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2/5 予算委員会質疑(政治改革に対する総理の基本姿勢、政治資金の透明性確保など)

【委員会】衆議院 予算委員会

【日 時】2024年2月5日(月) 午後2時12分~2時57分(45分)
        ⇒ 時間変更となりました 午後2時52分~3時37分
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【質問要旨】

  1. 政治改革に対する総理の基本姿勢
  2. 岸田派の不記載
  3. 安倍派幹部の責任
  4. 政策活動費及び旧文通費
  5. 政治資金の透明性確保
  6. 政治家本人の処罰強化


議事録

岡田委員 立憲民主党の岡田克也です。
 今日は、総理といろいろ議論したいことが実はあります。外交、安全保障、そして子育て政策、地震。しかし、今日は、党の政治改革実行本部長として、政治改革に絞ってやり取りをしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 まず、今日、朝、示されたリスト、裏金に関与した議員のリストですが、私は極めて不十分だと思うんですね。まず、どうして三年なんですか。立件の範囲というのは五年でしょう。三年に絞られている。それから、どういう形でその裏金が発生したのか、中抜きかキックバックかという議論がありますね。何よりも、何に使ったのかときちんと書かれていないです、証拠をそろえて。
 そういう極めていいかげんなものをこのタイミングで出されたことについては、総理はどう考えておられますか。
岸田内閣総理大臣 まず、今、関係者によって政治資金収支報告書の修正作業が行われています。その中で明らかになってきた資料について提出させていただくとともに、これは、まずは関係者の説明責任を果たすべく、促していくことが重要であると認識をしています。
 そして、何に使ったかとか、そういった内容について、不十分だという御指摘がありました。だからこそ、これは関係者自らの説明責任だけではなくして、党としても実態を把握しなければならないということで、先週金曜日から、外部の弁護士も交えて、順次、党幹部による関係者の聞き取りを開始したということであります。
 そして、併せて、党としても全所属議員に対してアンケート調査を行う。こうしたことを通じて、党としても、実態把握、経緯ですとか、あるいは使途等についてもできる限り把握をしたいと考えております。
岡田委員 今私が指摘した件、例えば五年というのは非常に重要なんですね、参議院選挙がそこに入っていますから。三年だと前々回の参議院選挙が抜け落ちてしまう、そこで大きく額が変わる、そういう話があるわけですね。
 ですから、今、アンケート調査をしておられる、それから関係者にヒアリングもしておられるということですが、その結果は今週中に、どんなに遅くとも来週早々には結果が発表されると考えていいですね。
岸田内閣総理大臣 これは午前中もお答えさせていただきましたが、まず、聞き取り調査の方につきましては、可能な限り今週中をめどに聞き取り作業を終えて、その後、外部の第三者による取りまとめ、これを予定しております。
 そして、アンケートの方ですが、所属全議員を対象とするアンケート、これは今週中に行い、来週早々にも取りまとめることを予定しております。
岡田委員 本当は、全議員を対象にしたアンケート調査などは、もう既に、大分前にやっていなきゃいけない話ですよね。ですから、早々にと言われましたが、それは、取りまとめるのが来週早々ではなくて、きちんと発表していただかないとこの場での議論も進みませんから、そのことを強く要望しておきたいと思います。
 それから、政倫審、自民党の国対委員長はかなり前向きなことも言われました。二階派やあるいは安倍派の幹部について、やはり自らきちんと述べてもらわないといけないというふうに思うんですね。
 総理は、御党の国対委員長が言われた政倫審に前向きな発言、そのことを是認されますね。
岸田内閣総理大臣 関係者において説明責任を果たすこと、これは大変重要であると考えます。
 そして、説明責任を果たす果たし方については、様々な手段が考えられます。その中で、国会においてどのような説明責任を果たすのか、委員会の場で行うなど具体的な取組については、これは当然国会において御判断いただかなければなりません。できる限りの説明責任を果たす中で、どのような手段を使うのか、党としても、国会関係者を中心に判断をしていきたいと思います。
