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2015.06.22|記者会見

岡田克也代表定例記者会見(6月19日)⇒https://www.youtube.com/watch?v=YA12Lnh4cvw

岡田克也代表記者会見
2015年6月19日(金)15時00分~15時46分
編集・発行/民主党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。

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■冒頭発言
〇労働者派遣法改正案、同一労働同一賃金推進法案の強行採決について
〇参議院選挙制度改革について
〇日韓関係について
■質疑
〇維新の党と与党による同一労働同一賃金推進法案の修正について
〇政府・与党の国会運営について
〇韓国外交部長官の来日について
〇北朝鮮の情勢について
〇《安保法制》日本の周辺事態対応に関する考え方について
〇《安保法制》新安保法制の違憲性をめぐる議論について
〇参議院の選挙制度改革について
〇野党外交について
〇《安保法制》維新の党の対案について
〇維新の党との関係について
〇《安保法制》憲法改正をめぐる議論について
〇代表の体調について
〇党首討論を振り返って
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■冒頭発言

〇労働者派遣法改正案、同一労働同一賃金推進法案の強行採決について

【代表】
 私からは冒頭3点。
 1番目は、国会の不正常化です。民主党を初めとする野党が国会に提
出しておりました同一労働同一賃金推進法案、与党と維新の党が勝手に
修正して採決を強行した。これは前代未聞、国会の歴史をたどってもたぶ
んないのではないかと思います。我々3党(民主・維新・生活)で共同して
提案していたものを、いつの間にか他党と、つまり与党側と協議して修正
してしまう、しかも、全会派の賛同を前提としている緊急上程のルールも無
視して、本会議で強行採決した。
 先般、厚生労働委員会の運営について、自民党国対委員長が「野党と
合意せずに進めたことは遺憾であった。意見を真摯に受け止めていく」と
謝罪されましたが、またもこういう暴挙をしたことについて極めて強い怒り
を覚えるわけであります。
 こういった経緯を経て衆議院を通過した派遣法案については、正当性が
失われていると思います。

〇参議院選挙制度改革について

【代表】
 2番目に、参議院の選挙制度の問題です。本日、民主・公明・維新・共産、
4党の参議院幹事長が国会内で会談して、「一票の格差」を是正する選挙
制度改革について議論いたしました。自民党も出るという話もありましたが、
残念ながら出席はされず、来週早々に再度、自民党も含めて集まることが
確認されました。
 この前の党首討論でも申し上げたのですが、我々は既に(一票の格差)
2倍以内、そして定数も削減という具体案を提案しております。公明党もブ
ロック案を取り下げて、そして2倍以内に格差を縮める、そういう案を明ら
かにされました。基本的にこれまで議論してきたのは、2倍以内に抑えるた
めにはどうしたらいいかと。当時の参議院自民党幹事長だった脇さんが出
した案をベースにして、それに若干手を加えたものが民主党の案であり、
そして今回の公明党の案であります。
 自民党は一体どうしたのか。この前も総理にも申し上げておきましたが、
結局、具体案が出てこないままです。野党4党でも一つの案がありますが、
これも3倍を辛うじて切るというものにすぎません。
 そういう意味で、この2倍以内ということを基本にして、各党が一つの案
にまとまることが国民の期待に最低限応えることである。とにかくきちんと
対応するということは法案の中にも盛り込みやってきている話であり、こう
いう状況というのは許されないと思います。
 自民党には速やかにしっかりとした対応をしてもらいたいし、総理・総裁
として安倍さんにはリーダーシップを発揮して党内をまとめていただきたい。
こういう状況で与党第1党がいつまでもグズグズしているというのは、まこと
に情けないことだと思います。

