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1999.04.26|国会会議録

145回 衆議院 日米防衛協力のための指針に関する特別委員会

岡田委員 民主党の岡田克也です。

総理にお聞きしたいと思います。

今回のこの審議、大変重要な法案でありますから、長時間の審議ということでやってまいりました。先ほど、九十三時間を超える審議時間を確保したというお話がございました。それはそのとおりだろうと思います。

しかし、実質的な審議は三時間だということもまた申し上げなければなりません。つまり、実際には、政府の案、与党の案というものが出てきて、そしてそれを審議するのが国会の場であります。しかし、今回の場合は、いろいろな経緯はあるにしろ、与党の間の議論が煮詰まらずに、そしてそれがようやく煮詰まったのは一昨日、そして国会においてその与党の案をもとにして議論ができるのはきょう一日、三時間だけだ、こういうことになっているわけでございます。

したがって、九十三時間という時間を誇ってみたところで実質審議は三時間だ、そういう考え方もできるわけでありまして、なぜこれだけ与党の間の協議というものが時間がかかったのか。総理は自民党総裁でもありますから、当然そのことについて責任がある立場でございます。これだけおくれてしまったということ、そして国会での審議が本当に限定されて形骸化されたということについて、総理としての御見解をお聞かせいただきたいと思います。

小渕内閣総理大臣 九十三時間か三時間かというお話でございますが、私はこの委員会の総括質疑にも出席をいたしておりまして、以降、それぞれ外務大臣あるいは防衛庁長官ほか出席をいたしましての御審議が、申し上げたように百時間になんなんとする御審議をいただいておったということについては、これはこの問題の重要性にかんがみまして、私は国会として大変精力的にお取り組みいただいたことだと思っております。

そこで、私は、そうしたことを集約した形で最終的法案が国会での採決を得るに至ります間、長い間の御審議を総括的に検討し、そして問題点の所在を明らかにし、そして与党同士の話し合いを進められて、そして今日こういうことに相なっておると考えておりますので、このガイドライン法案をめぐりましての特別委員会の御審議以降熱心な御審議をいただいた結果、そして与党たる自民党と自由党との真剣な話し合いの中で修正案を取りまとめてこられたということにつきましては、政府としては、原案を提出したものではありますけれども、国会がしかるべく対応した結果であると考えて、私は今日の三時間のみをもって審議のすべてではないというふうに考えておりまして、当初以来のこの国会における御審議に深い敬意と、そしてまた、それを深く受けとめながら、これが成立をするということに相なりますれば、当然のことながら、国会の御意思を承りまして誠実にこれを実行していくというのが政府の立場だ、このように認識をいたしております。

岡田委員 法案全体については、もちろんこの九十三時間の議論というのは意味があったと思いますけれども、例えば、これから順次質問してまいりますが、船舶検査活動を削除したこと、これは突然出てきた話であります。それから、周辺事態の定義を変えるということ、国会承認についても修正がなされております。そういうものについての国会での審議はきょう一日しかないということも事実でございます。

今総理は、政府としてはという言い方をされました。確かに総理としてはそういう言い方になると思いますが、総理は同時に自民党総裁でもあります。つまり、二つの与党のうちの一つのトップでありますし、しかも圧倒的に大きな存在でありましたから、自民党総裁として小渕総理がリーダーシップを発揮され、そしてもう少し早いタイミングで与党の中の調整をすべきではなかったのか。本来であれば、閣議を経ますから、与党の中で一つの閣議を経て出された法案について意見が違うということはあり得ない話であります。それが今回はタイミングの問題でたまたまそういうことになったわけでありますけれども、それは正常な話ではございません。

したがって、そのことについて、自民党総裁としてもっと努力をされて早く与党の意見をまとめられ、そして国会でもっと実のある議論ができるようにすべきではなかったか、こう思いますが、総理はなぜそういったことについてリーダーシップを発揮されなかったのか、お聞きしたいと思います。

