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岡田克也代表定例会見(9月8日)

岡田克也代表記者会見
2016年9月8日(木)15時30分~16時17分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。

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■冒頭発言
○党代表退任に当たって
■質疑
○党代表退任に当たって
○野党連携について
○憲法をめぐる議論について
○民主党政権を振り返って
○蓮舫代表代行について
○党代表選挙について
○党代表退任後の活動について
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■冒頭発言

【司会・辻元清美役員室長】
 それでは民進党・岡田代表定例会見、最終回になりますが、始めたい
と思います。まず岡田代表のほうから冒頭発言をいたします。

○党代表退任に当たって

【代表】
 私から、今日が最後の定例記者会見で、ぶら下がり等は今後もありますが、今日まで大変お世話になり、ありがとうございました。
 (民主党代表時代と合わせて)1年9ヵ月、この間、私としては全力投球で、何とかこの党の立て直しをしようということで取り組んでまいりました。120%、自分としては力を尽くしたという思いがありますので、特に思い残すことはありません。自分としては全力で、やるべきはことはやった。一定の結果も出せたと思っております。
 ただ、この党が国民の皆さんの信頼を取り戻して、もう一度政権を担える、そういう状況に行くためには、まだまだ乗り越えなければならない課題はたくさんあります。そういう中で、それを新しいリーダーのもとでしっかりと乗り越えて、全員野球で、「政権交代ある政治」、私が最初に当選した時から申し上げてきたことですが、その実現に向けて一丸となって頑張っていかなければならないと思っております。
 私も執行部からは一歩退くわけですが、代表だからできることもたくさんありますが、代表をやっていて思うのは、代表でないことでできることもたくさんあります。したがって、しっかりと新たな執行部を後ろからサポート、あるいはバックアップして、そして全員野球のその一員として、この党の再生に向けてさらに全力で努力していきたい、そんなふうに思っているところでございます。
 代表選挙も、3人の候補者がそれぞれ持論を展開して、いい形で進んでいると理解をしております。私が誰を支持するかということはもう皆さんわかっているわけですが、ここは代表としての記者会見の場ですので、これ以上のことは申し上げずに、とにかく新たに決まった代表のもとで、これは党員・サポーターも含めて選挙をして選ばれた代表ですから、一丸となって、この国の政治をよくするという大きな目的に向かって全員で頑張っていきたいと考えているところです。

■質疑

○党代表退任に当たって

【日本経済新聞・宮坂記者】
 この1年9ヵ月、思い残すことはない、と代表はおっしゃったが、この1年9ヵ月、民主党時代も含めて、代表として取り組まれたことで一番印象に残っていることを一つ挙げるとすれば、何を挙げられるか。また、この1年9ヵ月を漢字1文字で表すならば何かということをお聞きしたい。

【代表】
 何か難しい話ばかりなので。
 漢字1字ならば、やはり「進」でしょうね。「前に進めた」という意味と、「民進」の「進」と、両方兼ねて「進」ということだと思います。
 一番の思い出は、やはり参議院選挙です。厳しい選挙でしたが、6年前と比べてもちろん議席を減らしているわけですが、私が代表になってからは2年弱ですから、その間のやったことの結果が出るのはやはり3年前の選挙との比較だと考えています。倍増できなかったのは残念ですが、山形も含めれば33ということで、17からほぼ2倍になったということは、本当に一人ひとりの、我が党を支えていただいた皆さんの努力の結果ですが、私としても、再生に向けて一歩踏み出したという意味で非常に思い出深いことでございます。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 1年9ヵ月前に代表は、「私は変わります」と言って代表になられた。どん
なふうに変わられたのか伺いたい。

