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RCEP(地域的な包括的経済連携協定) ― 早期に発効を

 外務委員会でRCEPに関して質疑しました。
 RCEPはASEANと日中韓三ヶ国、オーストラリア、ニュージーランド、インドの間(ASEAN+6)の経済連携協定として野田政権のもとで交渉開始が決定され、インドを除く各国間で合意が形成されたものです。本日の衆議院本会議で可決されました。
 私が外務大臣当時は、中国がASEAN+3(日中韓)を、日本はそれにオーストラリア、ニュージーランド、インドを加えたASEAN+6を主張して交渉していました。インドが国内事情から参加を見送ったことは残念ですが、経済レベルの差のある各国がそれを乗り越えて共通のルール作りに至ったことを喜んでいます。

 私がまず取り上げたのは中国の問題です。RCEP交渉にあたり中国が主導したとか、今後RCEPは中国に有利には働くとの指摘があることについて。中国とASEANだけの交渉よりは、日本や韓国、オーストラリアも加わってのルール作りの方がより公平なものとなり、また共通のルールを持つということは、すべての関係国にとってプラスだと指摘しました。
 インドが未加入だったことは残念ですが、国内事情もあり当面はやむを得ないと思います。しかし、インドの存在は政治的に重要で、また日本にとって将来の巨大市場でもあります。私は締結10年を迎えた日印包括的経済連携協定にRCEPで議論された内容を取り込むなど抜本的な改定をすることで日印関係を更に深化させると指摘しました。
 ミャンマーについて、クーデーターに正当性はないと日本政府は主張している以上、現在の国軍中心の「政府」や「議会」が批准したとしてもこれを認めることはできないと明確にいうべきと指摘。何度か重ねて聞きましたが、茂木大臣の答弁はあいまいなものでした。これでは、「政府」を正当化するのではとの疑念がもたれても仕方ありません。
 RCEPは成長するアジアにおける共通のルールであるのに対して、TPPは民主主義国家のハイスタンダードな経済連携協定と考えるべき。TPPは、米国復帰を働きかけることに加えて、EUを参加させる必要があると指摘。日本の経済外交として二つの仕組みを戦略的に使い分けていく必要があります。
 企業と国との紛争処理のためのISDS条項について、日本の企業にとっては司法制度が十分整備されていない国に対する紛争処理のために有用なのはわかる。しかし、これからは巨大企業から日本も含めた各国政府が訴えられることを考えなければならない。ISDS条項は一審制であり、公開も求められていない。他方で、欧州は多国間投資裁判所の創設を目指している。中長期課題として、日欧米で共通のよりよい制度作りを目指すべきだと指摘しました。
(平成30年5月16日 私の外務委員会の河野大臣とのやり取り参照 https://www.katsuya.net/topics/article-7608.html

 RCEPは野田政権で内容の大枠が決まり、各国が交渉に入ることを決定、ようやく合意に至りました。日印包括的経済連携協定は小泉政権で交渉がスタートして菅(かん)政権で合意。私はいずれも外相として交渉に関与しましたが、具体的内容は専門家で官僚の皆さんが汗を流して合意形成に至ったものです。TPPも含めて日本政府の果たした役割は大きかったと思います。




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