすべてがそうだというつもりはありませんが、本四架橋に代表されるような後々まで負担を残すような公共事業もずいぶんあるということは言わざるをえないだろうと思っています。

 過去10年間、いろいろ言われながら構造改革を先送りし、既得権を守ってきた結果としての現在の状況、つまり金融政策の面でも財政政策の面でもほとんど打つ手がないという追い込まれた状況になっているということですから、まずそのことの反省から始まらないと、そして責任をとるべき者はきちんと責任をとる、私にいわせるとそれは現在の与党だということになるわけですが、そこから始まらないと、結局、同じことの繰り返しになるであろうと思っています。

 さて基本的に、それでは現在の経済の状況の中でどう考えていくべきかですが、非常に抽象的な言い方になりますが、私は国ができることは非常に限られているという前提でまずスタートするべきだと思っています。これはどこの国でも基本的にはそうだと思いますが、特に経団連加盟の大企業の中にも、景気が悪くなるとすぐに国に景気対策という声が出ることに、私自身は違和感を持ちます。零細な中小企業が金融面で、あるいはいろいろな面で国に対して対策をというのはわかりますが、基本的には、企業は自らの力の中で利益を上げ、社会に貢献をしていくべきだと思っています。国ができるとすれば、企業が活発に活動できるように条件を整備していくということであり、基本的には規制改革などをやりながら競争を促進していく。その結果より効率の高い新しい企業が生まれてくる、あるいは大きくなっていくということをまず基軸に考えるべきではないかと考えています。

 それで国が何をすべきかといえば、やはり将来に対する不安を取り除いていくということです。例えば財政の面でもプライマリー・バランスを政府の方は10年で達成すると言っているようですが、10年でいいのか、あるいはもう少し短い期間でそのバランスを達成することを目指していくのか、あるいは年金・医療など非常に国民生活に密着したものが、将来、持続可能であることをきちんと示すこと、そういったことに国がもっともっと力を入れていかなくてはいけない。現在の雇用状況を見ると、失業を減らすということは基本的には経済の再生なくしてはありえないと思いますが、失業した方に対する、例えば失業給付の切れた人であるとか、あるいは廃業した自営業者に対するより大きなセーフティネットを構築していく、そういうことが政府としてやるべきことではないかと感じているところです。

 そこであらかじめいただいていた論点に基づいて、少し具体論だけ、お話を申し上げたいと思います。まずペイオフの解禁の話があります。民主党は、ペイオフの解禁については予定どおり実行すべきだと考えています。1?2年の先送り論があり、逆に伺いたいわけですが、延期することで何が変わるのかということです。もうすでにスケジュールが示されて、5年前に解禁を決めて、いったんは延期をしたわけです。さらに延期をするということで事態がどう変わるのか。さらに例えば1年ないし2年延期をすれば、また1年、2年後に同じような延期の議論が出てくるということであって、結局それは永久に解禁できないということになるのだろうと思います。すでに金融機関の中でもほとんどの金融機関は解禁を前提に、いろいろな準備を進めてこられているはずですから、解禁を前提に努力してこられたところと、何らかの延期がなされるだろうということで、それを怠ったところがあって、結局怠ったところが得をするというという考え方は、アンフェアだと思います。そういう意味で、永遠の先送りにならないようにきちんと予定どおり解禁をすべきであると考えていますし、それをしなければ日本の金融マーケットに対する信頼は地に落ちると考えています。

 不良債権の処理ですが、これは3年前の参議院選挙後の金融国会で大議論になったところです。あそこで民主党が主張したことは、資産査定を厳格に行ってそして十分な引き当てをする。その結果、過小資本になれば公的資本を注入してもいい。ただしそのときには、経営者の責任を問うことと、リストラをしっかりやってもらう。こういうことで法案も準備したわけです。これは自民党の中でも、石原さんや塩崎さんはこの考え方に賛同してくれたと思うのですが、結果的には法律にはなりませんでした。そしてより甘くした法案が通り、責任を問うことなく、きわめて不十分な資産査定の下に資本注入が行われて今日に至っているということです。

 最近になって、特別検査をやったり、不良債権の処理が十分でないという議論が高まっていますが、我々に言わせると、どうしてそれを3年前にきちんとやらなかったのか。3年の期間を無駄に過ごしたことになっているではないかということです。先送りの罪は非常に重いと考えています。

