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2014.06.12|TALK-ABOUT [ブログ]

集団的自衛権―拙速な閣議決定は日本政治と民主主義の大きな危機


昨日(11日)の海江田代表と安倍総理との党首討論について、いくつか私の感じたことを申し上げたいと思います。

まず、安倍総理は、最近の中国戦闘機の異常接近の問題や、南シナ海におけるベトナムの艦船に対する中国船の衝突などを取り上げて、「こういう問題が現に起きているではないか、何もしなくていいのか」といった調子で煽(あお)り立てました。

当然、日本の周りで起きている現実を踏まえて、安全保障政策を考えていく必要があります。私はそのことに異論はありませんが、国民の前で総理がやるべきことは、厳正に必要性を説くことです。総理が先頭に立って、国民感情を刺激して危機感を煽り立て、安全保障政策を強引に進めていくというやり方は、本来リーダーとして取るべき態度ではないと感じました。


そして、海江田代表の質問に総理はほとんど答えることはなく、重要な問題についても全く答えていませんでした。

第1に、なぜこれだけ短期間で閣議決定を目指しているのか。この国会中にという指示を出した、ということも伝えられています。

歴代内閣が、集団的自衛権の行使は、現行憲法のもとでは認められないということを明言してきました。当然、国会での議論の積み上げもあります。そういったことを顧みずに、一内閣で、しかも記者会見をしてわずか1カ月という短期間で、その方針を軽々と変えてしまうことの問題の重さということを、十分に考えるべきだと思っています。

これだけ簡単に変えてしまうと、また内閣が代われば、憲法の解釈が変わるということが行われると思います。何よりも、戦後の国会でのいままで各先輩が行ってきた議論に対する敬意というものが、全く感じられません。自分がやりたいことをやればいいんだと、さしたる説明がないまま進めていく姿勢に、非常に大きな危機感を感じました。

安倍総理は、閣議決定以外に指針のようなものを作って、例えば、「他国の領土・領海・領空に、武力行使の目的を持って自衛隊を出し、戦闘行為をすることはない」ということを、そこに書くという話も聞こえてきます。しかし、これも十分な説明がなされていません。

その指針なるものが、政府の単なる指針なのか、それとも、憲法解釈の結果として、そういうことはできないということを確認しているのか。そこのところもよく分からないわけです。

憲法上は、集団的自衛権について、必要最小限度であったり、我が国の存立に関わるような重要なことであれば、つまり、抽象的な文言を形式的にでも満たせば、広く集団的自衛権を行使できることにして、指針でそれを縛るという考え方なのか。そもそも憲法解釈として、武力行使の目的を持って他国に行き、戦闘行為をするということは、憲法9条は許していないと考えるのか。そこのところも全く明確でないわけです。

いずれにしても、議論すべき点は沢山あります。1つひとつ丁寧な議論が求められます。

具体的事例についてもそうです。集団的自衛権の具体的8事例について、自民党と公明党との協議はまだ始まったばかりです。そういう状況下において、いきなり閣議決定をするというのは、日本の政治と民主主義にとって大きな危機であり、そういう基本認識を国民の皆さんも持つべきだと思います。

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