【代表】
 なかなか厳しいご質問ですね、人間変われる部分と変われない部分とあると思います。
 ただ、私、網膜剥離を患ったこともあって、前回の代表の時と比べると、かなりいろいろな人に任せて党運営をしてきたと思います。もちろん譲れない点は譲りませんでしたが。それぞれの立場で、例えば枝野幹事長、非常にしっかりと仕事をやってくれましたので、私は相当任せ切っていた部分があります。その他の、長妻昭代表代行や蓮舫代表代行も含めて、皆さんしっかりと自分の職責を果たしていただいた。私は、もちろん疑問に思った時はいろいろと申し上げたことはありますが、基本的にはそれぞれの役職にある人に委ねた。そこは、何でもかんでも自分でやろうとした、あるいはやらざるを得なかった、まだ人が育っていなかったという部分はありますが、10年前と随分変わったなと。それは私が変わったということもあるかもしれませんが、それだけ人材の層が厚くなったということだと思います。
 10年前に、こういうことがあったのです。私が代表でいろいろとやっていた時に、当時の枝野さんからこう言われたことがあるのですね、「菅代表の時には岡田幹事長がいた。だけど岡田代表には岡田幹事長はいないんですよ」と。もちろんその時の幹事長もいらっしゃったわけですから、これ以上深入りは避けますが。やはり、それと比べると、そういうふうに言った枝野さん自身が今度幹事長としてしっかりと支えてくれましたので、それはやはり10年間のこの党の進歩を表しているということだと思います。

【朝日新聞・中崎記者】
 野党第一党の党首として最後の会見ということなので伺いたいが、これまで巨大な政府・与党と対峙されてきた。次の党首討論は次の代表が立たれると思うが、最後に言っておきたいこととか、あるいは要請しておきたいこと等あれば伺いたい。

【代表】
 安倍総理とこの間何度か、かなり議論してきました。とは言え、党首討論は1回しかこの通常国会はなかったわけですが、やはり国民の前で真摯に正面から議論するというのが政治家に託された最も重要な役割で、そういう意味では非常に残念な、がっかりすることが多かった。こちらはかなり準備をして、考え抜いて質疑をしているが、まともに答えが返ってきたためしはほとんどなかった。こういうことが続くと、議会政治そのものが形骸化してしまいますね。国民にも伝わりません。そして、さっきの消費税の引き上げ先送りではありませんが、いろいろな策を弄して選挙に勝とうとする。これは決して健全なことではないので、ぜひそこは新しい代表と真摯に向き合って、国民の前で議論するということをやってもらいたいと思います。
 小泉(純一郎)さんと議論している時は、いろいろと驚かされることもありましたが、議論していて楽しかったです。今回は徒労感、やったけれども、それが世の中にどれだけの意味があったのかということをいつも自問する。そういうやりとりでした。

【東京新聞・我那覇記者】
 総理との議論の件で、小泉さんとは議論していて楽しかったとおっしゃったが、その違いはどういうところか、もう少し具体的に。どういうところが楽しかったのか伺いたい。

【代表】
 正面から答えが返ってくる。もちろん、変な答弁もいっぱいありましたよ。非戦闘地域とは何かと聞いたら、「自衛隊がいるところが非戦闘地域だ」とか。それから、(勤務実態がないのに)厚生年金を受け取っていたでしょうと言ったら、「人生いろいろ」とか。実は私が一番驚いたのは、A級戦犯というのは戦争に責任がある人でしょう、総理、どう思うのですかと聞いたら、「戦争に責任がある」というのを飛び越えて「戦争犯罪人です」と、小泉さんは答えたのですね。
これはちょっと予想外で、私も驚いたのですが。
 そういう、いろいろな率直な答えが返ってきて、議論していて楽しかった。そして何か前進があった。お互い共通の認識に立てたとか、あるいは国民に伝わったとか、そういうこともありました。
 残念ながら、安倍総理と議論してそういうふうに思うことは、ほとんどありません。そもそもまともに議論が返ってこない。そこが一番大きな違いだと思います。

【読売新聞・中田記者】
 この1年9ヵ月をご自身で点数をつけるとしたら何点かということを伺いたい。

【代表】
 点数は、自分でつけるのは非常に難しいです。ただ、やるべき最低限のことはできた。欲を言えば切りがありません。しかし、スレスレ、自分としては合格点。少なくとも私としては、できることは120%の思いで、この1年9ヵ月、必死の思いでやってきた。あとは、能力が足らなかったからだと言われればそのとおりですが、自分としては精一杯のことはやったと思っています。