〇日韓関係について

【代表】
 3番目に、日韓関係について。日韓国交正常化50周年という記念すべき
年に、残念ながら両国関係は首脳会談もできないような非常に厳しい状況
にあります。私、外務大臣の時に、日韓併合条約100年ということで、非常
に気を遣いながら、その1年間、日韓関係は非常によかったことを思い出
しますが、残念ながら現状は非常に厳しい。
 (来週)月曜日には両国それぞれ大使館主催で記念行事が催され、私も
参加する予定です。聞くところによると両国首脳は出ないということです。
これも極めて残念なことで、本来であればこれを機に両国首脳が会うことが
望ましいですが、できなければそれぞれの大使館主催の記念行事に出席す
ることは最低限すべきではないかと思います。
 韓国側がどういう事情で大統領が日本大使館主催の記念行事に出席に
なられないのか私は詳しくは承知しておりませんが、韓国側がどういう事情
であっても日本は出席するというのが、大人の対応ではないかと思います。
国会は参議院決算委員会が予定されていますが、これも5時に終わります
から、冒頭から出られなくても式典に出ることは可能であって、ここはぜひ
総理には再考していただきたい。こういうつまらないことで意地を張り合って
いるような姿は非常に見苦しいと私は思います。
 この前、総理は集団的自衛権をめぐる議論の中で、北朝鮮の脅威という
ことを党首討論でも強調されましたし、だからこそ集団的自衛権が必要な
んだ、と北朝鮮のミサイルということを言われたわけです。それを言うので
あれば、やはりここは日韓関係をいかに改善するかということに渾身の力
を込めて対応すべきではないかと思います。
 党首討論でも申し上げましたが、今、北の情勢は決して楽観できる状況
ではないと思います。そういう中で仮に朝鮮半島有事となった時に、多くの
日本人を日本に無事に移動させることは極めて重要なことであります。そ
れをするためには韓国政府の協力がなければできない。もちろん韓国側
も、例えば在日米軍の協力がなければ対応できない状況。お互いそういう
意味では非常に依存関係にあるわけですから、ぜひ、これは韓国側にも
求めておきたいと思いますが、日本側も、総理も関係改善にもっとしっかり
と対応してもらいたい。こういうことで50年の日を迎えることは、今まで日
韓関係を何とかしようと頑張ってこられた先人に対してまことに申しわけな
いと思っております。

■質疑

〇維新の党と与党による同一労働同一賃金推進法案の修正について

【日本経済新聞・飯塚記者】
 代表は冒頭、維新と与党が勝手に合意してやったと手続論を批判された
が、法案の中身自体も、例えば法施行後1年以内としていたものが3年以
内となるなど、当初の案とはかなり別のものになったと思う。この中身につ
いて、代表はどう評価されるか。

【代表】
 評価に値しません。今おっしゃったことと、あと均等待遇というのもバラン
スに配慮したということで本来の意味が失われています。これでは何のた
めにこの法案を作ったのか意味が全く失われていると思います。

〇政府・与党の国会運営について

【フリーランス・宮崎記者】
 国会対策全般について伺いたい。自民党国対委員長が召集の前日に
地元会合で延長に言及するという異例な状況から始まったが、きょうの参
議院本会議で閣法の成立率は56%にすぎないと思う。総理と菅官房長
官が今週の日曜日に橋下徹さんと会い、一昨日は維新の国対委員長と
官房長官が会っており、国会の最終盤に官房長官が維新の幹部と会う
のは、どういうことなのか。疑われても仕方がない。ひょっとして内閣官房
の報償費からお金でももらったのではないかと国民や維新の党の支持者
が疑うのは当然ではないかと思う。代表としてはどのように思うか、閣法
成立率が56%に留まっている与党国対の対応も含めて伺いたい。

【代表】
 まず、想像で物を言うつもりはありませんので、コメントはいたしません。
 ただ、官房長官がいろいろ手を尽くす、野党と会うというのは官邸として
は一つのやり方かと。なるべく味方を増やすという意味で、別にその中身
がどうかということではなくて、会うということについて申し上げればそうい
う面はありますが、それに対して会う野党は、これも私の常識を超えます。
法案が非常に重要な局面にあるこういうタイミングですから。そういうふう
に思います。しかし、そこは野党の中にもいろいろな考え方があるのか
もしれませんので、批判的に受け取らないようにしておいていただきたい
と思います。
 国会会期(末)を控えて、これだけしか法案が通っていないということは
異例です。我々も別に妨害しているわけではないので、もう少し真摯に対
応していただきたいと思います。

