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平成28年2月3日 第190国会 予算委員会



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○岡田委員 民主党の岡田克也です。
 まず最初に、先日の甘利前大臣の記者会見について、少し総理のお考えをお伺いしたいと思います。
 甘利大臣の記者会見、いろいろ言われました。私は、腑に落ちないところも多かったわけですが、一番違和感を感じたのは、甘利前大臣が大臣室で五十万円を受け取った、まあ直接受け取ったわけではないんですが、甘利大臣の説明によれば、封筒に、紙袋に入った、その紙袋を後で秘書が確認したら、その中に五十万円ののし袋が入っていた、こういう話であります。私は、この話はちょっとよくわからないなというふうに思って聞いておりました。
 そこで、総理にお伺いしたいと思います。
 これは甘利大臣の話というより一般論としてお聞きするんですけれども、もし、総理が余り御存じない、あるいは面識の全くない人と秘書の紹介でお会いをして、三、四十分お話をして、その方が菓子折りを置いていった、後で確認したら、そこにお金が入っていた、祝儀袋に入れた五十万円が入っていた、そういう場合に、総理はこれを政治資金というふうに思われますか。いかがですか。

○安倍内閣総理大臣 私は、そういう経験もございませんし、仮定の質問にお答えをすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、大切なことは、政治資金規正法にのっとって正しく対処していくことではないかと思います。

○岡田委員 私は、当然、否定されると思いました。黙ってお金を置いていく、それを政治資金と思う方がおかしい、それは常識だと思うんですね。危ないお金だというふうに受け取るのが普通じゃないでしょうか。
 別に、これは政治資金だと言ったんじゃなくて、黙って置いていった、しかも祝儀袋に入っていたというわけですね。それを適正に処理しなさいと甘利さんは言ったということでありますけれども、そういうことというのはあり得るんですか。やはり出す方は、それはちゃんとした政治資金として出していないことは明らかじゃないですか。そう思いませんか、総理。

○安倍内閣総理大臣 私は、そういう経験がございませんから、また、そういう方とお目にかかるということは今までなかったわけでございます。
 いずれにせよ、大切なことは、政治資金規正法にのっとって正しく対処していくことではないかと思います。

○岡田委員 甘利さんは、秘書からお金が入っていたと言われて、政治資金としてきちんと処理するように指示したというふうに記者会見では言っておられます。
 もちろんこれは、週刊誌の報道は全く違う報道なんですが、甘利さんの記者会見をなぞって私は質問しているんですが、後からきちんと処理するように指示すれば、どういう意図で持ってきたかわからないお金が適正な政治献金になるんですか。総理はそういうふうに思っておられるんですか。いかがですか。

○安倍内閣総理大臣 繰り返しになりますが、まさに、正しく、適法に処理されたのでなければ、それは問題であるのは当然のことだろう、こう思います。ですから、私が先ほど来申し上げておりますように、政治資金については、政治資金規正法にのっとって正しく処理することではないか、このように思います。

○岡田委員 総理は、正しく処理されているかどうかということですが、では、今回の場合は正しく処理されているんですか。
 つまり、お金を持った、面会したのが十一月の十四日。しかし、政治資金の届け出がなされているのは翌年の二月四日。この間、約三カ月間、このお金はどうなっていたんでしょうか。つまり、領収書の日付も二月四日になっているはずですから、この間、そのお金は、会館か地元かわかりませんが、事務所に置いてあったということですか。それは、果たして政治資金と言えるんでしょうか。
 私はそれは、当然、意図としては裏金だというふうに見ざるを得ないし、三カ月後から、領収書を切ったからといってそれが政治資金になるはずがないというふうに思うんですが、いかがですか。

○安倍内閣総理大臣 私が申し上げていることは、政治家においては、支援者から寄附の申し出があったときには、これは間違いなく法律にのっとって正しく処理をしていくことであろう、それに尽きるわけでありまして、それが違法なことであるかどうかということについては、当然、私が個々の出来事について答弁することは適当ではない、このように思います。

○岡田委員 ですから、持ってきた人が、これは政治献金ですという言葉もなく黙って置いていった、祝儀袋に入っていた、そしてそれが放置されていて、三カ月近くたってから初めて届け出をした、これが法律に基づいて適正に処理されたと言えるかどうか、そういうことなんですね。私は、非常にここは疑問だということを申し上げておきたいと思います。
 そこで、総理は昨日の本会議での質問で、安倍内閣の政策が政治献金で影響を受けることはないと断言されました。何を根拠に断言されているんですか。

○安倍内閣総理大臣 これは、ないからです。

○岡田委員 総理、もっと危機感を持たれた方がいいと私は思いますよ。
 つまり、この甘利前大臣のケース、これは相当グレーですよ、甘利さん自身のお金もね。しかも事務所は、五百万、そのうちの三百万は届け出もされていない。まさしく裏金として処理されているわけでしょう。そういう事務所。そして、甘利さん自身も、今私が最初に申し上げたグレーなお金の受け取り方。果たしてそれで、失礼だが甘利さんがちゃんと、大変な大きな権限を持って、アベノミクスの司令塔として、そしてTPPの交渉の最終責任者としてさまざまなことをやっているわけでしょう。きちんと検証すべきじゃないですか、総理。

○安倍内閣総理大臣 週刊誌で報道されていたようなことは、安倍政権の、例えばTPP交渉に影響するんですか。経済財政運営に影響するんですか。影響するはずないじゃありませんか。一切ないということをはっきりと申し上げておきたいと思います。