○野党連携について

【フリーランス・上出記者】
 参議院選挙が一番の思い出と、成果を言っておられた。いろいろな捉え方があるが、私の目から見ると、やはり「安倍政権の暴走を何とか止めたい」という国民の願いから見ると、野党が一緒に取り組めたことが非常に大きな成果だ。その中で、野党共闘に関して、かなり与党とか一部メディアの思うつぼになってしまって、あまり野党共闘のことが前面に出てこない。せっかくの「岡田路線」を継承しないのは愚の骨頂ではないか、と言っているメディアもある。「岡田路線」という言葉も含めて、野党共闘への岡田代表自身の思いはどういうものか、あらためてお聞きしたい。

【代表】
 「岡田路線」という言葉を使う必要はないと思いますが、今日も自動車総連や電力総連の大会が大阪や東京でありまして、昨日はUAゼンセンがあったのですが、それぞれ私、申し上げています。
 連合の中でも、野党共闘、特に共産党との関係についていろいろな議論があるということを踏まえて私は申し上げているわけですが、まず政党と、そして労働組合と、それぞれ大きな目指す方向は一緒だが組織としては異なるものだということを前提にした上で、我々、巨大与党にしっかりと歯止めをかけるという野党第一党としての責任がある。将来的には政権交代が可能な政治をつくり出していく。そういう意味でも責任がある。そういう観点から見れば、1議席でも多くの議席を目指していくのが、執行部としての、あるいは野党第一党・民進党のリーダーの責任だと、ずっと考えてまいりました。
 そういう観点で見ると、やはり1人区、1人しか選ばれない、これは参議院の一人区であったり、あるいは衆議院の小選挙区であったりするわけですが、そこで野党が複数の候補者を出して、お互いが同士討ちのような形になって自民党を利するようなことは極力避けるべき。もちろん理念や基本政策が異なれば、連立政権にはなりません。そのことは明確に申し上げた上で、しかし、与党の暴走を止め、そして民進党がさらにしっかりと二大政党の一翼を担う、そういう勢力にしていくため、ということを考えれば、やはり一定の野党間の連携というのは、誰がリーダーになっても避けられないことだと私は思っている。そういうことを各会場であえて申し上げてまいりました。
 そこはおそらく3人のリーダーの皆さんも、連立政権をつくらないということは共通しているし、それから全くそういった候補者の調整をしないと言っておられる方はいないので、ニュアンスの差はあっても、大きな方向性は変わらないと私は思っています。

【フリーランス・上出記者】
 今、代表が言われたような、野党共闘に対してそこまで明確に言った候補は、蓮舫さんも含めて、私の聞いた限りでは、いないという感じがする。単なるニュアンスの違いだけなのか、その辺はいかがか。

【代表】
 私は、実質的には変わらないと思っています。必要があれば、それは代表選挙の中で聞いていただければいいと思います。
 ただ、衆議院の場合には政権を争う選挙ですから、参議院とは若干、意味合いも異なります。政権をともにしないわけですから、そこは同じと言えば同じなのですが、政策の違いというものがあるということを前提に考えていかなければならないということと、それからなんと言いますか、参議院の場合には都道府県(連)に委ねた部分があるのですね、どの程度、どういう形で協力するかと。だから、それぞれ違います。しかし衆議院の場合には、これは相手方も同じようなことを言っているのですが、やはり党本部が、執行部が主導して、一定のルールをつくってやっていくことになるのだろうと思います、“直取引”ではなくて。そういうところの違いはある。
 じゃあ、どういうルールでやるのかというのは、これからの執行部がしっかりと議論して固めていただくことだと思います。ただ、大きな方向としては、私が先ほど申し上げたそこは変わらないだろうと思っています。

