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2016.01.14|夕刊フジ

極めて荒っぽい安倍首相の答弁に暗澹たる思い(夕刊フジコラム「ズバリ直球」16年1月14日)

 いよいよ通常国会が始まった。私は先週、衆院本会議で2015年度補正予算に対する代表質問に立った。安倍晋三政権の特徴である、「本質的な問題を先送り」「バラマキ」「国民に正直に説明しない」という3つの視点から、安倍首相をただした。
 まず、補正予算案に盛り込まれた、低所得高齢者への臨時給付金(=1人につき一律3万円)は、「国民の税金を使ったバラマキの選挙対策」以外の何ものでもない。
 市町村税の非課税世帯への対策というなら、どうして65歳以上の年金受給者だけが対象なのか。参院選直前の今年5、6月に実施するのか。3600億円もの税金を投入するというが、驚くべき感覚だ。
 TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)については、国会で協定案の内容を説明する前に、国内対策費3122億円が計上された。前代未聞だ。12年12月の衆院選で、自民党は「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。」というポスターを掲げて戦った。農業従事者を中心に「裏切られた」と批判が高まっており、これをなだめる対策なのだろう。
 安倍首相は、代表質問や予算委員会の答弁で、「野党には対案がない」「現実を見ていない」などと反論する一方、「第2次安倍政権発足後、税収が21兆円も増えている」「東日本大震災被災地の高台移転も進んだ」などとアピールしていたが、都合のいい数字や説明を並べた、極めて荒っぽい答弁だった。
 国会審議を通じて、国民に政策を分かりやすく説明していくという真摯な姿勢がまったく感じられない。「悪いことは民主党政権のせいで、いいことは自分の政権のおかげだ」というのか。国会審議を見ていて、これが日本の総理大臣かと暗澹(あんたん)たる気持ちになった。
 民主党としては、1人3万円のバラマキや、保育や介護の施設整備のための基金への拠出(約1420億円)などは、補正予算でやるべきではないと考えている。不必要な部分を削除して、その分、国債の発行を削減する具体的な補正予算組み替え動議を近く、国会に提出する。
 さて、北朝鮮が4回目の核実験を行ったと発表した。「水爆実験」かどうかは不明だが、核開発が相当進んでいる可能性がある。明確な国連決議違反であり、わが国にとっても重大な脅威というしかない。日本も非常任理事国となる国連安全保障理事会で議論をして、北朝鮮を抑え込んでいくべきだ。
 イランが昨年春、核開発能力を制限する一方で、平和・共存への道を歩み始めた背景には、徹底的な経済制裁の力が大きい。北朝鮮にも制裁の強化を考えるべきだが、これには北朝鮮と近い中国の協力が不可欠だ。
 今回の核実験は、中国に事前通告なく踏み切ったといわれている。中国が本気で経済制裁に加われば実効性が出てくる。安倍首相に中国を動かす信頼関係がないなら、米国を巻き込んででも対応すべきだ。北朝鮮の核開発に有効な手を打てなかった一因には、安倍政権下での日中関係悪化がある。安倍首相はその自覚を持つべきだろう。 (民主党代表)




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