○岡田委員 私は週刊誌の報道に基づいて言っているのではなくて、こういったお金にルーズな事務所あるいは御本人、そういう方が、強大な権限を持って、例えばTPPの交渉というのは、それぞれの業界あるいは農業に携わる人たちにとって死活問題ですよね。関税、ほとんどのものが、五品目以外はゼロになっていますけれども、ゼロになっていないものもあるし、ゼロになるタイミングもいろいろありますよ。当然、さまざまな生産者から見ると、これは生き死ににかかわる話、大きな、巨大な権限ですよ。そういう権限を持った人がこういう疑いをかけられているということについて、私は、総理はもっと危機感を持つべきだし、きちんと甘利前大臣にそういうことはないということを確認する責任があるんじゃないですかと申し上げているんです。いかがですか。

○安倍内閣総理大臣 TPP交渉、これはいろいろな品目がかかわっております。岡田委員が、では、影響が出ているというのであれば、具体的に言ってくださいよ。ないというものについて、ないというものを、私はないと言っているんです。ですから、そこを、一党の、公党の代表として、嫌疑をかけるのであれば、TPP交渉において、どの品目についてどういう影響を与えたかということを具体的に述べなければ、それは無責任な、ただの誹謗中傷にすぎないですよ。そのことははっきりと申し上げておきたいと思いますよ。
 交渉そのものを汚すようなことを言うのはやめてください。それとこの問題は別の問題ですから。そこははっきりとしておく必要があると思いますよ。
 甘利大臣は、まさに命がけでTPP交渉を頑張ってきましたよ。そして大筋合意に至ったんですよ。そんな簡単なことではないんですよ。甘利さんが一人で決めれば決められるような話ではないんですよ。十二カ国の中でしっかりと議論をしながら結論を得ていく、その中で、重要五品目についてちゃんと守っていくために、まさに私たちは昼夜を分かたず交渉して結果を出してきました。
 その結果自体が、その交渉行為そのものに影響があった、あの中に出てくる人物が影響を与えたんですか、そんなはずないじゃありませんか。具体的な案件で言うのであれば、週刊誌の報道に頼らずに、具体的な案件で何か言ってくださいよ。それも全くなしに、いきなりそういう言いがかりをされても、私は答えようがないわけであります。

○岡田委員 私が申し上げているのは、総理が本会議場で、安倍内閣の政策が政治献金で影響を受けることはないと断言されたから言っているわけですよ。断言された以上、その根拠を示す必要があるのはあなたの方じゃないですか。
 私は、甘利大臣のTPP交渉担当としての、もちろん我々目指す方向は違うけれども、一定の敬意を持っていますよ。別に、具体的に疑いがあると言っているわけじゃありませんよ。だけれども、これだけのことが事務所であり、本人も疑いをかけられているわけだから、本人に確認されたらどうですかということを言っているんです。それすらできないということですか。

○安倍内閣総理大臣 私は、ないと言い切りましたよ。でも、ないことをないと証明するのは、これは悪魔の証明なんですよ。あるんだと言うんだったら、あるということを主張している方は立証責任があるんですよ。当たり前じゃありませんか。私は、ないものについては、ないと言う以外はないじゃありませんか。
 もしあるんだったら、先ほど申し上げましたように、何か一つでも具体的なことを言ってくださいよ。一つも挙げられていない中において、一つも事実を挙げていない、これが疑いがあると一つも言えないにもかかわらず、先ほど来から、まるであるかのごとく言っている。これは余りにも議論としてばかげた議論でありますよ。しっかりとそういうものを何か出していただかなければ、我々もそれは答えようがないわけであります。
 いずれにせよ、甘利大臣については、先般、記者会見をされました。あれは中間的な調査であるということを述べておられましたが、今後しっかりとさらに調査を進めてそれは公表していく、こういうふうにおっしゃっておられますから、私は、今後しっかりと政治家として責任を果たしていくべきものだと考えておりますし、責任を果たしていかれるもの、このように確信をしております。

○岡田委員 繰り返し言っておきます。ないと言ったのはあなたなんです。ないと言った以上は、きちんとないことを説明するべき責任があるということを申し上げておきます。
 そして、もう一つ申し上げておきますが、このURの問題、あるいは国交省も絡むと。これは安倍内閣の中の問題ですね。だから、本当に問題がないのかどうかということをきちんと内閣総理大臣として確認して、責任を持って、ないならないと、あなたはおっしゃったんだけれども、URの問題も含めて、ないとはっきりおっしゃる責任があるということを申し上げておきたいと思います。
 さて、次に、衆議院選挙制度改革について申し上げたいと思います。
 まず、先般、〇増五減案は違憲状態であるという最高裁の判決が出ました。十一月ですね。こういう判決が出たことについて、総理はどういう責任を感じておられますか。

○安倍内閣総理大臣 国会の責任としては、いわば違憲状態という判決が最高裁でなされた以上、一日も早いこの解消について国会として努力をしていかなければならない、このように考えております。

○岡田委員 国会以前に、この〇増五減案、我々民主党は、これは違憲ないしは違憲状態という判決が出る可能性が高い、だからこれはだめだと反対しました。しかし、自民党、公明党がこの〇増五減案を推し進めて、そして法案を成立させた。裁判所が、最高裁がこれを違憲状態と言った。
 つまり、国会の話を私は言っているんじゃないんです。自民党総裁として、総理に責任があるんじゃないですか、そのことについてどう考えていますかということを、まず国民にしっかりわびてくださいよ。

