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4/10 外務委員会質問 (新型コロナウィルス関連 核抑止と核軍縮の両立ほか)

【委員会】 外務委員会
【日 時】 4月10日(金) 9時40分~10時26分(46分)

 動画はこちら ⇒ YouTube 【岡田かつや国会論戦】 https://youtu.be/sUci5GfaYrk

【質問要旨】 
  1 投資保護協定関連
  2 新型コロナウィルス関連
  3 核抑止と核軍縮の両立
  4 核軍縮停滞の現状
  5 INF条約失効

                     ――――――――――◇――――――――――

次に、岡田克也君。

◎ 岡田委員 岡田克也です。
 まず最初に、投資保護協定関連について若干御質問したいと思います。
 まず、日・UAEの投資協定ですけれども、ここで天然資源が協定の対象外ということになっております。UAEは、日本にとりましては主要な石油あるいは天然ガスの輸出国で、もちろん、近年いろいろな関係が深まっていることは承知をしておりますが、天然資源が除かれているということは、果たして、投資協定を締結することの意義が大きく失われてしまっているのではないか、そういう気もするわけであります。
 なぜ天然資源が除かれているのか、そして、そのことについて、投資を行う日本企業からの不安とか不満はなかったのか、事務方で結構ですから、御答弁いただきたいと思います。

◎ 高橋政府参考人 お答えいたします。
 アラブ首長国連邦の憲法上、天然資源は、アラブ首長国連邦を構成する各首長国の公共財とみなす旨規定されております。これを踏まえまして、連邦政府を締結主体とする本協定においては、交渉の結果として、天然資源はこの協定の対象とならないと規定するに至りました。
 一方、この規定は、天然資源に関連して行われる投資全てをこの協定の適用対象外とするものではございません。例えば、天然資源を加工、精製する工場などについては、この協定上の投資財産として保護を受けることになります。
 外務省として把握している範囲においては、日本企業からも、本件協定に対する特段の不満は上がっていないと承知をしております。
 先ほど委員御指摘ございました石油の件でございますけれども、我が国企業の自主開発油田に十分な保護を与えることについては、我が国は以前からアラブ首長国連邦政府に対して政府レベルで働きかけておりまして、アラブ首長国連邦首脳からも、十分配慮をするという確約を得ております。
 引き続き、アラブ首長国連邦との間では、さまざまな協議の場を通じて両国の意思疎通をより一層緊密にしながら、我が国投資家や企業への悪影響を及ぼすような大きな問題が生じないよう最大限努力していきたいと考えております。

◎ 岡田委員 次に、先ほど竹内委員の質疑の中にもありましたが、保護型と自由化型の話であります。
 UAE、ヨルダン、モロッコの投資協定、つまり五つの投資協定のうちの三つについては保護型であるということですが、まずお聞きしたいんですが、これは事務方で結構ですが、例えばドイツとかイギリスとか韓国、こういった国とUAEやヨルダンやモロッコとの投資協定も同じように保護型なのでしょうか、それとも例外はあるんでしょうか。

◎ 高橋政府参考人 お答えいたします。
 今委員から御指摘のございましたドイツ、イギリス、韓国に関しましては、アラブ首長国連邦、ヨルダン及びモロッコがそれぞれ締結した投資協定について、いずれも保護型となっております。

◎ 岡田委員 それでは、今まで日本が締結した、あるいは今交渉中だと言われる九十四の国・地域での協定ですけれども、その中で、自由化型の割合というのはどの程度になっているんでしょうか。

◎ 茂木国務大臣 七十八の国・地域との間で発効済み、そして署名済みの投資関連協定の中で、自由化型の協定は、全体の四分の三、五十九カ国・地域をカバーしている、このように考えております。

◎ 岡田委員 自由化型四分の三にもかかわらず、今回、五つのうち三つが保護型だというのは、若干残念な気がいたします。
 先ほど大臣も、自由化型が望ましくて、現在の保護型のものも自由化型に変えていくことの必要性に言及されましたが、それぞれの国の事情はあるにしろ、そして、ほかの国も保護型だというお話もありましたが、日本こそが先頭を切って、より開放的な投資保護協定を締結していく、そういう必要があるというふうに思います。
 これからの見直しに当たって、そのことを柱の中心にするということについて、大臣のお考えを聞きたいと思います。