小渕内閣総理大臣 議院内閣制におきまして政府を担当させていただいている立場でございますが、ここでのお尋ねは、総理としてどう考えるかということについて御答弁を申し上げる立場でございますが、確かに、自由民主党の総裁として、今日この問題について与党としての責任を負っているということではございますが、しかるべき政策担当者も含め、この問題については、申し上げましたように、こうした国会での長時間にわたっての熱心な御審議というものを背景にしながら、やはり与党同士の話し合いを進めていくことは必要なことでございます。

その結果、自由党、自民党両党が最終的に、この御質疑の中でも、自民党と自由党と必ずしも意見がすべて当初から一致をして――共同して、根本的には法案として提出をされておりますけれども、個々それぞれの議員の方々の貴重な御意見というものにおいては相当のそれぞれお考えの差異もございまして、そうした審議を通じながら両党間において修正をまとめ上げていかなければならないということでありまして、そのことをもっと総裁としてスピードアップさせるようにリーダーシップを発揮されと、こう申されますけれども、これはやはり政党としてそれぞれ両党が、両党としてまた熱心な党内手続も経なければなりませんので、そうした審議が行われた結果、最終的に、自民党と自由党との修正の諸点についておまとめをいただきまして、各党にお諮りをしてきたという経緯でございますので、政府側におる者といたしまして、あえてこのことについて制肘をしたりあるいは一つの方向性を定めることよりも、それぞれの自主性にお任せをいたしたというのが今日までの経緯だ、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。

岡田委員 与党同士で議論をするその自主性を重んじたということでありますが、その結果として、何回も言いますが、この国会での審議が非常に形骸化してしまった。これは、私は、議会政治に対する大きな汚点を残したということになる、そのことを先ほどから聞いているわけでありますが、答えがございませんので次に行きたいと思います。ただ、このことは本当に残念なことだと私は思っております。

公明党の提案者に一言お聞きしたいと思います。

この法案の審議につきましては、与党の間でいろいろ議論が進んできたわけでありますが、同時に、並行して与野党の協議、その場合、与党が意見が一致しておりませんでしたので、政府案を提出した自民党と、そしてこの法案について頭から反対ということで明確にしておられる共産党、社民党を除いた、つまり自民党と公明党、民主党との協議というものを続けてまいりました。そこには山崎委員長もお入りいただいて審議をしてきたわけでありますが、その中で、昨日のことでありますけれども、一方で公明党とそれから自民党、自由党の間で幹事長間の合意をされて、一方で委員長も入られた審議といいますか検討、協議が進む中で、それと全く違うものが出てきた、これは私どもはどういうことなんだろうかというふうに非常に戸惑ってしまうわけであります。

与野党のいろいろな話し合いというものを私は否定するわけではありませんが、委員長まで入られて、そして議論している、そういう、委員会ではないけれども、それに準ずる場での理事を中心とした議論というものに対して、いわば幹事長や国対委員長が中心になって議論をするというのは、これはあしき国対政治の復活じゃないか、こういう議論もございます。

それから、我々から見れば、きちんと公明党さんも入れて議論をしていたにもかかわらず、こういうことになったことについて、戸惑いを覚えるわけでありますが、公明党の提案者として、そのことについて、公明党のお考えを聞かせていただきたいと思います。

佐藤(茂)委員 岡田委員の御質問にお答えをいたします。

私自身は修正協議の担当者ではございませんでしたけれども、我が党は、基本的に、どの場で内容が議論されたにしろ、基本的な価値判断としては、国民のためにどういう修正内容がいいのか、そのことを、例えば政党間協議であれ、また委員会の理事間の協議の中であれ、貫き通してきたつもりでございまして、どちらで最終的に結論が出たにしろ、今回私どもは、この法案の内容に対しての修正内容が、すべてではないけれども大きく反映された、そういう判断から、この修正内容でいいのではなかったのか、そのように判断をいたしまして修正案に賛成をした次第でございます。