岡田委員 国対委員長はこう言われているんですね。議員の責任として説明していくのは当たり前の話だ、政倫審に関してそういうふうに言われているんですよ。ですから、政倫審で関係者が発言することは、私は自民党として前提にしておられるというふうに理解しているんですね。
 総理、その認識でよろしいですね。
岸田内閣総理大臣 今申し上げました、関係者として説明責任を果たす、これは極めて重要であります。
 そして、その手段としてはどうあるべきなのか、国会における説明につきましては、国会の関係者が判断しなければなりません。
岡田委員 国会でと言われて、御党の国対委員長も言っておられるんだから、それを是認されたというふうに私は理解をいたします。
 予算委員会での参考人とか証人というやり方もありますが、やはり自主的に出てきていただいて、そしてきちんと説明していただくというのが基本だと思うんですね。そのことを求めておきたいと思います。
 さて、今回のこの裏金問題、結局、長く幹事長をやられた幹事長派閥と、そして総裁派閥で起きているわけですね。
 私は、自民党が裏金で回ってきた、非常に深刻な事態だと思うんです。法治国家としての一番の基本のところが崩れている。国民が政治に対して信頼できないと言っている。そのことは総理も肌身で感じておられることだと思います。
 そういった現状について、総理はどう考えておられますか。
岸田内閣総理大臣 政治と金の問題をめぐって、自民党に対して国民の厳しい目が注がれているということ、これは大変深刻な事態であり、重く受け止め、そして党としてもおわびを申し上げなければならないことであると認識をいたします。
岡田委員 私は、一九九〇年二月の初当選です。当時、自民党公認で当選をいたしました。三年四か月ほど自民党に在籍をいたしました。
 行ってみて驚いたのは、政治改革の議論が、本当に火花を散らせるような議論が党の中で行われていたことです。中心になっておられたのは、伊東正義先生、政治改革本部長、後藤田正晴先生、政治改革委員長。このお二人に接して私が感じたのは、これは自民党のためにやっている改革じゃないんだ、このままいったら日本の政治が本当におかしくなってしまう、だから、これは日本国民のために、国のためにやらなきゃいけない改革なんだ、それが自民党にとって不利になってもやらなきゃいけない。
 確かに、不十分とはいえ、政治と金の問題についても、いろいろな改革は少しは前に進みましたよね。それから、選挙制度の改革で、小選挙区を入れるということは政権交代を起こりやすくするということ、当時はそう理解をされていましたから、自民党の長期政権を場合によっては捨てるという覚悟で議論しておられたと思うんですね。そのぐらいの覚悟というのは総理にありますか。
 総理は、やはり事実関係を明らかにすること、そして政治責任を取るべき人が取ること、そして制度改革をすること、そういったことを言っておられるわけですが、そういったことができなかったときに、どういう責任を取られますか。
岸田内閣総理大臣 まず、委員から紹介がありましたかつての自民党の議論、平成元年の政治改革大綱をめぐる議論であると承知をしております。当時の議論が激しかったということ、私はまだ当選前でありましたが、私も記憶をしております。
 そして、その改革においては、まずは、当時大きな課題とされた中選挙区制度をめぐる様々な弊害について議論が行われ、そして、小選挙区の導入等の改革も行われましたが、派閥をめぐる弊害については、残念ながら、今日まで厳しい指摘を受けるような状況が残っていたことについては、自民党として改めて反省をし、そして、政治刷新本部において、中間取りまとめ等を通じて、改革に向けた覚悟を示したところであります。
 政治刷新本部の本部長として、責任ということであるならば、まずは、自らまとめた中間取りまとめ、これを実行することが何よりも大きな責任であると思います。制度面においても、そして運営面においても、中身を実行いたします。
 それができなかった場合ということで、仮定の御質問をされましたが、これを何としても強い覚悟でやるというのが私の立場の責任であると思います。何としても、本部長として、自民党が変わらなければならないという思いを持って、この中間取りまとめを実行してまいります。