◎ 茂木国務大臣 基本的な認識はそのように考えております。
 ただ、岡田委員も御指摘のように、相手国の事情等もありまして、まず投資したものについて保護をする、こういったことも必要になってくる場合がありますから、それぞれの事情を考えながら、しかし基本は自由化型の方向に持っていくということで考えたいと思います。

◎ 岡田委員 それでは次に、新型コロナウイルス関連で若干質問したいというふうに思います。
 まず、前回、金曜日のこの委員会での質疑の中で、その当時の数字として、約四千名の帰国希望者があって、そのうち千名は出国手段が決まっていないというふうに答弁がありました。
 この約千名の金曜日の段階で出国手段が決まっていなかった人たちについて、外務省としていつまでに帰国させることができるというふうに考えているのか、そのめどを、これは事務方で結構ですから、御答弁ください。

◎ 茂木国務大臣 かなり数字は今変わってきております。
 まず、各国の在外公館、出国を希望してもできない邦人の方々の出国に向けて、毎日、現地政府であったりとか航空会社への働きかけ、調整、チャーター機の他国との共同の利用、例えばアフリカなんか在留邦人が少ない、そうすると、例えばフランスに帰る人と一緒に帰ってくる、こういうケースもあったりもいたします。さらには、現地日本人会、商工会との協力であったりとか帰国希望者の取りまとめ、これもその日によって帰りたいとおっしゃったり、もうちょっととどまろうかと、そういう状況も変わってきたりもいたします。さらには、空港への移動について制限がある、こういった支援等々、さまざまな支援を行ってきております。
 その結果、これまで、ペルー、ポーランド、ウズベキスタン、バングラデシュ、フィジー、ラオス、インドなどの国々から、かなり出国が困難な国々から、合計で四千六百名の邦人が出国又は帰国をしております。
 まだ残っておりまして、出国を希望している、帰国を希望しているのに邦人が帰国できていない、国でいいますと、昨日時点で六十カ国以上あるという状況であります。
 そこの中で、邦人が直面している状況、今申し上げたように違っておりますが、また日々変化をしておりますが、暫定的に申し上げますと、昨日時点で三千三百名、帰国を希望する方がまだ海外にいらっしゃる。
 このうち、臨時商用便であったりとか民間チャーター便の運航に対する在外公館の支援によって出国日が確定している邦人、これが大体二千名、移動手段は確保したんだけれども具体的な出国日が調整中の邦人、これが約九百名、もともと千名と申し上げていた出国手段等について検討を進めている邦人、これが四百名ということでありまして、この四百名の方も含めて、できるだけ早く希望する方が出国できるように、これは毎日状況をアップデートしております。私を中心に、領事局、そしてまた各地域局、そして関係する在外公館、一体になって取り組んで、早期の帰国、これを実現していきたいと思っております。

◎ 岡田委員 今の御説明だと、現時点で帰国を希望しながらまだ具体的なめどが立っていない人は四百名ということですが、実は、まだこれは更にふえていく可能性があると思うんですね。今は帰国するつもりはないとか、迷っているけれども状況の進展に応じてやはり帰国したいという人が今後新たに出てくる可能性は当然あるというふうに思います。
 特に、医療体制が十分でない、例えばアフリカとか南アメリカとかアジアの一部とか、そういう国々で感染者がどんどんふえてきて医療体制が崩壊するという中で、命の危険を感じて、やはり出国せざるを得ないというふうに思う人がふえてくるんじゃないかというふうに思うんですね。そういう邦人の保護というのは外務省の最も重要な役割の一つだというふうに思います。
 大臣も、先ほど御説明にあったように、恐らく省を挙げて世界じゅうから、どこにどういう人がいるのかということを大使館、領事館などを通じて把握をして、個別にどうすべきかということを検討されているんだというふうに思いますけれども、非常に重要な案件だけに、外務省の責任は重大だというふうに思っています。
 この問題、これからも新たな出国希望者が更にふえていく可能性が高いという中で、そして、その国の状況が悪化をする、そういう可能性が高いという中で、外務大臣の決意をお伺いしたいと思います。