〇韓国外交部長官の来日について

【フリーランス・安積記者】
 21日に韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外相が来日する。22日の日韓
国交回復記念行事に参加されるということなので、(代表と)お会いにな
るかもしれないが、その他に公式に外相と会うことはあるか伺いたい。

【代表】
 日程のことはまだ申し上げる状況にはありません。

〇北朝鮮の情勢について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 元外相である岡田代表が「北朝鮮の状況というのは楽観できない」と明
言するのは大事なことだと思うが、今の日本政府・安倍さんと岡田さんと
の認識が同じだとしたら、結論として集団的自衛権が「要る」と言うほうと
「要らない」と言うほうが共存するわけだが、北朝鮮に対する危機感の認
識は、政府と民主党ではどの程度一致するものがあるのか。代表が「楽
観できない」とおっしゃるのはどういう背景なのか伺いたい。

【代表】
 私も政府の情報を知り得る立場にはありませんが、一般に報道されて
いる事実を見ても、尋常ならざることが起きているということは言えると思
います。次々にトップとされる人たちが入れかわったり、あるいは処刑され
たり、安定した状況にはたしてあるのかなと考えるほうが普通だと私は思
います。

〇《安保法制》日本の周辺事態対応に関する考え方について

【読売新聞・前田記者】
 先日の党首討論で代表は最後に「集団的自衛権は要らない」と発言され
た。民主党の安全保障法制に関する党見解では、「安倍政権が進める集
団的自衛権の行使は容認しない」と明記されているが、これとの整合性は
あるのか、考えを伺いたい。

【代表】
 どこかのメディアもそういう記事を書いていましたが、私は極めて恣意的
な記事だと思って見ておりました。
 私が申し上げたのは、「周辺事態の対応」について民主党の考え方をま
ず申し上げた上で、つまり領域警備法案を整備するということと、それから
周辺事態法の枠組みはまず残すということで、政府のようになくすのでは
なくて、残した上で中身を充実させる。あとは個別的自衛権、これで十分
対応できる。したがって「集団的自衛権は要らない」と申し上げた。それ以
上でもそれ以下でもありません。

【読売新聞・前田記者】
 ということは、党見解の「安倍政権が進める集団的自衛権は認めない」と
いう考えには変わりがないと。

【代表】
 そうです。同じです、全く。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 日本近海公海で警備行動をしている米艦船を日本が守るということにつ
いて、民主党の有事立法が新たにできたらできることなのか。それとも今
日の北の情勢などを見て、日本国内には米軍基地があるので蓋然性とし
て日本本土に対しても(攻撃が)あると思って、それは個別的自衛権で対
応できると思っているのか。どちらの方向で日本近海の米艦船を日本の自
衛隊が守ることができると代表は思っておられるか、お考えを伺いたい。