○安倍内閣総理大臣 この〇五については、民主党政権は三年間続きましたが、この〇五すらずっとやらなかったじゃないですか。我々がまず〇五はやらなければならないということを言って、民主党も賛成して〇増五減が決まったんですよ。それを急に、区割りのところで反対に転じたわけでございます。
 しかし、まずは、いわばまさに選挙制度にかかわること、定数削減にかかわること等々については、民主主義の土俵にかかわることでありますから、国会の中において各党各会派がしっかりと議論をしながら最終的に結論を得ていかなければならないわけでありますが、最終的に、〇増五減という、これは民主党も賛成してできたわけでありますから、これをまずしっかりと実行しておこうということであったんだろう、こう思う次第でございます。
 いずれにせよ、先日、衆議院選挙制度に関する調査会の答申が取りまとめられたわけでありまして、大島衆議院議長から、各党の御理解を得て、この国会において結論を得るべく最大限努力するとの意向が示されたところでありまして、我が党はもとより、各党各会派がこの答申を尊重し、そして選挙制度改革の実現に向けて真摯に議論を行い、そして早期に結論を得ることによって国民の負託にしっかりと応えていくべきものである、このように考えております。

○岡田委員 〇増五減案を我々は賛成したと言われましたが、それは多分事実じゃないと思いますよ、私ずっとやっていましたから、この問題。
 そして、最後は区割り改定法が成立したんですが、その中で、これは参議院でみなし否決されて、衆議院で再可決したんですよ、自民党、公明党が中心になって。だから、総理がおっしゃっていることは間違っているんですよ。まずそれを訂正してくださいよ。
 そして、総理は、この法律が成立したときに、この法律によって違憲状態は解消した、現在では違憲状態とされた一票の格差は解消されたというふうに言われたんです。しかし、最高裁の判断は違ったわけですよ。
 だから、そこに、内閣総理大臣として、自民党総裁として問題がありますねということを私は申し上げているんです。いかがですか。

○安倍内閣総理大臣 この〇五についての御党の賛否については私が先ほどお話をしたとおりでありまして、平成二十四年十一月の〇増五減緊急是正法成立については、民主党は賛成しているんですよ、賛成しています。その後、衆議院選挙があって、そして、平成二十五年の六月に〇増五減の区割り改定法を審議したときには、もともとのときには賛成していながら、ここではどういうわけか御党は反対をされた、こういうことでございます。
 いずれにせよ、現在の段階において、最高裁から違憲状態という判決が出たわけであります。これは議会において速やかに対応しなければならない、このように考えております。

○岡田委員 速やかに対応しなければいけないということですが、総理の今までの発言をちょっと整理してみたんですね。
 まず、二〇一三年六月に、第三者機関を国会に設けることを提案いたします、各党各会派がその結論を尊重して、改革を前に進めるという仕組みです、こうおっしゃいました。そして、各党各会派がその答申に従うことが重要であると考えておりますと。
 ちょうど一年前の施政方針演説では、全ては国民のため、党派の違いを超えて、選挙制度改革、定数削減を実現させようではありませんかと呼びかけられました。
 そして、ことしになって、我が党はもとより、各党各会派がこの答申を尊重しということを言われているわけですね、負託にしっかりと応えていくべきだと。
 これだけのことを言われているわけですから、私は、当然、佐々木調査会の答申は、これは受け入れるというふうに与党第一党として総理が断言されるべきだと思うんですが、いかがですか。

○安倍内閣総理大臣 現在、これは我が党においても検討を進めているわけであります。私が申し上げたことはまさにそのとおりでございますが、自民党においてもこれをしっかりと検討するのは当然のことであろう、このように思います。
 私がここで言えば全てが決まるという、私は独裁者ではありませんから。我が党においてもいろいろな意見の方がおられて、そういう方々の意見も受けながら、だんだんこれは意見が集約をしていくわけでありますが、当然、私が既に尊重すべきだということを申し上げているわけでありまして、その上に立って議論をしていただける、このように思っております。
 いずれにいたしましても、各党各会派がこの答申を尊重し、定数削減を含む選挙制度改革の実現に向けて真摯に議論を行い、早期に結論を得ることによって国民の負託にしっかりと応えていくべきものである、このように考えております。

○岡田委員 民主党は、十しか定数削減しないということは、いろいろな問題があるとは思いますが、今までの経緯から見て、この佐々木調査会の結論を受け入れるというふうに考えています。恐らく、維新も、そして公明党も同じような考え方だと思います。ですから、大きなところで残っているのは自民党だけなんですよ。
 ところが、伝えられるところでは、自民党の中の議論が、何か時計の針をもとに巻き戻したように、二倍以内であればいいと。各都道府県に一議席ずつ割り振るというやり方を完全に排除するんじゃなくて、それはそのまま残して、同じ都道府県の中でなるべく平等にして、そして結果的に二倍以内になればいい、こういう議論がまかり通っているというふうに私は聞くんですけれども、それじゃ何のためにこの佐々木調査会をやったのかということになりますよね。
 まさかそんなことはないですよね。いかがですか。