◎ 茂木国務大臣 そういう懸念、これを持ちながらこれまでも対応してまいりまして、例えば、アフリカは医療提供体制が脆弱な国が多いわけでありまして、三月三十一日には広域情報を発出いたしまして、至急の帰国をできるだけ検討してほしい、こういった情報を出し、さらには、それぞれの在外公館に、在留している日本人について、また旅行者について帰国の希望をとるということをやっておりまして、今の段階で申し上げますと、日々、若干ふえる人がいたり、また、もうちょっととどまってもいいんじゃないかな、こういう人がいたりという状況の中で推移をしておりますけれども。
 そういう、特に途上国において感染拡大したときにはどうするかということを念頭に置きながら今やっておりまして、例えば、そういった中でカタール航空の航空便が飛んでいるというのは非常に大きいんです。また、エチオピア航空も来週は飛ぶ形になると思います。二便出すと思いますけれども、こういった便をきちんと確保していったりとか、何カ国か回りながら何人かずつ拾っていくというオペレーションであったりとか、さまざまなことを検討し、具体化していきたいと思っております。

◎ 岡田委員 実は、出国を決意するかどうかということに当たって、日本国内の受入れ体制というのも非常に重要だと思うんですね。これは外務省の役割ではないということかもしれませんが、内閣一体でこれはやっている話なので、外務大臣にお聞きしたいと思うんです。
 今、日本国内では、海外からの帰国者はPCR検査を行う、そして、陰性が明らかになった人については公共交通機関を利用せずに帰宅してもらう、こういうルールになっているというふうに理解しております。
 先般の緊急経済対策の中でも、「隔離が必要な帰国者等の受入れ体制について、」ここには陰性ということが明らかになった人も含まれるんだと思いますが、「について、公共交通機関に代わる移動手段の確保を含め、関係省庁の連携により、十分に確保する。」移動手段を確保する、こういう記述もございます。
 今、どうなっているんでしょうか。帰っても、自分で、自力で帰れと、空港なり、あるいは一泊、検査のためにはするのかもしれませんが、そこから自力で帰れと言われても、具体的に会社や家族が迎えに来てくれるわけではない、あるいは、羽田や関空におり立ったけれども、実家は北海道や九州にある、そういう人に自力で帰りなさいと言うのは、そういうルールを無視して、公共交通機関を利用して帰ることを内々是認しているか、あるいは帰ってくるなと言うに等しい話だと私は思います。
 きちんと、各省庁の連携によって移動手段を確保するというふうに緊急経済対策に書かれたわけですが、今、本当にそういうことができているのかどうか。海外からの帰国者は、かなりラッシュ的にどんどん戻ってきていると思いますが、そういう人たちはどうやって自力で帰っているのか。私は非常に懸念するわけですが、そういったことについて、大臣、閣僚としての判断、それからどうすべきかということについてお聞かせいただきたいと思います。

◎ 茂木国務大臣 海外からの邦人の帰国者、この後どう推移していくかわかりませんけれども、若干ラッシュは過ぎたかな、こんなふうに思っております。移動制限、これが四月の三日から発令をされるということで、その前に、第一波といいますか、かなりな数で帰ってきている。更に申し上げると、外国の方で日本に訪れる方は、先ほど申し上げたように、もう百人を切る、こういうレベルになっているわけであります。
 そういった中で、御指摘の、PCR検査で陰性だった帰国者について、十四日間の待機であったりとか公共交通機関の不使用の要請対象となっているわけでありまして、確かに、公共交通機関を使わずにどうやって帰るのか。企業の方だったら、今、企業の方で独自に車を手配したりとかありますけれども、なかなかそういうことができない方もいらっしゃる。こういった方については、空港近隣での宿泊施設等への移動の支援など、またその紹介等を検疫所が中心になってやっていると承知をしておりますが、更に関係省庁で協力をしながらそういった取組を進めていきたいと思っております。
 これも私は重要だと思っております。同時に、在外にいらっしゃる方にとってより大きなハードルというのは、何しろ、まず現地で空港までたどり着けるか、現地で飛行機に乗れるか、こういう問題の方が大きいと思っておりまして、それは我々の仕事だという思いで、先ほど申し上げたような形で全力で今取組をしているところであります。

