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2015.03.19|TALK-ABOUT [ブログ]

核軍縮─NPT運用検討会議に向け、言葉ではなく具体的な行動を


今日は核の問題について、少しお話ししたいと思います。私は外務大臣時代に、核なき世界を目指すということで、核の軍縮や不拡散について、各国の外務大臣や首脳と議論を重ねてきました。

詳しくは岩波書店から出版しています『外交をひらく』の中でご覧いただきたい、私が書いた本の中でいろいろ書いていますので、ご覧いただきたいと思います。

最近非常に気になるニュースは、ロシアのプーチン大統領がウクライナの紛争の際に、ウクライナを併合するにあたって、核兵器の使用というのを考えたということが明らかにされたことです。

もちろん、これを文字通り受け取るべきかどうかは議論があります。ロシアの国内で、プーチン大統領に対してウクライナ問題で弱腰であるという批判もある、それに対する牽制という意味もあったのかもしれません。


あるいは、未だ大変な対立状況にある欧米諸国に対する牽制という意味もあったかもしれません。

しかし、核を保有している一国のトップが核兵器の使用について言及するということは、これは極めて珍しいことで、私は核なき世界、核軍縮・不拡散を目指している大きな流れに対して、極めて大きな挑戦がなされたと、深刻に受け止めるべきだと思います。

しかし、日本政府のこの問題に対する対応は十分とは言えないと私は思っています。

そして今年は、5年に1回の核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議が開催される年です。2010年の私が外務大臣の時に開かれましたが、この時はいろいろもめましたが、最終的に合意に至りました。

アメリカはじめ各国が核軍縮・不拡散についてしっかり取り組んでいこうというベクトルがあったということが大きかったと思います。

ただ、今年は果たしてどうなのか。プーチン大統領の発言もあります。米露間の核軍縮をめぐる議論も今ストップしたままです。そして、5年前のNPT運用検討会議の中で合意された、中東をめぐる国際会議の開催、つまりこれはイスラエルの核を念頭に置いたものですが、これも開催されないまま5年目を迎えようとしています。

そういう状況を考えると、今年のNPT運用検討会議が非常に厳しい見通しだと思います。日本も含めて何とか打開の道を探るために、核なき世界を目指すという言葉だけではなくて、具体的なアクションを、日本政府には、安倍総理には、あるいは岸田外務大臣にはとってもらいたいものだと思います。

※ブログの動画版はこちら



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