岡田委員 総理のその思いというのがなかなか伝わってこないんですよ。火の玉になってやるとか先頭に立ってやるとか、いろいろ表現を使われますけれども、やはり政治は結果責任ですから。
 自ら推進本部長、その職を引き受けられて、これは異例だと思いますよ、総裁がやることは。そして、実行することが自分の責任だというふうにおっしゃっているわけですから、是非、この国会でそれをやり遂げるという決意が必要なんです。できなければ責任を取るぐらいのことをどうして言えないんですか。
岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げました中間取りまとめにおいて、法改正を伴う制度面の改革について、自民党としても各党各会派と真摯な協議を行う、これは明記しております。
 今国会において、政治資金規正法を始めとする法改正、実現をしてまいります。
岡田委員 非常にさめた感じですが。
 岸田派の不記載についてちょっとお聞きします。
 参議院の予算委員会の集中審議の中で、総理はこう答えておられるんですね。紹介議員が明らかでない部分を別に置いておいたというふうに言われています。これはどういう意味ですか。パーティー用の宏池会の口座の中に三千万円がたまっていたということなのか、別にと言われますから、別の口座にそれを移されていたということなんですか。どっちでしょうか。
岸田内閣総理大臣 御指摘の発言につきましては、宏池会においては、どの議員の紹介か不明な分について、それが判明するまで収支報告書に不記載にするという会計上誤った取扱いをしていたことや、収支報告書への銀行入金記録の転記ミスなどの事務的ミスが積み重なった一方で、どの議員の紹介か不明な分も含めて、全てのパーティー関連収入は決められた銀行口座に入金されていたものであり、意図的に隠したという指摘は当たらないという趣旨で申し上げた次第であります。
岡田委員 よく分からないんですが、その事務的ミスというのは、何が事務的ミスなんですか。
岸田内閣総理大臣 今申し上げました、どの議員の紹介か不明な分について、それが判明するまで不記載にする、これは当然、会計上の誤った取扱いであります。それと併せて、今回、収支報告書の修正に当たっては、転記ミスなどの事務的なミスも指摘をされ、判明した、こういったことであります。これらを指摘して事務的ミスと申し上げております。
岡田委員 三千万円の事務的ミスというのは、よく理解できないんですね。
 そして、総理、お聞きしますけれども、これは三年間で三千万、その後、会計責任者が替わられたということですが、では、その前はどうなんですか。この会計責任者の方は随分長くやっておられて、この三年間だけそういう不記載ということをやったんですか。その前はなかったんですか。確認されましたか。
岸田内閣総理大臣 その前については、確認ができておりません。
岡田委員 それは確認すればいいじゃないですか。通帳ぐらい残っているでしょう。だから、きちんとそれをやはり調べて、そして報告する必要があるんじゃないですか。
 総理は、安倍派や二階派に対してちゃんと説明しろというふうに言われているけれども、まずきちんと説明しなきゃならないのは自分のところじゃないですか。そして、あなたはその代表だったんですよ。きちんと紙で報告して、記者会見を開いて説明してくださいよ。
岸田内閣総理大臣 既に、記者も交えて、派閥の当時の事務総長が内容について説明を行っております。私自身もこれまで、会見の場等について、説明を行ってまいりましたし、これからも国会等を通じて説明を行ってまいります。
岡田委員 三年間以前のものは分かりません、それでちゃんと説明したことになるんですか。
 そして、こんないいかげんな説明をしていたら、安倍派や二階派もちゃんと説明しなくなりますよ。やはり自ら範を示して、きちんと説明するということが必要なんじゃないですか。考え直してもらえませんか。
岸田内閣総理大臣 これまでも様々な公の場において説明を行っております。これからも行います。
岡田委員 国会で聞かれて答えていることをもって説明と言っているんですが、もっときちんと、記者会見、総理、あるいは事務総長でもいいですよ、林さんも後ろにおられますけれども、ちゃんと記者会見を開いて説明されたらどうですか。
岸田内閣総理大臣 それについては、既に、記者を交えた公の場において、派閥の事務総長から丁寧に説明を行っております。事務処理上の疎漏によるものであると聞いております。