【読売新聞・中田記者】
 共闘について、代表選で3人の候補が、理念・政策が異なる政党とは連立は組まないということは共通しておっしゃっているが、候補者調整を含めた選挙協力についてはどうかという部分に関して、「民進党の旗を立てて、それに対して他党が判断することだ」「我々の考えを示した上で、その先どうするかは他党が判断することだ」という表現のされ方をしているが、こういった考え方について代表はどのように思われるか伺いたい。

【代表】
 意味するところがどういうことなのか。民進党の政策は当然ありますね。その政策に賛同した上で、そういう連携をすべきだという意味なのか、そういう違いがあることをわかった上で連携するということなのか、そこがはっきりしません。
 わかりやすく言うと、「日米同盟を深化させる」という我が党の考え方がありますね。それに賛同しないと、候補者調整も含めてやらないということだと、事実上、他党との、特に共産党や社民党との候補者調整はしないと言っているに等しいと思うのですね。そうではなくて、我が党が「日米同盟を深化させる」と言っていることをわかった上で、それぞれの立場を尊重しながら、必要な連携や調整をしていくという意味であれば、それは幅広く、野党間のそういった連携・調整は可能になります。どちらの意味で言っておられるのか、私にはよくわかりません。
 私は後者、我が党には我が党の政策がありますが、それに全て賛同するということではなくて、そのことをわかった上で、逆に言うと我々も他の野党の考え方、例えば「消費税反対」だとか、あるいは「日米安保反対」とか、そういう考え方もお互いにわかった上で、それでも大きな、巨大な与党に対抗していくために少しでも(野党の)議席を増やす、そのために必要な協力をしていくということ。私はそういうことだと理解しています。

○憲法をめぐる議論について

【時事通信・小松記者】
 参議院選挙の公約について、代表の見解を伺いたい。憲法9条に関して、「平和主義を脅かす憲法9条の改正に反対します」と書かれてあるが、これは平和主義を脅かさない形での改正については議論の余地があるという解釈か。

【代表】
 文言どおりです。ですから、そういう読み方をする人もいるかもしれませんし、そうでない読み方もあるということだと思います。あのマニフェストに書いてある文言を、そのまま読んでいただいたらいいと思います。

【時事通信・小松記者】
 公約が発表された時の代表の記者会見で、私、その点をお尋ねしたが、代表は、内容にかかわらず9条の改正は必要ないと明言されていたと記憶している。今、代表選挙で9条が議論になっているが、例えば9条に3項を追加して自衛隊の存在を明記するという改正であれば、参議院選挙の公約に反するということにはならないという認識か。

【代表】
 公約が全て拘束するということになると、3候補者の意見もその範囲で言わなければいけなくなりますから、それを踏み越える部分というのは当然出てくると思うのですね。全て参議院の公約に100%拘束されるというわけではないと思います。
 それから、私が9条の改正は必要ないと申し上げたのは、私が代表として申し上げたわけですが、文言は今おっしゃったとおりなので、それは若干の幅は。ただ、前原さんがもう1項加えると、もちろんも彼も「それは急ぐ話ではない」というふうには言っておられますが、もう1項加えることがマニフェスト違反ということにはならないと思います。

○民主党政権を振り返って

【テレビ朝日・白川記者】
 代表選を通じて、前原誠司候補が、民主党政権は期待されたのに何もできなかった、国民の期待を裏切ってしまったので、まずは謝罪からしたいということで、各地で頭を下げている場面が見受けられるが、岡田代表は、民主党政権は何もできなかったと前原さんが言っていることについて、どう思われるか。そして謝罪からという姿勢について、どうお考えになるかお聞きしたい。

【代表】
 「何もできなかった」という言い方をされているかどうか、ちょっと私、確認できて いませんが、民主党政権として十分でなかったということを真摯に認めて、そして謝罪しておられるのが前原さんだと思います。
 それはそれぞれの考え方の問題で、私は民主党時代、もちろん大きく期待を裏切ったことは間違いない。過大なマニフェストを掲げて、実際にそれができなかった。 我々の経験も不足していた。
 しかし、できたこともあります。やり遂げたこともある。例えば、安倍さんは最近、子ども・子育てのことをいろいろ言われますが、従来の年金・介護・医療という社会保障3事業を、子ども・子育てを加えて4事業にして、毎年7000億円加えると。 これは国の考え方として大きな政策転換。これ一つとっても、民主党政権の成果だと私は思います。
 さまざまなことを、民主党だからこそ手がけられたことがたくさんありますので、一方的に、何と言いますか、我々も回っていますと「全く何もできなかった」と言う人ももちろんいらっしゃいますが、できたことはできたというふうに今までも説明してきたし、私はそういうふうに考えています。