◎ 岡田委員 もちろん、外務省の本来業務は大臣おっしゃるとおりなんですが、ピークは過ぎたとおっしゃるけれども、まだ三千三百人が帰国を希望しているわけですね。そういう人たちについて、例えば、今、二週間のホテルを手配するということも言われましたが、これは国が持つんですか。恐らくこれは自己負担じゃないですか。それから、先ほど言いましたように、どうやって自力で北海道や九州まで帰るんですか。
 ここのところの答えがないままに、こういう、自力で帰ってくださいと言っているのは、私は、国として非常に無責任、それから感染の可能性もそれだけ広がるということなので、内閣としてしっかりと、手当てするというふうに書かれたわけでもありますので、自力で帰るということではなくて、帰る手段を国として責任を持って手当てをしていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

◎ 茂木国務大臣 基本は厚生労働省の所管になってくる部分が大きいわけでありますが、御意見はしっかり受けとめさせていただきたいと思います。

◎ 岡田委員 それから、今回のこの新型インフルエンザの問題で、日本としてどうすべきか。
 予備費を使った対策は、ほぼ百億円、これは国際機関への出資などで、例えばWHOとかユニセフとか、そういったところへの出資、拠出がなされたというふうに理解をしておりますが、今度の補正予算について、九百億円ぐらい対策費として計上されているというふうに理解をしておりますけれども、国際機関への資金拠出も大事ですけれども、やはりそれ以外の、大臣も先ほど言われた無償とか技術協力とか、そういうものが必要だというふうに思っております。
 例えば、日本にとって重要なインドネシアとかベトナムとか、あるいはインドとか、そういった国に対して無償とか技術協力で具体的にどういうことをやろうとしているのか、これは事務方で結構ですから、御答弁いただきたいと思います。

◎ 鈴木(秀)政府参考人 お答え申し上げます。
 我が国としては、国際社会の先頭に立って、医療体制、保健システムが脆弱な国々を支援する所存でございます。
 御指摘のとおり、先月十日には、ASEAN諸国やインド等を含む途上国に対して、医療、保健従事者への技術協力や衛生施設、病院、検疫施設に対する物資供与等の緊急支援を行うべく、ユニセフ等関係の国際機関への拠出として計百五十・一億円を計上したところでございます。
 これに加えて、四月七日に閣議決定されました緊急経済対策に掲げましたとおり、御指摘のようなASEAN諸国あるいはインドなど医療体制が脆弱な途上国における新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、二国間の無償資金協力やJICAによる技術協力を通じ、各国の多様なニーズを踏まえつつ、医療機材の供与あるいは検査等に関する人材育成、キャパビル等を実施していく、そのような考えでございます。
 また、世界的に新型コロナウイルス感染症が拡大する中、医療、保健、衛生分野に対する世界的な関心、需要の高まりを受け、これらの分野における我が国企業の製品、インフラ、技術を活用した無償資金協力、技術協力等、二国間協力についてもしっかり行っていくという考えでございます。

◎ 岡田委員 例えば医療機材とか、あるいは薬とかということですが、世界的に新型コロナウイルスに関連して必要なものは逼迫していて、日本自身も入手することが容易でないものもある。そういう中で、これは本当にできるんですか。何か絵に描いた餅であるかのように思いますが、もう少し具体的にお話しいただけますか。