岡田委員 私は、野党が議会を中心に議論をしていくという姿勢を捨てれば、それはやはり野党としての大変な間違いじゃないか、そういうふうに個人的には思っております。そこはそれぞれの党のお考えがあることですから、これ以上申し上げません。

そこで、委員長にお聞きしたいと思います。

委員長にも随分御苦労いただきました。そのことは私どもも感謝申し上げたいと思います。

しかし、私は、委員長もやや意外だったんじゃないかと思うのですけれども、こういう形で三党間の合意ができたということについて、委員長、何か御感想があれば一言お伺いしておきたいと思います。

山崎委員長 お答えいたします。

私が自公民三党の修正協議に入りましたのは、昨日だけでございます。

昨日は、本日の最終締めくくり総括審議を控えまして、もう時間的限界があると考えまして、あえて修正協議に委員長でありながら参加をさせていただきました次第でございます。自民、自由両党からの修正提案が金曜日に行われておりまして、それを受けまして、各党において持ち帰って協議をしているという状況でございました。

公明党におかれまして、特に第一条と船舶検査にかかわる条項につきまして、修正案に問題なしとしないというお立場でありまして、自自公三党間で別途本件についての修正協議が進められておりますことは、理事者間の協議の場でも御紹介申し上げ、お互いにそのことも踏まえまして、同時並行的に論議を進めてまいりましたわけでございます。

その時間の経過の関係で、民主党が御結論をなさる前にその両点に関する決着がつきまして、船舶検査にかかわる条項についてはこれを削除するということで、三党は合意されましたわけでございます。

そういう一連の経過で今日に至ったわけでございまして、同時決着でございませんでしたことは、できるだけ幅広い合意を得たいとする私の立場といたしましては遺憾な点もございましたが、万やむを得ないことであったと御了解を願いたいと存じます。

岡田委員 それでは、次に参ります。

船舶検査であります。

今回の三党の案では、船舶検査が削除されたということでございます。この法案における船舶検査というのは、非常に位置づけは大きいものがあると私は思います。第四条の第一項、「基本計画」に定めるその措置ということで四つ書いてございますが、その四つというのは、「後方地域支援」と「後方地域捜索救助活動」、「船舶検査活動」、そしてそれ以外の「関係行政機関が後方地域支援として実施する措置であって特に内閣が関与することにより総合的かつ効果的に実施する必要があるもの」、この四つのうちの一つがこの法案から削除されてしまった。抜け落ちてしまったということは、この法案そのものはできたけれども、しかし、そのうちの四分の一はできなかった、こういうことでありますから、非常に大きい修正、削除である、私はこういうふうに思うわけでございます。

総理にお聞きしたいと思いますが、最終的にこの三党案が出てきて、そして、政府としてもこの船舶検査について削除するということについて同意を、総理は自民党総裁としても総理としても削除について同意をされた、こういうことでありますが、削除されるに当たって、いろいろ迷いとか逡巡とか、そういうものはなかったのでしょうか。削除に同意をされたその理由といいますか、それをお聞かせいただきたいと思います。

小渕内閣総理大臣 本委員会におきましても、私、お尋ねに対しまして、原案をもって政府としての考え方をすべて取りまとめたものでありましたので、これが願わくば無修正で通過することをこいねがっておりましたが、政党政治といいますか、特に国会の御審議を通じまして、今日修正案が提案をされてまいりました。

その中身とするところにおきまして、今、船舶検査行動に対しましてこれが削除されるということになることの御提案でございまして、そういった意味で、この原案から考えれば、重要なこの点について、法律としてこれが当初首肯できないということになるわけでございますが、ただ、三党間でぎりぎり協議をされました結果、今国会にも別途新たな法案成立を図るとの前提で削除されたものと理解をいたしておりますので、今後三会派の間で協議を進め、新たな法案が今国会会期中にも提出される運びとなるものと理解をいたしておるところでございます。