岡田委員 聞いておりますじゃなくて、やはり自ら、派閥のトップだったんですから、総理のときも派閥のトップを辞めなかったような人なんですから、きちんと自ら確認して、通帳も見て、そして説明されたらどうですか。三年以上前のものは知りませんなんて、そんな説明は通用しませんよ。いかがですか。
岸田内閣総理大臣 確認できる範囲内で、最大限努力をいたします。
 引き続き、説明責任を果たしてまいります。
岡田委員 総理がそういう姿勢だと、安倍派や二階派も右に倣えになってしまうんじゃないかというふうに思います。
 さて、その安倍派幹部の責任についてちょっと確認したいと思います。
 今日は刑事局長もおいでいただいていると思いますが、まずその前に、安倍派の裏金の問題はいつから始まったのか。諸説ありますよね。しかし、もう二十年以上やっているという話もあります、森さんの時代からだと。
 総理、森さんを、森元総理を自民党に呼んできちっと話を聞かれませんか。いかがですか。
岸田内閣総理大臣 今、先ほど申し上げたように、関係者の聞き取りを行っております。
 その中で、範囲につきましては、その聞き取りを進める中で判断していくことになります。
岡田委員 いつからやっていたか分からないわけで、非常に長いとも言われているわけですね。やはり実態をしっかりと明らかにすること、これは、この三年間を適当に説明したらいいということじゃないんですよ。
 やはり、いつから始まって、どういう理由で始まった、累積してどのぐらいの裏金が発生していたか、そういったことをきちんと明らかにして、そして国民に説明するのが、私は自民党の役割だと思うんです。そのためには、森さんの時代から始まっていたという話もあります、きちんと確認されたらどうですか。いかがですか。
岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げました、今聞き取りを続けております。
 その中で、実態把握のためにどの範囲で聞き取りを行うのか、聞き取りを行いながら判断をいたします。
岡田委員 是非国民が納得するような説明をしていただきたいというふうに思います。
 令和四年の四月頃に安倍派の幹部が集まって、安倍さんもおられて、還付をやめようという話が出た。幹部間で還付を行わない方向で決定もされたけれども、安倍さんがお亡くなりになって、その後、還付が行われた。そういうふうに、例えば西村議員が会見で説明されていますね。
 私、これを聞いて、おやと思うんですよ。還付そのものが議論の核心だったんですか。だって、還付そのものは、ちゃんと届出がされている限り、違法でも何でもないわけですから。そんなことのために派閥の幹部が、複数回集まったとも言われていますが、集まって議論する必要があるんですか。やはりそこに不記載という問題があって、この不記載を何とかしなきゃいけないというのが、派閥の幹部が集まって、安倍さんも含めて協議したその中身だったんじゃないですか。
 不記載をやめようとしたら、道は二つしかないです。一つは、記載する。だけれども、これは突然記載したら、前年までと、そういう記載はないわけですから、やはり非常にリスクがある。とすると、やはりキックバックそのものをやめるという選択肢しかない。キックバックをやめること自身が目的ではなくて、不記載をやめるということが目的で協議してきたんじゃないんですか。
 そのことは、例えば安倍さんに非常に近いと言われたNHKの元記者の岩田さんの番組における発言でも裏づけられていると思うんですね。安倍元総理は会計責任者に、このような方法は問題だ、直ちに直せと言った。事務総長らにも、あの件はやめたんだろうなとくぎを刺したと。
 単にキックバックをやめるだけなら、こんな表現にならないでしょう。やはりそこに不記載という問題があって、安倍さんが危機感を持って、それを何とかやめなきゃいけないということで、派閥の幹部を集めて議論した。だから、その段階でみんな不記載のことは分かっていたというふうに、もうそれしか考えようがないと思うんですが、刑事局はどういう判断をされたんですか。
松下政府参考人 お尋ねは個別事件における証拠の内容や評価に関わる事柄についてでございまして、具体的なお答えは差し控えたいと存じますけれども、あくまでも一般論として申し上げれば、検察当局におきましては、当該事案の真相を明らかにするために、必要な事項について捜査を尽くした上で、その結果収集された証拠に基づきまして、また法律に照らしまして、刑事事件として取り上げるべきものを取り上げて対処しているものと承知をしております。