◎ 鈴木(秀)政府参考人 お答え申し上げます。
 無償資金協力を通じたさまざまな二国間支援については、途上国への医療用機材の提供に当たり、相手国のニーズ、そして、日本国内の需給あるいは世界的な需給の状況等を踏まえながら、対象となる機材、これはできるものを適切に選別していく、そういったことでございますし、また、国民生活に影響のない範囲でそういう支援を行っていくということを考えております。
 また、国際機関を通じた支援の具体的内容については、国際機関が専門的な知識を活用しながら、途上国のニーズを踏まえて適切な医療機材を実施するに加えて、また、大変重要なところは、そういったものを使う医療あるいは保健の従事者、これに対するトレーニング、キャパシティービルディングを行っていく、これが大変重要なことだと思っておりまして、そういったこともしっかりやっていく、そのように考えております。

◎ 岡田委員 今、まさに現場は火の車の状態であるときに、トレーニングといって、誰がどうやってトレーニングするのかというのも余りぴんとこないんですね。
 大臣、やはりここは、先頭に立ってとか、言葉はいいんですけれども、具体的に日本外交として非常に重要な場面じゃないかと。
 今までアジアにいろいろなことがあったときに、例えば金融危機のときに、日本の存在、果たした役割というのは非常に大きかった。そのことはASEANの国々もよく覚えている。それに比べると、今回、自国が大変な状況にあるだけに難しい面があることはわかりますが、やはり発信も含めて、しっかり日本外交の存在感というものを示していかないと、これは終わった後、またアジアにおける日本の立ち位置というのが変わってきてしまう可能性もあるというふうに思いますが、大臣の決意をお伺いしておきたいと思います。

◎ 茂木国務大臣 アジア通貨危機、たしか一九九七年の七月、タイから起こったと。為替の下落等々ありまして、東南アジアを中心にしながら、アジア各国に影響が及んだ。
 当初、日本の方が影響が少ないという中で、流動性支援であったりとかODAを活用した支援、これは日本が大きな役割を果たした、これは間違いないと思っております。
 恐らく今回の新型コロナウイルス感染症への対応ということでは、まさにこれからが本番になってくるのではないかなと考えておりまして、各国が自分の国での拡大の防止を図る、こういうフェーズから、それもやりながら、国際的な、特に医療提供体制が脆弱な途上国に対する支援を行っていくという形でありまして、恐らく補正予算、これから最終的に確定をすることになると思うんですが、二国間のものと国際機関のものを比べると、恐らく二国間のものを若干多くしたい、こんなふうに今考えております。
 そういった中で、やはり、すぐにきくものがいいんだと思っているんです、基本は。出せるもので、向こうが欲しがっている中で。それは、日本で今足りないものもありますけれども、いろいろなものについて今増産体制に、人工呼吸器なんかは入っております。今まで一旦生産をとめていた会社もまた生産を復活する、こういうのもありますので、現地のニーズであって、また、こちらがどこまで供給できるか、そういったことを適切に判断しながらやっていきたいと思います。
 また、アビガン、物すごい、やはり、私も電話会談とかやっていますけれども、みんな要求されますよ、日本のアビガンが欲しい。ということで、恐らく五十カ国ぐらいに、共同での治験、このためのアビガンを提供する、こういったこと。もちろん、副作用はありますから、どういう副作用があって、使うに当たってはどうしてください、こういったこと、免責条項、こういったことも合意をした上ででありますが、そういった提供も含めて、日本としてやれる協力、しっかり進めていきたいと思っております。

○岡田委員 治験のためのアビガンの供与というのはわかりますけれども、やはり安全性ということも当然重要で、過去のいろいろな例を見ても、こういった、いわばパンデミックが起きたときの対応で誤った対応がなされたこともありますから、そこは一方慎重に、しっかり副作用などを見きわめる、そういうことも要望しておきたいというふうに思います。
 さて、核軍縮の話を少ししたいと思うんですが、大臣、まず、日本もアメリカの拡大抑止に依存している国の一つでありますけれども、核兵器保有国の拡大抑止に依存することと核軍縮を唱えることと、この二つは私は両立可能である、一部に、拡大抑止に依存しているから核軍縮が言えないというような議論もありますが、私はそうではないというふうに考えていますが、大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