○安倍内閣総理大臣 あの答申を見ますと、五年ごとの暫定的な調査、中間調査と、十年の国勢調査についての考え方をしっかりと切り分けて考えています。
 大きく、県ごと、いわばアダムズ方式にのっとってというのは、これは十年でやるべきだ、ある程度の安定性が必要だということで、そう述べているわけでございます。
 他方、最高裁から出た違憲状態、こういうものに対応していくためには、五年ごとについては、これはいわばアダムズ方式をそこに当てはめるのではなくて、まさに、選挙区ごとの公平性を保っていくべきだという考え方に立っているわけであります。
 つまり、県という枠組みの中での区割りを変えていきながら、そして違憲状態を解消していくべきだ、そういう議論になっているわけでありまして、その中において、細田さんは、まずこれについてしっかりと議論を進めていきながら詰めていくべきだ、そういう御主張をしておられるんだろうと思いますから、全くこれは答申から離れているということではないんだろう、このように考えております。

○岡田委員 私は納得できませんが、では、今の御説明だと、この一人別枠方式をやめて、アダムズ方式で各都道府県の配分を変えるということはやるという前提ですね。

○安倍内閣総理大臣 今まさに、我が党においてこれから検討が始まり、全体で議論をします。こういう民主主義の土俵をつくっていく上においては、全体で議論していくことが求められているわけでありまして、我が党の中においてもまさに検討が始まったわけであります。
 当然、その中におきまして、私が先ほど申し上げたことを踏まえて議論が行われているもの、このように期待をしております。

○岡田委員 細田さんの言っておられる説は、もう私も過去四年ぐらい、耳にたこができるぐらい聞かせていただきましたが、結局、それは、一人別枠方式を残す、そして各都道府県の中でなるべく均等に割ることで二倍以内に抑え込むということであって、佐々木調査会の、一人別枠方式をやめる、そしてかわりにアダムズ方式を導入するという一番根本のところとは基本的に相入れない考え方なんですね。もしそこがないのであれば、今まで自民党が主張してきたことと何ら変わらないということになりますよ。
 しかも、定数削減もないと聞きます。これは、野田総理と安倍総裁の間で約束したことじゃないですか。消費税増税の前提じゃないですか。それもやらないと言うんですか。それはちょっと私は理解できないんですが、いかがですか。定数削減、ちゃんとやりますね。

○安倍内閣総理大臣 まさに定数削減も含めて、今おっしゃったアダムズ方式、いわば十年においてはアダムズ方式ということが提言でなされているわけでありますが、それも含めて自民党で議論をしていく。まだ議論をしていないわけでありますから、この議論をさせていただきたいと思っています。その上において、しっかりと自民党で取りまとめられていくもの、このように考えています。
 細田さんは、長年、選挙制度についてずっと熱心に御議論をいただいた方でありまして、有識者の一人と言ってもいいんだろうと思います。ですから、細田さんの考え方も当然有力な議論の一つではございますが、当然、これは自民党の中で、全体でしっかりと議論をしていくということになります。
 当然、議長のもとに置かれた第三者機関で出されたこの答申については重く受けとめ、しっかりと受けとめなければならない、このように考えております。

○岡田委員 大島議長からは、一カ月で各党は考え方をまとめるように、そういう話になっているんですね。少し時間もたちました。これは約束を果たしていただけますね。

○安倍内閣総理大臣 まさに今、自民党が検討にかかった中において、しっかりと結論が出てくる、このように確信しております。

○岡田委員 これはぜひ、佐々木調査会の結論をしっかりと正面から受けとめて、受け入れるという結論で自民党をまとめていただきたいと思います。そうでなければ、これは政権与党としてのかなえの軽重が問われるというふうに私は思いますよ。
 最高裁が違憲状態だと判決を出す、これを軽視する、衆議院議長のもとに置かれた調査会の結果をこれまた無視する、これじゃ、やはり内閣総理大臣独裁じゃないですか。三権分立の土台が狂いますよ。だから、責任を持ってしっかり党内をまとめる、もう一回言ってください。

○安倍内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、私は、議長のもとに置かれた第三者機関において答申がなされたわけでありますし、そもそも、議長のもとに第三者機関を置くべきだということを申し上げたのも私でございますから、そこから答申が出された以上、尊重していく、我が党が尊重していくということは、これは当然のことであろうと思います。
 しかし、自民党は議論がスタートしたわけであります。まずはしっかりとスタートしていただきながら、その中で納得をしていただきながら結論をまとめ、結論がまとまったら、我々はその結論に従っていくというのが自民党のよき風習でございます。その前から議論を封じてしまうことはおかしい、我々の、自民党のやり方ではないわけでありまして、ここでまずは議論をしっかりとやっていくのは当然のことだろう。しかし、同時に、私がこの第三者機関の結論を尊重する、こう申し上げているんですから、当然その上に立って結論が出てくる、このように考えております。

○岡田委員 自民党の大変さもわかります、関係者が多いですからね。民主党は、もう既に議員総会もやり、関係の都道府県連も呼び、これで受け入れる方向で確認されています。一カ月という期限も切られていますので、その中でぜひリーダーシップを発揮していただきたいというふうに思います。
 もし、違憲状態ということで次の選挙をやって、また違憲状態のままであれば、私は、憲法改正の発議など全くできない衆議院になると思いますよ。そういうことの疑念が出ないためにも、きちんと対応されることを、総理のリーダーシップを期待しておきたいと思います。
 次に、消費税の軽減税率について。
 まず、軽減税率。それから、給付つき税額控除、これは我々の案ですね。これはある意味での消費税の払い戻し的なものです。
 この給付つき税額控除に関する政府統一見解というのが出ています。
 給付つき税額控除のメリットというのを政府統一見解の中で述べられているわけですが、一定水準の所得を下回る者に限定して、かつ、所得水準に応じて給付額等を決めることができる。つまり、一兆円なくても、もう少し少ない額で所得の少ない方に対する手当てができますと。
 それから、対象品目の設定。今回食料品プラス新聞ということになりましたが、何を対象にするかという議論は、これはありません。
 それから、事業者の事務負担。今回インボイス方式の導入というのは先送りされましたが、しかし、将来入ることは間違いない、大変な手間もかかる、そういうことが生じないというメリットが我々の主張する給付つき税額控除にはある。
 これは政府がお認めになったメリットですね。こういうメリットが給付つき税額控除にあるということは、当然、これは政府の見解ですから、総理もお認めになりますね。