岡田委員 自由党の提案者にお聞きします。

この船舶検査活動を削除した、つまり三党間で合意ができなかった理由の一つとして、国連安保理の決議の位置づけの問題があったというふうに理解をしております。私は、自由党の御主張を必ずしもよく理解できないわけでありますが、この国連安保理決議をこの法律に書く、つまり国連安保理決議がある場合に船舶検査をする、もちろんそれ以外に旗国の同意がある場合には船舶検査活動をするということは私はいいと思いますけれども、国連決議がある場合に船舶検査活動をするということを法案に書くことについて、それに対してもし自由党がノー、こう言われたとすれば、その理由をお聞かせいただきたいと思います。

東(祥)委員 岡田克也議員の質問にお答えさせていただきます。

この周辺事態確保法案の中核的なその考え方、これを我が自由党といたしましては、当然、その日米安保体制の強化、また日米安保体制の実効性を担保する上での法案である、このように位置づけております。そういう視点から考えますと、この中身を見ていくうちに、船舶検査活動のところだけ国際連合の、とりわけ安保理の決議というものが出てきている、したがって、本来、日米の防衛協力の視点から考えたときに、あくまでも安保理がここに出てくるのはそもそもおかしいと。もちろん船舶検査活動を旗国主義に基づいて無差別的に行えるためには、また、国連憲章四十一条に基づく経済制裁を実効性あらしめるためのこの四十一条が出ない限り基本的に実効性ある船舶検査活動はできないということも承知した上で、あくまでも日米安保体制を強化していく、日米安保体制の実効性を担保していく、その方針に従うとするならば、ここに安全保障理事会の決議がぽんと出てくる、それはそもそも論理的にそぐわないのではないのかということで、一貫して安保理決議、これを除く必要がある、このように申し上げてまいりました。また、安保理決議を除いたとしても、安保理決議が出ることによって船舶検査活動が行われることにはならない、そういう理解の仕方で削除を求めておりました。

岡田委員 今の御説明を聞きますと、実質的には余り開きはない、ただ、国連安保理決議という用語そのものをこの法案に書くことに対してノーだ、こういうふうに受け取れるわけですが、例えば日米防衛協力のための指針の中にも、ここの部分について、「経済制裁の実効性を確保するための活動」という中に、国連安保理決議に基づく船舶の検査に際しての協力が含まれる、こう書いてありますね。

そうすると、法案に国連安保理決議というものを書くべきでないという御主張であれば、この日米防衛協力のための指針そのものを変更しろ、こういう御主張ですか。

東(祥)委員 あくまでも日米安保体制の強化。別の角度からいいますと、一九五四年に自衛隊法、自衛隊というのができる、一九六〇年に日米安保条約ができる。日米安保条約でちゃんと書かれているとおり、日本として主体的に行うものとしては米軍への基地提供しかない。今回初めて大幅な便宜供与拡大という形でもって種々の活動が明記されてきた。

その中で、その延長線上で考えていった場合、あくまでも安保理決議というものを前面に出してくるとするならば、これはあくまでもグローバルな国際連合の中で、安保理決議に基づく国際社会の平和と秩序に対してどのように日本がかかわっていくのか、そういう文脈でとらえるべきものであり、あくまでも防衛協力というその中身の中にぽこっと国連決議が出てきている、そもそもそこに大きな論理的な問題点を私たちは指摘しておりました。そういう流れの中でとらえている考え方であります。

岡田委員 私は、結局、余り実質的には変わってないと思うんですけれども、自由党さんのかねてからの御主張である国連の集団的安全保障といいますか、そういう考え方、基本的考え方に基づく御主張ではないか、そういうふうに思うわけであります。