◎ 茂木国務大臣 基本的に岡田委員と同じ認識でありまして、現実的な必要性としての核抑止力と今後の方向性としての核軍縮、これは矛盾するものではないと考えております。
 現在、国際社会には、核戦力を含みます大規模な軍事力というものが存在し、さらには大量破壊兵器の運搬手段であります弾道ミサイルが移転、拡散をしております。そのような現実、厳しい安全保障環境において、自国の安全保障のための抑止力、また拡大抑止、こういったものは、私は、善悪ではなくて、必要なものなんだと思います。
 一方で、軍備や兵器の過度な増大というのは、不信感であったりとか脅威意識を高めて、国際関係を不安定にして、武力衝突そして武力紛争、またそのエスカレーションを引き起こすことになりかねないわけでありまして、特に核兵器の場合は、その破壊力の大きさ、またその拡散リスクの観点からも、軍備管理を進めることが重要な課題だと思っているところであります。
 我が国について申し上げますと、我が国の周辺には、国の具体名を挙げなくても御案内のとおり、質、量ともにすぐれた軍事力を有する国々が集中をする、軍事力のさらなる強化、軍事活動の活発化の傾向が顕著になっているわけでありまして、核兵器のない世界の実現に至る道のりにおいて、現実に核兵器などの我が国に対する安全保障上の脅威が存在する以上、日米安全保障体制のもと、抑止力を含みます米国の拡大抑止は不可欠なものだと考えております。
 同時に、軍備や兵器の過度の増大、これが不信感を高め、そういった不信感から核軍縮が進まない、こういう現状にあるわけでありますから、核軍縮を進めるに当たっては、残念ながら、一歩一歩、急に全てが解決するのではなくて、一歩一歩、信頼醸成を積み重ねて不信感を取り除きながら、段階的アプローチで核軍縮を地道に前に進めていく、これが求められるんだと思っております。そういった取組を着実に進めていくことによりまして、究極的には核廃絶につなげていきたい。
 こういった形で、冒頭申し上げたような、現実の対応としての核抑止力、現実の必要としての核抑止力と今後の方向性としての核軍縮、これは矛盾するものではないと考えております。

◎ 岡田委員 ちょっと具体的に聞きたいと思います。
 今、米ロ二大国の核弾頭数、それぞれ六千発以上あるというふうに言われております。もちろんそのほかにも、フランス、イギリスあるいは中国、その他の国々がありますが、米ロで全体の九割近くを占めるというふうに言われております。この米ロの核弾頭数をバランスをとりながら減らしていくということは、日本の安全保障上、問題になるのかならないのか。
 バランスがとれない減らし方をすれば、それは脅威は増すかもしれませんが、バランスをとってこの六千発以上という非常にばかげた、人類を何度でも絶滅できるような、そういう規模を縮小していくということは、日本の安全保障にとって決して問題にはならない、バランスがとれていれば、というふうに私は考えておりますが、ここの点について大臣の御見解を聞きたいと思います。

◎ 茂木国務大臣 まず、バランスのとれない削減、これに米ロ双方とも合意するということはないんだと私は思います。基本的には、双方が納得する形でない限り、こういった削減というのは進まないわけでありますから、当然バランスがとれた形で削減というのは進める。
 そして、それを進める上で、先ほども申し上げましたが、相互の不信感であったりとか脅威意識、これを十分に抑制できるような形の、信頼できる削減のスキームとか対話の継続、こういったものが極めて重要だと考えております。

◎ 岡田委員 バランスをとって減らしていくことについて、大臣、私の認識と同じだというふうに理解しましたが、最近、一部のというか、大部分と言ってもいいかもしれません、非核国と、それから米ロを中心とする核保有国との対立が激化しているという現状があります。
 私は、その最大の理由は、やはりNPT条約に定めた、核保有国が誠実に核軍縮交渉を行う義務、第六条ですね、これが果たされていないということが最大の原因ではないかというふうに思っております。
 そもそもNPT条約というのは極めて不公平な条約で、当時核を持っていた五つの国に対しては核保有を認めながら、ほかの国は未来含めて核を持つことは許さない。その不公平感をつなぐブリッジのような役割が六条で、いや、核保有国は核軍縮を目指していきますよと。そういう意味で六条というのは非常に大事だというふうに思うんですが、最近、そういった核保有国、これは米ロだけではなくて中国などもそうなんですが、核軍縮が前に進んでいないということが非核国との対立を生んでいる最も大きな理由ではないか、そういうふうに私は思っておりますが、外務大臣は同じ認識でしょうか。