 そして、今のお尋ねの件に関してでございますけれども、具体的なことそのものをお答えすることは差し控えたいと存じますが、検察当局は、御指摘の事案に関しては、証拠上、各会派の収支報告書の作成は代表者兼会計責任者を含む会派事務局が専ら行っており、派閥の幹部において、収支報告書の作成自体への関与はもとより、記載内容、どのように記載していたかまで把握していたとも認められず、虚偽記入の共謀があったと認めるのは困難であると判断したこと、また、現時点で処理すべきものは処理したことなどを表明したと承知しております。
岡田委員 ちょっと私は納得できないんですね。
 ですから、こういう発言もあるんですね。これは終わった後の発言なんですけれども、下村さんが一月三十一日に記者会見でこういうふうに言っています。八月の幹部協議、つまり、このときはもう安倍さんはおられません、亡くなった後ですね、幹部でこれをどうするかという協議をした。その幹部協議で、還付について、個々のパーティーに上乗せして収支報告で合法的に出すという案も出たと。つまり、個々の議員がやっているパーティーにその還付分を乗っけて収支報告に載せればいいじゃないかと。
 これはどういうことかというと、やはりそこに不記載の塊があるということが前提の議論じゃないですか。そうとしかこれは理解できないですよね。下村さん自身が記者会見でそういうふうに言っておられるんですよ。
 これは検察が判断をした後の会見ですけれども、もう一回捜査する必要があるんじゃないですか。
松下政府参考人 お尋ねは捜査機関の活動内容に関わる事柄でございまして、法務当局としてお答えすることは差し控えさせていただきたいと存じます。
岡田委員 要するに、収支報告書の記載については、それは会計責任者が一義的にやっていたかもしれない。ただ、この不記載部分をどうするか、載せるか載せないかという判断は、それは会計責任者の判断することではなくて、やはり大きな方針の問題ですから、だからこそ幹部が集まって協議して、問題を共有して、そして最終的にはこれは見送られた。そういうことであれば、これはやはり幹部が主導して不記載の事態を招いたということじゃないんですか。
 総理、いかがですか。
岸田内閣総理大臣 様々な報道や発言があることは承知しておりますが、実態を把握するに当たって、まずは当事者の説明責任が大事だとは思いますが、併せて、先ほど申し上げました、党としても実態把握に努めなければならないということで、聞き取り調査等を行っております。外部の弁護士等も関与してもらいながら、実態把握に努めたいと思います。
 その上で、党としてこの事態についてどう判断するのか、適切な説明責任を果たしたいと思います。
岡田委員 そうすると、今の私の疑問、多くの人が同じような疑問を持つと思うんですが、その点も党のヒアリングの中できちんと確認していただけるということですね。
岸田内閣総理大臣 今の点について、様々な指摘や発言があるのは承知していますが、党としては、実態がどうだったかということを、党の立場からも、関係者の聞き取りを通じて把握したいと考えております。
岡田委員 多くの人が疑問に思っている、なぜ幹部の皆さんが全く立件されずに逃れているのかということについても、党としてきちっと説明責任を果たしていただきたいというふうに思います。
 もう一つ、ちょっと刑事局長にお聞きしたいんですが、不記載があった議員三名が立件されました。残りの方は立件されなかった。それは、共謀の事実がないとかそういうこともあると思いますが、私が不思議なのは、会計責任者というのは、この不記載、事実上の事実行為に近いその不記載について、どうして一定金額以上の、つまり三人に関係する会計責任者のみが立件されて、それ以外の会計責任者は立件されなかったんですか。
 例えば、窃盗で、二十万円盗んだ人はセーフで四十万円盗んだ人はアウト、そういう取扱いというのはあるんでしょうか。金額で切るというのは、少なくとも会計責任者についてはあり得ないことだと私は思うんですが、どういう整理をされたんですか。
松下政府参考人 お答えいたします。