○麻生国務大臣 給付つき税額控除のメリットもあればデメリットもあるということで、両方御存じの上で聞いておられるんだと存じます。

○岡田委員 メリットをちゃんと御認識いただいたとは思います。そして、デメリットとして、痛税感の緩和の実感につながらないというのがデメリットであると。
 政府統一見解では、このメリット、デメリットを比較した上で、日々の生活の中で痛税感の緩和を実感できることが特に重要との判断のもと、軽減税率制度の導入を決定した。これが政府統一見解です。
 総理にお聞きします。
 痛税感の緩和って一体何ですか。痛税感って何ですか。痛税感の緩和って何ですか。

○安倍内閣総理大臣 痛税感というのは、まさに、消費税が上がって、例えば千円のものが、八%から一〇%に上がって千百円になる。千八十円であれば買うけれども、千百円になったら考えるという人もこれは当然いるわけでありまして、つまり、それこそが痛税感なんだろう。一回一回の買い物において消費税を払うということについての痛みを感じる、これが痛税感であろう、このように思います。

○岡田委員 消費税の負担、確かに大変なことです。
 しかし、我々国民一人一人がやはり納税の義務というのを負っている。国は、国民が納税することで初めて成り立つ。したがって、確かに消費税を払うことはしんどいけれども、社会保障制度やあるいは国の成り立ちのためにはこれは必要なことなんだというふうにきちんと説明するのが政府の本来あるべき態度じゃないですか。
 痛税感というそれだけで一兆円もかけるという発想は私には理解できないんです。いかがですか。

○安倍内閣総理大臣 そもそも八%から一〇%に引き上げていくときに、給付つき税額控除、総合合算制度とこの軽減税率、この中でどれかをやるということは三党合意をしているわけでありますから、その中で私たちはこの軽減税率を選んだわけでございます。
 どれを選ぶかということについては、これは、それぞれメリット、デメリットがあるという中において、多くの国民の方々から、食品ぐらいはほかのものと一緒に上げていくべきではないんじゃないの、二桁になったらということであります。
 我々は、まさにこれがなぜ必要かということについては、五%から八%に上げる、三%も上げたんですから、当然それは説明をさせていただいていますし、さらに二%上げていくということを約束していく中で我々も選挙をやっておりますから、これが何のために必要かということを説得しながら選挙を行っているわけでありまして、それは当然のことであります。
 同時に、一〇%、二桁になったらこれは措置をしていく、低所得者に対する措置をしていくということで、これは御党も賛成してメニューの中の一つに入っていて、我々は政権与党としてこれをとったわけであります、軽減税率をとったわけでございます。
 と同時に、前回消費税を五から八に引き上げた際には消費がぐんと落ち込んだわけでありまして、これは成長にも大きな影響が出て、今日にもずっと尾を引いているわけでございます。ここで我々は、何か痛税感を緩和させていくことによってこの衝撃を少なくしていく、マクロ経済政策的にも必要であろう、こう考えたところでございまして、今回、我々は軽減税率というものを選んだところでございます。
 先ほど赤羽委員が御紹介をされたように、多くの国々が採用しているということではないかと思います。

○岡田委員 総理、今総理が言われた、消費税を上げたときに景気に悪影響がある、衝撃を和らげる、今回一〇にするときもそういう議論。しかし、私は、それは一時的な対策として、一〇にするときにその衝撃を和らげるためのいろいろな措置を講ずるというのはわかりますよ。だけれども、軽減税率というのは、一時的な措置じゃなくて、一旦入れたらずっと続くんですよ。だから、それが妥当か、それが本当に一兆円なのかということを申し上げているわけです。
 もちろん、我々も三つの選択肢のうちの一つにはしました。だけれども、一兆円規模などということは全く想定していなかったし、これだけのものを入れる、それが痛税感という理由だけなのか、そこが全く納得できないから聞いているわけです。お答えいただけますか。

○安倍内閣総理大臣 軽減税率を実際に導入しようとなると、どこで切るかという話でございまして、生鮮品で切るという議論もございました。しかし、低所得者対策として実効あるものにする上においては、加工食品を入れなければならない。それで、四千の次は、六千とか八千という切り方は事実上、実務上できないわけでありまして、そこで我々は一兆円というものにしたわけであります。そこは当然、我々は、この財源については、安定的な財源をしっかりと獲得していくということであります。
 四千億から一兆円にということについては、これは相当議論をした中において、途中で切るのは、事実上、事務的にはかなり不可能に近いわけでございまして、その中において我々は判断をしたところでございます。