【代表】
 まず党首討論で安倍総理に「重要影響事態」から「存立危機事態」、何が
プラスアルファされればそこに移行するのかということを私はお聞きしまし
たが、全く回答していただけない。ちゃんと答えて頂けたら、私も安倍さん
の質問に答えようと思っていた。
 あの場では詳しく言う時間はなかったので簡単に申し上げましたが、朝
鮮半島有事の際の政府が取り組まなければならない最大の問題は何か。
それは朝鮮半島、特に韓国にいる日本人を無事に日本に移動させること
です。
 そのためにはどうしたらいいか、これは昨年の予算委員会の審議の中
で既に私が申し上げていることですが、官民挙げて、例えば民間船舶も含
めて活用して日本人を、例えばソウル近郊あるいは釜山から日本まで運
ぶ、ピストン輸送することが求められると思います。もちろん飛行機もあり
ます。そうすると日本の船だけではなく、アメリカの船も場合によってはあ
るかもしれません。普通は軍艦ということはあり得ないと思いますが。それ
から第三国の船もあります。それらを海上保安庁や、あるいは海上自衛
隊の艦船、これは海上警備行動を発令して出すことになりますが、そこで
きちんと安全を確保することになります。何か攻撃があれば、警察行動と
しての武器使用は認められている。
 安倍さんは、そこで「アメリカの船に乗った親子が守られなくていいのか」
と言われるのですが、一つは、「じゃあアメリカの船だけで、他の国の船は
どうなのですか」とまず申し上げたい。これは1年前にも申し上げたのです。
 もう一つは、「存立危機事態」と言うのであれば、いつその事態の認定を
行うのか。攻撃されてから認定を行うというのでは間に合わない。迅速に
認定を行なわなければならない。ということは、防衛出動するということ、
場合によっては武力行使するということです。日本人がまだ逃げてきてい
る最中にそういう形で防衛出動をして、はたしてそれが日本人の安全を確
保することにつながるのか、非常に疑問があります。もちろん安倍さんは、
いつ「存立危機事態」に認定するのかお答えにならなかったので、よくわか
らないのですが、おそらく日本人を移動させることと時期が重なるのだろう
と思います。そういうことを考えると、やはりここは防衛出動ではないだろ
う、「存立危機事態」ではないだろうと思います。
 もう一つは、安倍さんが言われた米国艦船が襲われた時にどうするのか
ということですが、これはどういう状況かにもよりますが、既に内閣法制局
の従来の見解で、日本を自衛隊と共同防衛している米国艦船が襲われた
時には、これ(への対応)は個別的自衛権で説明し得る場合があるという
言い方をしています。だから私は、個別的自衛権で守れると申し上げた。
「存立危機事態」とほとんど隙間はないのだと私は思います。
 もう一つだけ言っておくと、ミサイルをいっぱい持っている中で「日本をや
っつけるぞ」と指導者が言っているようなケースがあると、党首討論では述
べられました。それはむしろ切迫事態と言うべき、つまり個別的自衛権で
すね。あるいは、場合によっては着手がなされたということになれば、もち
ろん切迫事態でも防衛出動はできるのですが、着手がなされたという段階
で武力行使も、個別的自衛権の行使ができるということになります。それで
十分にカバーできると思っているわけです。

〇《安保法制》新安保法制の違憲性をめぐる議論について

【朝日新聞・渡辺記者】
 先週、岡田さんの会見の中で、違憲立法審査の話が出ていた。現在の
法制について、もし違憲判決が出たら、その時の内閣は総辞職に値する
とおっしゃっていた。もし民主党がもう一回政権を取った際には、再度、今
の安倍政権が行った憲法解釈を変える考えはあるか。
 もう一点。こうした形でコロコロ憲法解釈が変えられるのはどうなのかと
いう問題意識をお持ちだと思うが、そうさせないために、例えば最高裁に
憲法部を作るとか、特別高裁を作るとか、そういう具体案をお持ちだった
ら伺いたい。

【代表】
 いろいろな議論があります。まだ議論している最中です。
 私が申し上げているのは、昨年7月1日の閣議決定をまず撤回しろとい
うことを言っている。そういう最中に、法律が成立したことを前提のご質問
をいただいても、私にはお答えすることはできないです。まず撤回すべき
だと考えています。

【朝日新聞・渡辺記者】
 後半の質問の部分で、解釈改憲を許さないためにはどういう形での対案
があるかという点についてお願いしたい。

【代表】
 今までは、わが国は比較的安定した憲法解釈がなされてきたと思うので
す。内閣法制局が、もちろん政府の一部ではありますが、論理的に説明で
きる範囲の中で解釈を示してきた。だからそんなに不都合はなかった。もし
これから内閣法制局が、時の政権の意向に左右されてとても議論にたえな
いような解釈を続けることになれば、それは別途違う仕組みを考えなけれ
ばいけないということになると思います。