 お尋ねは、検察当局の個別事件における事件処理に関する事柄についてでございまして、お答えは差し控えるべきかとは存じますけれども、一般論として申し上げますと、検察当局においては、お尋ねのような政治資金規正法の虚偽記入の事件の処理に当たりましては、動機、犯行態様、虚偽記入の額、被疑者の供述内容、ほかの事案との比較、その他もろもろの事情を総合的に考慮して事件処理の判断をしているものと承知をしておりまして、虚偽記入の金額のみによって機械的に事件処理の判断をしているものではないと承知をしております。
岡田委員 一般論で説明されても、なかなか国民は納得しないと思うんですよね。
 例えば、地方選挙では、東大阪市長選挙では二千五百万で会計責任者が立件されています。山形市長選挙に至っては三百万円で会計責任者が立件されている。
 どうして地方選挙では三百万で立件されて、国会議員に関わる不記載については、一千万、二千万の不記載の会計責任者が立件されなかったんですか。合理的にちゃんと説明していただけませんか。
松下政府参考人 お答えいたします。
 恐縮ですけれども、具体的な事件においての事件処理について、どういう事情であったかということについてのお答えは差し控えるべきかと存じます。
 あくまで一般論として申し上げますと、検察当局におきましては、個別の事案ごとに、法と証拠に基づきまして、まず、有罪を立証するだけの十分な証拠があるかどうかということを判断した上で、犯罪の軽重ですとか犯行後の状況などといった様々な事情を総合考慮して事件処理の判断をしているものでございまして、その金額のみで比較をするということはしておりません。
岡田委員 私は、会計責任者をたくさん立件しろというつもりで言っているんじゃないんですね。でも、会計責任者を立件しないと政治家は絶対立件されないんです。ですから、政治家を守るために会計責任者の立件の範囲を絞ったんじゃないか、そういう見方も成り立つわけですね。それは非常に不公正なことだ。
 だから、私は、検察が国民から信頼されるためには、今の説明では不十分だと思います。もっときちんと説明する、その必要があるということは指摘しておきたいと思います。
 さて、次に、政策活動費について。
 総理は、共謀罪とかいろいろなことについて、一応、案を党の中で検討するということを答弁されていますが、政策活動費については全く触れないんですよね、各党各会派で議論してくださいと。
 私たちが聞いているのは、自民党はどうなんですかということを聞いているわけです。そうすると、何か政治活動の自由と、そして知る権利のバランスの問題だと言われます。そこで総理が言われる政治活動の自由というのは何ですか。
岸田内閣総理大臣 各党によって様々な呼称で呼ばれておりますが、この政策活動費、自民党における政策活動費を、党に代わって党勢拡大や政策立案、調査研究を行うために、党役職者の職責に応じて支出しているところですが、この使途を広く公開すれば、我が党の活動と関わりのある個人のプライバシー、あるいは企業、団体の営業秘密を侵害するということ、あるいは党の戦略的な運営方針が他の政治勢力や諸外国に明らかになったりする、こうしたことで不都合が生じるということを申し上げております。
岡田委員 政策活動費というのは領収書の要らないお金ですよね。ですから、それを受け取った企業も、これをきちんと、いや、自由民主党何々幹事長からいただきましたということを表に出せないということじゃないですか。それから個人も、いや、これは幹事長からもらったお金だということを出せない。つまり、裏金なんですよ、これは。だから、五年間で五十億近い、そういう巨大な裏金が存在しているということなんですね。
 政治資金収支報告書というのは、やはり国民の不断の監視、透明にすることで監視ができるようにする、そういう考え方でできている法律ですから、そこに、領収書も要らないような巨額の、合法的な裏金と私は申し上げておきたいと思いますが、一応法律上は可能ですから。そういうものをつくることが政治資金規正法の基本的な考え方に私は反していると思うんですが、いかがですか。
岸田内閣総理大臣 まず、先ほど申し上げたような形で政策活動費を明らかにすること、使途等を明らかにすること、これについては政治活動に影響が出るということを申し上げました。それと一方で、政治活動の公明と公正を確保するために、国民の知る権利に応えていく、こうした課題があります。この二つの課題の両立の中で長年この問題について議論を行ってきた、これが政策活動費を始めとする政治資金をめぐる法律のありようであると認識をしております。
