オリパラ-不足している国民への説明
東京オリンピック聖火リレーが始まりました。大会開会まで4か月、しかし、いまだに開会の是非について世論は分かれています。この間、政府や東京都、組織委員会の説明が十分だったとは、とても言えません。アスリートと国民の安全・安心を確保すること、そして国民に対する説明と納得が必要不可欠であることを肝に銘じてもらいたいものです。
私は、オリ・パラ東京大会の開催を願っています。コロナ禍で苦しむ世界の人々の気持ちをスポーツの力で一つにする、このことに成功すれば、歴史に残るすばらしい大会となるでしょう。そのためには、多くのことを決定し、国民そして世界の人々に説明をしなければなりません。
2月にオリ・パラ組織委員会が発表したプレイブックでは選手について、出国前72時間以内の検査、日本での空港検査、入国後14日間の制限、大会開会中の定期検査(4日に1回を更に厳しくすることも検討)などが決められています。選手の行動範囲は競技会場と練習場、選手村に限定され、移動は専用車両とされています。きちんと守られるのであれば、かなり厳格な管理が行われることになっています。
しかし、まだ明らかにされていないことも多く、早急に決定し、国民に説明しなければなりません。
スポンサー関係者、メディアなどを含む大会関係者は、最大9万人規模とされています。ここにどのような行動制限をかけ、感染拡大リスクを抑えることができるのか。簡単ではないと思いますが、国民が納得できるプランが必要です。感染拡大防止のため、国民に様々な行動制限がなされている中で、入国する人の人数そのものを大幅に抑え込むこと、宿泊、移動などについて選手並みの制限を課すことをどう確保するか。取材をすることが前提のメディアに対する規制は特に困難が予想されますが、どのように調整するのでしょうか。早急に具体策を示す必要があります。
開会式、閉会式も従来のお祭り騒ぎは自制して、少人数で短時間の簡素なものが求められると思います。商業主義や国威発揚が目立った最近のオリンピック開・閉会式です。東京大会はコロナ禍において苦しむ世界の人々が、しっかりと希望を感じることのできるものにしてもらいたいものです。
交流事業などが実質的に出来なくなる中、日本各地でホストタウン・事前キャンプが予定されています。本当にできるのでしょうか。市町村も、予算も人も投入して準備しています。政府や組織委員会が、見合わせるとの判断を早急に行うべきではないでしょうか。
感染対応と、ワクチン接種作業が進む中、自治体職員や医療関係者がオリ・パラ大会実施に伴う負担に耐えることができるかも、見極める必要があります。特に東京都は都議選もあります。果たして対応可能なのでしょうか。都民の不安にしっかりと答えてもらいたいと思います。
海外からの観客を入れないことになりました。国内観客をどうするかの判断は、4月中になされます。国内イベントの上限規制に準じることを基本とするとしていますが、日本中から東京周辺に大きな人の流れができる、それも短期間集中です。通常のイベントと同様に考えてよいのか、感染専門家の意見もよく聞く必要があると思います。
最後に財政です。観客収入が減り、コロナ対策で追加費用もかかる中、IOC,組織委員会、東京都、国の負担の分担はどうなり、都民、国民の負担がどの位になるのかも明らかにする必要があります。
これらの問題に対して、組織委員会や政府は迅速に対応し、そのプロセスを情報公開し、国民や世界の人々の理解と納得を得ながら前に進めてもらいたいものです。最悪のシナリオは、説明不十分なまま開催ありきで物事が決まり、結局東京が第4波到来によって直前に中止が決まることです。このような場合にも世界の人々がやむを得ないと納得できるのは、過程がしっかりと情報開示され、見えることです。組織委員会まかせではなく、政府の責任ある説明が求められています。
