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1996.05.28|国会会議録

136回 衆議院・本会議

岡田克也君 新進党の岡田克也です。

私は、新進党を代表して、日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定、いわゆるACSAについて、橋本総理及び関係大臣に質問をいたします。

さて、本題に入る前に、最近私が非常に懸念していることがあります。このことをお話しし、総理、関係大臣に御意見を伺いたいと思います。

それは、最近の選挙制度をめぐる政治家の発言であります。

例えば土井衆議院議長は、「一度もやらずにつくり直すというのは間違っていると言う人もいるが、悪くなるものは実行しないことに意味があると言う人もいる」と発言したと伝えられております。また、村山社民党党首は、この場におられないのは大変残念でありますけれども、社民党内の中選挙区制度復活の議員立法案提出の動きに対し、「議員の身分に関することなので、党議拘束しない方がいいのではないか」と述べたと伝えられています。

私は、ここで小選挙区比例代表並立制と中選挙区制のどちらがいいかを議論するつもりはありません。このことは、既にこの国会において五年間以上をかけて議論してきたことであります。既に結論は出ているのです。

私がこの衆議院本会議場において申し上げたいことは、国会は根本的な事情の変更がないにもかかわらず、一度成立させた法律を一度も実施しないままに廃止することができるのだろうかという問題であります。形式論を言えば、もちろん可能であります。どこにもそれを禁ずる法律はあり生せん。しかし、国会の行う討議やあるいは採決けそれほど軽いものであっていいのでしょうか。

国会は、憲法四十一条によって、国権の最高機関であり国の唯一の立法機関であるとされています。このことの意味をよく考えてみる必要があるのではないでしょうか。(拍手)

法律は国民の権利を制限し、義務を課します。また、法律は国や国民の将来を左右することがあります。これほど重要な法律を成立させる権限を唯一与えられたのが国会であります。我々は国会に与えられた権限の重みを常に感じながら真剣に審議しなければなりません。そして、多数決によって決まった場合には、その法律がきちんと実施されるように努力していかなければなりません。

もしこの国会において一度成立させた法律が一度も実施することなく廃止されることになれば、これまでの討議や審議は一体何だということになるのではないでしょうか。国会の権威、ひいては何よりも国民の政治に対する信頼は完全に失われてしまいます。そのような国会が、国民に対して法律を守れということが言えるのでしょうか。(拍手)総理、総理はみずからもこの衆議院の一員であります。総理の政治家としての見解をお伺いしたいと思います。

一般論として聞きます。国会がみずから長時間の審議を経て制定した法律を、特段の事情変更がないにもかかわらず、白紙に戻すことが果たして許されるというふうにお考えでしょうか。

次に、久保副総理にお伺いをいたします。

社会民主党は、細川政権時代の与党第一党として小選挙区比例代表並立制に賛成しました。単に賛成したというよりは、法案成立に直接の責任を負っていたのは当時の社会党の山花政治改革担当大臣であり、佐藤自治大臣だったのです。両大臣のこの本会議場における熱弁は、私もよく記憶をしております。

そこで、久保副総理にお聞きをします。副総理は、政治家として、小選挙区比例代表並立制を否定する議員立法案の提出についてどのようにお考えでしょうか。

また、村山前総理・社民党党首は「議員の身分に関することだから、社民党としてはこれをやめさせるつもりはない」としていると伝えられております。選挙制度が我々国会議員の選挙における当落に影響を及ぼすものであることは事実であります。しかし、国会においてあれほど真剣に選挙制度について議論したのは、それが我々の身分に関することだったからなのでしょうか。選挙制度と変えることが我が国の政治を変えるという理想に基づいて我々は議論をしたはずであります。

村山前総理は、総理として、みずからも区割り法案を提案し、国会で答弁し、成立させるなど、今回の選挙制度改革を推進する最高責任者の立場にあったわけであります。議員の身分に関することだとの理由で中選挙区制復帰の議員立法を黙認していると伝えられていることについて、かつて社会党書記長として政治改革を推進してこられた久保副総理の政治家としての意見をお伺いしたいと思います。(拍手)

次に、ACSAについてお伺いをいたします。

私は、この協定が必要であるとの認識に立っております。しかし、国民の間にはいろいろな意見があり得ますので、基本的な点についてお伺いしておきたいと思います。

第一に、この協定は昭和六十三年以来の懸案となっていたとされておりますが、何が原因でこれだけの時間を要したのでしょうか。また、これだけ長時間の検討を必要としたものが、今回この国会において提案が可能となった最大の理由は何でしょうか。