○蓮舫代表代行について

【「週刊現代」・小川記者】
 代表選について、岡田代表は蓮舫候補を支持しているが、一緒に執行部としてやってきて、岡田代表が代表として蓮舫候補に期待することは何かということと、もう一つ、「つまらない男」と岡田代表に言った蓮舫さんの発言について、どうそれを受け止めたのか、あらためて感想を伺いたい。

【代表】
 2番目の話はもう既にここで説明していますので、繰り返して申し上げることはありません。議事録を見てください。
 最初の話ですが、私、今、代表の立場ですので、私の選挙区の党員・サポーターには蓮舫支持ということでお願いしておりますが、それ以外の場では、あまり大っぴらに言わないほうがいいのではないかなと考えているところです。
 ただ、(自身が)代表選挙に出ないという決断をするに当たって、先のことを全く考えずにそういう決断をしたのではなくて、さまざまなことを考える中で、やはり蓮舫代表代行に1年9ヵ月支えてもらった、その間の彼女の言動、あるいは発信力、そういったことを見ていて、私は後を託せる人がいると思って、代表選挙に出ないという決断をした。誰もいなければ、私は決断をしていないわけであります。
 蓮舫さんについては、以前も申し上げたと思いますが、一つは女性であるということですね。この党再生のポイントは「地方」と「女性」だと、私、ずっと申し上げてきたわけです。そして、辻元さんも含めて、山尾志桜里さんとか蓮舫さんとか、それぞれ党の重要な立場で存分に力量を発揮していただいてきたわけですが、さらに一歩進めるためには女性のトップ。民進党は、自民党と比べてはるかに女性が重要な役割を果たす政党であってもらいたいと、私はずっと思ってまいりましたし、そのために地方議員を増やすとか、いろいろな努力はしてきましたが、やはりその究極の姿はトップが女性になるということですので、それを託したということです。
 もう一つは、多様な価値を尊重する、「多様性」を大事にするというのは極めて重要な我が党の基本的な価値観です。
 民主党時代、衆議院選挙が終わって最初の綱領の見直しをした時に、私はその辺(会場)に座っていたわけですが、手を挙げて、当時の執行部に、「『多様な価値観を、お互いに尊重する』という文字をぜひ入れてくれ」ということを申し上げて、入ったという経緯があります。
 そして今の党の綱領にも、「私たちは、『公正・公平・透明なルールのもと、多様な 価値観や生き方、人権が尊重される自由な社会』『誰もが排除されることなく共に支え、支えられる共生社会』『未来を生きる次世代への責任を果たす社会』を実現する」 ということで、「多様な価値観や生き方」という言葉が綱領の最初に出てまいります。
 私が(民進党の)結党時に「結党宣言」ということで申し上げた中にも、「多様性を 認め互いに支え合う精神がある限り、いかなる困難も乗り越えることができる」と申し上げました。「多様な価値観」というのは、我が党にとって非常に重要なキーワード です。
 彼女の場合に、お父さんが台湾出身だということと、女性であるということは、その 「多様性」の象徴でもあり、そういう意味でも民進党の代表としてふさわしいと私は考えたところです。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 野党のトップとして、岡田さんくらい「メディア状況の危機」ということを訴え続けた方はおられないだろうと私は思っている。私の世代だと、二つの故郷というか、ふるさと、
祖国を乗り越えた王貞治選手というのは大スターだったと思う。だから、一体、蓮舫さんのどこに何の問題があるのか、私はほとんどわからない。逆に言うと、こういう時に「蓮舫叩き」というのか、こういうことをやるようなメディアというものについて、最後の会見なので、あらためて今のメディア状況について岡田代表のお考えを伺いたい。