そうだといたしますと、自由党の御主張、私の理解するところでは、国連の決議があれば、最初は武力行使そのものもと言っておられたと思いますが、あるいはそこまでいかなくても、それに近いものまで踏み込んで日本は協力すべきである、こういうお考えだと思います。

しかし、憲法解釈については政府は変えない、こうおっしゃって、そして自由党のお考えそのものについても、先般、官房長官がこの場で、予算委員会だったかもしれませんが、読み上げられたその政府の考え方を読みましても、そういう自由党のお考えはとっておられないというふうに私どもは理解をしております。

そうだとすると、ここの船舶検査のところについては、いわばドグマとドグマのぶつかり合いみたいな、基本的考え方と基本的考え方の違い、中身というよりは考え方の違いで合意できなかったということでありますから、この国会中に総理は新しい法案ができるだろう、こうおっしゃいましたが、とてもできるように思えないわけでございます。

総理、本当にそういうことで自信おありですか、この国会で法案ができる。

小渕内閣総理大臣 今般、修正に至る間、三会派で十分御議論をいただいて、こうした船舶検査行動につきましてはこれを除外したということでございますので、この船舶検査そのものの必要性については、私はこれは認識をされておられるのだと思っておりますので、そうした観点からも、これから三党会派で十分御審議をいただきながら、新たなる立法について、これがそうした運びになることを、政府といたしましては、原案を提出いたした中にそのことが盛られておるわけでございますので、そのことを強く期待をいたしてまいりたいと思っております。

岡田委員 期待というお言葉を使われましたが、この日米ガイドラインを実効性あらしめるための法律を早急に整備しなければいけないというのは、これは我々もそう思っておりますし、政府も同じ考え方だろうと思います。そして、そのうちの重要な部分の三分の一が抜け落ちてしまったということでありますから、もし、今総理がおっしゃったようにこの国会でそこの部分について合意がされ、新たな法案が出てこないということになりますと、これはとんでもないことだということになるわけでありまして、そのことを申し上げておきたいと思います。もしそういうものが出てこないということになりますと、私は、総理としてのリーダーシップが問われる、こういう事態になるということでございます。

それでは、次に参ります。周辺事態の定義の問題であります。

周辺事態の定義を議論していく中で、これも与党間でいろいろ話し合いをする中で、私は、集団的自衛権の問題というのが一つ出てきたと思います。

そこで、自由党の提案者にお聞きしたいのですけれども、政府は集団的自衛権については、これは国として自衛権そのものは持っているけれども、しかしそれを行使することは憲法九条が禁じている、こういう解釈であります。自由党は同じ考え方ですか、それとも違う考え方なんでしょうか。

東(祥)委員 自由党におきましては、岡田克也議員御案内のとおり、新進党時代から、安全保障に関する基本的な考え方ということで三つの原則を確立いたしました。今御下問の点に関しては第一番目の問題でございまして、あくまでも私たちは、個別であろうがあるいは集団であろうが、自衛権の名のもとに、我が国が武力攻撃を受けない限りにおいて武力行使をしない、こういう定義をいたしております。

それで、今御下問の集団的自衛権の行使に関して認めるのか認めないのかということに関しては、自由党内における議論、まだそれ自体を取り上げた形でもって行っておりません。したがって、その点に関しての結論はまだ出ていない。したがって、現段階においては、政府が解釈している視点において私たちの考え方を置いている、このようにとらえてよろしいかと思います。

岡田委員 ちょっと忘れないうちに防衛庁長官に、私どもが要求しておりました周辺事態における我が国の情報提供と集団的自衛権の関係について、御見解をおまとめいただいていると思いますので、それをお聞きしておきたいと思います。

野呂田国務大臣 日米安保体制下において、日米が平素から軍事情報を含め相互に必要な情報交換を行うことは、当然のことであります。このことは、周辺事態においても何ら変わるものではございません。このような一般的な情報交換の一環として米軍への情報提供をすることは、実力の行使に当たらず、憲法第九条との関係で何ら問題を生ずるおそれはないと考えております。このことは累次申し上げてきたところであります。