第二に、この協定は平時対処に限定されているのでしょうか。共同訓練など、協定の第一条第二項に定める場合であれば、有事であってもこの協定は適用されるのでしょうか。このこととの関連で、第一条第四項の「国連憲章と両立するものでなければならない」とはどのような意味でしょうか。

第三に、先般の我が党の愛知和男議員の「なぜ弾薬などが提供の対象となる物品に含まれていないのか」との質問に対し、総理は「そもそもアメリカ側に弾薬提供についての特段のニーズがなかったからだ」と答弁をされております。共同訓練の際に実弾を使用することは当然あるにもかかわらず、ニーズがなかったとのお答えは十分納得できるものではありません。また、総理は、アメリカ側のニーズがあれば弾薬を加えることは問題がないというふうにお考えなのでしょうか。御見解をお聞かせいただきたいと思います。

第四に、この協定は、日本の領土、領海、領空内だけではなく公海上における共同訓練にも適用されると考えられますが、第三国における日米の共同訓練の場合にはどうなるのでしょうか。

第五に、この協定が直接の対象としていない有事の際の日米双方の協力についてお伺いをいたします。

総理は、この点についても、「この協定の交渉に当たり、ニーズの高いものから対象とするという観点で相談した結果である」と国会答弁をされております。しかし、本当にニーズが高いのは、訓練の場合ではなくて、現実に日米安保条約が適用されるような場合であることは言うまでもありません。日米安保条約を結び、基地の提供までしながら、具体的な協力について何も決まっていないというのは理解できないことであります。日米防衛協力のための指針の見直しを初めとする有事の際の日米協力体制の構築が急がれますが、総理はいつまでに作業を終えるお考えでしょうか。第六に、有事法制についてお伺いします。私は、有事の際に自衛隊が十分に機能しないよりな事態を放置しておくことには大きな矛盾を感じます。毎年五兆円の国民の税金を防衛費として投入しながら、いざというときの体制ができていないというのはどういうことなのでしょうか。総理は「法制化の問題については、高度の政治判断によるものであり、国会における審議や国民再論の動向を踏まえて対応していくべき」と述べられています。しかし、社会党が自衛隊の必要性を認めた今、国会における審議すらできないという状況ではないはずです。また、国民世論は政治家が真剣に国民に語ることで形成されるものでもあります。総理のトップリーダーとしての指導力の発揮を求めたいと思いますが、総理の有事法制実現についての決意をお伺いしたいと思います。

次に、私は、先般の日米安保共同宣言に関連して質問をいたします。

この共同宣言は、今後の我が国の進むべき方向を示した極めて重要な意味を持つものであると思います。しかし、同時に、今後の日米安保体制を考えるに当たって幾つかの明確にしなければならない点があります。問題点をあいまいにしたまま、あるいは国内向けと米国向けで違う説明をしているようでは、日米安保条約に関する議論はいつまでも深まらないわけであります。

第一に、日米安保体制がアジア太平洋の平和と安定のために重要であるとの位置づけであります。

この点について、総理は「日米安保条約の目的達成のために米軍が我が国に駐留しているという事実がアジア太平洋地域諸国に安心感を与え、結果としてこの地域の安定要因として作用している」と国会で答弁されています。この答弁の意味をもう少し御説明していただきたいと思います。

この答弁は、在日米軍の存在が日本の抑制に役立っているといういわゆる瓶のふた論を意味しているのでしょうか。そうでないとすると、単に米軍が存在するというだけではなく、いざというときにその米軍が機能するという最終的な期待がなければ、アジア太平洋諸国にとって安心感を与えることにはなりません。共同宣言で日米安保体制がアジア太平洋の平和と安定の基礎であると確認したのは、アジア太平洋地域における米軍の武力行使を含む広範な活動を前提にし、また、日本としても憲法の許す範囲内でこれに最大限協力していくということを意味しているものではないのでしょうか。総理のお考えを聞きたいと思います。

第二に、日米安保条約に基づくいわゆる事前協議についてお伺いをします。

安保条約第六条の極東有事の際の日本国から行われる米軍の戦闘作戦行動のための基地の使用なこについては、事前の協議が必要とされています。この事前協議を受けたときの日本国政府の基本的判断基準はどのようなものなのか、お伺いをしたいと思います。このような重要な問題について、政府の全面的な裁量によるのではなくて、基半をあらかじめ国民に示しておく必要があるとはね考えにならないのでしょうか。