 今後、公的資本の注入についてどう考えるかですが、ご案内のように現行法でも、金融システム危機になれば、資本注入するという仕組みはあります。ただ我々に言わせると、あの法案ももう少しきちんと責任を明確にすべきだと考えています。問題は個別行に対して資本注入をするのかどうかということです。

 ここはよく民主党も聞かれるところですが、基本的にまず政府の方が不良債権はそれほどないのだということを公式にはいまだに言っておられるので、「ない」と言っているものに、我々が「ある」と言って税金をつぎ込むのはおかしい感じがしますが、もしそういうことが必要になればこれは法律を作ってでも、そして先程、申し上げたように責任の明確化、そしてさらなるリストラということを前提に、資本注入をすることは必要な場合があると考えています。ただ、それだけをいうとそこだけが報道されて、いろいろその前の前提として私が言ったことが省略されてしまうので慎重に言いたいと思いますが、必要があればそういうことも考えなければいけない事態だろうと考えています。

 それから特殊法人についてどう考えるかという論点もいただいています。これは議論の中で出てくるかもしれません。したがって簡単に申し上げておきたいと思います。

 小泉さんを拝見していて、まず結論を言われます。その結論として「特殊法人の場合には、すべての特殊法人を廃止するか民営化する」とおっしゃったわけです。それは非常にわかりやすいので、国民の耳にもすっと入って、さすが小泉さんということで支持率も高まるわけですが、現実はそういう状況になっていないということです。やはりまじめな議論をするのであれば、それぞれの特殊法人についてその果たしている役割を評価する。プラスマイナスきちんと評価したうえで廃止するか民営化するか、あるいは独立法人その他のかたちで残すかを判断するべきだと思います。

 本来、民間でできないものがあるから特殊法人という形態があるわけですから、逆に言うと、従来の前提は民営化できなければ廃止だとすると全部なくなりますから、廃止ではなくて、国が関与してやらなければいけないものがあるという前提で議論をしてきたわけで、それが全部ないと言い切ってしまうのはやや乱暴だと思います。一つ一つ中身を、きちんと精査すべきだと考えています。

 そういう中で、道路公団は政府・与党の方ではすでに結論が出ていることのようですが、私は毎年3000億円の税金を投入することをやめたということは、率直に評価したいと思っています。ただ、それ以外のことは、事実上はほとんど何も決まっていないと言っていいかと思います。第三者機関を作るということになっていますが、これは八条機関ですからそれも法律を作ってやらないといけないということのようです。

 法律をこれから作るとなりますと、予算非関連ですから、おそらく来年の5月か6月くらいに法律が出てきて、成立することになると思います。そしてそこから第三者機関のメンバーを選び、議論を始めるということですと、結論が出るのはどんなに早くても来年の今ごろ、場合によっては再来年の春かもしれない。つまりその間、高速道路の問題は「先送りされた」と言うべきだと思います。

 私は前国会で政府の方が第三者機関の法案を出してくれば、すぐにでも審議する用意があると申し上げたのですが、残念ながらそういうことにはなりませんでした。これから1年ないし、1年半先送りされる中で、そのときにはもう総理大臣の名前も変わっているかもしれないというのが、道路族と言われる人たちの目指しているところではないかと思われてくるわけです。基本的に、道路公団の場合は借り入れで道路を作るということです。そして50年間でこれを全部返し終えるということですが、税金で作る道路であれば、その年その年の負担の中で作っていくわけですから、私はむしろそちらの方であればそう目くじらをたてないで、その年の納税者が損をするわけですから、まだ許されると思います。しかし借り入れてやるということは、50年先に失敗をすれば、税金投入をして穴埋めをしなければいけないということですから、次ないし次の次の世代に対してツケを残していくことになるわけです。

 なにせ先程の国債の発行残高だけでも大変なものがありますが、それに加えて年金の負担、あるいは今回の道路の負担、これだけいろいろなものを次の世代に残していいのだろうかという気がします。そういう意味で個別路線の採算性を見て、採算のとれるものに限って、この借り入れ方式でやるべきだと、そう思っています。そして採算がとれるかどうかは第三者機関でしっかり見るべきだと考えています。特殊法人問題においてこの辺のところは第三者機関が個別採算を見るのか、それとも役所が見るのかということも含めて、きわめて不透明であると言わざるをえないと思います。

