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【代表談話】財政健全化の基本的な考え方 民主党代表 岡田 克也

2015年6月30日

財政健全化の基本的な考え方(談話)

民主党代表 岡田 克也

• 今年度一般会計予算も約96兆円の歳出に対して税収等は約59兆円。あとは約37兆円の国債発行(公債金)で賄っている。すでに国債発行残高は807兆円、国及び地方の長期債務残高は対GDP比205%となり(2015年度末見込み)、世界に例のない危機的状態。真剣に財政健全化に取り組まなければ、近い将来、金利の急上昇やハイパーインフレなど国民生活に甚大な影響が及ぶ可能性は否定できない。
• 2020年度基礎的財政収支(PB)黒字化は財政健全化の一里塚に過ぎない。団塊の世代が75歳を迎える「2025年問題」などで増え続ける社会保障予算等を考えると、2020年度以降の債務残高を対GDP比で安定的に減らすためには、将来、更なる税収増と歳出削減が必要。その道筋を示すため、2020年度以降の長期財政見通しを示すとともに、例えば、2050年度までに国及び地方の長期債務残高を対GDP比200%以内とする(民主党・財政健全化推進法案)といった具体的な中長期目標を設定すべき。
• 経済成長がすべてを解決するかのような甘い認識に立って、我が国の将来を大きく左右する財政健全化の問題をいつまでも先送りにはできない。歳出改革、歳入改革いずれも厳しい道だが、これをやり遂げる強い決意を我々は持たなければならない。国民の理解も十分とは言えない。持続可能な社会保障制度、持続可能な日本を創ることの重要性について、世代を超えた合意形成が必要である。

(骨太方針の「経済・財政再生計画」)
• 骨太方針の「経済・財政再生計画」は、「経済再生なくして財政健全化なし」を前面に掲げる。申し訳程度に「我々が目指すのは経済再生と財政健全化の二兎を得る道」ともあるが、再生計画の中身を見ると財政健全化には程遠い。安倍政権には、「財政健全化なくして持続的な経済成長なし」との強い危機感と覚悟が完全に欠如している。将来不安があるなかで、消費や投資はなされない。金利の上昇も懸念される。そういう認識に立って、「経済成長と財政健全化の両立」という目標を掲げ、不退転の決意で取り組むべき。
• 経済・財政再生計画は、2020年度PB黒字化の財政健全化目標を堅持・実現するとし、「目標達成シナリオ」「改革工程」を掲げるが、具体的数値や裏付けはほぼ皆無で、玉虫色の作文の羅列。
• 2月公表の「中長期の経済財政に関する試算」(内閣府)において、楽観的な経済再生ケース(実質成長率2%、名目3%以上)でも2020年度 9.4兆円としたPB赤字はどうなるのか。PB赤字を解消するため、歳出削減と税収増をどのように組み合わせるのか。賃金・物価や金利といった経済指標をどう見るのか。経済・財政再生計画には何も書かれていない。中長期試算のアップデイトは7月後半に出ると聞くが、本来、骨太方針とセットで閣議決定されるべきもの。これでは議論の仕様がなく、政府案は「計画」の名に値しない。
• もともと2020年度PB赤字9.4兆円は、楽観的な経済再生ケースを前提に、超楽観的な税収増を見込んでいるにもかかわらず、経済財政諮問会議では更なる税収増を見込むとの信じがたい議論がなされていた。また、本格的な歳出削減は2019年度からで、それまでの3年間は歳出削減は行うものの、他方で成長率を高めるための歳出増が必要との議論もあった。経済・財政再生計画が、こういった考え方を取るのか取らないのかもはっきりしない。

(歳出改革)
• 政府は、経済・財政再生計画の中で、2018年度までの3年間の国の一般歳出について、社会保障費の増加分を除き、ほぼ横ばいに留めるとしている。しかしながら、今後新たに生じる可能性のある歳出増(復興予算、TPP国内対策費等)や税収減(複数税率や給付付き税額控除等)、消費税10%に伴う補正予算等も考慮すれば、実際の歳出は横ばいに留まらず増大する可能性が高く、歳出削減の深堀りを検討しておく必要がある。
• 社会保障費は、高齢化により増加することを視野に入れつつも、既存制度の改革によるメリハリのきいた重点化・効率化が必要。子ども・子育てや貧困・格差対策など本当に必要な人々に対する投資は充実する。他方で、所得・資産のある高齢者には、税・給付いずれも負担増をお願いする。
• 公共事業は、今後の人口減少や既存インフラの維持管理・更新費用の増大を考えれば、大胆な選択と集中が不可欠。少なくとも補正予算も含めた毎年度の公共事業予算は前年度を下回ることとし、例えば、他の先進国並みの水準(直近の一般政府の総固定資本形成(対GDP比)は、日本3.6%、仏3.2%、米2.3%、英2.0%、独1.6%)に引き下げていくといった道筋を明示すべき。
• 行政改革の不断の努力も不可欠。特に、職員団体等との協議・交渉を通じた国家公務員給与の改定、及び国家公務員総定員の純減計画の策定と実行が必須。また、行革の前提として、議員定数の削減も断行しなければならない。
• 経済・財政動向の分析・予測、財政健全化計画の進捗状況の点検等を客観的・中立的に行うため、行政監視院等、政府から独立した機関の設置を検討すべき。
• 以上のような基本的考え方や数値目標を法定化し、着実に財政健全化を実現するため、民主党は「財政健全化推進法案」を国会提出する。日本の将来を左右する大きな課題であり、党派を超えた合意形成を目指す。

以上

※臨時記者会見の動画はこちら
※本件に関する民主党HPはこちら




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