第三に、米軍の在日米軍基地からの直接的な戦闘作戦行動が安保条約の適用対象である極東の外に対し行われる場合についてお伺いします。

空中給油や航空機の飛行距離が延びたことで、かなり広い範囲に対し直接戦闘作戦行動を行うことが可能になっています。極東の範囲外に日本の在日米軍基地から戦闘作戦行動を行う場合には、事前協議の対象となるのでしょうか。事前協議の対象とならないときに我が国はどう対応するのでしょうか。お考えをお聞かせいただきたいと思います。

第四に、日本にある米軍基地の役割について伺います。

今や在日米軍基地は、米国にとってアジア太平洋地域の戦略拠点と言っても過言ではないと思います。昨年二月に発表されたいわゆるナイ・レポートもそのことを率直に述べております。極東地域以外のアジア太平洋地域で武力紛争が発生したときに、在日米軍基地からの戦闘機や空母などが間接的に紛争にかかわることは当然予想されろことであります。従来、政府は、このような場合は単なる移動であり、関知しないというふうにしてまいりました。このことについて総理はどう台考えでしょうか。日本国政府として、ただ単に来軍の移動を黙って受け入れているだけでいいと公考えですか。それとも、主権国家としてもう少し責任ある態度をとるべきだとお考えですか。御見解をお伺いしたいと思います。

最後に、日米安保共同宣言と中国との関係についてお伺いします。

米国のマスコミの一部には、今回の共同宣言は、米国にとって将来脅威となるであろう中国を封じ込めることを目的にしたものであるとの意見があります。これに対し中国側にも強い警戒感があります。この点について、すなわち日米安保共同宣言と中国との関係について総理のお考えをお伺いし、私の質問とさせていただきます。(拍手)

   〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕

内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 岡田議員にお答えを申し上げます。

まず、国会がみずから長時間の審議を経て制定した法律を、特段の事情変更がないにかかわらず、一度も実施することなく白紙に戻すことが許されるかという一般論についてお尋ねがありました。

そうした先例は、いわゆるグリーンカードの例がございます。そして、私は一般的にこのようなことは好ましいことではないと思いますけれども、それは個々の事例ごとに判断されるべきであるというのが、このグリーンカードの例に見ての先例ではないでしょうか。

なお、小選挙区比例代表制について申し上げるなら、新制度による総選挙もまだ実施されておらない状況の中で、現時点では、この制度が正しく運用されることが重要と考えており、政府としてこれを抜本的に見直すという考えはありません。

次に、日米物品役務相互提供協定による弾薬の問題についてお尋ねがありました。

そもそも米側に弾薬の提供について特段のニーズがなかったという理由から、この協定におい7弾薬の提供を提供の対象とする物品または役務から除外した、これはお答えをしたとおりでありすす。なお、日米共同訓練において弾薬が使用されることがあるかどうかということと、米側がその提供を我が国に求めるかどうかということは、知は全く別の次元の話だと思います。

次に、我が国の周辺地域で我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態が発生した場合の日米間の協力の研究及び日米防衛協力のための指針の見直しにつきましては、先般の日米安保共同宣言において合意いたしたところであり、その個別具体的な協力の内容にっきましてはまさに今後の検討の結果を待つ必要がありまして、具体的にいつまでに結論を出そうということが現時点において決まっているわけではありません。

次に、自衛隊の行動にかかわる有事法制の研究につきましては、自衛隊法第七十六条の規定により防衛出動を命ぜられるという事態において、自衛隊がその任務を有効かつ円滑に遂行する上での法制上の問題につき、政府部内では昭和五十二年から検討してまいっております。これまでに、防衛庁所管の法令及び他省庁所管の法令についての問題点を、昭和五十六年四月及び昭和五十九年十月にそれぞれ取りまとめて公表してまいりました。また、所管省庁が明確でない事項に関する法令にっきましては、現在、内閣安全保障室を中心とする政府部内で検討を加えております。

議員のお考えとは違うようでありますが、私は、法制化の問題については、まさに国会における御審議、国民世論の動向等を踏まえて対応すべきものだと考えております。

また、日米安保体制がアジア太平洋地域の平和と安定に対し有する意義について御意見がありました。

日米安保共同宣言におきましては、日米間の安全保障面の関係が、アジア太平洋地域において害定的で繁栄した情勢を維持するための基礎であり続けることを再確認いたし、政府としては、米国と協力をしながら、このように重要な日米安保体制の信頼性をさらに向上させていくため最大限の努力を払っていく決意であります。