【代表】
 この問題の発端になったのが、私の通産省の1年先輩である八幡和郎さんという方のブログです。その最初に、「民進党の代表選挙は蓮舫氏の独走状態のようだ。しか
し、閉鎖的といわれる日本人が野党第一党の党首に台湾から帰化した女性を選び」帰化したというのは事実に反するのですが、「有力な首相候補とするとは随分と大胆なことだと思う」と、この書き出しで始まるわけですね。私は、もうそこからすごく違和感を持っております。
 今、彼女は日本国籍を得ていることは間違いのない事実であって、「お父さんが台湾の人だから」、それが何かおかしいかのような発想が、この一連の騒ぎの中でどこかにあるとすると、私はそれは極めて不健全なことだと思っております。我々民進党は、そういった考え方とは対極にあるということを申し上げておきたいと思います。

【フリーランス・安積記者】
 先ほど「帰化したというのは事実に反する」とおっしゃったが、2004年の選挙公報で、蓮舫氏は「1985年、台湾籍から帰化」と明記されている。この選挙公報が間違っていたということか。

【代表】
 「帰化」というよりは、やはり「日本国籍を選んだ」と。法律上、(日本国籍になることが)できなかったわけですね。我が国の法令上、できなかった。当然のこととして、母親が日本人、父親が外国人の場合に、(日本生まれであっても)日本国籍が得られないという状況。これが(1985年に)法令が変わって、日本の国籍を選ぶことができるようになった、ということです。それを「帰化」と言うべきなのかどうか。私は、通常で言う「帰化」という言葉とはちょっと違うような気がします。

【フリーランス・安積記者】
 「帰化」という定義がどうなのかということになると思うが、すなわち「帰化」という言葉が2004年の選挙公報に書かれていたが、帰化ではないとおっしゃった限りは、この
選挙公報は虚偽だということになるわけだが、これはいかがか。

【代表】
 どこまで厳密な意味で使われたか、ということだと思います。それ以上のことはちょっと私に聞かれてもわかりませんので、ご本人に聞いていただきたいと思います。

【産経新聞・清宮記者】
 蓮舫さんの関連だが、台湾籍を放棄されたかどうかという点を我々は問題視をして、これまで報道しているわけだが、これまでの蓮舫さんの説明で十分に尽くされているかどうか、代表の考えを伺いたい。

【代表】
 それは蓮舫さんご自身が説明されることだと思います。そして、それを国民がどう受け止めるかということだと思う。
 彼女自身、記憶が定かでないところがあると。したがってもう一度、念のためにあらためてそういった(台湾籍放棄の)手続をとったということも言われているわけで、私はそれが何か問題だとは思えません。
 それから、産経新聞は異なると思いますが、この問題の背景にある、ちゃんと国籍を得ていても、父親が外国人であると日本のリーダーになってはおかしいような、そういう考え方があるとすると、それはやはり「違いますよ」と、私ははっきりと申し上げたいと思います。国際的なルールから見ても、普通、先進国で、既に国籍をきちんと得ているにもかかわらず、政治家になれない、リーダーになれないということは一般的ではないと思いますし、「多様な価値観を認める」、そして「寛容」という、我が党の目指す方向性とは全く異なるものだと思います。

【フリーランス・上出記者】
 この問題で思い出すのは、1990年の選挙の時に現地で取材したが、ミャンマー、アウン・サン・スー・チーさんが選挙で勝ったにもかかわらず、家族が外国籍で、大統領になれないと。そういう差別的なことが日本であってもいいのか。一部のメディアの方は取り上げているが、下手したらこれは人権問題にもなるし、先進的な、民主的であるはずの日本が、何かこういう問題で、変な形で逆に外国から批判されるかもしれない。ただ、脇の甘さ、本来きちんと公表すべきところを公表していない部分があるのだったら、それはそれで整理しなければいけない。その辺をどう整理されているか。一部から批判が出ていることは確かなので。