〇参議院の選挙制度改革について

【NHK・花岡記者】
 与党の自民党から、もうこの国会に間に合わないので、臨時国会に先延
ばしするべきだという声も聞こえてくる。そうなると18歳への選挙権年齢の
引き下げの次回の参議院選挙にも影響が出てくるかと思う。こうした見解
について代表はどのようにお考えか。

【代表】
 18歳で初めて投票したら、その結果が無効にったというのは、あまりにも
ひどいことだ。これは党首討論で申し上げたところです。
 時間がないといっても、もう2年間もたっているの。自分たちで法律を作り、
ちゃんとやりますと法律に書いた。
 そして当時の脇参議院幹事長が、「身を切る改革」と、確かに自民党は
大変だと思いますが、(一票の格差を)2倍以内におさめるにはこれしかな
い。ブロックを採用しないのであれば、そして2倍以内におさめるということ
になれば、あとはどことどこをつけるかという話だけであって、飛び離れた
ところをつけるわけにはいかないわけですから、ものすごく限られた選択肢
しかない。
 にもかかわらず、今日までダラダラと、何もしないで、結論を出さずに来た
というのは非常に罪が重いと私は思います。与党の矜恃はないのかと申し
上げたいと思います。

【フリーランス・宮崎記者】
 今回の協議の中で、これは公明党も賛成してくれば、少数政党も含めて、
何倍以内かということはあるが、参議院では既に過半数が合区はしようと
いう勢力になっているかと思う。場合によっては強行的に、倫選特(政治倫
理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会)の委員長も民主党だ
が、郡司彰参議院会長には本会議に直接持っていってもいいのではないか
と、それぐらいの覚悟で会期末の来週を迎えられるのか。

【代表】
 具体的なことはまだ、月曜日にまた幹事長が集まることになっております
ので、私から今申し上げることはありません。
 ただ、2倍以内というのは非常に大きいのです。3倍近い今の4党案です
か、誰が考えたのかわかりませんが、これでは違憲・無効の判決が出る可
能性は残ります。もともと2倍以内と各党で議論してきたはずです。その原
点に立ち返って、ここは身を切る改革をしっかりやっていく必要があると思
います。維新の皆さんそういう認識だと私は思っています。

〇野党外交について

【日本経済新聞・飯塚記者】
 野党外交について伺いたいが、代表も海外の要人との会談を積極的に
こなされていると思うが、昨年もフィリピン、台湾、香港とか4ヵ国ぐらいを
訪問された。代表に就任してからは目の病気もあって海外には行ってな
いと思うが、今後どういった国を訪問したいとお考えか。

【代表】
 代表になる前は議員個人として行っておりました。ただ代表になりますと
立場が変わりますので、あまりあちこちに行こうという感じは今ありません。
むしろ党の立て直し、そのための日々の積み重ねが非常に大事だと思っ
ています。
 非常に気になるのはやはり近隣の国々との関係ですね。野党外交をや
ってそれが日本としていい結果に結びつくという見通しがあれば、私は大
いに汗をかきたいと思っていますが、しっかりした目的がないままに行くこ
とは現時点では考えておりません。

【日本経済新聞・飯塚記者】
 特に関係改善が望まれる中国・韓国、この二カ国についてはいかがか。

【代表】
 我々が野党外交をすることで、何か両国関係、日中関係・日韓関係にと
ってプラスになるという見通しがあれば大いに汗をかきたいと思います。も
ちろん今までも日本で野党外交が成果を上げた、例えば日中国交正常化
の際の野党の役割とかありますので、何か成果が見込めるということであ
れば私は汗をかきたいと思いますが、あまりはっきりしない中でいろいろな
国に行っても、今言われれば、それは優先度はあまり高くないのかなと思
っています。

〇《安保法制》維新の党の対案について

【NHK・花岡記者】
 維新の党は、党首討論でも松野代表が言われたように、安保法制につ
いて対案、党としての考え方をまとめたい、まとめた上で各党と協議したい
と言っているが、こうした協議の申し入れがあれば民主党として受けるお
考えか。