 この二つの課題の両立の中で今日の法律があるということを考えますときに、これを変えるとか内容を明らかにするということになるならば、これは各政治団体共通のルールとして行うべきであると我々は考えております。
岡田委員 ですから、共通のルールはいいんですよ。恐らく、公明党さんも含めて、こういうものはやはりやめようというか、あるいは使途を明らかにしようというのはみんな共通しているんですから。自民党さんだけですから、そうじゃないのは。だから、自民党の考えを示してもらいたいんですよ。
 私、もう実は政党、民主党の幹事長を三回、そして今、立憲民主党の幹事長をやっています。だけれども、政策活動費がなければ党が回らないというふうに考えていないんですね。現に、私が幹事長になってから、立憲民主党で政策活動費なるものは認めていません。決裁しません。
 ですから、では、どういう場合に、政治活動に支障が出ると言われますが、ちょっと具体例を挙げていただけませんか。どういう政治活動に支障が出るんですか。それはどうして表に出せないんですか。全ての政治活動は領収書を切る、ガラス張りにする、これは全ての前提だと私は思いますが、いかがですか。
岸田内閣総理大臣 だからこそ、先ほど申し上げた点において政治活動に影響が出るということを申し上げたわけであります。
 個人のプライバシー、あるいは企業、団体の営業秘密を侵害すると申し上げましたが、党の関係において調査研究を請け負うということについて、それぞれの企業ですとか個人のプライバシー、営業秘密、これを守るという観点は重要であると思います。
 政治における様々な党の運営方針について、他の政治勢力や外国からも明らかになったりする、こういった点でも政治活動に影響が出てくる、こうしたものである、こういったことから、長年の議論の結果として今日の法律ができていると承知をしております。
 この共通のルールについてどう議論をするのか、こうしたことについて今様々な指摘がなされていると承知をしています。
岡田委員 総理の今の答弁は、状況を説明しているだけで、自由民主党としてどうするかは全く語っておられないんですよ。まず全面拒否に近いんですよね、ほかの問題と比べても。
 しかし、それで本当にいいんですか。今回の裏金問題、大変深刻ですよ。だけれども、五年で五十億近いお金が、領収書もなくて、どうやって使われたか分からないということ、これもすごく深刻な問題じゃないですか。そういうことを放置していいんですか。いかがですか。
岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げました、政治活動の自由と、そして政治資金に対する国民の知る権利のバランスの中で今日まで議論が行われてきました。その結果が今の法律の現状であると認識をしています。
 これについて、引き続き、今言ったバランスの中でどう考えるのか、これを議論するということについて、我々自民党においても決してその議論を避けるものではありませんが、こういった二つの大きな課題についてのバランス、これを考えた上で、共通のルールを考えることが重要だと申し上げております。
岡田委員 それでは、具体的にちょっと一つお聞きしたいんですが、党の幹事長、あるいはほかの役職者を通じて、政策活動費が派閥に行っているということはないですね。断言していただきたいんですが、どうですか。
岸田内閣総理大臣 党勢拡大、政策立案あるいは調査研究のためにこうした政策活動費を使うと申し上げております。
 それ以上については、法律に従って明らかにすべきものであると思っています。
岡田委員 否定されなかったわけですので、そうすると、役職者を通じて派閥に金が行って、その先は全く公開する必要もない。これはやはり立派な裏金じゃないですか。そういうことをやっていて、国民の理解を得られると思っているんですか。
 この前、自民党愛知県連がこういう発表をされたんですね。愛知県連でやっているパーティーの、一億五千万というパーティー、なかなか立派なものだと思いますけれども、県連ですからね、そのうちの三千二百万円を議員個人に活動費の名目で出していましたと。だから、政党本部だけじゃなくて県連ベースでもこういう政策活動費的なものがある、そこから個人に行っている。これはやはり余り透明性が高くないので、これからやめますという記者会見をされたんですね。でも、前進されたことは評価しますが、今までそういうふうにしてやってきた。