 住宅金融公庫についてもすでに結論がある程度出ているわけですが、基本的には私は毎年毎年5000億円の税金を、中堅、あるいは中低所得層のマイホームのために投入すべき話なのかどうかというところを、きちんと議論しなければいけないと思います。特に先程言ったような50兆の税収で80兆使っているという中で、例えば政府のように10年後にプライマリー・バランスをバランスさせるということになると、おそらくその時点で15兆以上の歳出をカットしないと、あるいは歳入を増やさないとバランスしないことになります。そういう目で見たときに、5000億も住宅を持つために税金を使わなければならないかとなると、私はおそらくそれはノーだろうと思っています。そういう意味で、住宅金融公庫については所得税が払えないような所得の低い方に対して、税政策も通用しませんから、そこに限って何らかの助成をすることはありえても、おそらくそれは所得でいうと年間400万以下くらいの方が家を買う場合の助成ということになり、今の住宅金融公庫の融資規模からすると現在の2割くらいに規模を縮小したようなものなら、あるいはありうるのかと思います。現在の全体の住宅融資の3?4割を住宅金融公庫がしているという姿は、きわめて異常な姿ではないかと思っています。銀行にとっても個人ローンと並んで非常に有望な将来のマーケットですから、その大半を国が奪ってしまっていることも大変に問題があると考えています。

 特殊法人では空港の話もこれからかなりにぎわすと思うのですが、関空と中部と成田を1つにするという意見が政府の中にもあるようですが、私は基本的にそれは大きな問題があると考えています。それぞれ別に論ずるべき話だと思いますが、特に関空を見ていて、ここは経団連ですから、経済界はどうして関空を放置しておくのかという気がしてなりません。与党の幹事長には関西の方が多いということもあって、関空の2期工事にはかなり熱心のようですが、とても採算がとれない。前提が大きく変わっているときに、当然のように2期工事をすることは大変理解しがたいことです。しかも神戸もある。そこの調整もなされていない。また伊丹があります。伊丹をもし関空に統合すれば、それは国内のハブとしても役割は上がるわけですから、それなりの採算性の向上には貢献すると思いますが。伊丹はなくす方向だと関空のスタートのときには聞いていたような気がしますが、その話もどこかに消えてしまっている。そしてひたすら国に対して助成を求める姿は、私には理解しがたいところです。

 あと来年度の税制・財政の話ですが、まず30兆円の枠という話があります。この30兆円の枠は、二次補正をすることで事実上すでに反故になっていると思います。二次補正というのは今年度の二次補正ですが、ある意味では来年度の予算の先食いをしているわけですから、それが形式的に来年度30兆円に収まったとしても、実質的にはその約束は反故になっているということではないかと思います。おそらくそれでも足りずに、今回の二次補正のように、何らかの隠れ借金の方式で歳入増を図るのではないかと予想をしているところです。

 歳出についてですが、例えば医療制度についてこれから年末にかけて、大きな議論があると思います。小泉総理は「三方一両損」とわかりやすくおっしゃいますが、三方一両損の前にやるべきことが基本的にあると思っています。それは30兆の医療費を効率化することでいかにして減らすかということです。まずそれをしたうえで、負担をいかにして分担していくかという話です。その30兆をいかに効率化することによって減らすかという、そこの構造改革が全く欠落しているのが、今回の医療制度の改革ではないかと思っています。

 最後に税だけ申し上げておきますと、いろいろな議論がこれから政府の中であると思いますが、私ども基本的に制度の面で、まず納税者番号制の導入、これは導入したから景気が冷えるわけではありませんので、それを今の時期にしっかりやるべきである。もう一つは年末調整と確定申告の選択制を導入する。そういう中で納税者の意識を高めていくことが大事ではないかと考えています。

 では減税として何を考えているかですが、例えばNPOに対する税制、これは事実上ほとんど機能していませんので、もっと使いやすいものにしていく必要がある。もう一つは、やや視点が違いますが、ローンの利子に対する控除制度を考えたらどうか。これは景気対策の観点でも非常に意味のあることではないか。ちょうど我々から上くらいの世代だと思いますが、バブルのときに大きな借金をして、高い住宅を買っている人たちがいらっしゃいます。そこに対して何らかの対策を考えていくべきではないかということです。




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