したがって、自衛隊がその任務を遂行するために行う情報収集活動により得られた情報を、一般的な情報交換の一環として米軍へ提供することは、憲法上の問題はないと考えます。これも先般申し上げたところでありますが、例えば、特定の国の武力行使を直接支援することのみを目的として、ある目標に方位何度何分、角度何度で撃てというような行為を行うことについては、憲法上問題を生ずる可能性があると考えているところであります。現実にこのような情報を私どもが米軍に提供することは、全く考えておりません。

岡田委員 それでは自由党にちょっと、たびたびで恐縮ですけれども、お聞きしたいと思います。

先ほど大野提案者の方から、第一条の修正に関する御発言がございました。そして、今回の第一条目的のところに新たにつけ加えた、つまり「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等」というふうに加えたことは、先ほどの大野委員の発言をそのまま繰り返せば、実質的には変更は全くありません、こういうことでございました。そういう解釈でよろしいですか。

東(祥)委員 よろしいと思います。

私どもは、周辺事態の定義というものをもうちょっと明確に、わかりやすくさせる必要がある。何度も何度も申し上げているとおり、大幅な米軍に対しての便宜供与が促される以上、国民に対してよりわかりやすく定義をする必要がある。その内容に関して、私どもは、今委員が申し上げてくださったとおりの部分をつけ加えさせていただいたということで、定義それ自体の意味、それ自体が変更されていないという大野委員のお話で正しいと思います。

岡田委員 今までのこの委員会における自由党の御発言やらテレビその他での御発言と、果たして今の答弁が同じものなのかどうかというのは、それは調べてみればいいことですから、ここでは特に申し上げませんが、このためにたくさんの時間を使ってしまった、その結果がこれなのかな、若干そんな感じがいたします。

政府の方にちょっとお聞きしますけれども、ACSAの中に周辺事態についての定義が今回出てくるわけでございますが、ACSAの定義についても、法案を変えるのであれば同じように修正しなければいけないんじゃないか、こういうふうに思うわけですが、ACSAの方は従来の定義をそのまま残して、修正案の中ですけれども法案の方は変えるというのは、いかなる理由に基づくものなのか。

ACSAの中では、今回の改正案の第二条で、「「周辺事態」とは、日本国の周辺の地域における日本国の平和及び安全に重要な影響を与える事態をいう。」こう書いてあるわけで、ここも同じように例示を入れるべきだというのが普通の考え方だと思いますが、いかがなんでしょう。

高村国務大臣 修正により周辺事態の定義自体が変わるわけではなく、またその実質的内容が変更されるわけでもないわけであります。したがって、当然のことながら、ACSA改正協定における周辺事態の定義を修正する必要はなく、またそのようなことは考えていないということでございます。

岡田委員 何のために延々と修正協議をしてきたのかな、そういう感じがいたします。

では次に、国会承認に参りますが、この国会承認の中で、新しく、自衛隊の後方地域支援と後方地域捜索救助活動について国会の承認ということになったわけでありますが、これと基本計画との関係というのは一体どうなっているんだろうか。

今度の修正案では、基本計画に定められた自衛隊の部隊等が実施する後方地域支援、後方地域捜索救助活動について、内閣総理大臣はこれらの対応措置の実施前に、これらの対応装置というのは基本計画に定められた自衛隊の例えば後方地域支援ということだと思うんですね、その実施前に、これらの対応措置を実施することについて国会の承認を得なければいけない。

つまり、これは単に抽象的な自衛隊の後方地域支援ということではなくて、基本計画というものを前提にした自衛隊の活動だ、こういうふうに考えるわけです。したがって、国会において承認をする場合にも、そういった基本計画までさかのぼって、全体として、基本計画によって規定された自衛隊の活動というものを承認するかしないかということを議論することになる、こういうふうに思うわけですが、政府はそのような考えでよろしいのでしょうか。