○岡田委員 そういう形で途中で切れないからこそ、我々は給付つき税額控除がいいというふうに言っているわけですね。本当に困ったところにきちんとミートして、そこにはある意味での消費税をお返しするという形がとれる、そこに我々の言う給付つき税額控除のメリットがあるわけですよ。だから、そういうメリット、デメリットも含めて、一兆円の軽減税率を入れたということは、私はよくわからない。これは後々非常に憂いを残すことになるだろうというふうに思います。
 今回は新聞にも入れられましたけれども、新聞は全く別の論理で入れておられると思いますけれども、これから上げようとするたびに、うちも例外にしてくれ、うちも入れてくれという、門前市をなすことになると思うんですね。それはそれで政党としてはいいのかもしれませんが、やはり私は、それは、政府とそして民間の経済活動との関係からいうと、そういうある意味での不当な介入を許す余地を残すということで、後々これは悔いを残すというふうに思いますよ。
 もう一つの問題は、その一兆円の財源がいまだにはっきりしていないということですよ。
 一兆円というのは非常に大きな額ですよね。それで、国民負担です、これは。ではどういう負担をするのかということとセットになっていて初めて、国民は、この一兆円の軽減税率が妥当かどうか、賛成できるかどうかということが判断できるわけです。そこを全部ブラックボックスにして、いや、一兆円の軽減税率、いいでしょうと言えば、それはそれだけ見れば多くの人がいいと言うに決まっていますよ。だけれども、当然負担がある、そのことをはっきりとやはり言わなきゃおかしいでしょう、総理。これは参議院選挙の後だなんというのは、全く私は納得できませんよ。いかがですか。

○安倍内閣総理大臣 これについては、平成二十九年四月の消費税の軽減税率制度の導入に当たっては、与党及び政府の税制改正大綱において、財政健全化目標を堅持するとともに、社会保障と税の一体改革の原点に立って安定的な恒久財源を確保するとの観点から、平成二十八年度末までに歳入及び歳出における法制上の措置等を講ずること等とした上で、その趣旨を、軽減税率制度を創設する規定を盛り込んだ平成二十八年度税制改正大綱において明記することとしているわけでありまして、財源措置について、現時点では具体的な措置内容が念頭にあるわけではありませんが、与党及び政府の税制改正大綱に沿って、今後、政府・与党で歳入歳出両面にわたってしっかりと検討してまいりたいと思います。
 このように、軽減税率を導入する平成二十九年四月までに財源確保に係る法制上の措置等を講ずることとしており、これは全く無責任ではないわけでありますし、私たちは、腹案がある腹案があると言って実はなかったということには絶対なりません。必ず財源の措置をしてまいります。

○岡田委員 総理が何を言われたのかよくわかりませんが、いずれにしても、腹案があってもなくてもいいんです、ちゃんと今示さなきゃだめだと言っているわけですよ。国民が判断できないでしょう。
 では、お聞きしますが、私、この消費税担当の大臣をやっていました。そして、五%の引き上げの中で、一%は社会保障の充実に、四%部分は社会保障の安定のために使いますという説明をしてきました。総理は、一%の充実分には手をつけないとおっしゃるから、そうすると、四%の安定部分が一兆円減る、こういうことですね。

○安倍内閣総理大臣 軽減税率の一兆円がどこに当たるかということ、これは、どこが減るということではなくて、まさに、社会保障に充てるもの、二・八兆円はしっかりと、これはもう既に、充てていくということは何回も委員会で答弁をさせていただいているとおりであります。
 一兆円のうち、総合合算制度については、これはとらないわけでありますから、その四千億円は浮いておりますから、残りの六千億円についてはしっかりと財源を確保していく、こう申し上げているわけであります。

○岡田委員 総理、例えばこれは、二%上げて一兆円ですから、一%で〇・五兆円ですね。そうすると、将来、消費税を、いつのことかわかりませんが、五%上げるとしますね。軽減税率がついていたら、同じ税額を確保しようとしたら六%上げなきゃいけませんね。五%上げるときに軽減税率が全部それについているのなら、それは六%上げなきゃいけない。そういう選択肢だということは認められますね。

○安倍内閣総理大臣 いわば、一兆円分をさらなる消費税増税で対応しようという発想と同じなんだろうと思いますが、この一兆円については、正確に言うと六千億円でありますが、これをさらなる消費税の増税で充てるということは考えていないわけでございます。そのことについては、まずはっきりと申し上げておきたいと思います。

○岡田委員 総理、お金に色はついていませんから、そして、二〇二〇年に要調整額がまだ六・五兆円ある中で、どこかで増税したとしても、その増税した部分をこの一兆円に使えば、その分一兆円赤字国債の発行額がふえるだけじゃないですか。したがって、結局、ぐるりと回って、何で歳出を抑制するか。社会保障中心だといつもおっしゃっているじゃないですか。
 だから、結局は、社会保障を削減するか消費税をさらに上げていくか、どちらかしかないわけですよ、この軽減税率というのは。そこはお認めになりますね。

○安倍内閣総理大臣 今委員がおっしゃっているのは、二〇年のPBの黒字化との関連でおっしゃっているんだろうと思います。
 これは、二〇一八年に中間的な評価をしながら、歳出歳入の両面でどのように見直していくかということについて議論をしていくということになるんだろう、こう思う次第でございます。
 いずれにせよ、この一兆円、正確に言えば六千億円については、しっかりと我々は恒久的な財源を、これは当然、我々は、自民党、公明党の政府・与党は、必ずお約束したことは実行しているわけでございます。選挙において、できないことは約束をしていないというのが私たちの矜持であります。それにかけてしっかりと結果を出していきますから、どうか御安心をいただきたいと思います。