 だから、本部だけじゃなくて県連ベースでも、場合によっては政党支部だってできることになっちゃうんですよ。個人に渡したら、その先、何に使ったか分からない、そんな不健全なことを、総理、認めていいと思っているんですか。いかがですか。
岸田内閣総理大臣 愛知県連のケースにつきましては、自ら説明等、対応していると承知をしております。
 政治資金の取扱いに疑義が生じた場合、国民に対して丁寧な説明を行う、当然のことだと思います。
岡田委員 ですから、県連から議員個人にお金が行って、その先は何に使ったか分からない、そういう話なんですよ。それが健全だとは私はとても思えませんね。
 ほかの県連でも同じようなことがないのかどうか、あるいは総支部で同じようなことがないのかというのは、きちっと党として調査された方がいいと思いますよ。
 政策活動費以外に、旧文通費の話もあります。
 これも、我々、月間百万、年間一千二百万受け取って、そしてその使途は、一定のルールはありますけれども、それに沿って使われているかどうかを発表しなくてもいいという仕組み、やはりどう考えてもおかしいですよ。だから、私たちは維新の皆さんや国民民主党の皆さんと一緒になって法案を出しましたけれども、あなたたちはずっとそれを無視しているじゃないですか。このぐらいのことを、どうしてできないんですか。
 県会レベルでは、いろいろな政策費などについて、出たお金は全部領収書を添付して、そして、一般の批判といいますか、それにさらされるようになっているんですよ。国だけじゃないですか、こんなことをやっているのは。いいかげんにやめませんか。
岸田内閣総理大臣 調査研究広報滞在費、旧文通費につきましては、今日まで各党の中で議論が行われ、そして改善も行われてきた、こういった経緯があると承知をしております。
 先ほど申し上げました自民党の中間取りまとめにおいて、運用面で自民党単独で対応可能なものについては速やかに実行する、こういった決定を行いました。そして、各党各会派で議論が必要な制度対応については真摯に取り組む、この決定をいたしました。
 調査研究広報滞在費、これはまさに議員活動の在り方に関わる重要な議論であります。これは各党各会派の議論が必要であると認識しており、自民党もその議論に真摯に参加をしてまいります。
岡田委員 議論に参加するんじゃなくて、やはりこういうものはきちんと公開するんだという方針を自民党として出してもらいたいんです。もう私たちの考え方はみんなまとまっていますから、自民党さえ賛成してくれれば、すぐにでもできますよ。阻んでいるのは自民党なんですよ。
 そこをしっかりやってもらえませんか。いかがですか。
岸田内閣総理大臣 旧文通費については、各党様々な意見があると承知をしております。これは是非、この議論を真摯に行うことで、全党共通のルールとしてどうあるべきなのか、議論をしたいと思います。
岡田委員 もう時間もなくなってしまいましたが、最後に一言だけ。
 政治資金の透明性の確保。これは全てデジタル化して、誰もがアクセスできるようにすれば、透明性は一挙に高まりますよね。そういうことを私たちは提案しています。「日曜討論」で茂木さんの発言を聞いていると、必ずしも否定的ではなかった。是非これはやろうじゃないですか。
 それから、監査。登録政治資金監査人制度というのができました。もう大分こなれてきたとは思います。だけれども、これは大きな問題があるんですよ。党本部にはかかっていないんですよ。我が党は独自にやっています。相当なお金を使って監査法人の監査を受けていますけれども、やはりこれを政党にも義務づけませんか。
 そしてもう一つは、その監査の対象が支出だけなんですよ。やはり収入も含めて、収支報告書なんですから、収入、支出いずれもきちっと監査の対象にするということをまずやりませんか。いかがですか。
岸田内閣総理大臣 先ほど申しました我が党の中間取りまとめにおいても、党所属議員の政治資金の透明性向上を図るため、収支報告書についてオンライン提出をするということを通じて政治資金の見える化を図る、政策集団の収支報告書の提出に当たり外部監査を義務づける、これは我が党独自の運用として、まずすぐに改革に取り組む、こういったことを確認しております。
 これを各政治団体共通のルールとして決める、こういった議論につきましては大変重要だと認識をいたします。真摯に各党各会派と議論を行います。
岡田委員 終わります。




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