野呂田国務大臣 この法案におきまして新たに認められる二つの活動の実施につきましては、国民の理解を十二分に得ることが望ましいと考えております。そういうことでございますので、新たに国会承認の枠組みを設けることにしたのがこの修正案でありますが、これは、これらの活動が、一つは、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態である周辺事態に際して、実力組織たる自衛隊の部隊等が実施するものであるということ、それからまた、第二は、本法案により自衛隊の部隊等が新たに実施できるようになるものであることを考慮したものであると承知しております。

一方、承認の対象を御指摘の活動を実施することに限っているのは、防衛出動等を含め緊急事態に際しての国会承認が求められるのは、いずれもその実施についてであること、それからもう一つは、周辺事態の複雑性、流動性、対応措置の多様性等の観点から、具体的な措置は行政府の責任において迅速になされることが実効的であるということ、それからもう一つは、基本計画については国会報告とすることとしており、国会においてその内容を踏まえつつ、実施についての承認の判断を行うことができること等を考慮したものであると承知しております。

岡田委員 ちょっと私の聞いたのと違うお答えだったと思うのですが、法制局長官にお聞きします。

ここで、先ほどの質問なんですけれども、自衛隊の行動について、国会承認と書いてありますが、その自衛隊の行動というのは、基本計画というものを具体的に背負って行動というものがあるわけでありますから、国会で承認するときには、その前提、自衛隊の行動の前提となっている基本計画についても含めた形での国会承認ということになるのではありませんか。いかがでしょうか。

大森(政)政府委員 お尋ねは、その修正案の内容をどう理解するかということでございますので、修正案は政府が出すわけでございませんから、その内容をどう理解するかと今問われましてもお答えに戸惑う点があるわけでございますが、手元に届いております第五条を見ますと、基本計画に定められた自衛隊の部隊等が実施する後方地域支援または後方地域捜索救助活動については、これらの対応措置の実施前に国会の承認を得なければならないということでございますから、この文理からいたしますと、国会の承認は活動自体について行われるということが修正案に盛り込まれているように思います。

したがいまして、その帰結といたしまして、基本計画自体は国会承認の直接の対象とされていないのがこの修正案の内容である、私どもはこのように理解する次第でございます。

岡田委員 基本的には、基本計画というものは対象になっていない。しかし、自衛隊の行動というのは具体的な基本計画というものを背負っているわけでありますから、私は、国会で承認するときにその基本計画にまで議論が及ぶだろう、こういうふうに思うわけでございます。

そういうことになると、基本計画そのものが大きく変更されたときに改めて承認が要るのではないかという法律的な疑問も当然出てくるわけでありまして、私は、この条文の書き方というものは、後にいろいろ問題を残す極めてあいまいな書き方である、そういうふうに申し上げざるを得ないということを言っておきたいと思います。

ほかにもいろいろ聞きたいことがございますが、もう時間でございますので、私、いろいろ質問してまいりましたけれども、なかなかはっきりしない点も多いわけでございますし、それから、何よりも私が今回のこの修正で残念だというふうに思うのは、船舶検査についてこれを削除してしまったことであります。これは本当に痛恨事だと思います。総理は、この国会じゅうにまとめたものを出して成立させる、こういうお考えだと思いますが、本当にそれができるのだろうか、先ほどの自由党とそして政府との考え方の違いを聞いておりまして、私は大変心配をしております。

そして、きょうは言いませんでしたけれども、何か、国にとって非常に大事なこの安全保障の問題を政争の具にしよう、こういう考え方がどこかにあるのじゃないかという、その影がちらちらするわけでありまして、もしそうだとしたら、これは国にとって大変なことでございます。そのことについて私なりの憂慮の念というものを表明させていただき、私の質問を終わらせていただきます。

ありがとうございました。

山崎委員長 これにて岡田克也君の質疑は終了いたしました。




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