【代表】
 今まで維新と一緒にやってきた部分も、領域警備法案なんかはかなり緊
密に協議をしてきたという事実はある。野党間で議論することの意味はど
こにあるのかというのはありますが、否定するつもりはありません。我々
には我々の考え方がありますので、お互いに協議することはあってもいい
と思います。
 ただ、今回の同一労働同一賃金推進法案で見られたように、一生懸命、
力を合わせて作り上げた。それが突然与党との協議の材料にされてしま
う。そういうことがあるということだと話は全く違ってきます。そこはお互い
に信頼関係に基づいて、きちんとした対応がなされるということが大前提
だと思っています。

【時事通信・越後記者】
 仮に協議をしたとして、その結果、維新とは方向性が違うということにな
った場合には、民主党独自に今用意されている領域警備法案とか、さらに
は周辺事態法案改正案なども準備していると思うが、単独で民主党として
の案を出す考えはあるか。

【代表】
 それはまだ決めておりません。今、政府案を議論していますが、すれば
するほどさまざまな論点が浮かび上がってきているという現状です。私も
あと3時間ぐらいは総理と議論したいと思っているのです。ですから、その
洗い出しが先です。我々が対案ということになると、そっちに関心が移って
しまうことになりかねない。そうすると政府案の問題点があやふやになって
しまうということもあるかもしれません。
 したがって、それは国会の状況を見ながら、考え方はかなり詰まってい
ますので、必要があれば出すこともあるかもしれないし、出さないけれども
発表だけするかもしれないし、あるいはそこまでいかないかもしれません。
それはいろいろなオプションを持ちながらやっていきたいと思います。
 ただし、民主党の今までの蓄積がありますから、きちんとした考え方、あ
るいは案というものはいつでも出し得ると思います。

〇維新の党との関係について

【朝日新聞・渡辺記者】
 厚労委員会でのこうした対応もあった。対応としては今後も国会や選挙
で維新と連携していく、協力していく考えに違いはないか。

【代表】
 そこは変わりません。おおらかに、協力できるところはしっかり協力して
いきたいと思います。そうでないと多数の横暴を許してしまいますので、な
るべく私は協力すべきだと思いますが、相手もあることですから、協力で
きないことも場合によってはあるかもしれませんが、できるだけ私は共同
歩調で対応していくべきだと。それが国民の期待に応える、我々民主党
に投票していただいた有権者の皆様、あるいは維新に投票していただい
た有権者の皆様の期待は、決して与党と共同歩調をとることではなく、野
党がなるべく協力しながら、与党のおかしなところをしっかりと直していくこ
とだと思います。

【熊本日日新聞・高橋記者】
 維新の党の松野代表がきょうで代表就任1ヵ月がたつ。昨年12月の衆
院選でも地元では民主党と協力した選挙戦を戦ったが、この1ヵ月の松野
代表の評価を伺いたい。

【代表】
 他党のトップを評価するという立場にありません。大変ご苦労されている
なと思います。やはりお互い苦労しながら、手を携えてやっていかなければ
いけないということではないかと思います。


〇《安保法制》憲法改正をめぐる議論について

【読売新聞・前田記者】
 憲法審査会で憲法学者3人の方が安全保障法制について「違憲だ」と述
べて、いろいろなところで議論されている。一方で岡田代表はかねがね、
総理が今の憲法を非常に低く見ているとおっしゃり、自民党主導で議論が
進むことに警戒感を示していらっしゃる。今後、憲法審査会にどのように臨
むのかということと、あらためて安倍総理が主導する憲法改正の議論につ
いてどのようにお考えか。