○岡田委員 では、総理、もう一つ聞きますね。
 子ども・子育てで、我々、与党時代に、七千億円、消費税を引き上げる見返りに増額することを決めました。これは三党合意で決めたことでもあります。
 しかし、本当は一兆円必要だと。だから、三千億円まだ財源の手当てがついていないんですね。これは、保育の質的充実、ここで三千億円足らないことになっています。
 この三千億円の財源手当てと、一兆円の財源手当てと、どちらを優先されますか。(発言する者あり)

○竹下委員長 まず、厚生労働大臣に答弁をしていただきます。(発言する者あり)静かにしてください。

○塩崎国務大臣 今の、軽減税率で残った六千億の問題と、もともとの子育て等のあと残りの三千億をどうするかという問題、どちらを優先するのかというお尋ねでございましたが、これは、もともとどちらを優先するという問題ではなくて、どう財源をつくってこれをきちっとお約束どおりやるかということが問題なのであって、それは優先順位をつける問題では私はないと思います。両方とも達成をしなければいけない問題だということであります。

○岡田委員 では、厚労大臣にお聞きします。
 三千億円の財源をどうやって手当てするんですか。はっきり言ってください。

○塩崎国務大臣 これについては、いつも重点化、効率化も考えながら財源を出していくということをやっているわけでありますし、今後もこれは、三千億について、どこかに今あるというような問題ではなくて、私たちがさまざまな努力の重ね合わせの中で出していかなければならない問題であるということであるわけでありまして、それは一体改革の、あの改革をおやりになった自公民の中で御同意いただいた問題だというふうに理解をしておるところでございます。

○岡田委員 結局、この三千億円も、それから軽減税率の財源六千億、まあ一兆円から六千億、これもはっきりしないということですね。そういう状況で、やりますやりますと言って参議院選挙を迎える、私は、これは極めて不誠実だと思いますよ。
 いろいろなことをやるときに負担が伴う、こういう負担があります、ここを削減せざるを得ません、あるいはここを増税します、そういうことをきちんと言われて、そして軽減税率なり子ども・子育ての三千億を手当てするということでなければ、有権者は判断できませんよ。そんないいかげんなやり方で通ると思っておられるんですか、総理。

○安倍内閣総理大臣 私たちは、選挙でお約束したことを一つ一つ実行してきております。そして、今言われた一兆円の中の七千億円は我々はしっかりとこの予算で実行したわけでございまして、そして、残りの三千億円についても、七千億円で実行したように、ちゃんと実行してまいります。
 そして、軽減税率のうちの六千億円についても、これはさまざまな議論があるわけでありますが、しっかりと責任政党として結論を出してまいります。
 このことをはっきりと申し上げておきたいと思います。

○岡田委員 七千億円は、これは消費税を三ポイント上げたから、もちろんそれで足らない部分はあるものの、そこで賄えるわけですよ。ところが、三千億円は消費税を一〇にしても足らない、だからこれは何とかしなければいけないという宿題として残っているわけですよ。
 それで、三千億があり、また軽減税率として全体として一兆円のお金が要るという中で、その中身が全くわからないで、やることだけやりますといいことだけ言って、その負担がどうかということをきちんと説明しない政治は、私は無責任だと思うんですよ。
 ちゃんと、これからこの国会の中できちんと答えを出すと約束してもらえませんか、総理。

○安倍内閣総理大臣 これは、我々、与党としてここで申し上げているんですから、与党としてしっかりと、ちゃんと結論を得て対応していきますよ。そのことをお約束させていただきたいと思います。

○岡田委員 財源がなくてこれをやりますというんじゃ、これはマニフェストにも何にもならないですよね。
 では、次に、安全保障法制に関して。
 総理にちょっと思い出していただきたいんですけれども、集団的自衛権の行使、結論は、存立危機事態ということで、ある程度限定した集団的自衛権の行使、これは憲法に反しないというのが政府の御見解ですね。
 二年前の予算委員会で私は総理と何回か議論しましたが、当時は、集団的自衛権の行使を限定して憲法上認めるのか、限定せずに憲法上認めるのか、まだはっきりしていなかったと思うんですね、懇談会で議論している最中は。どこかで、総理は限定して認めようという結論に至られたと思うんです。たしか懇談会の結論も、限定せずに集団的自衛権の行使を現行憲法下で認める、そういう考え方も示されていました。でも、その日のうちに総理は、記者会見されたときには、いや、限定して認めるんだというふうに言われました。
 ここは、政府の中でどういう議論があって総理はそういう結論に至られたんでしょうか。

○安倍内閣総理大臣 安保法制懇の方における議論と最終的な政府の判断というものがございます。
 私の考え方についての一端は、これは私の考え方でありますが、これはおととしですね、岡田委員と予算委員会において、私は、限定的な容認という考え方に近い、この議論を進めていくべきではないかということについて答弁をさせていただいた、こう思います。これは岡田さんに対する答弁でありました。これは、いわば我が国の存立が危うくなるというケースに近い、そのために、日本の防衛のために従事している米艦艇等々という例を挙げつつ、我が国の存立にかかわるときという限定も含めて、そういう議論の方向性についてお話をさせていただいた、こう思っております。
 同時に、安保法制懇において、ここにおいていろいろな議論がございました。いわば、四十七年見解の基本的な論理をそのまま残すという考え方と、また一方、芦田修正に依拠するべきではないかという議論がございました。我々は、そうではなくて、前文とあくまで十三条に依拠するこの四十七年見解の基本的論理の中において当てはめを変えていくという考え方にしたわけでございます。
 これは、法制局もさまざまないわば議論をしていたのではないか、こう思うわけでございますが、それはどういう議論であったかということは私はつまびらかには存じ上げないわけでありますが、官邸においてもさまざまなことを議論していた中において、最終的には、そういう方向でいこうと。いわば、自衛権の行使については十三条とそして前文から引いてくる、そして、それは四十七年見解の基本的論理を受け継いでいくという方針にしたところでございます。