【代表】
 それはご本人が説明する話であって、十分な知識もないまま私がこの場で申し上げることではないと思います。もし疑問があるのであればぶつけていただき、ご本人が説明する問題だと思います。
 今、ミャンマーの話をされましたが、いずれにしても、かつてどういう国の人間であったとしても、日本国籍を取得して、そして取得をすれば当然それは日本人だし、その人が政治家になったりリーダーになったりしてはいけないということは、全くあり得ないことだということは、はっきり申し上げておきたいと思います。

○党代表選挙について

【フリーランス・安積記者】
 現在の代表選は、今、全国的にというか、国民に対してアピールできているかどうか、どう思われるか。地方で行脚されているが、例えばネットで見ようにもニコニコ動画さんなどはフォローし切れていなかったりする。全国的に何か討論をやるにしても、予定されているみたいだが、今のところ全員が参加というような返事が来ていなくて、可能性はないかもしれないというような知らせが来ているが、これについて伺いたい。

【代表】
 ちょっとどういう状況か、私、わかりませんが、折角の機会ですから、多くの国民の皆さんが、3人の候補者がどういう考え方を持っているか、あるいは民進党がどうなのかということがわかる、そういうチャンスをできるだけ生かしていったほうがいいと思います。
 具体的な状況はちょっと承知をしておりません。

【読売新聞・中田記者】
 1年9ヵ月代表をされてきて、一定の成果があった、反転攻勢のきっかけをつくることができたとおっしゃっていたが、新しい代表にはどのようなことを求めたいか、そのため
にどのような能力が必要と考えるか伺いたい。

【代表】
 今、代表選挙をやっている最中に私が、どういうことが望ましいとか、そういうことはあまり言わないほうがいいと思うのですね。どういうふうに言ったとしても、誰かに肩入れ
しているみたいに見えてしまいますので、ちょっとお答えは控えさせていただきたいと思います。代表選挙が終わった後ならばお話しできると思いますけれども。

【東京新聞・我那覇記者】
 誰かの肩入れになるかもしれないということでお答えにならなかったが、蓮舫さんのところは、女性とか、多元性を象徴するという趣旨のことをおっしゃっていたので、他の候補者2人のいいところとか、そういうところをどうお考えになっているのかお聞きしたい。

【代表】
 何か、そういうことを言うのは偉そうじゃないですか。だから、あまり言わないほうがいいと思いますが、いつか申し上げた範囲で言いますと、やはり前原さんは与党・政府の
中でも重要な役割を、重職を歴任され、そして党務という意味でも、代表も含めて経験された。そういう意味で非常に経験のある、そして能力のある政治家だと思っております。
 玉木さんは、若さ、新しさというところで、非常に新鮮味がある。玉木さんが最初に政治家になる時に誘ったのは岡田代表と玄葉光一郎選対委員長ですので、そういう意味でも思い入れは非常にあるのですが、よくここまで成長してきたと思っております。

【フリーランス・堀田記者】
 今、代表選が行われているが、サポーターに投票用紙が送られてきて、それだけだ。そのサポーターが私に問い合わせてきた、「誰が出ているの」と。党としては、サポーターに投票用紙を送る前に、この人が出ているんだということを全然やっていない。

【代表】
 それはいつものことなのですが、投票用紙を運動期間中にちゃんと誰に投票するかというはがきが戻ってくるためのタイミングを考えると、決まった瞬間に投票用紙を出さなければいけないということなのですね。その時には、今回は玉木さんは(告示の)その日に決まったようなところがありますが、そういった誰が立候補しているとかいうことを、新たに印刷して数十万部それを送るということは物理的に不可能だということです。メディアや、あるいはホームページで見ていただく。あるいは私の選挙区で言うと、党員には全体的にそういった媒体が送られるということになっていると思うのですが、サポーターは基本的にはそういうものが届かない。私の選挙区は、そういうサポーターも含めて、こちらの総支部の負担で郵送してわかるようには努力していますが、そういったことをされるところと、そうでないところがあるのだろうと思います。

