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2015.06.25|夕刊フジ

安保関連法案、追及続行する 首相は「ゼロ回答」 (夕刊フジコラム「ズバリ直球」15年6月25日)

日本と韓国は22日、国交正常化から50年を迎えた。ただ、安倍晋三首相と朴槿恵(パク・クネ)大統領は就任以来、日韓首脳会談を一度も実現させていない。こういう状況で、記念すべき50年を迎えたことは極めて残念だ。

 そんな中、尹炳世(ユン・ビョンセ)外相が21日に来日した。岸田文雄外相との日韓外相会談では、「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産登録と、「百済の歴史地区」の登録で協力することで一致したという。

 また、安倍、朴両氏は22日夕、東京とソウルで開いた記念行事に出席し、それぞれ首脳会談への意欲を表明した。私も尹外相と会談し、記念行事にも出席したが、北朝鮮情勢など共通の懸案を抱える両国首脳は条件なしで会って話すべきだ。安倍、朴両氏には、大局に立って、両国関係の再構築を進めてほしい。

 さて、安全保障関連法案について深く掘り下げた17日の党首討論で、安倍晋三首相は「ゼロ回答」の連発だった。極めて残念というしかない。

 中でも重要なのは、自衛隊が集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」の概念だ。私は、一歩手前の「重要影響事態」から、どういう要件を満たせば「存立危機事態」に移行するのか、朝鮮半島有事を例に具体的に聞いた。

 政府はこれまで、存立危機事態について「わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合…」などと定義付けしているが、抽象的すぎるからだ。

私の質問に対して、安倍首相は「さまざまな要素を勘案して、客観的、合理的に政府で決める」と答えるだけで、具体的な説明はなかった。これでは、憲法違反かどうか、武力行使ができるかという重要な判断を首相に丸投げするようなもので、全く認められないと考えている。

 もう1つは「徴兵制」の問題だ。

 徴兵制については、奴隷的拘束や意に反する苦役を禁じた日本国憲法第18条の規定から、「できない」という解釈が定着している。

 だが、安倍内閣が集団的自衛権について、国会での十分な議論や、国民の理解もないまま、一内閣の判断で憲法解釈を変えたことで、「徴兵制についても、将来、現在の解釈を変える首相が出てくるのではないか。そのリスクをどう考えるのか」と問いただした。

 これについても、安倍首相は明確な答弁をしなかった。

 ちなみに、菅義偉官房長官が、集団的自衛権の行使を「合憲」とする憲法学者として名前をあげた憲法学者3人は、徴兵制についても「憲法違反でない」という考えだったことが、わが党の辻元清美衆院議員の調べで明らかになっている。

 ともかく、これだけの重要法案を、国民の理解もないまま強行成立させれば、後世に禍根を残す。通常国会は9月末まで延長された。論点・争点が多々出てきているので、徹底的に追及していきたい。 (民主党代表)




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