次に、戦闘作戦行動についての事前協議を受けた場合の判断基準についてお尋ねがありました。

政府の基本的態度は、我が国の国益確保の見地から、具体的事案に即して自主的に判断し、諾否を決定するというものであります。その我が方諾否の基準は、我が国の国益、すなわち日本の安全を確保するというものであり、その際、極東の安全なくしては我が国の安全を十分確保し得ないという認識のもとに、極東の安全に関係する事態を常に我が国自身の安全との関連において判断し、我が国の安全に直接また極めて密接な関係を有するかどうかという見地から対処する、従来から政府が御答弁申し上げているとおりであります。

次に、我が国を含む極東に対する外部からの武カ攻撃を排除するため、あるいは極東の周辺地域に起こった事情が域内の安全に対する脅威となるような状況のもとにおいて、そのような脅威に対処するため米軍がとることのある行動の範囲は必ずしも極東に局限されるわけではありませんし、かかる目的のために米軍が施設・区域を直接戦闘作戦行動の発進基地として使用することは安保条約上想定されていることでありますし、かかる施設・区域の使用は当然我が国との間の事前協議の対象となります。

また、極東以外のアジア太平洋地域における紛争に在日米軍基地の航空機や船舶が関与する場合、安保条約は施設・区域を使用する米軍の能力や任務を極東の地域内に限定しているわけではありません。在日米軍の部隊が極東以外の地域に赴き、またはかかる地域から帰投するというようないわゆる移動について、安保条約上何ら制約を課しているわけではありません。このことも従来から政府が御答弁を申し上げているとおりであり生す。

最後に、日米安保共同宣言と中国との関係について御質問がありました。

日米安保共同宣言は、日米安保体制の重要な役割を改めて確認すると同時に、二十一世紀に向けた日米協力関係の強化の方途を明らかにするものであり、第三国に対して日米が対抗するようなことを目的としたものではありませんし、また、アジア太平洋地域の安定と繁栄のために、「日米は中国との協力をさらに深めていくことに関心を有する」とも述べております。このことを含めて、宣言の趣旨にっきましては、中国に対しましても既に外交ルートで説明をし、理解を得るよう努めているところでありますし、宣言で示されました日米協力の方向を実施に移すに当たりまして、近隣諸国との関係に十分配慮してまいる所存であります。

残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)

   〔国務大臣久保亘君登壇〕

国務大臣(久保亘君) 選挙制度は、議会制民主主義の基本をなすものであります。したがって、政治家はもちろん、政治家に限らず、よりよい選挙制度について研究し、その実現に努力することはあってしかるべきことかと存じます。

政党として議員立法をどう取り扱うかは、党機関の意思によるものと思います。

社民党党首の発言についてお尋ねがございましたが、今私が申し上げたような立場で発言が行われたものと理解いたしております。(拍手)

   〔国務大臣池田行彦君登壇〕

国務大臣(池田行彦君) 岡田議員の私に対する御質問は三つございました。

まず、本協定の提案が今国会になった理由いかん、こういう点でございまずけれども、自衛隊と米軍との間の物品・役務の相互提供のための枠組みの作成につきましては、昭和六十三年に米側から提案されました。これを受けまして、我が国政府内で検討を開始したわけでございますが、具体的には、米国が他国と既に締結している協定についていろいろ調査を進めました。また、日米間における協定締結の必要性、また国内法制や関連政策との整合性等々、種々の論点にっきまして、政府の部内において、また米側との間において、検討を行ってきたところでございます。

その結果、米側並びに関係省庁との間の調整がこのほど調いまして、本年四月に、今回御審議をお願いしております日米物品役務相互提供協定という形で米側と署名するに至った次第でございます。そして、今国会に提出したわけでございます。

次に、この協定は平時対処に限定されるのか、あるいは第一条二項に定める場合であれば有事にも適用されるのか、さらに、それに関連して、第一条の四に規定している国連憲章との両立とはどういう意味か、こういう御質問でございました。

本協定に基づきまして提供される物品・役務は、日米共同訓練、国連平和維持活動または人道的な国際救援活動に必要なものに限定されておりまして、戦闘行動が行われているという意味でのいわゆる有事における米軍の戦闘作戦行動への協力としての物品や役務の提供というものには適用されません。また、第一条の四の趣旨でございますが、本協定により提供した物品・役務を使用する場合には、国連憲章第二条に定める加盟国の行動の原則を含め同憲章に従う、こういうことを両政府において確認したものであります。

最後に、日米以外の第三国における共同訓練にも適用されるのかという御質問でございましたが、従来、日米共同訓練は日米以外の第三国で実施されたことはないと承知しております。(拍手)




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