【北海道新聞・津田記者】
 先ほど代表は、「新しい代表に求められること」はお答えにならなかったが、これか ら民進党が国民の信頼を回復して二大政党の一翼を担うようになるために最も必要になることは何だと思われるか。

【代表】
 自信を持って前に進むことだと思います。
 今回、北海道でも3議席のうちの2議席を取りましたよね。民進党の支持率は地域によってかなり差があります。手前みそになりますが、三重県では比例の投票は自民党よりも民進党のほうが多かった。ですから、やはり我々の考えているところをしっかりと自信を持って訴えていく、それを徹底することが大事だと私は思っています。

○党代表退任後の活動について

【日刊スポーツ・中山記者】
 今後に関して、執行部を全力でサポートしたいとおっしゃったが、一人の国会議員として、今後取り組みたいテーマ等はお持ちか。

【代表】
 やらなければいけないことはたくさんありますが、少し政策的に、目の前のいろいろなこと、例えば安倍さんがどうのこうのとか、そういうこととは少し離れて考えなければい
けない問題は幾つかあります。
 一つは、日中関係のこれから。なかなか状況は厳しいわけですが、やはりずっと角を突き合わせていくわけにもいかない。これからどういうふうに日中関係を構築していくか。
 日米同盟も、アメリカも今の大統領選挙を見ているとだいぶ変わってきていますから、そういう中で日米同盟をどう深めていくかということも、少しじっくりと考えたいなと思っています。
 国内で言うと、やはり財政の健全化というのは非常に気になるところで、以前もここで申し上げたと思いますが、私としては消費税の引き上げ先送りは本当にしたくなかったですね。しかし、今の経済状況ではやむを得ない。もう一つは、安倍総理が引き上げ延期を選挙のテコとして使ってくる。総選挙もそうだし、今度の参議院選挙もそうですね。そのことはわかっていて、やはり我が党の議員を守るためにも、私としては先送りを言わざるを得なかった。しかし、そんなことがいつまでもできるはずはないわけで、やはり財政の健全化に向かって、しっかりとした政策を考えなければいけないと思います。社会保障制度の持続可能性も同じですね、コインの裏表にあると思います。
 そういったことを、少しじっくりと考えたい。もちろん、それは党の政策にも反映していきたいと思いますが、少し時間を得て、そういったことをやっていきたい。
 あと民進党という意味で言うと、先ほど言った、女性がもっと、地方議員も含めて数も増え、そして見識のある人がたくさん、政治家として我が党に入ってもらう。それから地方で、今、非常に厳しい状況にある都道府県連もたくさんありますので、そういったところの立て直し。あるいは総選挙に向けて多く擁立できた優秀な新人たちを後押しすることとか、いろいろなことをこれから少し自由な立場でやっていきたいと思っています。


【「FACTA」・宮嶋記者】
 代表を辞められると、SPさんもいなくなって、何でもできるようになる。家族サービスをやるのか、しばらく充電ということなのか、それともむしろ、自由な形になるので、例 えば志位さんあたりとメシを食えるようにもなるのだろうし、いろいろなことができると思う。充電というか家族サービス、「これをしよう」というのがあったら伺いたい。

【代表】
 自由な立場で、いろいろな人と交流したい。その中には、もちろん政治家も含まれます。
 ただ、当面やらなければいけないことは、犬の散歩ですね。もちろん今でもできるのですが、なかなか、私的なことなので、ほとんどできていないんですね。ですから、夫婦で犬を連れて散歩すると。何かコースもいろいろ考えているようですから、人のあまりいないところで、家の周りの路地を犬を連れて散歩するというのが、当面予定していることです。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 「つまらない男ね」と言われないようにしないと。

【代表】
 私の家内は絶対に言いませんから、そういうことは。

【司会】
 それでは、最後の定例会見、これで終了させていただきたいと思います。岡田・辻元コンビはこれで最後です。皆さん、本当にお世話になりました。ありがとうございました。

【代表】
 ありがとうございました。




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