【代表】
 まず、今後憲法審査会をどうするかは、自民党のお考えもあると思う。
そんなに積極的にやろうという感じは今はないのではないですか。ですから
、こちらの意見だけ申し上げても仕方がないと思います。
 それから、これもこの間の党首討論で申し上げたかったのですが、やはり
自民党の憲法改正草案を見ると、自衛権を持つということが書いてありま
すから、そういう意味ではフルスペックの、つまり制限のない集団的自衛権
を憲法上は書くというのが自民党のお考えなのだと思います。あとは基本
法で一定の制約をかけるということはあるのかもしれません。そういう意味
では、今議論していることはその過渡期の議論ということだと思います。い
ろいろと制限をつけるとおっしゃっていますが、心は、集団的自衛権を広く
行使したいというのが安倍総理、あるいは自民党のお考えだと思います。
 余計に気になる。いろいろな難しい制限の文章を抽象的に加えています
が、結局そういう基本的な考え方であれば、限定しても限定にならないの
ではないか。最後は一内閣が最終的に総合判断するという言い方ですか
ら、法律上、一見限定したように見えても、その限定が限定にならない事
態というのは当然考えられる。法律があっても、それを超えて時の内閣が
武力行使する、そういう事態が十分に想定される。そういう危機感で今議
論している。

【読売新聞・前田記者】
 そうすると今後、自民党の憲法改正論義には従来どおりあまり乗れない
というか、安倍政権のもとではあまり議論すべきではないとお考えか。

【代表】
 憲法審査会は開いて、この前堂々と議論した。参考人もいいご意見を言
われた。だから憲法審査会を開くことがだめだと私が言っているのではな
い。
 ただ、我々の基本的スタンスとしては、もう先に何をやりたいか見えてい
る時に、やすやすと議論に乗っていくというのはいかがかと。常に危機感を
持って対応しなければいけないということを申し上げているわけです。
 それからこの前(の憲法審査会では)、立憲主義の議論をするために参
考人を招致した。入り口のところは本来各党で確認されていたはずです。
今までずっと長い間憲法議論を中山会長の時代からやってきて、共通の
認識はあったはず。それが総理のご発言を聞いていると、本当にきちんと
確認されているのかどうかということに疑念があるので、それを確認しつつ
やっていかなければいけない。

〇代表の体調について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 非常にテンションの高い国会になってきたが、目を患われたわけで、体調
はいかが。医者から太鼓判が押されているのかどうか、そろそろジムに行
けるのかどうか伺いたい。

【代表】
 よくわかりましたね、最近ジムに行ったのですが、走ったりというのはちょ
っとまだ控えて、バイクに乗ると、あれは揺れませんので。そういう形で“な
らし運転”を今しているところです。少し増えた体重を落とそうと躍起になって
いるところです。徐々に徐々にとは思っています。

〇党首討論を振り返って

【「FACTA」・宮嶋記者】
 党首討論は非常におもしろい。民主党シンパの、長く見ている記者によると、
この間の党首討論は80点から90点ぐらい、1回目よりも言いたいことをおっ
しゃったのではないかと。自己評価としては何点ぐらいか。1回目よりも2回目
のほうがよかったか伺いたい。


【代表】
 党首討論のできがよかったか悪かったか、私が言うことではないので特に
申し上げませんが、2回目はよく聞こえないところがあった。それは双方のヤ
ジ。総理は民主党のことばかり言われるが、与党のほうも相当ヤジっていま
した。実はちょっと聞きそびれたところがあって、米艦防護のところで、米艦
防護の話なのか、日本人を乗せた米国艦船が襲われた時の話なのか、あ
の時どっちかよくわからなかった。少し静かなほうがいいのかと思います。
 あと、総理は答弁を短くして頂きたい。それからあまり関係ないことを一か
らお話しになるので、まとめるのになかなかそこは苦労します。もう少し言い
たいことはあったのですが。
 それから、質問の連発もいいのですが、国対委員長間で一定の合意に達
して向こうも少し謝罪したという経緯もあるわけですから、総理の言う乱暴な
行為そのものについて何かあったということではないのですが、全体として
運営について、先ほど言ったようなことを自民党の国対も言われたわけで、
ああいう場で持ち出されたのは適切だったのかどうかという感じはします。
繰り返し言われましたが、私は強行採決の話で一応お答えしたつもりです。
 そういうことも含めて有権者の皆さん、視聴者の皆さんは、それぞれの政
治家を判断されるのだと思います。




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