◎ 茂木国務大臣 まず、不信感ということで申し上げますと、今NPTで定めた核保有国五カ国の間にも不信感があります。そして、核保有国とそうでない国の間にも不信感がある。さらには、核兵器を持っていないとされる国の間、若しくは五カ国と認められていない、五カ国に定められていない国の間でも不信感がある。さまざまな立場の違いであったりとか核軍縮を進める上でのアプローチの違い、こういったものはあるのではないかなと考えているところであります。
 そこで、御指摘いただきましたNPTでありますが、恐らく、NPTで定めた核兵器国五カ国とその他の国々を完全に分けて、担うべき義務のバランスということでいいますと、岡田委員おっしゃったとおりなんだと思いますが、その上で、もう少し厳密に申し上げますと、NPTにおきましては、米国、ロシア、英国、フランス及び中国の五カ国を核兵器国と定めた上で、これら五カ国を含みます締約国全てに核軍縮誠実交渉義務、これが課されている。ただ、たくさん持っているかどうかによって、その義務の負担というのは当然変わってくるものだと思います。
 同時に、NPT、これは、非核兵器国への核兵器の拡散防止、そして全ての締約国によります原子力の平和利用、これについて規定をしているわけでありまして、このように、NPTにつきましては、核兵器国及び締約国の核軍縮、そして核不拡散、原子力の平和利用、これを三本柱として、全体としてこのような構成になっている、私はそう理解しております。

◎ 岡田委員 大臣のおっしゃるとおりですけれども、このNPTの最大の重要な点は、やはり世界の核の九割を保有するロシアと米国の軍縮ということだと思います。それが、逆に今、軍拡に行きかねないような状況。
 もちろん、そのほかにも、中国が核能力をふやしていることとか、五カ国に含まれない、特に中東におけるイスラエルの存在とか、あるいは、だんだん五カ国以外の核保有国がふえてしまっていることとか、いろいろな問題はありますが、一番根本の問題は、圧倒的な核を持つロシアと米国がその軍縮の流れから今逆流しているということに私はあるというふうに思います。それが本質じゃないかというふうに私は思っていますが、いかがですか。

◎ 茂木国務大臣 大きな原因であるのは間違いないと思っておりますが、ただ、プレーヤーといいますか、中国の存在が大きくなってきている、米ロだけで進めても、同じようなことがほかの国で起こったら全く実効性を持たないんじゃないかな、米国内にはそういった考えもあるんだと思います。

◎ 岡田委員 トランプ政権になって、INF条約が米国政府の通告によって失効した。それから、その上で、新たな中距離核の開発が進められようとしている。それから、現状のままですと、新START条約も延長されないまま失効する可能性が私は高いというふうに思っています。そうなれば、戦略核レベルでも軍拡競争が始まる。つまり、核軍縮の今大きな瀬戸際の段階、これをやはり何とかしなければいけない。
 私は、もちろんロシア側も、INFの協定違反、米国が指摘するような違反もあったりして、非常に問題があると思いますが、やはり主体的に一番動いているのはアメリカであって、そこに対してどう歯どめをかけるか。これは同盟国としても非常に重要なところじゃないかというふうに思います。
 大臣、お聞きしますけれども、このアメリカの動きについて、日米外相会談あるいは首脳会談で議論したことはありますか。

◎ 茂木国務大臣 日米外相会談、ポンペオ国務長官の間ではさまざまな、これは外交、安全保障にかかわる問題について議論しております。

◎ 岡田委員 さまざまな議論をしているのはいいんですけれども、核についても恐らくいろいろな議論をしているはずだと私は思っていますが、少なくとも、このNPT体制をこれから維持していくために、米国の今の活動、もちろん大統領が主導してやっている感もありますから、なかなか難しい部分もありますが、しかし、日本として、そういう方向性について疑義を呈するというか、方向を修正するというような、そういう議論を国務長官との間でされたことはありますか。