○岡田委員 これは政府の中で相当私は激しい議論があっただろうというふうに思うわけですね。
 特に法制局は、従来、集団的自衛権の行使は憲法違反だという考え方に立っていましたから、これを変えて限定的に認めようという結論に至るには、法制局の中でも大きな議論があったはずだし、政府の中でもあったはずだというふうに思うわけですね。
 そこで、私は法制局長官にお聞きしたいんですけれども、この総理の記者会見あるいは安保法制懇の結論が出たのは五月ですが、七月一日に閣議決定があったわけですね。その閣議決定に至るまで、法制局内で当然議論があったということですが、先般、参議院の決算委員会で、一月二十一日ですけれども、法制局長官は、議論はあったけれども、しかし、議事録を残すようなものではないというふうに説明されているわけですね。
 これはどういう意味でしょうか。議事録でなくても、記録は当然残っているはずじゃないですか。いかがですか。

○横畠政府特別補佐人 まず、法制局内の議論があったという意味でございますけれども、いわば、この国会における御議論のように、賛成派、反対派に分かれてかんかんがくがく議論、口角泡を飛ばしと、そういう議論という意味ではもちろんございません。あくまでも法制上の頭の整理といたしまして、従前の、御指摘のありました、集団的自衛権の行使は認められないとしてきたこれまでの政府の憲法の解釈、実はそれはどういう根拠、理由によるのか、あるいはその射程距離はどこまでなのかというような議論から当然しているわけでございます。
 そして、まさに、安保法制懇に始まり、その後の与党の協議会において煮詰められていき、その結果を受けた閣議決定ということにつながっていくわけでございますけれども、その過程をフォローしながら、ああ、なるほどこういう議論が行われているのかというような、いわば検討をしていたということでございます。

○岡田委員 それはとても信じられないんですね。今までの政府見解、内閣法制局長官も国会で、集団的自衛権の行使は憲法違反であるとはっきり明言してこられたわけですね。それを解釈を変えたわけですから、当然、法制局の中でもさまざまな議論が交わされたはずですよ。なかったらおかしいですよ。
 長官経験者が国会に出てこられて、いまだにこれは違憲であると言っておられる方が何人もいらっしゃいますよね。そのぐらいこれは難しい議論、方向性を変える議論で、何か、今の長官、そういう当てはめの問題みたいなことを言っているのは、全く私、正直じゃないと思いますよ。ちゃんと、法制局の中で議論があったということをまずお認めになるべきだと思いますが、いかがですか。

○横畠政府特別補佐人 議論があったということは申し上げているわけでございまして、その議論の中身について先ほどお答えしたとおりでございまして、まさに、これまでも申し上げたとおり、これからもでございますけれども、憲法第九条のもとで、昨年随分申し上げましたけれども、いわゆるフルセットの集団的自衛権、他国防衛のためそれだけの集団的自衛権というものを認めるのは、これは解釈上無理であるということはまさに一貫しているわけでございます。
 その前提に立ちながら昭和四十七年の政府見解というのを子細に検討いたしますと、当時のまさに事実認識といたしましては、我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみが、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるおそれのあるそういう事態であるという事実認識を前提にしているというふうに理解されたわけでございます。
 ところが、その後の安全保障環境の変化、今日の安全保障環境の状況からいたしますと、必ずしもそこに限定されないのではないか、他国に対する武力攻撃が発生した場合であっても、そのまま何もしないでいるならば、我が国の存立が脅かされ、国民が犠牲になるということもあり得るということで、その場合にはやはり武力の行使ということも憲法九条は禁じていないのではないか、まさにそういう議論をさせていただいていたわけでございます。

○岡田委員 では、長官、端的に聞きます。
 ペルシャ湾で安全保障環境がどこが変わったか、明確にお答えください。

○横畠政府特別補佐人 ペルシャ湾でというお尋ねでございますけれども、国の防衛と申しますのは、まさに、いかなる事態が起こりましてもそれに対処するということが求められている。それをめぐる法整備というのは、何か具体的な、こういうことがあるからというときに対処するのでは間に合わないわけでございます。
 そこで、考えられるあらゆる状況に対処できる、ただし憲法の許す範囲内でというところで、どのような法制が整備されるか、可能であるか、必要であるかということを議論して、その結果、さきの安全法制整備につながったというふうに理解しております。

○岡田委員 長官が安全保障環境が根本的に変容したというふうに言われるから、私は聞いたんですね。だから、そのことについてちゃんと答えられないわけでしょう。では、どうしてペルシャ湾に行くところまで認めるような、それが憲法違反じゃないんですか。
 私は、これはまた次回やりたいと思いますが、これは公文書管理法違反ですよ、明らかな。行政機関の経緯も含めた意思決定に至る過程を文書にしなければいけない、これは公文書管理法ですよ。それが全く文書にないなんて、そんなばかなことはありませんよ。これはもう一度、引き続きやっていきたいと思います。
 終わります。




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