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2015.12.17|夕刊フジ

夕刊フジコラム/自公の無責任さにわが耳を疑った…軽減税率の財源確保”先送り”は言語道断

 民主党と維新の党は先週、衆参両院で統一会派を結成することで合意した。統一会派とは、複数の政党が、国会では1つの勢力として行動していくものだ。基本的政策の合意をていねいに行い、また、維新の党の代表選もあったので、少し時間がかかったが、巨大与党に立ち向かう態勢が整った。

 すでに委員会など、国会での人事は一本化した。代議士会や政調部会も共催する予定だ。来年1月4日召集の通常国会に向けて、代表質問や委員会質問など、ベストメンバーで挑みたい。お互い一体感を高めていければ、選挙での協力などに進んでいくのではないか。

 党内外には「来年夏の参院選までの新党結成」を訴える意見もある。私も、新党は選択肢の1つだと思う。ただ、新党結成には、政策や理念の一致だけでなく、党を支える地方議員や地方組織、党員・サポーターなどの理解が不可欠だ。私は地方行脚で、こうした方々の声を直接聞いている。与党時代の党分裂の記憶もまだ根強く、慎重な意見も多い。

 ともかく、他の野党も含めて、さまざまな協力を続けていきたい。

 自民、公明両党は12日、2017年4月の消費税率10%引き上げと同時に導入する軽減税率をめぐって正式合意した。私は、1兆円という規模の大きさとともに、財源の裏付けがまったくない無責任さに、わが耳を疑った。

 消費税増税の痛みを緩和するための対策は必要だ。しかし、軽減税率は所得の高い人ほど恩恵が得られる制度だ。必要な財源も大きくなる。本当に、国民の理解が得られる制度なのか疑わしい。民主党は、所得の低い人に絞って現金を支給する「給付付き税額控除」という制度を提案している。

 特に、財源確保の議論が1年後に先送りされたことは信じがたい。1兆円の穴埋めは、結局、社会保障を削るか、赤字国債を発行(借金)するしかない。次世代にツケを回さずに、必要な社会保障を充実させるという、消費税増税の原点が完全に捨て去られている。

 安倍晋三政権は「2020年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を目指す」という財政再建の旗を放棄したのか。1兆円の財源と財政再建目標をどうするのか。次の国会で具体的に説明し、参院選で国民の審判を受けるべきだ。選挙後に先送りするなど絶対に許されない。

 15年は、経済も安全保障も、安倍政権の強引な手法が際立った一年だった。16年は、安倍政権の暴走に歯止めをかけるためにも、極めて重要な1年となる。国民生活を改善させられるのか。憲法の「平和主義」を守れるのか。正念場となる夏の参院選を戦い抜き、次の衆院選で政権交代に再チャレンジしたい。(民主党代表)




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