◎ 茂木国務大臣 まず、NPTに関しましては、ことしに入ってからも、五つの核兵器国、二月に会合を開催して、NPTへのコミットメントを表明して、また三月にも、NPTの発効五十周年になったわけでありますけれども、それに際して外相共同声明を発出して、NPTへのコミットメントを再確認したところでありまして、そういったコミットメントをどう具体化させていくかというところが各国の力なんだろう、そんなふうに思っております。
 そして、INF全廃条約、これは軍備管理、軍縮において歴史的な役割を果たしてきておりまして、同条約が終了せざるを得なくなった状況については望ましくないと考えておりますが、同条約が終了に至ります米国の問題意識、これは私なりに理解をいたしております。
 米国が主張するところのロシアによります深刻な条約違反が継続したことに加えまして、INF全廃条約で米ロに廃止が義務づけられていたミサイルをそれ以外の国々が開発、実戦配備している状況が出てきている現実を踏まえた対応というのがやはり必要になってくるんだろうと思います。
 アメリカも、米ロを超えたより広範な国家、より広範な兵器システムも含みます幅広い軍備管理の重要性、指摘をしていると承知をいたしております。
 我が国として、本件、東アジアの安全保障にも直結することから、もちろん高い関心を持っておりますし、望ましい安全保障環境を確保し、米国と連携しつつ、アジア地域における透明性の向上の観点も含め、しっかり今議論していくことが重要であると考えております。

◎ 岡田委員 米国政府がINF離脱を通告したのは二〇一九年二月一日。二月五日に当時の河野外務大臣は、私はこの離脱通告についてちょっと待ってくれということを本来日本として言うべきだったと思いますが、そういう発言は余りなく、河野大臣が言われたのは、日本としてはINFのマルチ化を積極的に働きかけていきたい、こういう記者会見での答弁だったわけですね。
 大臣おっしゃるように、例えば日本の周りを見ても、中国とか、中距離核を持つ国も出てくる中で、あるいは北朝鮮もあります、マルチ化ということはわかりますけれども、では、INFを失効させてしまって、どうやってマルチ化の絵を描くのか。
 具体的な考え方、アイデアがあった上で言っているならいいですよ。そうじゃなくて、単にINFを失効させてしまった。これは、私は、日本外交としては大きなミスだったんじゃないか、あるいはそういうことも言えないような日米同盟なのかというふうに思いますが、いかがですか。

◎ 茂木国務大臣 先ほども私申し上げたように、INF全廃条約、これは軍備管理、軍縮において歴史的な役割を果たしてきたことから、同条約が終了せざるを得なくなった状況は望ましくない、このように答弁をさせていただいた、このように思っております。
 同時に、東アジアの安全保障環境、これが急激に変化をする中で、やはりこれは米ロだけでいいのかという議論は私はあるんだと思います。より広範な国家、そして、より広範な兵器システムを含んだ軍備管理、これが必要なのではないかな。決して簡単ではありません。私もそう思います。
 ただ、簡単でない、展望が今ないから、それでは、なくていいんだということではなくて、この問題が直面する課題なんだから、それに対してどう展望を開いていくかということを関係国が膝を交えて話し合う、こういった努力が必要なんだと思っております。

◎ 岡田委員 簡単ではないからこそ、一番の基本であるINFを失効させずに、これはこれで、ロシアのいろいろな協定破りについてしっかりと是正していくとともに、そのINFがあることを前提のマルチ化だと私は思うんですね。根っこがなくなってしまって、白紙で中国なども含めてやっていくといったって、具体的アイデアとか展望は現時点で何もないと思うんですよ。
 そういう意味で、私は、INF条約について、もっと日本としてしっかりとその持続について努力すべきではなかったのかということを申し上げて、きょうのところはこれで終わりたいと思います。




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